連れ子がいる人と結婚し、のちのちその人と離婚した際、離婚後もこの連れ子に対して養育費を支払わなければならないのだろうか…
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、アナタがその連れ子と養子縁組をしていなかった場合には養育費の支払い義務はありません。逆に、養子縁組をしていれば養育費の支払い義務があります。
この記事では、
- 養子縁組の有無別による、離婚後の連れ子に対する養育費の支払い義務
- 連れ子との養子縁組を解消する方法
につき、養育費問題に強い弁護士が解説してきますので是非最後まで読んでください。
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目次
離婚後の連れ子に対する養育費の支払い義務について
結婚相手と離婚した際その相手に連れ子がいた場合、離婚後も連れ子に対して養育費を支払う義務を負うのでしょうか。
この場合問題となるのは連れ子と自分との間に「親子関係」があるのか否かという点です。
連れ子と養子縁組をしていない場合
連れ子のいる親権者とあなたは戸籍法上の規定に従い婚姻届けを提出することで法律上「夫婦」として効果が発生します。
しかし、親権者が婚姻したからといって当然に親権者の連れ子とあなたの間に「親子関係」が成立するわけではありません。
そのため親権者に連れ子がいる場合であっても「養子縁組」をしていない場合には親子関係は発生しません。
したがってこの場合には離婚した後、連れ子に対して養育費を負担する義務を負うことはないのです。
連れ子と養子縁組をしている場合
他方連れ子との間で「養子縁組」をしている場合には養育費を負担しなければなりません。
まず「養子縁組」とは法律上の親子関係を形成するための制度です。
養子縁組は「養子縁組の合意」という実質的な要件と「届出」といる形式的な要件がそろうことで当事者の間に親子関係が発生します。
連れ子が15歳未満の場合には法定代理人(親権者)が本人に代わって縁組の承諾をします。連れ子が15歳以上の場合には本人が同意する必要があります。(民法第797条1項)
養子縁組によって「養子は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得」します。(民法第809条)
親子関係が創設されることで親は子どもに対して扶養義務を負うようになり、「養親」である再婚相手の親権に属することになります。(民法第877条1項、818条2項)
また子どもは養親の推定相続人になります。(民法第887条)
したがって養子縁組をしている場合には離婚後にも連れ子との間に親子関係が残りますので扶養義務として養育費の負担義務を負うことになります。
どの程度の養育費を負担するかを知りたい方は、養育費の相場は?【令和最新版】裁判所公表の算定表をもとに解説を合わせて読むことをお勧めします。
連れ子との養子縁組を解消させる手続
養子縁組をしたとはいえ、血の繋がりがない相手の連れ子に、離婚後も養育費を払い続けるのは納得がいかない…と考える方もいることでしょう。
この場合、養育費を支払わなくても良い状態にするためには、連れ子との養子縁組を解消し、親子関係を消滅させる必要があります。
そして、養子縁組の効果を消滅させる手続を「離縁」といいます。
離縁によって養子やその家族と養親との親族関係は終了します。(民法第729条)
この離縁については大別して3つの種類がありますのでそれぞれ説明しましょう。
協議離縁
養子縁組の当事者はその協議によって離縁をすることができます。(民法第811条1項)
なお養子が15歳未満であるときは離縁についても養子の法定代理人となるべき者と協議しなければなりません。
調停・審判離縁
当事者の話し合いで離縁がまとまらない場合には家庭裁判所に対して離縁の調停を申し立てることができます。調停とは裁判官と調停委員の第三者を介して話し合いを行う手続きです。
調停を申し立てることができるのは養親及び養子です。
専門的な経験・知識を有する調停委員を当事者の間に入って双方の主張を整理し妥協点を模索することができます。
調停でも話し合いがまとまらなかった際に家庭裁判所は養子の父母・親権者の請求によって協議に代わる「審判」をすることができます。
裁判上の離縁
離縁については裁判所に対して離縁の訴えを提起することができます。
ただし「裁判上の離縁」が提起できる場合は以下の事由がある場合に限定されています。(民法第814条第1項1号~3号)
- 他の一方から悪意で遺棄されたとき
- 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
- その他離縁を継続し難い重大な事由があるとき
まとめ
この記事では、離婚した相手に連れ子がいた場合に養育費を負担しなければいけない条件について解説しました。
離婚に関連して養子縁組や離縁について悩まれている方や養育費の支払いについて悩まれている方は離婚事件を専門的に取り扱っている弁護士に相談することがおすすめです。
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