援助交際をした夫や相手に浮気の慰謝料請求はできる?弁護士が解説

夫が援助交際をしていた…夫や相手の女性に慰謝料請求はできるのだろうか…

このようにお考えではないでしょうか。

結論から言いますと、援助交際は配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと、すなわち「不貞行為」にあたるため、夫やその相手女性に慰謝料請求が可能です。ただし、援助交際が行われた時点で既に夫婦関係が破綻していた、夫が既婚者であることにつき相手女性が知らなかった場合など、慰謝料請求ができないケースもあります

そこでこの記事では、不倫の慰謝料請求に強い弁護士が、

  • 援助交際で慰謝料請求できる条件
  • 援助交際の慰謝料の相場
  • 援助交際の慰謝料請求が認められるための証拠

などについてわかりやすく解説していきます。

なお、夫の援助交際で離婚や慰謝料請求をお考えの方で、ご自身一人での対応が困難であると思われた方は、全国無料相談の弁護士にご相談ください

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そもそも援助交際とは?

援助交際とは

「援助交際」とは、金銭などの対価を支払って、性行為やデートなどを行う男女交際の形態のことを指します

一般的に、男性が女性に対して金銭や高価な物品などの「援助」を行うことと引き換えに、女性が性交渉などの一定の性的サービスを提供するというタイプが多いと考えられます。会社員の男性が女子中高生などの未成年者に数万円を渡して、性行為や性交類似行為をさせるという援助交際は、社会問題としてメディアに取り上げられることも多くあります。

援助交際は、場合によっては犯罪行為に該当する可能性があるため、社会的な責任・立場のある人が援助交際を行うと、失うものも少なくないでしょう。

パパ活は援助交際にならないの?

また、「パパ活」とは、女性側が食事やデートなどの「一定のサービス」を提供し、男性側が金銭や物品などをサービスの「対価」として支払うことを指す言葉です

女性側が行うこの「一定のサービス」が食事、映画、ショッピングなどのデートや性行為を含まないものであれば大きな問題はありません。パパ活を上記のように男性がお金を支払って女性と一緒に遊んで過ごすことを指す場合もあります。

しかし、当事者が対価の代わりに性的関係を持つことを指す場合も多く、そのような場合には実質的に「援助交際」と違いはありません

パパ活で不倫の慰謝料請求をされる・されない場合を弁護士が解説

夫に援助交際をされたら慰謝料請求はできる?

慰謝料請求できる条件は?

夫が援助交際をしていた場合には、不貞行為を理由として夫と援助交際の相手の両方に慰謝料請求をすることができます

「不貞行為」とは、配偶者以外の第三者と自由な意思で性交渉をすることを指します。そして、不貞行為は民法上の不法行為責任が発生することになります。婚姻関係にある夫婦は相互に同居・協力・扶助義務を負い(同法752条参照)、夫婦は相互に貞操を守る義務を負っています。そのため、配偶者がいる夫が、他の女性と性的関係を持った場合には、妻の「婚姻共同生活の平和の維持」という権利・法律上保護に値する利益を侵害することになるのです。

援助交際が不法行為となるのは、以下のような条件を満たす必要があります。

  • ①不貞行為の事実があったこと
  • ②既に夫婦関係が破綻していなかったこと
  • ③既婚者と知っていた・知らないことに過失があったこと

①不貞行為の事実があったこと

援助交際が不法行為に該当するというためには、「不貞行為の事実」があったといえなければなりません。そのため慰謝料を請求する側は、援助交際に際して夫が第三者と性的関係にあったことを主張・立証しなければなりません。

前述のとおり不貞行為が成立するというためには性的関係・肉体関係がなければなりません。そのため、援助交際があったことを証明することができても、夫や相手から「性的関係はなかった」と反論されてしまうと、慰謝料を請求することはできません。

援助交際の相手と、食事やデートをしただけ、一緒に時間を過ごしていただけという場合や、その事実までしか証明することができない場合には、不法行為があったとまでは言えないのです。

②既に夫婦の関係が破綻していなかったこと

そして、援助交際をしていた当時、既に夫婦関係が破綻していた場合にも慰謝料を請求することはできません

配偶者に不貞行為があった場合には、他方の配偶者は裁判所に離婚を請求することができます(民法第770条1項1号)。そのため夫婦はお互いに「貞操を守る義務」を負っていると考えられています。そのため、配偶者と援助交際の相手が肉体関係を持つことで、あなたの「婚姻共同生活の平和の維持」という権利・法的保護に値する利益が侵害されることになるのです。

しかし、夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、守るべき「婚姻共同生活の平和」という権利・利益は既に消滅していることになります。したがって、夫が第三者と性的関係を持ったとしても、侵害される権利や法律上の利益がなく不法行為が成立しないことになります。

