養育費保証の仕組みやメリット・デメリットは?保証会社も紹介
  • 「離婚に向けて準備しているけど、離婚後に相手が滞りなく養育費を払ってくれるか不安…」
  • 「もう離婚したけど、相手が取り決め通りに養育費を払ってくれないので困っている…」

このような不安や悩みを抱えていませんか?これらを解決するサービスが「養育費保証」です。

この記事では、養育費問題に強い弁護士が以下の項目などについてわかりやすく解説していきます。

  • 養育費保証の仕組み
  • 養育費保証を利用するメリット・デメリット
  • 養育費保証の会社とサービス内容

最後まで読んでみて、自分のケースでは養育費保証で問題解決に至らないと判断された場合には、お気軽に弁護士までご相談ください。

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養育費保証とは

養育費保証とは、離婚後に養育費の支払い義務を負う元配偶者(以下、「支払人」)が養育費の支払いを怠った場合に、保証会社が支払人に代わって養育費を受け取る人(以下、「受取人」)に養育費を立て替え払いしてくれる民間事業者によるサービスのことをいいます

このサービスを利用することで、支払人の養育費の支払い能力に不安がある場合でも受取人は安定的に養育費を受け取ることができるようになるなっているのです。

養育費保証が必要な背景とは

厚生労働省が公表している「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯について離婚した父親から養育費を受け取っている状況については「現在も養育費を受けている」世帯が24.3%、「過去に養育費を受けたことがある」世帯が15.5%である一方、「養育費を受け取ったことがない」世帯が6割近くも占めています。

養育費の取り決めについても母子世帯の母については「養育費の取り決めをしている」世帯が42.9%で、そもそも養育費について「取り決めを行っていない」世帯が6割近く占めています。特に協議離婚はそれ以外の離婚(調停離婚・裁判離婚等)に比べて取り決めをしている世帯が少なく、その理由として、母子世帯の母では「相手と関わりたくない」という理由が最多で、その次に「相手に養育費を支払う能力がないと思った」というものです。

以上のように養育費を受け取れている世帯が少ないという背景から、養育費保証という制度が必要とされているのです。

養育費保証の仕組み

養育費保証のサービス内容については各保証会社によって異なっています。ここでは養育費保証の本質的な仕組み一般論について解説していきます。

まず養育費の保証を希望している受取人が、養育費保証を行っている保証会社と保証契約を締結します。保証会社に対しては保証料を支払う必要があります。

そして、支払人と保証会社とは保証委託契約を結ぶことが一般的です。ただし保証会社によっては支払人と保証会社との契約はなくとも養育費保証ができる場合もあります。

支払人が養育費を合意に従い支払っている場合には保証会社の出る幕はありません。しかし、支払人が養育費の支払いをひとたび遅滞した場合には保証会社が支払人に代わって養育費を受取人に支払います。

保証会社が支払人に代わって養育費の支払いをした場合には、保証会社は保証した範囲を上限に支払人に対して請求することになります。このような保証会社の権利を求償権といいます。

以上から受取人は支払人による養育費の支払いが遅れた場合でも保証会社によって補填されるため養育費を安定して受け取ることが実現できます。これに対して保証会社は受け取る側に養育費を支払った後、支払人に求償権を行使して負担した額を回収することができます

養育費保証を利用するメリット

ここでは養育費保証会社を利用するメリットについて解説していきます。

①養育費の遅れを気にせず生活できる

養育費の保証会社を利用するもっとも大きな利点は、養育費を遅れることなく受け取れるという点でしょう

離婚の際に養育費の支払いについて父・母間で合意していたとしても、支払人が任意で支払いを継続しなくなってしまっては、受け取り権利は絵にかいた餅にすぎません。相手方がわざと約束を破って支払いを辞めてしまうという他にも、相手方が勤務している会社の経営が悪化して解雇されたり、事業が経営破綻したりする場合、または病気や怪我によって働けなくなったことにより支払えないというリスクもあります。

支払人に対して催告してそれでも支払う意思がないと判断した場合には強制執行等によりご自身の権利を強制的に実現する必要があります。しかし、多くの受取人は仕事をしている場合が多いでしょうから、忙しい中強制執行手続きをご自身でとることもできず権利を実現する余裕がなく諦めてしまうという事案も多々あります。

しかしそのような場合でも養育費保証を利用すれば、保証会社が支払いを遅滞している支払人に代わって養育費を支払ってくれますので、毎月の支払期限を気にせず生活することができるようになります。また養育費保証であれば相手方の支払い能力によらずに養育費を受け取ることができますので相手方の資力を気にする必要もありません

