このようにお考えではないでしょうか。
本来であれば、助け合い、励ましあい、共に喜びや悲しみを分かち合いながら人生を歩んでいくはずの妻から、人格を否定され、罵られ、蔑まされる生活を送ってきたわけですから、自分と同じ、あるいはそれ以上の苦しみを味わってほしいと復讐心に燃えるお気持ちはわかります。
しかし、安易な方法でモラハラ妻へ仕返しをすると、モラハラ行為がエスカレートするなど逆効果となる可能性もあります。
そこでこの記事では、モラハラ離婚問題に強い弁護士が、
- モラハラ妻に逆効果となってしまう仕返し
- モラハラ妻にやってはいけない仕返し
- モラハラ妻に仕返しをする方法
についてわかりやすく解説していきます。
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目次
モラハラ妻に逆効果となってしまう仕返し
妻のモラハラ言動を周囲に公表する
妻が夫に対してひどいモラハラ的な発言や行動を繰り返す場合、仕返しとしてそれらを周囲の人間に公表して妻を「晒(さら)しもの」にしたい、と思う人も多いのではないでしょうか。
モラハラ妻の場合には、外向的で外面(そとづら)がよいタイプの人も多いため、家庭内ではひどい言動をする最低な人間であると、第三者に知ってもらいたいと思う気持ちも十分に理解できます。
しかし、そのように妻のモラハラ行為を第三者にバラす仕返しは、逆効果となってしまうリスクがあります。
まず、妻と仲良くしている友人や知人にモラハラを訴えたとしても、彼女ら(彼ら)はそもそも妻側に加担してしまう可能性があります。仮にあなたが一生懸命、妻のモラハラ行為を第三者に説明したとしても、社交性の高い妻は、簡単にあなたの告発をひっくり返してしまうかもしれません。
また、家庭内のトラブルを不特定多数の人に公表して妻を貶めようとしている姿勢が、周囲の反感を買う可能性もあります。
そして、夫の捨て身の告発が功を奏していないとみるや否や、妻のモラハラ行為が、ますますエスカレートしてしまう可能性もあるのです。ひどい場合には、家庭内のトラブルや私生活上の秘密を暴露されたとして、妻側からプライバシー侵害や名誉棄損などが主張されて離婚しようとしても夫が望むように手続きを進められない、というケースも想定できます。
妻の発言を無視する
モラハラ妻への対処法として、相手の批判や暴言などを無視するという手段をとる夫もいます。
しかし、このような仕返しもときとして逆効果となってしまうおそれがあります。
夫に対して「役立たず」「無能」などのように暴言や悪口を頻繁に言ってくる妻の場合、相手のネガティブな反応に対して、二の矢・三の矢を放ってくるというタイプがいます。
そこで、もし夫が妻の悪口を無視する態度を示した場合には、モラハラ妻は悪口や暴言が「効いてないな」と考えてしまいます。
そうすると、もっと夫が気にする言葉、もっとひどい発言をするようになります。
このように、夫としては、無視することでそれ以上の悪口や暴言を防ぎたかったにもかかわらず、逆に妻のモラハラ発言が加熱して逆効果となってしまうおそれがあるのです。
相手を説得して説き伏せようとする
モラハラ妻は、自分の憶測や推測で夫を責め立て、暴言を浴びせてくるケースもあります。
そのようなモラハラ被害を受けている夫は、冷静に反論して、事実に基づいて説得できれば相手を説き伏せることができると考えてしまいがちです。
しかし、モラハラ妻は間違った事実・データに基づいて間違った結論に至っているというよりは、自分の思い通りに相手を支配・コントロールしたいという欲求に基づいて行動している可能性の方が高いのです。
したがって、冷静に反論や事実を説明しようとしても、「そうやって言い訳ばかり」「情けない/男らしくない」など言って聞く耳を持ちません。
結局、モラハラ妻は「自分の気に入るようにやれ」と言っているだけですので、説得したり納得させたりしようと試みるのは、無駄な努力で終わってしまう可能性があります。
モラハラ妻にやってはいけない仕返し
突然家を出たり、妻を経済的に孤立させること
モラハラ妻への仕返しとして、突然夫が家を出て行ってしまうということがあります。
夫が働いて経済的に妻を支えている家庭の場合、突然夫が家を出て行ってしまうと、妻の生活がままならなくなります。
そのため妻を困らせるために突然家出をして妻を放置する、という仕返しを考えている夫もいると思います。
しかし、突然家を出て経済的に妻を困窮させると、夫の側が「悪意の遺棄」をしたと言われてしまうリスクがあります。
「悪意の遺棄」とは、正当な理由がないにもかかわらず、夫婦間の同居・協力・扶助義務を継続的に懈怠することをいいます。民法第752条は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定しています。
