- いつも夫が私にモラハラ発言をするくせに、離婚を申し出ても応じてくれない…離婚してくれない夫の心理がわからない…
- モラハラ夫が離婚してくれない場合、離婚を望む私としてはどのように対処すべきだろう…
この記事では、離婚問題に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきます。
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目次
離婚してくれないモラハラ夫の心理
妻からの離婚の申し出を拒否する夫の心理とはどのようなものなのでしょうか。
プライドが高い
モラハラ夫は、自尊心・プライドが他人に比べて異常に高いという特徴があります。
プライドの高い人物は日常的に「相手の価値が自分よりも下」であることを認識することで自身の自尊心を保っています。
そしてモラハラ夫は妻のことを「自分より下の地位にある者」と無意識的にも思っているケースが多いです。したがって妻の考えより自分の考えが優先する、または正しいはずだと考えてしまいます。
そのため実際に妻から離婚を突きつけられたモラハラ夫は、妻の意見や考えを肯定することができません。また、離婚自体が夫自身に対して「NO」を突きつけ関係性を清算する意思表示です。そのためプライドが高い夫は自分を否定するような離婚の要請を受けいれることができないのです。
この場合夫はさまざまな理由をつけて妻が間違っていることを主張するでしょう。例えば妻は一時的な感情で離婚を切り出しているにすぎない・子どものことを考えたら離婚など言えないはずだ・家族のために稼いできているのは自分だ、などといった言葉を妻に浴びせることが想定できます。
自分に自信がない
モラハラを行う相手は実は自分に自信がない可能性も高いのです。
自分に自信がないからこそ、相手の行動や発言を指摘して、「恥ずかしい」や「社会人としてありえない」などとレッテルを貼り、相手を貶(おとし)める行動が目立つようになるのです。
そのように自己肯定感が小さいモラハラ夫が自信を保つためには、言い返してこない相手が必要です。毎回のモラハラ行為に対して、毅然と相手方が「それは納得できない」「あなたの言っていることは事実に反している、なぜならば、・・・」と説得的に反論されては夫の自信は無くなるばかりです。
したがって、これまでは(半分諦めて)夫に言い返してこなかった妻が、離婚を申し出た場合、夫は戸惑いを隠しきれません。自己肯定感が低く不安定な精神状態を覆い隠すためにこれまで身近な相手を選んでハラスメントを行ってきたところ、その相手から絶縁状を突きつけられたも同然です。
そのため、ただ「離婚に応じない」という拒否する態度をとるしかできない場合もありえます。
周囲の評価・評判が気になって仕方ない
モラハラ夫は周囲の評価や評判を異常に気にする傾向があります。
なぜならモラハラを行うような人は、自分に自信がないため自分の価値観や独自の評価基準で判断することができません。そのため自分よりも「偉い人がこう言っている」や「周りの人間が評価してくれている」といった権威性を求めるのです。
したがって自分自身の評価も周囲の人間の評価や評判に過剰に依存してしまうことになります。結果至上主義の人や完璧主義の人もそのような傾向に陥ってしまうことがあります。
さらにモラハラ夫はコンプレックスの裏返しとして周囲に対しては「外面(そとづら)がよい」ケースも多いですので、妻から離婚を突き付けられていると周囲に知られてしまうことを「格好悪い」や「みっともない」と考えてしまうのです。
以上より、離婚によって周囲にあたえる自己評価の低下を避けるために妻の離婚に応じたくないという心理が働いている可能性があります。
妻の気持ちを想像することができなくなっている
モラハラ夫は長年モラハラを行ってきていることで妻の気持ちをもはや想像できなくなっている可能性もあります。
モラハラ夫は認知が歪んでおり、妻に対する言動は相手のためになっているので「正しい行為である」と認識している場合があります。そのため長年にわたり嫌がらせをしている自覚もなく、なぜ今妻から離婚を言い渡されているのか分からないパターンも多いのです。
人は年齢を経たり、収入が上がるにしたがって「他人への共感力が失われる」という特徴があります。そのため年配の男性の方が無自覚に周囲の人間に対してハラスメントをしているケースが多くなります。
モラハラ夫は自分の認知の中で「人間関係の優劣」を構築して、さらには「他者への共感力」も失っている可能性があります。そのため離婚を言い渡された際にも不遜な態度や高圧的な態度をとるのです。共感力のある人であればそのような態度を取れば離婚したい妻はますます離婚の意思を強固にしてしまうと気づけるはずですが、今の夫はそれができない心理状態になっているといえます。
