ストーカーにしつこくつきまとわれていると、終わりが見えない不安感を抱く方も多いかと思います。
- ストーカーが諦めるときはどんなときだろう…
- ストーカーに諦めさせるにはどう対処すればいいのだろう…
このような悩みを抱えている方も少なくありません。
そこでこの記事では、ストーカーに強い弁護士が、
- ストーカーが諦めるときはどのようなときか
- ストーカーに諦めさせるための対処法
などについてわかりやすく解説していきます。
現在ストーカー被害に遭われている方でこの記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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目次
まずはストーカーの心理を理解しましょう
ストーカーに諦めさせるためには、まずはストーカーの心理を理解しておくことが何より重要です。
ここではストーカーの心理分析の第一人者であるミューレン医師による分類をご紹介します。オーストラリアのモナシュ大学法精神医学教授のミューレン医師によれば、ストーカーの心理は以下の5つの類型にパターン分けできると提唱しています。
親密追求型
「親密追求型」とは、相手と自分は恋愛関係にあるという妄想にとりつかれている心理状態のストーカーを指します。
つまり一方的に「自分と相手方は愛し合っている恋人同士」であり、「これが真実の愛だ」と思い込み、相手との親密な関係を求めてきます。
親密追求型のストーカーのほとんどは、被害者への性的な妄想や、自分に対して愛情があったと信じ込んでいるケースであるため、このタイプのストーカーに「迷惑行為をやめろ」と説得することには効果がありません。
むしろ、お互いに愛し合っているのに会えないことに苛立ちや不満を覚え、第三者が2人の恋愛感情の邪魔をしているのではないかと考えるようになり、ストーカー行為がエスカレートしていくおそれもあるのです。
無資格型
「無資格型」とは、相手に対する自分の愛情が一方的なものであると認識しているものの、自らの欲求を一方的に相手に押し付けてくるタイプのストーカーを指します。
つまり、このタイプのストーカーは、好意を伝えられる相手の立場に立って物事を考えることができず、しかしいつかは相手に振り向いてもらえるはずだと信じてストーカー行為を繰り返すのです。
無資格型のストーカーは、異性に対してどのように接すれば良いのかが分からず、相手に対する自分の権利意識は強固に有している一方で、少しずつ人間関係を構築していくという意識や能力が欠如しています。
そのため一方的に愛情表現行為を繰り返し、その行為に相手が応えてくれない場合には、逆恨みして攻撃に転じるおそれがあります。
したがって、自分の欲求が満たされてないことに憤慨して、暴行・脅迫、性暴力に発展する危険性があります。
憎悪型
「憎悪型」とは、被害者に対して嫌がらせや迷惑行為を繰り返すことで、相手を支配しているという満足感を得るタイプのストーカーを指します。
このタイプの人物は、逆恨みなど一方的に相手に恨みを抱いたり、被害者の身に覚えがないことを理由に憎悪を抱いたりすることがあり、被害者本人はストーカーと面識がなかったり、原因もまったく心当たりがないというケースがあります。
なかには「自分より良い物を持っていた」「自分の悪口を言っていた気がする」など一方的な被害妄想を抱く傾向が強いです。
そのため憎悪型のストーカーの場合には、被害者との間にほとんど関わりや接点がない相手から嫌がらせを受けるという可能性があるのです。
拒絶型
「拒絶型」とは、元交際相手や元配偶者に捨てられた・拒絶されたという認識が原因となってストーカー行為を繰り返すようになるタイプのことを指します。
拒絶型のストーカーの場合、相手にふられたことや離婚されたことを受け入れられなかったり、そのことにより自尊心が大きく傷ついたりしたことで、ストーカーに転じてしまいます。
なんとしても相手と復縁したいと望んでストーカー行為を繰り返す人物もいれば、相手に捨てられたことで報復したいという理由でストーカー行為を繰り返す人物もいます。
いずれにしても相手と破局したという事実を受け入れられないという強い思いが引き金となって、ストーカー行為にまで発展してしまうケースが多いのです。
略奪型
「略奪型」とは、被害者に対してレイプや強制わいせつなど性的な攻撃を計画しているタイプのストーカーです。
略奪型のストーカーの場合には、つきまとい行為から得られる相手への悪影響に快感を感じており、綿密な計画を立てたりリハーサルを行ったりする傾向もあります。
このタイプの人物は、実際の犯行や自分が逮捕されるまで長期にわたりストーカー行為を繰り返すおそれがあり、被害者の誘拐や監禁を計画していることもあるため非常に危険です。
略奪型のストーカーについては他の類型と比較して、性的倒錯・性嗜好異常のような傾向もみられ、性犯罪の前科・前歴がある人物である可能性も高くなります。
ストーカーが自発的に諦めることは期待できない
ストーカーが自発的にストーキングやつきまとい行為を諦めることは期待できません。
ストーカーの関心が別のターゲットに移った場合や、他に好きな人ができたような場合には、あなたに対するストーキングが無くなる可能性はあります。
しかし、そのような事情変更を期待する場合には漫然と待っている必要がありますし、必ずしもあなたに対するストーカー行為が無くなるとは言い切れません。被害者に恋人ができようが、結婚して配偶者ができようが執拗に追い回される可能性があります。
そのため、ストーカー被害に遭っている場合には、強制的に諦めさせる以外に有効な方法はありません。それではストーカーが諦めるときとは、具体的にどのような場合なのでしょうか。以下で確認していきましょう。
ストーカーが諦めるとき
自分に不利益が及ぶことが分かった時
自分に不利益が及ぶことが分かった時には、ストーカーが諦める場合があります。
