このようにお考えではないでしょうか。
政府統計の「親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率」 によると、令和4年度のデータでは、離婚時に親権者となったのは母親がほとんどであり、子どもが一人の場合は88%、二人の場合は85%という高い割合を示しています。このことからも、上記のような疑問を持つ方がいることでしょう。
そこでこの記事では、離婚問題に強い弁護士が、主に次の点について詳しく解説していきます。
- 母親が親権争いで負ける可能性があるケース
- 親権を決定する際に考慮されるポイント
なお、記事を読まれたうえで、お一人で親権争いに勝つのが難しいと感じられた場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
母親が親権争いで負ける可能性がある場合は?
母親が親権争いで負ける可能性がある場合は次のとおりです。
①虐待している、したことがある
まず、今現在虐待している、過去に虐待したことがあるという場合です。
ここでいう虐待とは、殴る、蹴る、叩くなどの身体的虐待、子供へ性的行為をするなどの性的虐待、食事を与えない、病院に連れていかないなどのネグレクト、無視、兄弟姉妹間の差別的扱いなどの心理的虐待を指します。子供の生命、身体を守るという観点はもちろん、子供の健全な成長・発育のためという観点から虐待する、あるいはするおそれのある母親には親権を持たせない方がいいという判断になりやすいでしょう。
②重度の精神疾患を患っている
次に、母親が鬱、統合失調症、アルコール依存症などで重度の精神疾患を患っている場合です。
母親が重度の精神疾患を患っている場合は、子供に対する適切な監護をすることが期待できず、母親に親権を持たせることが子供のためになるとはいえません。ただし、あくまで「重度」の精神疾患であることが条件です。たとえ、精神疾患を患っていたとしても、子供の世話が問題なくできる程度であれば親権争いで負ける可能性は低いでしょう。
③監護実績がない
次に、母親に監護実績がない場合です。
子育てにまったくといっていいほど関与してこなかった、すなわち、子育てを父親にまかせっきりだったという場合は、いくら母親といっても親権争いで勝つことは難しくなるでしょう。
④子供が父親との生活を望んでいる
次に、子供が父親との生活を望んでいる場合です。
親権争いとなった場合、子供が10歳前後から子供の意思もある程度尊重されるようになり、15歳前後から子供の意思に沿った判断がされやすくなります。子供が父親との生活を望む場合は母親が親権を勝ち取ることは難しくなるでしょう。
⑤子供と離れて暮らしている
最後に、子供と離れて暮らしている場合です。
親権を決めるにあたっては、今現在の生活環境も重要視されます。今現在の生活環境を急に変えることは子供にとっては負担の大きいこととなるため、親権を決めるにあたっては今現在子供が誰とどんな環境で生活しているかも重要視されます。
親権を決定する際に考慮されるポイントは?
話し合いで離婚後の親権者を決めることができないときは、裁判所において親権者を決めることになります。裁判所で親権者を決めるにあたっては以下のポイントが重要視されます。
今現在の監護状況、監護実績
まず、今現在の監護状況、監護実績です。
今現在の監護状況とは、今現在子供がどちらの親と、どんな環境で生活しているかということです。監護実績とは、これまでどちらの親がよく深く子育てに関わってきたかということです。前述のとおり、子供の今現在の生活環境を変えることは子供にとって負担ですので、今現在子供と一緒に生活している親の方が有利になります。また、子育てに関与してきた親の方が子供との精神的つながりが強い傾向にありますから、親権争いでは有利になります。
母性優先の原則
母性優先の原則とは、原則として母性の親に親権をもたせるべきとの考えです。
母性のある親の方が、より子供との精神的なつながりが強く、子供の成長にとってよいとの考えからきたものです。なお、かつては「母子」優先の原則と言われていましたが、共働き家庭が増え、父親でも母性を発揮できる場面が増えてきたことから上記のように言われるようになりました。
離婚後の生活環境
次に、離婚後の生活環境です。
これは前述した今現在の監護状況とも関連します。すなわち、住んでいる家や環境が変わらない、通っている保育園・幼稚園、学校が変わらないなど、今の生活環境と離婚後の生活環境が変化のない方が子供にとっては安心といえます。また、離婚後は基本的に一人で子供を監護していくことになりますから、周囲のサポートが受けられるかも重要視されます。