離婚に応じないモラハラ夫への対処法
モラハラ夫が離婚に応じない場合には、段階的に対処する必要があります。以下で詳しく解説していきましょう。
モラハラを証明できる証拠を集める
モラハラ夫と離婚するためには、モラハラがあったという事実を証明できる証拠が決定的に重要になります。
日常的にモラハラを繰り返している場合には、暴言や侮辱的な言動について具体的に記録に残しておきましょう。毎日の日記でも備忘録でも大丈夫です。記録の際には相手が発言した言動をできるだけ正確に書き留め、それが「どのような意味」なのか、自分は「どのように感じたのか」について分かりやすく分けて記録しましょう。記録の際には具体的な日付や時間が重要になります。
またICレコーダーやスマートフォンの録音アプリでモラハラ言動を録音できれば信用力が高いでしょう。ただし相手に気づかれないように機械を操作しなければなりませんので難易度は上がります。
周囲にも協力をお願いする
兄弟姉妹・親戚や友人・知人など協力を得られそうな第三者がいる場合にはお願いしてみるのもひとつの手です。この場合、協力を依頼する第三者としてはモラハラ夫もその人の話を聞くような人物であることが理想的です。そのためモラハラ夫の信頼も厚い人物に相談してみましょう。ただし全面的にあなたの味方をしてくれる保障がないことと、モラハラ夫がその人物の意見に耳を傾けない可能性もあるため注意が必要です。
さらにモラハラ夫の場合には、第三者の評価や目線を異常に気にしているため「第三者にモラハラ被害を相談した」ということについて夫が激昂して、話し合いどころではなくなるリスクもあります。さらに、ある私人を夫婦の間に入れて話し合うことは法律の専門家が不在である点であまりおすすめできません。
モラハラ夫と別居する
モラハラの程度によっては、被害を受けている本人が精神的に参ってしまい精神疾患を抱えてしまうケースもあります。
そのためこのまま夫と同居するのが「精神的に辛い」と感じている場合には思い切って別居することを検討してください。別居する場合、実家や友人の家など頼れる第三者がいれば相談してみましょう。
また別居したあと、夫はあなたをなだめて元の生活に戻そうと行動する場合があります。しかし、具体的な反省や改善が約束されていない段階ではまた元の生活に逆戻りしてしまうリスクが大きいので、安易に応じないようにしてください。
なお、未成年の子どもと同居している場合、子どもを連れて別居したとしてもモラハラという虐待から逃れるための緊急避難的な対応であると考えられます。したがって「違法性のある連れ去り行為」とは言えないでしょう。また継続して安定した生活環境が子どもの利益になるのであればその現状を維持すべきであるという「現状維持の原則」もありますので、子どもを連れて別居しても子どもがこれまで通り生活できているのであれば、親権を決定する際にも不利になることはないといえます。
第三者機関を利用する
相手が離婚に応じない場合には裁判所の離婚調停手続きを利用することができます。
調停手続きとは、裁判所の裁判官と一般市民の中から選ばれた2名の調停委員が当事者の間に入って、双方が納得できるように話し合いで解決を目指す手続きです。
離婚調停を申し立てるのに特別な知識は不要です。申立用紙や記入方法については裁判所の窓口やHPなどで見ることができます。また終了までの手続きも簡易なものですのであなた1人で申し立てることも可能です。また手続費用についても訴訟に比べると安価で利用できます。調停は2~3回の調停期日が開廷され、だいたい3カ月以内で終了します。
双方の話し相手で解決できた場合には調停が成立し、合意内容を記載した「調停調書」が作成されます。この調書は確定した判決と同様の効果があるためこれに基づいて強制執行を申し立てることもできます。
しかし話し合いで解決できない場合には調停は不調となります。離婚を実現するためには、以下で述べるように訴訟を提起する必要があります。
モラハラ夫との離婚調停に進んだ場合に注意すべきポイント
夫が任意での話し合いに応じない場合には離婚調停へと手続は進みます。調停手続きにおける注意点を以下で説明しましょう。
感じのいい夫に調停委員も抱きこまれる可能性あり
上述のようにモラハラ夫は周囲の評価・評判に非常に敏感なため「外面が良い」という特徴があります。
そのため調停委員の前では自分の都合のいいように事実を捻じ曲げて説明したり、ときには平気で虚偽を述べる場合もあるでしょう。そのため調停委員もモラハラ夫の主張を信用してしまう可能性があるのです。
