離婚調停の呼出状が届いても、仕事の都合などで指定さえた調停期日に出席できない方や、そもそも離婚をしたくないので離婚調停の呼出を無視して欠席し続けようと考える方もいるかと思われます。
しかしここで、
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、離婚調停を1回程度欠席しただけでは不利な状況にはなりません。もっとも、正当な理由なく離婚調停を欠席し続けると、調停委員や裁判官の心証を悪くし、相手に有利な条件で話がまとまる可能性があります。また、過料を科されるなどのリスクもあります。
この記事では、離婚問題に強い弁護士が、
- 離婚調停を欠席したら不利になるのか
- 離婚調停の呼び出しを無視して欠席し続けるとどうなるのか
- 離婚調停を欠席せざるを得ない場合の対応方法
- 相手が調停に来ない場合の対応方法
などにつきわかりやすく解説していきます。
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目次
離婚調停を欠席したら不利になる?
相手方に離婚調停を申し立てられた場合、家庭裁判所から、「離婚調停の申立書」、「事情説明書」などのほかに、「調停期日通知書(呼出状)」が郵送されてきます。
「調停期日通知書(呼出状)」には、第一回目の離婚調停が行われる家庭裁判所、離婚調停の期日等が記載されています。
第一回目の離婚調停の期日は、相手方(申立人)と家庭裁判所との間で調整を行い、最終的には家庭裁判所が決めます。
つまり、離婚調停を申し立てられた側に断りなく一方的に決められてしまうということです。
そのため、指定された期日ではどうしても都合がつかない、ということも当然ながら考えられることです。
また、2回目以降の調停期日については、双方の都合を考慮したうえで決まりますが、離婚調停は平日の日中に実施されますので「急に外せない仕事が入った」ため欠席せざるを得ない状況になることもあるでしょう。ほかにも、「子どもが病気になった」「ご自身が体調不良になった」など、正当な理由があって離婚調停を欠席する必要がある方もいます。
したがって、上記のような正当な理由があって、1回程度の欠席しただけで不利になることはないでしょう。
なお、家庭裁判所からの呼び出しを無視して無断欠席したものの、後から離婚調停の重要性に気づいてどうすればよいか分からない、という方もおられるでしょう。
そうした場合は、次回の期日からはきちんと出席すればよいです。
1回の欠席だけで調停委員や裁判官に与える印象を殊更悪くすることはないでしょうし、調停が不成立となることもありません。
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離婚調停の呼び出しを無視して欠席を続けるとどうなる?
正当な理由がないのに、家庭裁判所からの呼び出しを無視し、欠席し続けると、以下のような不利益を受けることがあります。
調停委員、裁判官に与える印象を悪くしてしまう
正当な理由なく、離婚調停の期日を欠席すると、夫婦の間に入って話をまとめる役の調停委員や裁判官に「約束事をきちんと守れない人=ルーズな人」という印象を与えかねません。
調停委員や裁判官に一度、こうした印象を与えてしまうと、その印象を払拭することはなかなか難しく、相手方の有利な条件で話をまとめられてしまう可能性があります。
したがって、初回の期日から出席する必要がありますし、一度、出席した以上、欠席することなく継続して出席することが大切です。
過料に処される
家庭裁判所から呼出しを受けたにもかかわらず、正当な理由なく、調停期日に出席しない場合は、5万円以下の過料に処されることがあります。
もっとも、実際に過料に処されるケースは稀です。
また、過料は罰金などと異なり刑罰ではありませんから、仮に処されたとしても前科はつきません。
自動的に審判へ移行し、一方的に判断が下されてしまう
当初は期日に出席していたものの、心変わりして欠席を繰り返したなどという場合は、調停は不成立となりますが、そのまま手続きが調停から審判へと自動的に移行し、審判で判断が下されることもあります。
審判は、裁判官が調停での経過も踏まえて一方的に判断を下しますから、欠席を繰り返したあなたにとっては不利な判断を下される可能性が高いです。
もっとも、審判を受けた夫婦は、審判の告知を受けた日から2週間以内であれば、その審判に対して異議を申し立てることができます。
そして適法な異議を申し立てられた場合は審判の効力は失われます。
このように、審判の効力は非常に弱いものですから、家庭裁判所も手続きを調停から審判に移行させることには消極的で、審判で離婚が成立するケースは稀です。
調停や審判で離婚が成立しなかった場合は、訴訟を提起される可能性が高いです。
離婚調停を欠席せざるを得ない場合の対応方法
欠席の連絡を入れる
上記の通り、正当な理由なく離婚調停を欠席し続けると、様々な不利益を受ける可能性があります。
もっとも、前述の通り、指定された期日ではどうしても都合がつかない、ということも当然ながら考えられることです。
しかし、その場合でも、感情的にならずに、家庭裁判所に「指定された期日には〇〇の理由で出席することはできない」旨をきちんと伝えましょう。
具体的には、以下の方法で欠席の連絡をすると良いでしょう。
- 調停期日通知書(呼出状)に記載されている家庭裁判所の担当部署に電話する(電話番号も記載されています)