このような考え方から、既に婚姻関係が破綻していた場合には、慰謝料を請求することができないのです。

③既婚者と知っていた・知らないことに過失があったこと

不法行為の要件は「故意または過失」によって他人の権利・利益を侵害した場合に成立する賠償責任です。そのため、不法行為の当事者に「故意・過失」がなければ、慰謝料請求することはできません

妻がいる夫の故意・過失は容易に肯定することができますが、援助交際の相手については故意・過失の有無が争点となりえます。具体的には、「男性に結婚相手がいるとは思わなかった」「男性からは独身であると聞いていた」などと故意・過失を否定する反論がなされるおそれがあります。

ただし、不注意により相手方に配偶者がいることを知らなかった場合には「過失」がありますので不法行為に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。

過失により知らなかったといえるかは、援助交際をする女性側の認識や男性側の行動や発言も重要になります。男性側が常に結婚指輪をしているような場合には故意・過失は認められやすくなるでしょう。

援助交際の相手女性だけに慰謝料請求は可能?

また、援助交際の相手女性にだけ慰謝料請求をすることも可能です

浮気をした配偶者と浮気相手は「共同不法行為」により連帯して慰謝料支払い義務を負うことになります。「共同不法行為」については「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」と規定されています(民法第719条1項)。

そして、連帯債務については「債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる」と規定しています(民法第436条参照)。つまり誰にどれだけ請求するのかは債権者の自由だということです。

ただし、連帯債務者が自己の弁済によって共同の免責を得たときは、他の連帯債務者に対して各自の負担部分について請求することができます(これを「求償権」といいます)。そのため、援助交際の相手が慰謝料全額を支払ったとしても事後的に配偶者(夫)の負担すべき部分を請求することができます

慰謝料請求が認められるには援助交際の証拠が必要

慰謝料請求が認められるためには、援助交際を証拠によって立証する必要があります。

具体的に、援助交際が認められるには、以下のような証拠が考えられます。

  • 性行為を推認できる写真や動画:配偶者が第三者と裸・下着姿で抱き合っている写真・動画、配偶者が第三者とラブホテルに出入りしている様子を撮影した写真・動画、第三者と宿泊を伴う旅行に行ったことが分かる写真・動画
  • 性行為を推認できるLINEやメールのやり取り:「昨晩のエッチはすごく気持ちよかった」「またヤろうね」など性行為について直接触れる内容、「この前のラブホテルはよかったね」などラブホテルで過ごしたことが分かる内容、宿泊を伴う旅行や滞在など長時間過ごしたことが分かる内容
  • 性行為を推認できる録音データ:配偶者が第三者と性行為をしたことを認める発言を録音した音声データ、配偶者が第三者と性行為をしている際の録音データ、配偶者が第三者と性的関係にあることがわかる会話や通話の録音データ
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細書
  • 探偵事務所による調査報告書 など

その他、不貞行為の証拠となり得るものについては、これは浮気・不倫の証拠になるもの?と迷った人のための情報まとめをご覧になってください。

援助交際の慰謝料はいくら?

慰謝料相場は?

援助交際を原因とする慰謝料の相場は、50万円〜300万円程度です

これはあくまで相場ですので、具体的な慰謝料の金額はケースバイケースで異なります。

援助交際が原因で離婚する場合には、100万円〜300万円程度の慰謝料相場となります。これに対して、援助交際が原因で離婚しない場合には、50万円~100万円程度の相場となります

援助交際の結果、夫婦関係が破綻した場合には、そのことから、相手方配偶者の援助交際が悪質であったと推認されます。これに対して、援助交際によっても夫婦関係が継続する場合には、当事者の関係を破壊させるほど悪質でなかったと推認されます。

慰謝料の金額に影響する事情

夫が援助交際によって相手女性と肉体関係にあった場合、慰謝料を算定するためにはどのような事情が考慮されるのでしょうか。慰謝料の金額に影響を与える事情は、以下のようなものがあります。

  • 援助交際当時に夫婦関係が破綻していなかった
  • 援助交際により夫婦関係が破綻に至ったか否か
  • 婚姻期間の長短
  • 援助交際の長短
  • 夫婦間に未成熟の子どもがいるか
  • 配偶者の精神的負担の大きさ
  • 援助交際当事者の反省の程度 など

不貞行為の慰謝料の算定にあたってはこれらの様々な事情が考慮されますので、場合によっては相場以上の慰謝料請求が認めらえることもありますし、逆に、相場以下の金額になるケースもあります。

援助交際した夫や相手女性への慰謝料請求は弁護士に相談

以上、援助交際した夫や相手女性への慰謝料請求について解説してきました。

援助交際をした当事者に慰謝料を請求したい場合には、弁護士に相談するようにしてください。弁護士に相談すれば、収集・保管すべき証拠や、慰謝料の回収方法などについて、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。また、慰謝料請求のための相手との交渉や訴訟も一任することができます。

当事務所には、不貞行為の慰謝料請求を得意とする解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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