②支払人と話し合いを行う必要がない

養育費の支払いが遅れている場合にはまずは支払人に催告する必要があります。そうすると支払人から電話やメールで「もう少し待ってほしい」等猶予の連絡が入ることもあります。このような相手方とのやり取り自体に精神的に強いストレスを感じる方もいらっしゃるでしょう。

ここで養育費保証サービスを利用する場合には基本的には保証会社が受取人と支払人との間に入って手続を行うため支払人と話し合いの場を設ける必要はありません

③養育費保証について公的な支援が受けられる可能性もある

国にとっても養育費の不払いの解消は、子どもの健全な成長や子どもの未来のために重要な課題であるとの認識を示しています。そこで養育費不払いの問題について法務省と厚生労働省が連携して「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」が設置されました。

そして、自治体によって保証契約の保証料について補助金を支給しているところもあります。具体的には債務名義化されている養育費について、ひとり親家庭の親や児童の養育者が新たに保証会社と1年以上の養育費保証契約を結ぶ際に支払う保証料について5万円を上限に補助するといった内容の援助です。ただし具体的な補助の有無・内容についてはお住まいの自治体によって異なりますので自治体のホームページなどで確認してください。養育費保証サービスを利用するために公的な支援が実施されていることはメリットと考えることができるでしょう。

養育費の保証料について助成制度を導入している自治体一覧

養育費保証を利用するデメリット

①保証料がかかる

養育費保証は民間の保証会社によるサービスですので利用するには保証料を支払う必要があります。そのため受取人が保証料を負担する場合には本来であれば受け取れる養育費の総額からかかった費用としての保証料分を差し引いた金額に受取金額が減少しているということになります。支払った保証料分については子どもとの生活にまわすお金も少なくなるということです。

そのため保証料を支払うに当たっては適正な金額である保証会社を利用したいと思うのが当然ですので契約書や他の業者との比較検討が重要となります。しかし、養育費保証の事業自体が比較的新しいサービスのため保証料の相場を調べることが困難である場合があります。適正な保証料がわからないということは保証会社によっては必要以上に高額な保証料を負担させられるリスクがあるということです。

支払人が保証料を負担する場合には保証料負担分について支払人の負担が大きくなってしまいます。その負担が重すぎるとして養育費支払いができなくなるという可能性もあります

②相手方の合意が必要となる

養育費保証を利用するには父母の両方がサービス利用に合意している必要があるのが一般的です。なぜなら事業会社に保証人になってもらうためには保証委託契約を保証会社と支払人の間で締結する必要があるからです。

ここで支払人が養育費保証の利用に合意しない場合にはこのサービスを利用することはできません。支払人が保証料を支払う場合には養育費の支払とあわせて保証料分の負担がのしかかるためサービスの利用に反対される可能性も十分にあります。

③契約に関して条件がある

養育費保証サービスを利用するためには養育費の支払内容・金額について受取人・支払人間で合意が成立している必要があります。受取人が請求できる権利が具体的に確定している必要があるからです。

そこで、多くの場合サービスの申し込みにあたっては以下のような書面を提出する必要があります。

  • 離婚協議書、合意書
  • 公正証書
  • 調停調書
  • 審判書 など

そのため、支払人とは離婚して以降連絡が取れず、およそ養育費の合意することができないような場合には養育費保証サービスを利用することはできません

そのような場合には、養育費に関する調停・審判を行って調停調書・審判調書を作成しておく必要があります。お一人で手続するのが不安で大変だと思う方は弁護士に相談して代理人になってもらうのが良いでしょう。

④保証契約が途中で解除されるリスクがある

養育費保証サービスは事業会社と当事者との契約関係に基づくサービスですので債務不履行や契約上の解除事由にあたる場合には保証期間中であっても契約が途中で解除される可能性はあります。例えば、月々の保証料や更新料が支払われなかった場合や保証会社が事業を停止・経営破綻したような場合が考えられます。

保証会社によっては月額保証料が数回遅滞した場合にはすぐに契約解除とされる場合もありますので保証契約に内容はしっかりと確認したうえで利用する必要があるでしょう。

養育費保証サービスを行っている保証会社

株式会社イントラスト

株式会社イントラストが提供する養育費保証は、イントラストが支払人の連帯保証人となり養育費の立替えや催促をします。未払いが生じた際には養育費の立て替え払いが行われ、立て替えた分をイントラストが債権として支払人に請求することが予定されています。

