
「拒否しても別のアカウントからDMが届く」「掲示板に個人情報を書き込まれた」「投稿から自宅を探られている気がする」といったネットストーカー被害に、どんな対策をとればよいのかと不安を感じていませんか。
対策の基本は、DMや書き込みを証拠として残し、相手とのやり取りをやめたうえで、警察や弁護士に相談することです。
SNSでのつきまといは、2016年の改正でストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)の対象になりましたが、恋愛感情や好意、またはそれが満たされなかった恨みを満たす目的による行為に限られます。
この記事では、ネット上のつきまといや誹謗中傷の相談に対応している弁護士が、次の点について解説します。
- どんな行為がどこから被害にあたるのか
- 被害にあったときの5つの対処法と進める順番
- 被害を防ぐためのSNSの設定と使い方
- ネットストーカーを取り締まる法律
お読みいただくことで、今の状況で何から手をつければよいかを整理できます。
なお、ネット上のつきまといでお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へご相談ください。地域を問わずご相談を承っています。
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ネットストーカーとは?
ネットストーカー(ネトスト)とは、SNSや掲示板、メールなどのインターネット上で、特定の相手に執拗につきまとったり、行動を監視したり、嫌がらせを繰り返したりする行為や、それをする人のことです。
「ネットストーカー」は法律で定められた言葉ではないため、犯罪にあたるかどうかは、していることの中身ごとに判断されます。つきまとってくるのは、元交際相手や知人のこともあれば、一度も会ったことのない人のこともあります。こうした相手がつきまといに及ぶ背景にある特徴や心理は「ネットストーカーによくある5つの特徴とその心理を弁護士が解説」で詳しく解説しています。
ネットストーカーにあたる主な行為
ネットストーカーにあたる行為には、主に次のようなものがあります。
- 拒否しているのに、DMやコメントを何度も送ってくる
- 投稿の内容や写真から、住所・勤務先・行動範囲を割り出す
- 「今日は駅前にいたね」と話しかけてくるなど、行動を見ていることをほのめかす
- 匿名掲示板やSNSで悪口を広めたり、個人情報や秘密を書き込んだりする
- 本人になりすましたり、アカウントを乗っ取ってメッセージを盗み見たりする
元交際相手のように身近な人物の場合は、本人しか知らないはずの秘密を書き込まれたり、友人やフォロワーにまでDMを送られたりすることもあります。
また、本人のアカウントに直接連絡してくるとは限りません。本人の知らない掲示板や相手自身のブログで書き込みが続き、気づいたときには被害が広がっていることもあります。
どこからがネットストーカー被害になるのか
公開している投稿を相手が見ているだけなら、それだけで直ちに違法とはいえません。
一方で、見ていることを本人に知らせるようなメッセージを送ってくる、やめてほしいと伝えたのに連絡をやめない、個人情報をネット上に書き込む、といった行為があれば、ネットストーカーの被害にあっていると考えてよいでしょう。
別のアカウントから何度も連絡が来る、教えていないはずの住所や予定を相手が知っている、といったケースも、被害が進んでいるサインです。早めに対処を始めましょう。
ネットストーカー被害にあったときの5つの対処法
ネットストーカーの被害にあったときは、次の順番を目安に対応を進めましょう。
- 被害の証拠を残す
- 相手とのやり取りをやめる
- SNSの運営に通報する
- 警察に相談する
- 弁護士に相談する
ただし、身に危険が迫っているときは順番にこだわらず、すぐに110番通報してください。また、一人で抱え込まず、家族や友人など信頼できる人にも状況を伝えておきましょう。ストーカー被害全般の対処法は「ストーカー被害に遭ったらすぐすべき8つの対処法と対策」もあわせてご覧ください。
①被害の証拠を残す
