このような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
監護親(子と暮らす親)が再婚した場合、監護親からすれば、「子どもに新しい家庭に早く馴染んでもらいたいので面会交流を拒否できないだろうか…」と思うこともあるでしょう。逆に非監護親(子と離れて暮らす親)からすれば、「子どもと面会交流できなくなるのでは」と不安になられる方もいることでしょう。非監護親が再婚したケースでも同様な悩みが生じます。
そこでこの記事では、元配偶者の再婚後でも面会交流を継続させる必要はあるのか、面会交流問題に強い弁護士が解説していきます。
合わせて、非監護親の再婚相手が面会交流に同伴することは可能かどうか(監護親から見れば同伴をやめさせられるのか)についても解説します。
記事を最後まで読んでも問題解決しない場合は弁護士までご相談ください。
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目次
再婚後の面会交流について
再婚しても面会交流を継続する必要はある?
これについては、監護親・非監護親のどちらが再婚した場合であったとしても、面会交流は継続する必要があります。
なぜなら、親が再婚したとしても親子関係が存在していることは影響を受けず、さらに面会交流は子どもが健全に成長するために重要となる「子どもの権利」でもあるからです。
したがって、監護親・非監護親の再婚を理由として面会交流が制限されることはありません。
再婚相手が養子縁組した場合でも面会交流は必要?
監護親が再婚して、この再婚相手と子どもとが養子縁組をした場合でも面会交流は必要でしょうか。
これについては、再婚相手と子どもが養子縁組した場合であっても、面会交流は実施する必要があります(普通養子縁組が前提)。
普通養子縁組の場合には、実親と子どもとの間の親子関係に影響を与えないからです。
養子縁組により非監護親から養育費をもらえなくなった場合は?
再婚相手が子どもと養子縁組した場合に、非監護親が養育費の支払いを勝手にストップしてしまうことがあります。「養子縁組した以上、再婚相手が養育費を払うべきであって自分はもう払いたくない」という主張ですね。
ではこのような場合、養育費を貰えていないことを理由として、監護親は面会交流の実施を拒否することができるのでしょうか。
この点、養育費が未払いであることを理由に面会交流を拒否することはできません。なぜなら面会交流と養育費支払いとは対価関係に立つものではなく、それぞれ法的には別問題だからです。
したがって、監護親は非監護親に対して、面会交流を実施して欲しかったら養育費を約束通り支払えと要求することはできません。養育費が未払いで今後も継続するおそれがある場合には合意書や調停調書などに基づいて支払いを請求して対処していくことになります。
再婚相手が面会交流の実施を嫌がっていたら中止できる?
監護親が再婚した場合、再婚相手としては、面会交流を実施することで監護親と新たに築いた家庭に元配偶者が介入してきているように感じてしまう場合もあります。また、再婚相手は子どもと親密な関係を深めたいと考えることから、元配偶者(非監護親)と子どもの面会交流を嫌がるケースがあります。
しかし、再婚相手が消極的な意思を示したからといって面会交流の実施を拒否することはできません。
なぜなら、前述のように面会交流は子どもが健全に成長するために重要な子どものための権利であると考えられているからです。そのため子どもの健康や成長に悪影響を与えるおそれがないにもかかわらず親の都合で面会交流を中止させることはできません。
子が面会交流を嫌がっている場合は中止できる?
面会交流を実施するにあたって「子どもの意思」は、子どもの福祉(幸せ・利益)を判断するための重要な考慮要素となり得ます。子どもの意思をどの程度考慮するのかという点が大きな問題となりますが、子どもが概ね10歳前後になれば、自己決定する能力が備わっていると考えられています。
では、監護親または非監護親が再婚した場合、子どもが嫌がっていれば面会交流を中止することができるでしょうか。
監護親が再婚した場合
このような場合であっても子どもの年齢や健康状態、拒否するに至った経緯などを考慮して判断されることになります。なぜなら子どもが元配偶者に会いたくないと言っている場合であっても、言葉通りに信用してよいかどうかの問題があるからです。
つまり、再婚して環境が変わったことで監護親や再婚相手に配慮して非監護親と会いたくないと主張しているだけという可能性もあるからです。
ただし子どもが10歳~13歳程度で十分に自分のことは自己決定するだけの能力があると評価できる場合には、面会交流を拒否する子どもの意思も十分に尊重されなければなりません。
非監護親が再婚した場合
このような場合であっても子どもの意思を字義通りに受け取ってよいかという点は同様に問題となります。
具体的には、非監護親が再婚したという事実を知った子どもが、非監護親から見捨てられたと感じて面会交流を拒否するようになるというケースもあります。
しかしそのような場合にはむしろ面会交流を実施して十分にコミュニケーションをとり、非監護親が子どもをいかに愛しているのかを伝えることが効果的な場合もあり得ます。
ただし子どもが10歳~13歳程度に成長し、十分に自己決定できる程度に成熟していると評価できれば、子どもの意思を尊重して面会交流が実施されない可能性もあります。
再婚相手が面会交流に同伴するのをやめさせられる?
