養育費は子供から親に請求できる?両親が不払いの合意をしてたら?

養育費は離婚したあとに非監護親である親から親権者である他方の親に対して支払われる金銭であると理解している方は多いと思います。

それでは、この養育費は子ども自身が養育費支払義務者である親に直接請求することができるのでしょうか

また、離婚の際に両親が養育費の不払いにつき合意していた場合でも、子供は非親権者(非監護親)に養育費を請求できるのでしょうか

この記事では、子どもからの養育費請求の可否について問題となるケースもあわせて解説していきますので是非最後まで読んで養育費の性質について理解してください。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください

親の子どもに対する扶養義務について

夫婦間の扶養と同様、親と未成熟の子との間の扶養関係はそれ以外の親族間の扶養以上に高度の義務が法定されています。

民法には、「直系血族及び兄弟姉妹は互いにに扶養する義務がある」と規定されています(民法第877条1項)。直系血族とは、実の親子であるか養親・養子の関係であるかは問いません。

親の子どもに対する養育義務は子どもが経済的に自立するまで、その生活費や学習費・医療費に必要となる費用を負担するべき義務であり、父母が離婚したとしても親の義務として果たさなければなりません。扶養義務者は「自己と同程度の生活」を保証する義務を負っています。これは子どもの生活を自己の一部として保証するのが相当であると考えられているからです。

そして、「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつその財産に関する法律行為についてその子を代表する」と規定されています(民法第824条)。親権者である監護親は子どもについて身上監護のほかに財産管理権を有しているということです。そのため、親権者である親は非親権者(非監護親)に対して子どもの養育費について取り決め自らに支払うように請求することができます。

では、親権者ではなく、子供が直接、非親権者(非監護親)に対して養育費の請求をすることはできるのでしょうか。以下で説明します。

養育費は子どもから親に直接請求することはできる?

父母が協議上の離婚をする場合には「子の監護に要する費用の分担」や子どもの監護について必要な事項については話し合いで決定しなければなりません(民法第766条1項)。養育費の支払いの実態として多いのは、離婚して親権者ではなくなった父親が、親権者として子どもと同居している母親に対して月々の養育費を支払うというものでしょう。

しかし、養育費の請求権は親権者である親の権利ではなくあくまで子どもの権利です。したがって、子どもが直接養育費支払義務を負っている親に対して養育費支払請求をすることも認められます。よくあるケースとしては子どもが大学や専門学校に進学する際に進学のための学資が不足する場合に子どもから養育費支払義務者である親に対して養育費の支払いを請求するというものです。ただし、子供が未成年者である間は、親権者が法定代理人として非親権者に対して養育費を請求する必要があります

なお、2011年11月現在、成年年齢は20歳ですが、法改正により、2022年(令和4年)4月1日時点で18歳、19歳に達している人は法律上「成年」となります。つまり、大学の入学に合わせて、子供自身が非親権者に養育費の請求ができるようになるということです。

養育費に大学の進学費用は含まれる?費用分担を請求できる条件とは

子供が親に養育費を請求するには?

子どもは、非親権者(非監護親)と話し合いをして養育費の支払いを求めることもできます。しかし、非親権者が拒否した場合、成年に達した子どもは養育費の支払いを求めて調停を申し立てることができます。一度決まった養育費であってもその後の事情変更を考慮して養育費の金額の変更を求める調停を申し立てることができるのです。

裁判手続では、養育費として不足する金額、子どもの生活状況、必要となる学費や本人収入や利用できる奨学金などを総合考慮して養育費の増額の要否を検討することになるでしょう。

なお、ここで注意が必要な点は、養育費については請求して以降の分が認められると考えられています。なぜなら債権者が養育費を蓄積させたうえで一気に請求することは相手方にとって大きな負担であり不当であると考えらえているからです。例えば、養育費の取り決めをしていないのに、大学4年生になってから1年~3年までの養育費(学費)を遡って請求しても基本的には認められません。

養育費調停の流れと費用|調停のメリットを最大化する5つの重要点

「養育費の不払い合意」の有効性

前述のように「子どもの監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項」については父・母が離婚する際に協議で取り決めなければなりません。したがって養育費の費用分担についても離婚の際に合意されることになります。

ではここで、父母が「養育費については請求しない」というような養育費の不払い合意をした場合この取り決めは有効なのでしょうか。

これについては、合意をした当事者である父と母の間では基本的に有効であると考えられます。しかし父母間の合意の効果は子どもには及ばないと考えられています。合意をした当事者間では効力を有しても子どもの権利を一方的に奪うことはできないので子供に対しては合意の効力を主張できないということです。

家庭裁判所の審判例では、父母間で養育費の請求をしないことを了解していた事案について、「養育費を相手方に請求しない約束があったとしても、そのような合意は法律上有効とはいえない」と判断したものもあります。(名古屋家庭裁判所昭和47年3月9日審判)

また民法には「扶養を受ける権利は、処分することができない」と規定されています(民法第881条)。この規定があるおかげで、子どもが扶養請求権のひとつと考えられている養育費請求権についても父母間の合意で根本的な変更を加えることはできません。この規定を根拠に養育費不払い合意はそもそも無効であると考えることもできます。

養育費を支払わない旨の合意は交渉の材料として利用され親権者がやむなく合意するというケースもありえます。そのような場合、非監護親である親が本来負担すべき義務を免れる一方で子どもは権利が失われてしまう結果になります。

そこでこのような合意は最初から不当であるとして子どもの監護に支障を来していると言える場合には不払い合意を事後的に変更できると考えるのが適切でしょう。不払い合意がされた後に子どもの進学や費用が必要となった等の事情変更があれば合意の変更を申し立て適切な養育費の分担を請求することができます

まとめ

以上この記事では、養育費を子どもから請求できるかという点について問題となるケースとあわせて解説しました。
離婚の際に合意された養育費の取り決めを変更して受け取りたい方や、現状養育費を増額してもらわなければ子どもの監護に十分でないと悩まれている方は、是非一度離婚問題に精通した弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください
離婚問題の悩みは弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による離婚問題の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

ご相談のみで問題が解決する方も多くおられますので、誰でも気軽に相談できる法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。