ネットストーカーの被害にあったら、まず届いたメッセージや投稿を証拠として残しましょう。相手をブロックしたり、通報で投稿が削除されたりすると、あとから内容を確認できなくなることがあるため、そうした対応をする前に保存しておくことが大切です。
保存するときは、DMや投稿の内容だけでなく、日時やURL、相手のアカウント名・プロフィールが分かる形でスクリーンショットを撮ります。相手が自分で投稿を消すこともあるので、見つけた時点で残しておきましょう。
あわせて、いつ・どのアカウントから・どんな連絡や書き込みがあったかを時系列でメモしておくと、相談先で被害の経過を説明しやすくなります。
②相手とのやり取りをやめる
ネットストーカーとのやり取りは続けないことが大切です。拒否の意思は一度だけ「これ以上連絡しないでください」と短くはっきり伝え、その後は返信や反応をしないようにします。自分で伝えるのが怖い場合は、弁護士が代わりに伝えることもできます。伝える言葉に迷う場合は「ストーカーに効く言葉は?段階別・男女別の効果的な言葉を紹介」も参考になります。
ブロックや受信拒否をしても、それだけで被害が解決するとは限りません。相手が別のアカウントを作って連絡してくることがあるためです。ブロックすると届いた内容を記録しにくくなるため、使う場合も先に証拠を保存してからにしましょう。
また、アカウントを消したり連絡先を変えたりして連絡手段を一度に断つと、相手が自宅や職場に直接来るきっかけになることもあります。
連絡手段の断ち方を含め、かえって被害を悪化させる対応は「ストーカーを無視し続けると危険?正しい対策とNG行動」で確認しておきましょう。
③SNSの運営に通報する
ネットストーカーの投稿やアカウントは、SNSや掲示板の運営会社に通報して、規約に沿った対応を求めることもできます。
通報は、証拠を保存してから行いましょう。また、アカウントが停止されても、相手が別のアカウントで接触してくることがあります。
④警察に相談する
やめてほしいと伝えてもネットストーカーからの連絡が続くときや、身の危険を感じるときは、警察に相談しましょう。今まさに身に危険があるときは110番、緊急ではない相談は警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署が窓口です。
相談には、保存したスクリーンショットと経過のメモを持参すると、被害を具体的に伝えやすくなります。警察に相談したあとの進み方は「ストーカーを警察に相談したらどうなる?相談後の流れを解説」で解説しています。
相手の行為が、恋愛感情などを満たす目的で行われる一定の行為(ストーカー規制法の「つきまとい等」)にあたる場合は、警察からの警告や、公安委員会からの禁止命令によって、行為をやめるよう相手に求めてもらえる場合があります。後者は警告を経なくても出せます。
2025年12月30日に施行された改正により、警告は被害者の申出がなくても警察の判断(職権)で出せるようになりました。
相手の行為がつきまとい等にあたり、警察への相談や被害届をきっかけに警察がすでに相手を把握している場合は、「援助の申出」をすると、相手の氏名や住所を教えてもらえることがあります。
警察以外にも、法務省の「みんなの人権110番」などの相談先があります。
ほかの相談先は「ストーカー被害の相談窓口|警察以外の窓口も紹介」にまとめています。
⑤弁護士に相談する
警察に相談してもネットストーカーの被害が止まらないときや、書き込みの削除、投稿者の特定、損害賠償まで求めたいときは、弁護士に相談してください。
弁護士は、運営者への削除請求のほか、発信者情報開示請求(投稿者の氏名や住所などの開示を求める手続き)で投稿者の特定を進められます。手続きの流れや期間は「発信者情報開示請求とは?開示命令による手続きを解説」で説明しています。
ただし、発信者情報開示請求で特定を求められるのは掲示板やSNSの公開投稿の投稿者で、1対1のDMやメールの送り主は対象になりません。権利侵害が明らかであることなどの要件もあります。
相手が分かれば、弁護士から書面で行為をやめるよう求めたり、損害賠償を請求したりすることも考えられます。弁護士からの通知は、ストーカー規制法に基づく警察の「警告」とは別のものです。
