慰謝料請求しない方がいい5つのケースを弁護士が解説

配偶者から不倫をされた、DVやモラハラ被害を受けた、正当な理由なく家出を繰り返えされたといったケースでは、他方の配偶者は離婚に際して相手に慰謝料請求をすることが可能です。

しかし、場合によっては慰謝料請求をしない方がいいケースも存在します

「どうせ離婚するなら、もらえるものはしっかりと貰った方が良いのでは?慰謝料請求しない方がいい場合ってどんなケース?」

このように考える方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、離婚の慰謝料問題に詳しい弁護士が、不倫の慰謝料請求を例にして、以下の点について解説します。

  • 慰謝料請求しない方がいいケース
  • 慰謝料請求した方が良いケース
  • 慰謝料請求をしないと決めた場合の対応方法

なお、この記事を読んでご自身で慰謝料や離婚問題の解決が難しいと感じた場合は、全国無料相談の弁護士にご相談ください

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慰謝料請求しない方がいいケース

慰謝料請求しない方がいいケースは次のようなケースです。

証拠がない・証拠が不十分な場合

まず、配偶者が不倫(浮気)を行ったことを証明する証拠をまったく集められていない場合、または少しは集めているものの不倫を証明するには不十分な場合です。

確かに、慰謝料請求に証拠が必須というわけではありません。証拠がなくても慰謝料請求は可能ですが、配偶者が不倫を素直に認めてあなたの請求を受け入れるとは限りません。むしろ、拒否されることが多いでしょう。その場合、あなたが配偶者の不倫を証明しなければなりません。違法行為を証明するためには証拠が必要です。

証拠と聞くと裁判で必要なものと考える方が多いかもしれませんが、証拠は話し合いの場でも重要です。証拠を集めて不倫の事実関係を明確にしておけば、話し合いで有利な立場に立つことができます。証拠を集めることで無駄な争いを避け、結果として話し合いで解決する可能性が高まります。

一方で、不倫の証拠がない場合や不十分な場合には、慰謝料請求のために費やした時間や労力、費用(後述します)が無駄になる可能性が高くなります。そのため、慰謝料請求するだけの有効な証拠が集まっていない段階では、慰謝料請求をしない方が良いでしょう。

夫婦関係を修復したいと考えている場合

次に、これから夫婦関係を修復していきたいと考えている場合です。

不倫をした以上は、夫婦だからといって配偶者の慰謝料の支払義務が免除されるわけではありません。請求権の時効が完成するまでは配偶者に慰謝料を請求することは可能です。しかし、配偶者との関係を正常化したいと考えるのであれば慰謝料請求を控えるのが一般的ですし、仮に請求したとしても同じ財布のもとで生活している場合は配偶者に経済的なダメージを与えることができないでしょう

なお、後述するように、一定のけじめをつけるという意味で慰謝料請求するケースはあります。また、不倫の場合、配偶者に対しては慰謝料請求しないにしても、不倫相手に対して慰謝料請求できないか一度検討してみる必要があります。

弁護士費用が慰謝料の金額を上回ってしまう場合

次に、弁護士に慰謝料請求を依頼したものの、弁護士費用が慰謝料請求して回収できる金額よりも上回ってしまう場合です。

一般的に、不倫の慰謝料の相場は50万円~300万円ほどと言われています(ケースによってはこれ以下、あるいは以上になることもあります)。これに対して、弁護士に慰謝料請求を依頼した場合も同程度の金額がかかってしまうことがあります。特に、弁護士費用は協議→調停→裁判と段階が進むにつれて高くなる傾向があります。高額の慰謝料を請求でき、かつ、協議で決着がつきそうな場合は得られるリターンは多くなりますが、裁判まで進んだ場合は少なくなる可能性もあります。思ったほど配偶者から慰謝料を回収できそうにないときは、ご自分で慰謝料請求できないか検討してみる必要があります。

一刻もはやく離婚したい場合

次に、一刻もはやく離婚を成立させて離婚したいという場合です。

離婚の話し合いで配偶者ともめる離婚条件の一つが慰謝料です。親権などのことについては大筋で合意できているものの、配偶者が不倫を行ったことを認め慰謝料について決着がつかず、離婚成立には至らないというケースがあります。話し合いで決着がつかない場合は調停、調停でも決着がつかない場合は裁判で決着をつけるしかありません。しかし、そうすると離婚までに数か月、長くて数年かかってしまう可能性が高いです。そのため、一刻もはやく離婚を成立させて離婚したい場合は慰謝料請求を諦め、他の条件で折り合いをつけて離婚を成立させる選択をせざるをえない場合もあります

W不倫の場合

次に、配偶者がW不倫、すなわち、既婚者である不倫相手と不倫していた場合は、不倫相手に対する慰謝料請求を控えた方がいい場合もあります

それは、仮に不倫相手に慰謝料請求した場合、あなたの配偶者が不倫相手の配偶者から慰謝料請求されてしまう可能性があるからです。不倫相手に慰謝料請求する→不倫相手が不倫したことを配偶者に告白する→あなたの配偶者が不倫相手の配偶者から慰謝料請求されるという流れです。お互いの夫婦がお互いの配偶者に対して慰謝料請求するという泥沼化の状態となります。また、不倫慰謝料の金額は夫婦の状況にも異なりますので、仮に相手夫婦の状況から不倫相手の配偶者の不倫慰謝料の方が高かった場合は、不倫相手に慰謝料請求したばかりに損してしまうことも考えられるのです。

