
離婚が成立したのに、元夫・元旦那からしつこい連絡や待ち伏せなどのストーカー被害を受け、「子どもの父親だから警察沙汰にはしたくない」「報復が怖くて強く出られない」と悩んでいませんか。
離婚後のつきまといには、警察の警告や公安委員会の禁止命令、離婚前に暴力や脅迫を受けていた場合の保護命令といった法的な対抗手段があります。警察への相談のほか、弁護士を通じた警告で穏便な解決を目指す方法もあります。
この記事では、ストーカー被害に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 元夫が離婚後もつきまとう理由
- 法律で規制される行為と罰則
- 保護命令や警察の警告などの対処法
- 警察沙汰にせず穏便に解決する方法
お読みいただくことで、どの手段が使えるか、何から始めるべきかを整理できます。
なお、離婚後のつきまといでお悩みの方は、一人で抱え込まず、当事務所の無料相談をご利用ください。
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離婚後の元夫・元旦那によるストーカー被害の実態と背景
離婚が成立した後も、元夫からのつきまといや連絡などの嫌がらせに悩まされる方は少なくありません。元夫は長く寝食を共にしてきた相手で、自宅や職場、子どもの学校まで知られていることもあるため、精神的な負担は特に大きくなります。
統計でみる配偶者・元配偶者からのストーカー被害
警察庁の令和7年の統計データによると、ストーカー事案の相談等件数は22,881件(前年比16.9%増)で、禁止命令等(行為の繰り返しを禁じるなどの命令)は3,037件と法施行後最多でした。
関係別にみると、配偶者(内縁や元配偶者も含む)からストーカー被害を受けた事案は1,392件です。
元夫が離婚後もストーカー化する理由
元夫が離婚後もストーカー化する背景には、離婚を受け入れられず、元妻への執着を断ち切れていないことがあると考えられます。典型的なのが次の2つの思い込みです。
1つ目は、「元妻は本当は自分を必要としている」「まだ自分に好意を抱いている」という思い込みです。相手も自分と同じ心境のはずだと信じ、執拗に接触を図ってきます。
2つ目は、「きっかけさえあればやり直せる」という思い込みです。些細な用事を理由に、しつこく連絡してきたり目の前に現れたりします。この2つの思い込みが強いと、行動が暴走するおそれがあります。
離婚後のストーカー行為として規制される8つの行為
ストーカー規制法は、恋愛感情などの好意や、それが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行われる8つの行為を「つきまとい等」と定めています(ストーカー規制法2条1項)。
- ①つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき(1号):尾行、自宅や職場での待ち伏せ、勝手に押しかける、自宅周辺をうろつくなど
- ②監視していると告げる行為(2号):帰宅直後に「おかえり」と連絡してくる、「今日〇〇にいたよね」と行動を把握していることを伝えてくる
- ③面会・交際の要求(3号):拒否しても復縁を迫る、しつこく会いたいと要求してくる
- ④乱暴な言動(4号):大声で怒鳴る、「死ね」などの暴言、ドアを激しく叩く
- ⑤無言電話・執拗な連絡(5号):無言電話、拒否してもLINEやメールを何度も送りつけてくる
- ⑥汚物などの送付(6号):汚物や動物の死骸を送りつける
- ⑦名誉を傷つける行為(7号):中傷する内容を告げる、SNSで誹謗中傷する
- ⑧性的羞恥心を害する行為(8号):わいせつな写真を送りつける、卑猥な言葉を浴びせる
法改正により、相手のスマホの位置情報を無断で取得することや、車へのGPS機器・紛失防止タグの取り付けも規制対象です(同法2条3項)。
同じ相手にこれらを繰り返すと「ストーカー行為」にあたります(同法2条4項)。ただし、①〜④と、⑤のうちメール・SNSの送信については、身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる方法で行われた場合に限られます。
ストーカー行為をした者は、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金に処されます(同法18条)。
※拘禁刑:2025年6月1日施行の改正刑法で、懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰です。
元夫からストーカー被害にあった場合の対処法
ストーカー被害を受けたら、記録に残る方法で拒否の意思を一度はっきり伝え、その後は元夫からの連絡に反応しないのが基本です(直接伝えるのが怖い場合や、子どもに関する連絡が必要な場合は、弁護士を通す方法もあります)。
あわせて、LINEやメールの画面・着信履歴を保存し、待ち伏せなどをされた日時・場所・言われた内容もメモに残しておけば、警察や弁護士へ相談するときの証拠になります。拒否した後に届く連絡も証拠になるため、すぐにブロックせず履歴を残しておくのが望ましいです。
そのうえで、次の対処法を検討してください。
- ①離婚後の住所を知られないための対策をしておく