これに対しては、調停委員を説得できるだけの証拠や資料を確保しておくことが重要になります。また相手が主張している事実が明らかに虚偽であると分かっている場合には相手の主張を冷静に分析して矛盾している箇所を指摘できるようにしておきましょう。
調停手続きでは夫に離婚を強制させることができない
調停手続はあくまでも話し合いで合意を目指す手続きです。
そのためモラハラ夫が話し合いに応じず離婚することを拒否する場合には調停を成立させることができません。調停委員があなたの味方をして夫側を説得してくれたとしても一切強制力はありませんので、夫が「嫌だ」と言えば調停離婚は不調となってしまいます。この場合、最終的に離婚するためには離婚裁判を提起しなければなりません。
モラハラ夫との離婚裁判に進んだ場合に知っておくべきこと
調停(審判)で離婚が成立しない場合には、民事訴訟(離婚裁判)を提起して裁判離婚するしかありません。離婚裁判手続を進めるにあたって知っておくべき事項を以下で説明します。
裁判でモラハラ認定してもらうのは難易度が高い
民事裁判で離婚を求めていく場合(これを「裁判上の離婚」と言います)、離婚を求める側は自由に離婚の原因を主張することはできません。民法には裁判上の離婚を求めることができる原因を5つ法定しています(民法第770条1項各号参照)。これを「法定離婚原因」といいます。
(裁判上の離婚)
第770条
1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
(後略)
ここでモラハラずばりを法定してはいませんが、モラハラが該当するのは「婚姻を継続し難い重大な事由(同条項5号)」となります。
婚姻を継続し難い重大な事由の典型例としては、配偶者による度重なる暴力(DV)や長期間の別居などが挙げられます。このような状態であれば、婚姻関係が破綻していると認められやすいため、裁判においても「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」との判断に傾きやすいでしょう。
しかし、モラハラ行為は家庭内で当事者の間だけで発生する点や、目撃者や外傷などの目に見える証拠がない点で立証が困難な離婚原因であると言われています。また、夫婦喧嘩の最中に感情的になって暴言を吐いてしまうことは一般的な夫婦間においても間々あるため、多少暴言があった程度では裁判所が離婚を認める判決を出してくれることはありません。
そのため、長期的・継続的に悪質なモラハラ言動があったことを裁判官に示すためにも、早い段階からモラハラの証拠を収集し離婚裁判に備えておくべきでしょう。もっとも、上記の通りモラハラを原因とした離婚請求は認められずらい点があることから、できるだけ裁判での離婚は避け、夫婦間の協議や離婚調停での解決を目指すことをお勧めします。
弁護士に依頼する費用がかかる
離婚訴訟にまで発展した場合には夫側も弁護士に依頼するでしょうし、法律のプロと素人であるあなたが渡り合うのは不利です。したがってあなた一人で手続きを進めるのは事実上困難ですので弁護士に依頼すべきです。
弁護士に依頼する場合には当然費用がかかります。離婚訴訟における弁護士費用の相場としておよそ30~60万円です。またその他財産分与や慰謝料請求をする場合には別途「着手金」や「報酬金」が訴額に応じてかかってくる可能性もあります。
調停段階で弁護士に依頼した方が良い
交渉により好条件で離婚できる可能性あり
離婚裁判にまでもつれ込んだ場合には、紛争が長期化する傾向があり、またモラハラ自体が認定されにくい類型であるため、できるだけ調停段階で決着をつけることが当事者の利益になる可能性も高いです。そのため調停段階から弁護士に依頼していた場合には夫側との交渉によって妻側が納得できる内容で話し合いで解決できる可能性もあります。
証拠収集のアドバイス
モラハラの認定については証拠収集が極めて重要です。弁護士に相談しておくことで早期から信用性の高い証拠収集のためにアドバイスを受けることができます。
手続きを完全に任せることができる
また弁護士に依頼しておけば裁判所への出廷や書面・証拠の提出など手続きを一任することができます。手続きをすべて任せられる点でも依頼者はご自身の生活の立て直しに集中できますので手続き的な負担はかなり軽減できます。
弊所では、離婚に応じてくれないモラハラ夫との離婚問題の解決実績があります。親身誠実に、弁護士が依頼者を全力でバックアップしますのでまずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。
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