面会交流を認めないとした5つの判例を紹介
 面会交流審判で実際に面会交流が認められなかったのはどのようなケースだろう…判例を見てみたい

子との面会交流を希望されている方も、逆に、子と元パートナーとの面会交流を認めて欲しくない方も、裁判所がどのような理由で面会交流を認めないのか、具体例で確認したいことでしょう

そこでこの記事では、面会交流を認めないとした判例を5つ紹介します。

ご自身のケースでは面会交流が認められるのか、認められないのか、あくまでもケースバイケースですが、一つの参考にしていただけたらと思います。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください

裁判所が面会交流を認めないケースとは?

面会交流を実施するのか否かを決めるにあたっては、一般的には以下のような流れとなります。

  1. 父母の話し合い
  2. 話し合いがまとまらないなら面会交流調停
  3. 調停で合意が得られなければ面会交流審判

面会交流審判は調停のような話し合いの場ではなく、当事者の主張や提出された証拠、調査官調査の報告書を基礎に一切の事情を踏まえて裁判官が面会交流を認めるか否かを決定します

そして裁判所は、子の福祉・利益のためには面会交流は原則として実施すべきという立場をとっています。逆に言えば、面会交流を実施することで子の福祉・利益に反する場合には面会交流は認められません

具体的に、裁判所が面会交流を認めないようなケースは、以下のような事情がある場合が多いです。

  • 非監護親が面会交流中に子どもに暴行したり虐待したりする可能性がある場合
  • 監護親が面会交流を実施した際に、子どもを連れ去るおそれがある場合
  • 自己決定できる程度に成長した子どもが、非監護親との面会交流を拒否している場合
  • 非監護親が精神疾患や薬物等の依存症で子との安全な面会交流を期待できない場合
  • 非監護親から監護親に対してDVやモラハラがあったため、面会交流について監護親の協力を得ることができないような場合

以下では、上記のような事情(面会交流を拒否する正当な理由)があったことから裁判所が面会交流を認めない審判を下した判例を紹介していきます。

面会交流を拒否する5つのリスクと拒否できる正当な理由を解説

面会交流を認めない判例

判例①非監護親の常軌を逸した言動から子どもの福祉が害されると判断されたケース

事案の概要

この事案では、夫婦が調停により離婚し、面会交流についても非監護親が未成年の子ども2名と年に2回、面接についての具体的日時・場所について第三者を通じて事前に定めるという内容で協議が成立していました。

しかし、監護親側は離婚調停成立直後に面会交流を2度実施したのみでその後は面会をさせていなかったため、非監護親から面会交流を求める審判が申し立てられました。

認められなかった理由

この事例では以下のような事情が認定されています。

  • 非監護親の面接の申し出がなされたが子どもらの体調不良が原因で実現しなかった
  • 面会交流を行った際に子どもらが非監護親のこれまでの言動から親近感を抱いてらず、終始おどおどして落ち着かず面会交流に強い嫌悪感を持つようになってしまった
  • 非監護親から再三にわたり面会交流の申し出が繰り返されたものの、非監護親の言動が常軌を逸しており、親権者は子どもと面会をさせうる状態ではないと判断した
  • 実施された面会交流の際に、非監護親と子どもらの意思疎通ができず、面接後一週間程度情緒が安定せず学習意欲も減退してしまい、その後の面会交流に対する拒否反応を強く示すようになったこと

このような前提事実において、監護親が子どもと非監護親との面会を2度実現させただけで、その後の面接に応じていない理由は、非監護親の面会交流によって未成年者の福祉が害されるおそれがあるからであるとして、面会交流の申立を却下する審判が出されました。

なお非監護親は審問において「親権者は調停の際に裁判所の誰かに賄賂を送った疑いがある」などと述べており、このような言動を繰り返す非監護親が子どもの福祉を害さずに面会交流ができるとは考えられないとも指摘されています(浦和家庭裁判所昭和56年9月16日審判)。

判例②親権者が非親権者との関わりを完全に拒否しているため面会交渉をすると子ども福祉を害するおそれがあると判断されたケース

事案の概要

この事例では、夫婦が協議離婚をし、子ども達の親権者をいずれも母親とする合意がなされていました。婚姻期間中、父親は子どもに対して怒って叩くなどの暴行がありました。離婚後面会交流を実施した後子どもが不安定になることがあり、そのことを巡って喧嘩になり警察を呼ぶ事態にまで発展しました。

その後母親は父親との一切の関わり合いを拒否し、面会交流の交渉や養育費の受け取りも拒否するようになったため、父親が面会交流を求める審判を申し立てました。

認められなかった理由

この事例では以下のような事実が認定され面会交流が否定されています。

  • 婚姻期間中、子どもを叱る際に暴力を振るったことがあったものの、暴力の程度が重大でもなく、また頻繁に振るっていたわけではない
  • 非監護親も子どもと遊んで可愛がっていたことから、面会交流によって子どもらに直ちに心理的な動揺や情緒の混乱をもたらすとは考えられないこと
  • 12歳の子どもAは両親の関係について理解して自分で父親との面会の可否について自立的に判断できる能力があること
  • 9歳の子どもBは両親の激しい紛争を見たことから非監護親との面会交流を希望しておらず、年齢的に面会交流に消極的な感情を抱くのもやむを得ないと考えられること
  • 6歳の子どもCの意向ははっきりせず、また意向を重視することもできないため、親権者の協力なしに子どもCと面会交流を実現させることは極めて困難であること

以上から母親は父親との関わりを完全に拒否しており、それでも子どもB・Cとの面会交流を実現しようとすれば、父母間の紛争を再燃させて、かえって子どもらの福祉を害するおそれがあると判断されました。