- 「事情説明書」等の書類に出席できない旨を記載し、郵送か、FAXで家庭裁判所の担当部署宛に送る
電話する際は、電話先の相手に事件番号(令和〇年 家(イ)第〇〇〇〇号)を伝えるとよりスムーズにいきます。
いずれの方法を取る場合でも、具体的な欠席理由を述べることが大切です。
単に家庭裁判所に行きたくない・出席したくない、面倒くさい、というだけでは、欠席を正当化する理由とはなりませんので注意が必要です。
期日変更の申請をする
家庭裁判所に「期日変更申請書」を提出することで、スケジュール調整が可能な場合には、調停期日を変更してもらえることもあります。
離婚調停に出席することはあなたにとってもメリットです。
すなわち、離婚調停は、夫婦間の話し合い(協議)の段階で相手方に聴いてもらえなかった、受け入れてもらえなかったあなたの主張を、中立・公平な立場である調停委員に聴いてもらえる貴重な機会なのです。
そして、その主張が相手方の主張よりも合理的なものである場合は、調停案にきちんと反映してもらえる可能性があります。
仮に欠席の連絡を入れたとしても、繰り返し欠席をすることで、「話し合いで合意が成立する見込みがない」と家庭裁判所に判断されると、調停不成立となる可能性もあります。
そのため、やむを得ない事情で指定された調停期日では出席できないものの、欠席はしたくない、離婚調停の場でしっかりと自分の主張を聴いてもらいたいとお考えの場合には、調停期日の変更を申請するようにしましょう。
代理人弁護士のみ出席してもらう
離婚調停には本人が出席することが原則とされています。これは、離婚調停で決める事柄は、本人から直接話を聞いて本人の意思をよく確認して決めるべき性質のものだからです。たとえ、弁護士に離婚調停を依頼している場合でも、代理人弁護士のみが離婚調停に出席することは原則として認められていません。
もっとも、本人が離婚調停に出席できないことについて「やむを得ない事由」がある場合に限り、例外的に、代理人弁護士のみの出席が認められています。たとえば、本人の病気、親族の冠婚葬祭、海外出張などがこれにあたります。単に仕事や家事・育児で忙しいことは「やむを得ない事由」にはあたりません。
なお、住所地から家庭裁判所までの距離が遠いときは、離婚調停を弁護士に依頼している場合に限り、弁護士の事務所と裁判所とを電話会議システムでつなぎ、弁護士事務所で離婚調停に参加する方法もあります。
離婚調停で相手が来ない場合はどう対応する?
離婚調停は、基本的に夫婦間の話し合いによって合意の道を探ることになる手続きです。
そのため、相手方配偶者が離婚調停に来ない場合には話し合いを進めることができなくなってしまいます。
相手方が離婚調停に出席してくれない場合には、次のような対処法をとることができます。
呼出状を再送付してもらい出席するように促す
相手が離婚調停を欠席する場合には、呼出状を再送付・電話で催促することで出席を促す場合があります。
相手方当事者が、仕事の都合などで出席ができない場合には、別の日時を指定したり続行期日を指定したりしてもらうことができます。相手方が調停に出席する意思を示している場合には、基本的に調停が不調として手続きが打ち切られることはありません。
ただし何度も出席が続く場合には、話し合いの意思無しとして、裁判所から調停不成立と判断される可能性もあります。
離婚調停を欠席することによるデメリットを伝えておく
調停に出席しない場合には、今後離婚訴訟に発展することになることを伝えておくことで、話し合いに応じる気になる可能性もあります。
訴訟手続き以前に話し合いによって双方納得できる内容で解決できる方が簡便だと判断する人もいるでしょう。
裁判所から「出頭勧告」を出してもらう
「出頭勧告」とは、家庭裁判所から調査員を派遣し、所在地を訪ねて不出頭の理由を確認するなどし、調停に出席してもらうように促す手続きです。
勧告に応じない当事者は、過料を課される可能性があります。
弁護士に依頼することも検討しよう
あなたが離婚調停を欠席したいと思っているのは、調停という手続きが難しそう、離婚する相手方のために家庭裁判所に足を運ぶこと・調停で主張することが面倒、調停委員から怒られるのではないか、などという思いが浮かんでいるからではないでしょうか?
そんなときは一人で悩まず、弁護士に相談、依頼してみるのも一つの方法です。
弁護士に相談、依頼するタイミングにもよりますが、弁護士はあなたの代理人となって、家庭裁判所に提出する書類の作成、離婚調停に向けた準備から離婚調停における調停委員に対する主張、裁判官とのやり取りまであらゆることを代行してくれます。
また、代行するだけでなく、あなたが主張したい事実を論理的に分りやすく調停委員に説明してくれますから、ご自身の主張が調停委員に通る可能性が高まります。
離婚調停といえども裁判手続きの一つですから、突然、離婚調停を申し立てられたあなたにとっては精神的な負担も大きいかと思います。
そうした負担を軽減しつつ、一日でも早い日常生活を取り戻すという意味でも、弁護士に依頼するメリットはあるといえるでしょう。
当事務所では、離婚調停に一人で出席するのが不安な方からのご相談を受け付けております。弁護士が調停に同席し、依頼者に有利な調停となるよう全力でサポートしますので、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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