- ②DV防止法に基づく保護命令を出してもらう
- ③警察に相談しストーカー規制法の警告・禁止命令を求める
- ④穏便に解決したい場合は弁護士に相談する
①離婚後の住所を知られないための対策をしておく
お子さんがいる場合、お子さんの戸籍の附票には転居先の住所が記録され、元夫は父親として写しを請求できるため、ストーカー行為から逃れるために引っ越しても、居場所がバレてしまうおそれがあります。離婚後でも、市区町村に申し出て「支援措置」を受ければ、元夫からの住民票や戸籍の附票の写しの請求を制限できるため、お子さんの分もあわせて検討しましょう。引っ越し先を知られないための注意点は「ストーカー被害で引越先がバレないための注意点と費用請求の可否」で解説しています。
ただし、職場や子どもの学校を知られていると、後をつけられて自宅が判明するおそれもあります。
②DV防止法に基づく保護命令を出してもらう
DV防止法に基づく「保護命令」とは、配偶者または元配偶者からの暴力などにより、被害者の生命や心身に重大な危害が及ぶおそれが大きいときに、裁判所が出す命令です。
ただし、元配偶者に対する保護命令が出されるには、離婚前に身体に対する暴力または生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫を受けていることが必要です。離婚後にはじめて元夫から暴力や脅迫を受けた場合には、保護命令は認められませんので注意してください。
保護命令の代表的なものが接近禁止命令で、元夫が被害者の身辺につきまとうことや、住居・勤務先の付近をうろつくことを、命令の効力が生じた日から1年間禁じます(DV防止法10条1項)。一定の場合には子や親族への接近禁止命令も出され、連続した電話や面会の要求などを禁じる電話等禁止命令もあります。
保護命令は被害者が地方裁判所に申し立てるもので、離婚前の暴力や脅迫を示す診断書・写真・メールなどの証拠があると役立ちます。
保護命令に違反した場合の罰則は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です(同法29条)。
③警察に相談しストーカー規制法の警告・禁止命令を求める
元夫のつきまとい等や位置情報の無断取得で不安を覚え、さらに繰り返されるおそれがある場合は、警察に相談しましょう。警視総監・道府県警察本部長・警察署長は、被害者の申出または職権(自らの判断)で「警告」を出せます(ストーカー規制法4条)。同じ場合に、都道府県公安委員会は行為を繰り返さないことなどを命じる「禁止命令等」も出すことができ(同法5条)、警告を経ずに出されることもあります。
禁止命令等のうち反復を禁じる命令に違反してストーカー行為をした者には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という罰則があります(同法19条1項)。さらに、ストーカー行為にあたる場合は、警告や禁止命令を経ずに元夫が逮捕されることもあります。
証拠が乏しいと、警察が警告や逮捕に踏み切れない場合もあります。相談には証拠を持参し、被害届の提出も検討しましょう。警察の対応については「警察にストーカーの相談をしたら本当に助けてくれるのか?対応を解説」もご確認ください。
④穏便に解決したい場合は弁護士に相談する
- 子どももいるため、その父親をいきなり警察に突き出すのは気が引ける…
- 元夫の性格からして、警察沙汰にしたら報復される可能性がある…
このようにお考えの方は、弁護士を介して元夫に警告してもらう方法も検討しましょう。
弁護士が威圧的でない表現で中止を求めることで、元夫をいたずらに刺激せずに解決を図れる場合があります。
弁護士が代理人になれば、元夫との直接のやり取りを避けられます。弁護士名の内容証明郵便(送った文書の内容を郵便局が証明する郵便)でつきまといや嫌がらせをやめるよう求めれば、警告した事実を記録に残すこともできます。精神的苦痛について慰謝料を請求できる場合もあり、行為がやまないときは警察や裁判所での手続きも任せられます。慰謝料の相場は「ストーカーの慰謝料や示談金の相場はいくら?弁護士が解説」をご参照ください。
ただし、元夫の言動によりご自身やお子さん、親族等の身に危険が及ぶと感じた場合には、安全を最優先に考え、迷わずに警察に駆け込むようにしましょう。
元夫のストーカー行為でお悩みの方へ
元夫のストーカー行為には、警告・禁止命令や保護命令など、やめさせるための法的な手段があります。
弁護士を通じれば、警察沙汰を避けて元夫に警告することもできます。
「子どもの父親だから、おおごとにしたくない」「警察に相談したけど動いてもらえなかった」と迷っている方も、被害がエスカレートする前にご相談ください。
当事務所はストーカー被害の解決に注力しています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ストーカー被害の解決に豊富な実績を持つ。元交際相手からのつきまとい、ネットストーカー、職場でのストーカー被害など、警察に相談しても動いてもらえないケースにも弁護士として毅然と対応。「報復が怖い」「大事にしたくない」という被害者の心情に寄り添い、穏便かつ確実にストーカー行為を止めさせることに全力を注いでいる。