まずは子の意思を確認する
面会交流の同伴者について、父母間であらかじめ取り交わした合意内容がない場合には、基本的には非監護親が自由に決めることができます。実際、面会交流に非監護親が自身の父母(子どもにとっては祖父母)を同伴するのは良く行われています。
しかし、面会交流については子どもの福祉を一番に考えるべきですので、子どもの意思・希望を最優先に決定するべきでしょう。
そのうえで非監護親の再婚相手は子どもにとっては無関係な第三者ですので、面会交流に同伴させることが適切か否かは父母間で十分に話し合って決めるべきでしょう。
面会交流調停を申し立てる
面会交流の具体的な実施方法については父母の話し合いで決めることができます。
しかし、非監護親の再婚相手を同伴させて良いか否かについて父母間の協議で決めることができない場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることもできます。
子どもが非監護親の再婚相手に会うことを嫌がっている場合や、再婚相手に会わせることで子どもの福祉を害するおそれがある場合には、再婚相手の同伴は認められない可能性が高いです。
そのような場合として、具体的には再婚相手と会うと子どもの落ち着きがなくなったり情緒が安定しなかったりして、精神的に不安定になるような場合です。
面会交流について再婚時に注意したい点
面会交流することが決まっている場合の再婚時に注意したい点を解説いたします。
子の立場に立って考える
子が幼い場合、「再婚相手を実の親と思わせた方がよいのではないか」と考える監護親の方がいます。
しかし、いずれは子に実の親の存在を知らせなければならない時期がくるでしょう。
その際に子が受けるショックの大きさのことを考えると、幼いうちから子に実の親の存在を認識させるためにも面会交流を継続した方がよいのではないかと考えます。
また、決してご自身の都合、感情で面会交流を中断しないことです。
子は親が面会交流を中断する原因、その裏にある背景、親同士の関係性を敏感に察知します。親同士の関係性が劣悪だと、子の人格形成・福祉にも悪影響を与えます。
再婚して環境が変わろうとも、まずは親同士が日頃からコミュニケーションをよく取って良好な関係性を築き、子に双方の親から愛されている、という安心感を与えてやることが大切です。
再婚前に再婚相手に面会交流についてきちんと話し、理解を得る
再婚相手によっては、面会交流の制度すら知らない方もいるかもしれません。
再婚後にいきなり面会交流について打ち明けられても、監護親の再婚相手は、「我が子を奪われた」という感覚に陥り、実際、「実の子ではない」ということを再認識し、子に対する愛情が減退してしまうかもしれません。
また、非監護親の再婚相手からは、「全力で家庭(再婚相手との子)に愛情を注いでくれないのではないか」、「監護親とよりを戻してしまうのではないか」などという不安をもたれてしまうかもしれません。
面会交流を継続するには、再婚前に、
- 再婚相手に再婚後も面会交流は継続しなければならないこと
- 面会交流は子の成長・福祉のためでもあること
- 面会交流するにあたっては監護親・非監護親同士連絡を取り合う、実際に会うことなどがあり得ること
など、面会交流のやり方についてもきちんと話し、理解を得ておくことが大切です。
再婚後は面会交流や養育費の見直しが必要
ここまで説明してきたように、監護親・非監護親のどちらが再婚したとしても、原則として面会交流を実施する必要があります。
ただし、他方の親が再婚した場合にはこれまでとライフスタイルや生活状況、子どもを取り巻く環境が大きく変化することになります。再婚が子どもに与える影響は子どもの成熟状況に応じて異なってくるため、子どもの福祉を考慮してこれまでと同様の方法で面会交流を継続してよいのかどうか見直す必要があるでしょう。
例えば、監護親が再婚したケースで子どもが幼い場合には、しばらくは再婚相手との生活に子どもが慣れるまでは面会交流を差し控えることが適切な場合もあります。子どもが監護親の再婚相手と非監護親との間で混乱して心理的なストレスを受けないように配慮する必要が出てくることもあるからです。
再婚後の状況に応じて父母間で話し合いをし、これまで実施してきた面会交流の方法を見直し、やり方を変更する必要があるかもしれません。いずれの場合であっても「子どもの健全な成長」を第一に判断される必要があります。
養育費の見直しも合わせて行う
監護親の再婚相手が子どもと養子縁組をした場合、非監護親から払ってもらっていた養育費は二次的なものとなります。二次的というのは、まずは養親が子を養育・扶養・監護する義務を負い、養親に子を養育・扶養するだけの資力がないなど事情があるときに限って非監護親が養育費を支払うという意味です。
したがって、監護親の再婚相手が子どもと養子縁組した場合は、通常、非監護親から養育費の支払いについての減免(減額、免除)を申し入れられます。
また、非監護親が再婚したケースでも、非監護親と再婚相手との間に子どもができたり、再婚相手の連れ子と養子縁組するなど扶養家族が増えることがあります。これにより当初合意していた養育費を支払い続けることが金銭的に困難となることがあります。この場合も、養育費の減免が認められることがあります(多くは免除ではなく減額)。
そのため、監護親または非監護親が再婚した場合には、面会交流の見直しと合わせて、養育費の支払い条件について見直しするようにしましょう。話がまとまらなければ家庭裁判所に対して調停を申し立てることもできます。
再婚後の面会交流で揉めたら弁護士に依頼
上記の通り、再婚後の子どもを取り巻く環境や子供の年齢や意思・成長度合などに応じて、子の福祉に適うよう、取り決めされた面会交流の頻度や方法を見直す必要が出てきます。
しかし、父母間で話し合う際に双方が自分の主張を押し通そうとして協議にならないことも多くあります。その場合、面会交流調停を申し立てて裁判所を介して話し合いをすることになりますが、お互いに対する不満や愚痴などが多くなって建設的な話し合いを効率的に行えない可能性もあります
そのため、再婚後の面会交流で揉めた場合には弁護士に依頼することがおすすめです。
弁護士に依頼することで相手方との話し合いや面会交流調停の同席などをお願いすることができます。弁護士であれば適切な法的知識・経験や相場感に基づいて、実現可能な条件・内容・方法で面会交流案を提示することができます。また、相手方からの反論や対案についても適切に依頼者の利益のために反論することができるため、依頼者の希望する内容で面会交流調停をまとめられる可能性が高まります。
弊所では、再婚後の面会交流に関するトラブルについての豊富な解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、子どもの幸せのために最善の対策をうちたいとお考えの方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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