慰謝料請求した方がいいケース

一方、慰謝料請求した方がいいケースは次のようなケースです。

悔しくて精神的に耐えることが難しい場合

まず、配偶者に不倫をされたことが悔しくして、慰謝料請求しないと精神的に耐え続けることが難しいという場合です。

あなたが受けた精神的苦痛をいくぶんでも和らげる、法律上の合法的な手段としては慰謝料請求以外ありません。配偶者や不倫相手に慰謝料請求しなければ気が済まない、何らかの制裁を加えたい、法的な責任をとらせることで区切りをつけたいなどという場合は慰謝料請求することを検討してもよいでしょう。

不倫を繰り返させないためにケジメをつけさせたい場合

次に、前述したとおり、二度と不倫を繰り返させないためにケジメをつけたいと考えている場合です。

慰謝料請求の主目的はもちろん、配偶者や不倫相手からお金を回収することです。しかし、相手の資力しだいでは相手に経済的ダメージを与えるだけでは何らの効果もない可能性も考えられます。話し合いを通じて二度と不倫を繰り返さないよう相手に対し反省を促すという趣旨も、慰謝料請求の中には含まれているのです。

慰謝料請求しないと決意した場合の対応

慰謝料を請求しないと決めた場合でも、今後のために次のことを準備しておきましょう。

証拠を収集する

まず、不倫のみならず離婚に関連する証拠を集めておくことです。

離婚理由が配偶者の不貞(不倫)であるならば、不貞を証明する証拠を集めておく必要があります。また、離婚理由が配偶者のDV・モラハラ、悪意の遺棄である場合はこれらを証明する証拠を集めておく必要があります。これらは法定の離婚事由にあたりますから、配偶者が離婚を拒否した場合でも裁判で証明すれば離婚を成立させることができます

また、離婚においては慰謝料のことだけを取り決めるわけではありません。慰謝料のほか親権や養育費、財産分与、年金分割のことなども取り決める必要があります。したがって、慰謝料請求や法定の離婚事由を証明するための証拠のほか、親権や養育費、財産分与、年金分割に関する証拠もあわせて集めておく必要があります

これは浮気・不倫の証拠になるもの?と迷った人のための情報まとめ

夫婦関係を維持する場合は誓約書を書かせる

次に、離婚せず夫婦関係を続けていく場合は誓約書を作っておくことも有効です

誓約書には今回、配偶者がした不倫の事実や配偶者の反省の弁、二度と不倫相手と接触しないこと、不倫をしないこと、約束事に違反した場合の制裁金などについて書くことが一般的です。やはり、配偶者に口約束させるより、きちんと文字で残すことで、あとで言った言わないのトラブルを防止することができますし、不倫に対する一定の抑止にはなり得ます。誓約書の自体はあなたが作り、配偶者にサインをさせるだけで済ます場合は、一緒に内容を確認し、配偶者に内容をよく理解させておくことが大切です。

違法な復讐行為はしない

次に、違法な復讐行為をしないことです

違法な復讐行為とは、たとえば、不倫の状況、現場を撮影した画像や動画をSNSにアップしたり、不倫相手が勤める会社に電話し、上司や同僚に不倫の事実を告げるなどの行為です。これらはいずれも名誉毀損や侮辱にあたる行為で、発覚すれば、あなたが民事及び刑事上の責任を問われかねないことになりかねません。また、せっかく不倫の証拠をおさえ、話し合いを有利に進めることができたのに、違法な復讐行為をしたばかりに形勢が不利になってしまう可能性もあります。自ら違法行為をすることは絶対にやめましょう。

慰謝料請求しない方がいいのかどうか迷ったら弁護士に相談

配偶者から不倫などの違法行為を受け、離婚や慰謝料請求を考えているときははやめに弁護士に相談しましょう

弁護士に相談するタイミングとしては、配偶者に離婚や慰謝料などの話し合いを切り出す前がベストです。このタイミングであれば、そもそも慰謝料請求できるのか、できるとしても他の条件との兼ね合いなどから慰謝料請求してもいいのか、慰謝料請求しない方がいいのか、個別の事情に合わせて具体的なアドバイスを受けることができます。仮に、配偶者に話し合いを切り出してからの相談だと、話し合いがこじれた状態の場合も少なくなく、弁護士が間に入ったとしても離婚までに時間がかかってしまい柔軟な解決が難しくなってしまう可能性があります。鉄は熱いうちに打てという諺があるように、より柔軟な解決を目指すにははやい段階で弁護士に相談するに越したことはありません。

また、弁護士に依頼した場合に、弁護士に代わりに交渉にあたってもらえるため、配偶者と直接話し合う必要がないという点も弁護士に相談するメリットといえます。

まとめ

配偶者から不倫などの違法行為を受けた場合、離婚の有無にかかわらず、配偶者に対して慰謝料請求する権利があります。しかし、ケースによっては慰謝料請求しない方が良い場合もあります。その判断が難しいこともありますので、配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求すべきかどうか迷った際には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、不倫の慰謝料請求や離婚問題の解決を得意としており多数の実績があります。親身で誠実な対応を心がけ、依頼者にとって有利な状況を作るために全力を尽くします。慰謝料や離婚問題でお困りの方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

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