損害賠償として請求できる慰謝料の目安は「ストーカーの慰謝料や示談金の相場はいくら?弁護士が解説」を参考にしてください。
ネットストーカー被害を防ぐ方法は?SNSでできる4つの対策
証拠を残して相談を進めるのと並行して、SNSの設定や使い方も見直しておきましょう。こうした見直しは、今起きている被害の広がりを抑え、次の被害を防ぐことにもつながります。主な対策は次の4つです。
- アカウントに鍵をかけて公開範囲を絞る
- 位置情報をオフにする
- 個人が特定される投稿を控える
- アカウントの乗っ取りを防ぐ
アカウントに鍵をかけて公開範囲を絞る
ネットストーカーに投稿を見られないようにするには、X(旧Twitter)やInstagramのアカウントに鍵をかけて非公開にし、公開範囲を絞るのが基本です。鍵アカウントにすると、フォロワー以外には投稿が見えなくなります。裏を返せば、鍵をかける前からのフォロワーは、引き続き投稿を見られます。
あわせて、DMを受け取れる相手を限る設定にしておくと、見知らぬアカウントからのメッセージを減らせます。
ただし、鍵をかけても、知人になりすましたアカウントのフォロー申請を承認すれば、投稿は見られてしまいます。心当たりのない申請は承認しないようにしましょう。
位置情報をオフにする
投稿や写真に位置情報が付く設定のままだと、自宅や勤務先、よく行く場所をネットストーカーに知られるおそれがあります。スマートフォンのカメラやSNSアプリの設定で、位置情報をオフにしておきましょう。
位置情報を消していても、写真の背景に映った建物や景色から場所を割り出されることがあります。投稿する前に、背景に何が写っているかも確認しておくと安心です。
個人が特定される投稿を控える
本名や勤務先、学校、自宅の最寄り駅、電話番号など、ネットストーカーに個人が特定される情報は投稿しないようにしましょう。
一つひとつは問題のない投稿でも、組み合わせると生活圏や行動のパターンが分かってしまうことがあります。
また、Facebookなどでほかの人から写真にタグ付けされると、居場所や交友関係が伝わることがあります。タグ付けを承認制にする設定も検討してください。
Instagramの写真や投稿から生じる被害の手口と対策は「インスタストーカーとは?手口と被害にあったときの対策を解説」で詳しく紹介しています。
アカウントの乗っ取りを防ぐ
アカウントを乗っ取られると、ネットストーカーに投稿やDMを盗み見られたり、本人になりすまして発信されたりする危険性があります。パスワードはほかのサービスと使い回さず、推測されにくいものにしたうえで、二段階認証を設定しておきましょう。
スマートフォンに見覚えのないアプリが入っていないかも確かめてください。位置情報や通信内容を盗み見るスパイウェアのような不審なアプリを入れられていることもあります。
すでに乗っ取られてしまった場合の犯人の特定方法や解除の手順は「X(旧Twitter)の乗っ取り犯人の特定と乗っ取り解除の方法を徹底解説」で確認できます。
ネットストーカーを取り締まる法律
「ネットストーカー罪」という名前の犯罪はなく、どの法律で取り締まれるかは、行為の目的や内容によって変わります。主に使われるのは、ストーカー規制法と、名誉毀損罪や脅迫罪などを定めた刑法です。
ストーカー規制法
ストーカー規制法は「つきまとい等」を規制する法律で、2016年の改正により、拒まれたのに連続して、SNSのメッセージを送ったり、本人が開設したブログ・SNSにコメントを送ったりする行為も対象になりました。
ただし、規制の対象になるのは、次の目的で行われた行為に限られます(2条1項)。
第二条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
出典:e-Gov法令検索
つまり、恋愛感情や好意、またはそれが満たされなかった恨みを満たす目的がなければ、ストーカー規制法の対象にはなりません。嫌がらせや誹謗中傷そのものが目的の場合は、刑法の犯罪にあたるかどうかや、発信者情報開示請求による対応を検討することになります。
