離婚してシングルで子育てする方はもう一方の親に養育費を請求できます。
しかし、”養育費”と一口に言っても、
- どこまでが養育費に含まれるものなの?
- 養育費の内訳は?教育費も含まれる?
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、離婚問題に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきたいと思います。
記事を最後まで読むことで、どこまで養育費に含まれるのか、逆に、養育費に含まれないものはなにか、が分るようになります。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|
目次
養育費とは
「養育費」とは、子の監護や教育のために、親が子どもに対して負担する費用を指します。この養育費は親が子どもに対して負う義務ですので離婚して子供と離れて暮らすようになった親(非監護親)も養育費の支払い義務を負うことになります。
養育費の額は離婚する両親間の話し合いで自由に決めることができますが、一般的には、家庭裁判所が養育費を算定に用いている「養育費算定表」を参考にすることが多いでしょう。
養育費はいつまでもらえる?
養育費の支払い=子が成人するまで、と思われている方も多いと思いますが、養育費は子どもが成熟するまでに必要な費用のことですので、子どもが自立して経済的に独立するまで支払うことになります。したがって、子が高校を卒業して仕事に就く場合には、それ以降は養育費の支払いは不要となります。
また、子が4年制大学に通う場合には大学を卒業する歳(一般的には22歳の3月)までと両親の間で合意することもできます。もっとも、「子どもの養育費を大学卒業まで請求できるケース」に書かれているように、このような合意がなされない場合は、家庭裁判所の審判や判決では「養育費の支払いは子が成人するまで」という結果になる可能性が高いでしょう。
養育費に教育費は含まれる?
後述しますが、養育費算定表で算定される養育費には、食費や洋服代など衣食住に関する費用、医療費などのほか、公立学校の授業料や教材費といった最低限の教育費も含まれています。
つまり、教育費は養育費に含まれているものであって別個のものではありません。したがって、基本的には養育費のほかに教育費を別途支払ってもらえるわけではありません。ただし、養育費に含まれる最低限の教育費以外の教育費(私立学校の費用等)については「特別出費」といって追加で請求できる余地はあります。これについても後述します。
どこまでが養育費に含まれるもの?
養育費に含まれるものは「子どもを養育するために必要となる経費」です。具体的には以下のような費用は養育費に含まれると考えられています。
- 衣食住に必要な経費
- 通常の教育費
- 医療費
- お小遣い、適度な遊興費
なお、養育費に含まれる通常の教育費とは、公立幼稚園~公立高校を卒業するまでに必要となる授業料、教科書代等を指すと考えられています。家庭裁判所が公表している養育費算定表もこのような考え方を前提に作成されています。
養育費に含まれないものは?
以下にあげるものは養育費には含まれないと考えられています。
- 学校(私立・公立)の入学費用(学生服、通学かばん等)
- 修学旅行などの校外学習にかかる費用
- 私立の小学校・中学校・高校の入学金及び学費
- 大学・専門学校等の入学金及び学費
- 通学のための交通費・下宿にかかる家賃
- 習い事の費用や塾代・クラブ活動にかかる費用
これらの養育費に含まれない費用は「特別出費」といいます。
なお、養育費は子供のためのものであって、監護親(子と一緒に生活する親)の生活費に充てる性質のもではありませんので、監護親の生活費は当然養育費には含まれません。
特別出費を請求するにはどうすればいい?
養育費の具体的な内容は基本的に父母の話し合いで決定される性質のものです。したがって特別出費に該当するものについて双方で協議した結果、養育費に含めて請求することを非監護親が合意すればその分についても支払いを受けることができます。
この場合、話し合いといっても父母が一対一で話し合う手段しかないわけではなりません。養育費請求調停(養育費増額調停)を申し立て、公的機関を間に入れてスムーズに話し合いを行う手続きもあります。
ただし、当事者で話がまとまらない場合は調停不成立となり自動的に審判(裁判官が当事者双方から提出された資料等にもとづいて養育費などを決定する手続き)に移行します。ただし、審判においても養育費算定表を基準に養育費の額を決めることが多く、特別出費の請求が認められない可能性も十分あります。
もっとも、「養育費の増額が認められやすい4つのケースと増額の手続きの流れ」に書かれているように、養育費の取り決め当初には予測できなかった事情の変更があれば、特別出費を含めた養育費の増額が認められることもあります。
公正証書を作成しておくことの重要性
冒頭でもお伝えしたように、相手方と話し合いで養育費について取り決めをした場合には口約束だけで終わらさずに契約書面で残すことが重要です。
そのなかでも「公正証書」を作成しておくことがおすすめです。公正証書とは合意した内容について公証人が証書として作成して内容を証明してくれる書類のことです。公正証書には「執行認諾付き」公正証書というものがあり、これを作成しておけば養育費支払義務者の支払いが将来滞ったときに強制執行を申し立てて支払い義務者の財産を差押えて強制的に支払いを実現することができるのです。強制執行のために新たに裁判手続を経る必要がありませんので早期に親権者の権利を実現することができます。
当法律事務所では、養育費の増額請求や公正証書の作成で実績があります。親身誠実に、依頼者のために弁護士が全力を尽くすことをモットーとしております。まずはお気軽にご相談ください。その一歩が解決へと近づきます。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|