そのため、夫が一方的に別居を開始したり、生活するために必要な金銭の負担を拒否したりした場合には「悪意の遺棄」に該当するとして、有責配偶者になってしまう可能性があるのです。
有責配偶者となった場合には、離婚請求をすることが難しくなり、相手方配偶者から慰謝料請求されてしまうおそれも発生してきてしまいます。
悪意の遺棄とは?該当する行為と慰謝料相場、証明するための証拠
有責配偶者とは?離婚請求が認められる条件と一方的な別居の有責性
妻に暴言を吐く・暴力を振るうこと
口の達者なモラハラ妻の場合には、言い合いでは勝てず、我慢が限界を迎えてつい手が出てしまうというケースもあるかもしれません。
しかし、妻に暴食を振るうことや、「殺すぞ」などと脅迫することは犯罪行為に該当する可能性もあり、決して許されません。
犯罪行為以外にも、妻に対して精神的虐待をしたりモラハラをし返したりする場合には、逆に夫側が有責配偶者に当たるとされる可能性があります。
暴力や虐待、モラハラ行為などは「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という法定離婚事由に該当する可能性があり、仮に妻の言動が原因としても夫の仕返しの程度の方が大きい場合には、夫に帰責性が認められるおそれがあるのです。
上記のような法定離婚事由に該当すると認定された場合には、同様に夫からの離婚請求が難しくなり、妻から慰謝料を請求されてしまう可能性があります。
モラハラ妻へ仕返しをするには
離婚を突きつける
モラハラ妻は弱点を突く程度では、モラハラ妻を後悔させることもモラハラ行為を改善させることもできません。
夫婦が同居して生活する中で、一時的に仕返しをしてしばらくは改善が見れたとしても、それは対処療法でしかなく、今後モラハラ行為がなくなる可能性は低いでしょう。
モラハラ妻に仕返しをするには、最終的には「妻と縁を切る」以外ありません。
別居したり実家に帰ったりと物理的に距離をとるという方法がありますが、モラハラ妻に最もダメージを与えるためには「離婚を突きつける」しかないでしょう。
夫が真剣に離婚を切り出すことで、妻の座も安泰ではないということを知らしめることができます。
ただし、離婚を切り出した場合にモラハラ妻の態度が大きく変わり、急にしおらしくなるケースもあります。妻が専業主婦の場合や、夫の稼ぎで主に家庭が支えられている場合には、経済的な不安から離婚を回避したいという野望で行動している可能性もあります。
モラハラ行為は、これまでの生活環境やスタイル、本人の性格や、夫婦の関係性などの様々な要因で長年かけて醸成された結果であり、1つの発端や原因で簡単に改善されるものだとは考えない方が良いでしょう。
仕返しや離婚の申し出が単なる脅しで夫には本当に離婚する気などはないのだ、と妻が感じた場合には、夫を自分の思い通りに支配・コントロールしようとして、再びモラハラ行為を繰り返すようになる可能性も高いのです。
モラハラ妻への最大の仕返しは実際に離婚すること
以上のようにモラハラ妻への最大の仕返しになるのは、実際に離婚することです。
離婚して孤独になることで、夫であるあなたの貢献やありがたみを痛感し後悔する妻はたくさんいます。
ただし、モラハラが原因で離婚をする場合には、日常的にひどいモラハラが行われていたことを主張・立証する必要があります。したがって、モラハラの証拠を収集・保管しておくことが重要となります。
モラハラ離婚の証拠と集め方!どのくらい必要?日記の書き方は?
また、モラハラが原因で夫婦が別居して暮らしていた場合には、親権争いで不利になる可能性もあります。離婚の際には、子どもと同居して生活していた方の親が親権者にふさわしいと判断されるケースが多く、また子の福祉の観点から、子どもは父親よりも母親と暮らした方が望ましいという「母性優先の原則」が存在しています。
したがって、モラハラ妻に仕返しとして「離婚を突きつけてやりたい」とお考えの方は、一度弁護士に相談することがおすすめです。今後の見通しや、手続きの具体的な流れなどについてアドバイスを受けることができるでしょう。
当事務所では、モラハラ離婚に精通した経験豊富な弁護士が在籍しております。親身誠実に依頼者が有利に離婚できるよう全力を尽くしますので、モラハラ妻との離婚を弁護士に依頼することをご検討中の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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