ストーカー規制法の「つきまとい等」のうち、ネットストーカーの行為で関係しやすいのは、主に次の規定です。
- 行動を監視していると思わせるような内容を伝えたり、本人が知り得る状態に置いたりする(2号)
- 拒まれたのに、連続してメールやSNSのメッセージを送る(5号)
- 名誉を害する内容を伝えたり、本人が知り得る状態に置いたりする(7号)
- 性的羞恥心を害する内容を伝えたり、わいせつな画像を送ったりする(8号)
2021年の改正ではGPS機器や位置情報共有アプリで無断で位置情報を取得する行為が、2025年の改正(12月30日施行)では紛失防止タグを使った同様の行為が、規制の対象に加わりました。これらも、同じ目的で行われた場合に限られます。
同じ相手につきまとい等を反復すると「ストーカー行為」となり、1年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金の対象になります(監視をほのめかす行為やメッセージの連続送信などは、身の安全や名誉などが害される不安を覚えさせる方法で行われた場合に限ります)。一方、警察の警告や公安委員会の禁止命令は、1回の行為でも、さらに繰り返すおそれがあると認められれば出されることがあります。
ネットストーカーに関する警告・禁止命令の手続きや改正の経緯は「ストーカー規制法とは?対象となる行為と警告・禁止命令を解説」をご覧ください。
参考サイト:ストーカー規制法・警視庁
刑法の名誉毀損罪・脅迫罪
ストーカー規制法の目的にあたらないネットストーカーの行為でも、内容によっては刑法の犯罪が成立することがあります。
名誉毀損罪(刑法230条1項)は、公然と事実を示して人の名誉を傷つけた場合に成立し、法定刑は3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。「公然と」とは不特定または多数の人が知り得る状態を指すため、主に誰でも見られる書き込みが問題になります。事実を示さずに公然と悪口を書き込んだ場合は、侮辱罪にあたる可能性があります。
名誉毀損罪と侮辱罪は、被害者が警察や検察に処罰を求める意思表示(告訴)をしなければ起訴できない親告罪です。
脅迫罪(刑法222条1項)は、生命、身体、自由、名誉または財産に害を加えると告げて人を脅した場合に成立し得る罪で、法定刑は2年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金です。「会ってくれないなら家に行く」といったメッセージも、内容によってはこれにあたる可能性があります。
これらの罪は、ストーカー規制法の「ストーカー行為」と違って行為の繰り返しを要件としていないため、1回の書き込みやメッセージでも成立し得ます。
ネットストーカー被害の対策は弁護士にご相談ください
ネットストーカー被害への対策で大切なのは、証拠を先に保存し、相手に反応せず、早めに相談先を頼ることです。SNSの設定も見直せば、被害の広がりを抑えやすくなります。
相手の目的や書き込みの中身しだいで、ストーカー規制法や名誉毀損罪などで対処できる場合があります。弁護士に依頼すれば、投稿の削除請求や発信者情報開示請求による投稿者の特定、相手への通知、損害賠償の請求まで、状況に合った手段をまとめて検討できます。
毎日のように届くメッセージや、いつどこで見られているか分からない不安は、ネット上のことであっても大きな負担になります。拒否しても連絡が続いている方や、個人情報を書き込まれて被害が広がっていると感じている方は、おひとりで抱え込まずにご相談ください。
当事務所では、SNSや掲示板でのつきまといや誹謗中傷に関するご相談をお受けしています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ストーカー被害の解決に豊富な実績を持つ。元交際相手からのつきまとい、ネットストーカー、職場でのストーカー被害など、警察に相談しても動いてもらえないケースにも弁護士として毅然と対応。「報復が怖い」「大事にしたくない」という被害者の心情に寄り添い、穏便かつ確実にストーカー行為を止めさせることに全力を注いでいる。