一方で子どもAについては非監護親との面会交流に強い拒否感を抱いておらず、ある程度の判断力を有し、単独での面接交渉が可能であるので交流を認めても子どもの福祉に反しないと判断されています(東京家庭裁判所八王子支部平成18年1月31日審判)。

判例③背信行為を繰り返したため調停条項が変更されて面会交流が禁止されたケース

事案の概要

この事例は、離婚後に親権者とならなかった母親が、面会交渉を定めた調停条項を守らず、子どもを待ち伏せして面接したり、親権者に無断で子どもを2時間連れまわしたため未成年者誘拐罪で逮捕されたりした事例です。

そこで親権者である父親は面会交流の取りやめなどを求めて審判を申立てました。

認められなかった理由

  • 非監護親は離婚調停成立後、親権者に無断で事件本人らと会ったため、親権者は履行勧告の申し出を余儀なくされたこと
  • 非監護親が原因で本件調停事件が申し立てられたにも関わらず、調停継続中にも子どもAの下校途中を待ち伏せたり、幼稚園に通う子どもBに親権者に無断で会いに行くなどし自分勝手な行動を続け、Bを2時間連れまわし、未成年者誘拐容疑で逮捕されるに至ったこと
  • このような背信的な行動を重ねる非監護親は、今度ルールを守って当事者と面会交渉をしたり、事件本人らの心情や生活状況に配慮した適切な面会交流を実施することを期待することは困難であること

このような状況では非監護親の面会交流を許容することは、非監護親が母親で面会を強く希望していることを十分考慮しても、子どもの福祉に合致しないため、全面的に面会交流を禁止すると審判されました(横浜家庭裁判所相模原支部平成18年3月9日審判)。

判例④これまで第三者機関の関与があっても適切な面会交流が実施できなかったケース

事案の概要

この事例は、離婚した非監護親である父親が、親権者である母親が子どもとの面会交流を拒絶しているとして、子どもとの面会交流をする時期、方法などを定めるように家庭裁判所に審判を求めた事例です。

認められなかった理由

この事例では以下のような事実が認定されています。

  • 非監護親父と親権者母との間には長期間にわたる紛争状態があり、高い緊張状態が続いていること
  • 父は面会交流をさせない母を「虐待者」「異常者」などと呼び、親権者の意に反することを十分に認識しながら相手方や未成年者に話しかけたり連絡を取ったりして自分の希望を通そうとするため、親権者側は精神的に疲弊して強い不信感・嫌悪感を抱いていること
  • 親権者の不信感は相当深刻で容易には解消できるものはなないこと
  • 面会交流を実施するには非監護親と監護親との協力関係が必要不可欠であるが、上記のような状況では協力関係を期待することは極めて困難であり、面会交流を実施した場合には子どもは葛藤に陥りやすい状況にあること
  • これまでさまざまな関係者の関与があったにも関わらず実効的な意味をなさなかったことや非監護親の言動などからすると、適切な第三者機関の関与があったとしても円滑な面会交流の実施は期待できないこと

裁判所は上記事実を認定し、親権者が、非監護親において面会交流のルールを遵守しないのではないかと疑いを抱くのも不自然合理的なことではなく、非監護親は自らの行為が相手方や子どもらに与えている影響を十分に理解しているとは言い難いため、面会交流を認めることは子どもの福祉に合致しないと判断しました。

さらに面会交流を認めることが子どもを父母間の複雑な忠誠葛藤の場面にさらし、心情の安定を害する可能性が高いとして父親の面会交流の申し立てを却下する審判が出されました(仙台家庭裁判所平成27年8月7日審判)。

判例⑤親権者方の祖母から強く働きかけられた父親が、面会交流審判を申し立てたケース

事案の概要

この事例は、離婚して非監護親となった父親が、親権者である母親とその再婚相手である養父に対して長期間実施されていなかった子どもらとの面会交流を求めて、その時期・方法について定める審判を申し立てた事例です。

認められなかった理由

この事例では以下のような事実が認定されています。

  • 長男と次男はそれぞれ、非監護親である父親との面会交流を拒絶する意向を示しており、同居時に父親から暴力を受けており、母親が面会交流の実施に反対していることが強く影響していると思われること
  • 父親は離婚後4年以上にわたり子どもらと面会しておらず、母方祖母の働きかけを受けて面会交流を申し立てるようになったこと
  • 子どもに虚偽を伝える等の母方祖母の言動から、母親が父親との面会交流に反対する意向を示すのもやむを得なかったこと
  • 母親と母方祖母・父親との紛争に巻き込まれた子どもらは、母親のもとで安定した生活をおくることができているのに、面会交流を認めることによって精神的負担を強いられることになる
  • 母親には過去に自殺未遂を起こしているが、審問・調査官調査の結果、監護状況には特段の問題がないと判断されている

以上から、父親の申し立ては母方祖母の強い影響を受けたもので、面会交流を認めことは子どもの福祉に適うとは認められず、子どもらを父親と母親との間で精神的に板挟みの状況に置きかねないとして、面会交流が否定されました。

まとめ

面会交流が認められなかった判例を紹介しました。

審判に移行すれば、当事者の主張や提出された証拠をもとに最終的に裁判官が面会交流につき決定します。面会交流を認めてもらいたい方も、認めて欲しくない方も、調停段階で弁護士を同席させ、過去の裁判事例を根拠とした合理的な主張をしてもらうことで有利な状況に導くことも可能です。

弊所では、協議段階での相手との交渉はもちろん、調停・審判の同席についても豊富な実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますのでまずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

面会交流調停の弁護士費用の相場は?費用を抑える3つの方法

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください
離婚問題の悩みは弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による離婚問題の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

ご相談のみで問題が解決する方も多くおられますので、誰でも気軽に相談できる法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。