株式会社イントラストが提供している養育保証サービスは以下のような3種類の契約があります。

保証サービスの対象者費用
チャイルドサポート30
  • 離婚手続き中の方
  • 支払人に未払いや勝手な減額・遅延がない方
  • 支払人との保証委託契約が可能な方
  • 初回保証料として月額養育費の1ヶ月分(毎月の費用は不要)
  • 契約2年目からは更新保証料として月額養育費の30%(毎月の費用は不要)
  • 養育費の立替送金時の事務手数料500円(税込)は契約者負担
チャイルドサポート50
  • 離婚手続き中の方
  • 支払人に未払いや勝手な減額・遅延がない方
  • 支払人との保証委託契約が難しい方
  • 初回保証料として月額養育費の1ヶ月分(毎月の費用は不要)
  • 契約2年目からは更新保証料として月額養育費の50%(毎月の費用は不要)
  • 養育費の立替送金時の事務手数料500円(税込)は契約者負担
チャイルドサポート50+oneすでに未払いや勝手な減額・遅延にお悩みの方
  • 初回保証料として月額養育費の1.5ヶ月分(毎月の費用は不要)
  • 契約2年目からは更新保証料として月額養育費の50%(毎月の費用は不要)
  • 養育費の立替送金時の事務手数料250円(税込)は契約者負担

株式会社Mirail

株式会社Mirailの保証サービスは、ミライネと養育費受取人は保証契約を、ミライネと養育費支払人は保証委託契約を締結する必要があります。したがって支払人の同意が必要となりますので支払人に黙ってサービスを利用することはできません。養育費に関しては公正証書や離婚協議書、養育費合意書などの取り決め書類が必要となります。

同社が提供している養育費保証サービスは以下の3種類です。

プラン保証期間初回保証料月々の手数料更新料
ミライネ24最大2年間月額養育費の1カ月分月額養育費の10%なし
ミライネ12最大1年間月額養育費の1カ月分月額1000円月額養育費の半額
ミライネONE最大1年間(※)年間養育費の20~30%月額1000円年間養育費の20~30%

※ミライネONEは1年分の養育費を一括して前払いしてもらえる養育費保証です。

株式会社Casa

株式会社Casaが提供する「養育費保証PLUS」というサービスは未払いになった月額の養育費の保証と法的手続費用(債務名義の取得や支払人の給料差押にかかる法的費用)が保証されます。

契約時にかかる初回保証契約料は「月額養育費の1か月分」保証開始した月の翌月からかかる「月額保証料は1000円」です。

このサービスでは、支払人が保証会社と契約した場合に入れる「こども未来with」プランのほか、支払人が保証会社と契約しない場合でも入れる「こども未来」プランの2つが用意されています。「こども未来with」は、支払人の口座から毎月引き落としされ、受取人には毎月前月末に自動的に養育費が振り込まれるプランです。「こども未来」は、支払人から受取人に養育費の未払いが発生した場合に保証会社に報告することによって、保証会社が受取人に立て替え払いしてくれるプランです。

なお、同社の保証については債務名義(強制執行を行う際に必要となる、裁判所や公証役場が作成した、公正証書、調停調書、審判書などの文書)の有無によって保証上限や申し込み時に必要な書類が異なります。

債務名義がない場合には、保証上限が24か月分です。離婚協議書・合意書が申込みにあたって必要となります。

債務名義がある場合には保証上限が36か月分で、申込みにあたっては公正証書、調停調書、審判書などが必要となります。

養育費保証サービスの法的問題点

養育費保証事業は弁護士法に違反する非弁行為に該当する、つまりは「違法」ではないかという議論があります。弁護士法には以下のような規定があります。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

養育費に関する条件を相手方と交渉したり離婚協議書を作成したりすることは法律事務に該当しますので、上記の法律により弁護士以外が事業として行うことができないと考えることができます。保証サービスの一環として相手方との話し合いや文書作成を行っている場合は同条に抵触する疑義があります

また次の規定も問題となります。

(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

他人の権利を譲り受け回収することができるのは原則として弁護士や司法書士などです。そうでなければ民事介入暴力などのおそれがあるからです。保証サービスが養育費の取り立て代行をしているといえる場合には同条に抵触する可能性があります

もし仮に、違法と判断される可能性のあるサービスを行っている事業者を利用した場合、利用者自身は罪には問われないものの、事業者が養育費保証サービス事業から撤退し、契約途中で養育費保証サービスを受けられなくなる事態も想定されます。この場合、既に支払った保証料が返還されない恐れもあります。

以上のように養育費保証サービスについては新しい事業であることから実務的にもまだまだ法的なルールが明確になっていない部分があります。また、日本弁護士連合会が法務大臣宛に提出した「養育費の不払い解消の方策に関する意見書」の中で、「現時点では保証会社の利用は推奨できない」という意向を示しています。契約内容に少しでも分からない点がある場合は安易に保証サービスを利用せずに弁護士に契約書に書かれている内容のリーガルチェックを依頼することも検討しましょう。

まとめ

以上、この記事では養育費保証サービスについて詳しく解説してきました。
保証サービスの利用を検討している方の参考となれば幸いです。

養育費に関連してその内容の合意や相手方との交渉でお困りの場合にはまずは法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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