健康状態
次に、親の健康状態です。
離婚後、一人で子供を監護していくには心身ともに健康でなければいけません。心身面で不調を抱えているときはマイナス材料にされてしまう可能性はあります。
経済力
次に、経済力です。
子育てしていくにはやはりお金がかかります。ある程度の経済力は身につけておかなければ子育てに苦労することでしょう。そのため、経済力も重要視されるポイントの一つにはなりえます。もっとも、経済力は努力しだいでこれからいくらでも身につけていくことができます。これまで紹介してきたポイントに比べると重要度は落ちると考えてよいでしょう。
子供の意向
次に、子供の意向です。
前述のとおり、子供の年齢によっては子供の意向も結果に反映されるようになります。審判では、15歳以上の子供の意向を必ず確認し十分考慮しなければならないとされています。また、10歳前後でも子供の意向が反映されることがあります。
面会交流の寛容性
最後に、面会交流の寛容性です。
面会交流の寛容性とは、親権者となる親(監護親)が、他方の親(非監護親)の面会交流を拒否せず、面会交流の条件面で柔軟な姿勢を示していることをいいます。面会交流は子供の健全な成長にとっても重要なイベントといえます。その面会交流に寛容であることは、親権者としての適格性にもいい影響を及ぼすことがあります。
こんな場合は母親が親権争いに負ける?
ここでは、母親の不倫や経済力の不足、子供の連れ去りが親権争いにどう影響するかを解説します。
母親の不倫が離婚原因だった場合には?
母親の不倫が離婚原因となった場合でも、そのことが親権に直接影響するわけではありません。親権争いにおいては、母親が不倫をしていたとしても、その行為が子どもにどれだけ影響を与えたかが重視されます。
例えば、子どもが学校や保育園に行っている間に不倫をしていた場合、子どもとの日常的な関わりに支障がない限り、親権に大きな影響はないことが多いです。
しかし、不倫に熱中するあまり家事・育児を放棄したり、配偶者に押し付けていた、お金の面にルーズになっていたというような事情がある場合は親権争いで負ける可能性があります。
要するに、母親の不倫そのものが親権に直結するわけではなく、子どもにどれだけ悪影響を与えたかが重要です。
母親の経済力がない場合は?
母親に経済力がない場合でも、親権を獲得することは可能です。経済力自体は親権決定に直接影響しないため、母親に経済力がなくても、子どもとの強い情緒的な結びつきや日常的な監護が示されていれば親権を取ることができます。
たとえ専業主婦で無収入でも、公的扶助や養育費を受け取ることで問題は解決できます。また、本人の努力次第で経済力は後から身につけることも可能なため、現在経済力がないからといって、すぐに親権者としての適格性を疑われるわけではありません。
しかしながら、浪費癖がある場合や過度にギャンブルに依存しているなど金銭管理にルーズな側面が認められる場合には親権者としての適格性を疑われ、親権争いで負ける可能性はあります。
子供の連れ去りをした場合
たとえ親とはいえ連れ去りは違法行為ですから、連れ去りをした場合は親権者としての適格性を疑われる場合があります。子供と一緒に別居する場合でも、配偶者の同意を得ることが基本となります。もっとも、あなた自身が配偶者からDVを受けている場合や子供が配偶者から虐待をうけているなど、やむを得ない事情が認められる場合は親権者としての適格性の評価に影響を与えることはないでしょう。
まとめ
親権争いでは母親が有利であることは間違いありません。子供が幼いときは母親との時間が長く、子供との意思疎通がよく図られることから母親に親権を持たせることが子供にとってよいという判断になるからです。また、子供がある程度成長した段階でも、一般的には子供が父親よりも母親との生活を望むことが多いです。
もっとも、配偶者と親権でもめた場合、たとえ母親が親権をもつことを望んでいたとしても、諸事情から母親が親権争いで負けることがあることは前述したとおりです。
親権争いは長期化するおそれがあることから、もし、親権争いで不安がある場合は弁護士のアドバイスのもと手続きを進めていった方がよいでしょう。親権争いで不安のある方ははやめに弁護士に相談されることをおすすめします。
当事務所は親権問題の解決に豊富な実績があり、親身に誠実に弁護士が依頼者の親権獲得に向けて全力を尽くしておりますので、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。
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