被害者から警察にストーカー被害を相談することで警察が加害者に警告したり、弁護士に事件を依頼することで弁護士が加害者に警告したりすることがあります。このような場合には、加害者が告訴・逮捕され裁判手続で有罪判決が出されるリスクが出てきます。
そのため、逮捕・起訴されたことで仕事を失ったり、民事責任として慰謝料を請求されたり、具体的な不利益が自分に及ぶことを理解した場合には、加害者がストーカー行為を諦める可能性があります。
物理的に完全に対象者と接触できなくなった時
物理的に完全に対象者と接触できなくなった時にも、ストーカー行為を諦める可能性があります。
例えば、被害者が引っ越しをしたり、転職して勤務先が変わったりした場合には、加害者は被害者の行方を追うことができなくなるため、つきまとい行為を諦める可能性があります。
また電話番号やSNSアカウントを変更・抹消した場合にも、加害者から接触することができなくなるため、同様に諦める可能性があります。
ここで、加害者が警察に逮捕され刑事手続きにかけられた場合も、身体拘束を受けることになるため対象者に接触することができなくなります。ただしこのような場合であっても、執念深い相手の場合には釈放・出所して以降に、再度接触を図ってこようとするおそれもあります。
ストーカーを諦めさせるには警察への相談がベスト
警察に行く前に証拠を確保しておく
ストーカーを諦めさせるには、すぐに警察へ相談することがベストな対処法です。
ストーカー規制法に基づき、警察はストーカー被害に介入することができます。警察が事件性があると判断した場合には、加害者に対する警告や禁止命令を出してくれたり逮捕に乗り出してくれたりする場合があります。
ただしストーカー行為を立証するための証拠がまったくない場合には警察は動いてくれない可能性があります。ストーカー行為を立証することができる証拠としては、以下のようなものがありますので出来るだけ集めたうえで警察に相談に向かうようにしましょう。
- 相手方との通話記録
- LINEやメールでのやり取りの履歴
- ツイッターやフェイスブックなどSNS投稿のスクリーンショット
- ストーカーの相手が残していった贈り物や手紙など
- ストーカー被害について詳細に記録した日記や備忘録など
ただし、身に危険が及ぶ可能性があるなど緊急性が高い場合には、証拠の有無にこだわらずに警察に駆け込むべきでしょう。なぜなら、そのような急迫性・緊急性がある場合には証拠が無くてもなんらかの対処をとってくれる可能性があるからです。
警察はストーカーに対してなにをしてくれるのか
ストーカー規制法が整備されたため、ストーカー行為や迷惑なつきまとい行為については警察が介入してやめさせるようにはたらきかけることが可能になりました。そのため警察署に行ってストーカー被害を訴えることで、とるべき対処法や措置を詳しくアドバイスしてもらえるでしょう。
ストーカー被害を相談した場合、ストーカー規制法に基づき警察がとってくれる対処法は以下のような措置です。
警告
警察はストーカー加害者に対して、ストーカー行為を繰り返してはいけない旨を警告することができます。
これはストーカー規制法第4条に基づく措置であり、警視総監若しくは都道府県警察本部長又は警察署長の名義で文書による警告通知や口頭による警告を行うことになります。
この警告は、被害者から警告を求める旨の申し出をうけた場合に行うことができる旨が規定されているため、加害者に警告してもらうためには被害者側が申し出る必要があります。
禁止命令
禁止命令とは、都道府県公安委員会が、ストーカー行為をした者に対して、更にストーカー行為をしてはならないことやストーカー行為を防止するために必要な事項を命じることです。
禁止命令の発出方法自体は警告と大きく変わりませんが、禁止命令に違反してストーカー行為をした者には刑罰が科されることになるため、警告よりも法的な重みが異なります。
禁止命令に違反してストーカー行為をした者には「2年以下の懲役」または「200万円以下の罰金」が科されることになります。
禁止命令は被害者からの申し出に基づくほか、警察の職権で発せられることがあります。
避難先や支援団体などの紹介・あっせん
被害者がストーカー被害を自ら防止するための援助の申し出をした場合には、警察本部長等は必要な援助を行うことになります。
具体的には、防犯ブザーなどの被害防止に役立つ物品の貸し出しや、パトロールなどストーカー被害を防止するために必要な援助、被害防止のために活動を行っている民間団体の紹介などをお願いすることができます。
警察にストーカーの相談をしたら本当に助けてくれるのか?対応を解説
ストーカーは犯罪です! 被害を受けたらすぐ警察に相談を | 政府広報オンライン
警察が動いてくれなかった場合の対処法
まずは身の安全を確保する
警察がストーカーに対して動いてくれなかった場合はどうすればいいのでしょうか。
まず第一にすべきなのは身の安全を確保することです。具体的には以下に挙げるような対処法により自らの身を守るようにしてください。
引っ越し・一時避難をする
アパートやマンションを変えて引っ越ししたり、一時的に実家や避難所に避難するという方法が取れます。生活の拠点を変えてしまうことでストーカー加害者から物理的に距離をとることができます。
このような一時避難にはコストがかかるためなかなか決心できない被害者が多いのが問題です。そこで危険性・切迫性が高いストーカー被害の場合には、ホテルやウィークリーマンションなどへの一時避難にかかった宿泊費を公費で負担するという通達が存在しています。この公費負担とされる期間は緊急性の例外とされている関係で、原則として1泊分です。ただし安全確保のために必要があると認められたときは期間を延長することができます。
また引っ越した際には、ストーカーによる住民票の閲覧を制限することができます。具体的な手続きをとる場合には、市役所や警察署に相談することがおすすめです。
1人での行動は極力避け防犯グッズを持ち歩く
ストーカー被害に遭わないようにするために1人での行動は極力避けましょう。
パートナーや友人に同伴をお願いしたり、人込みが多い場所を選んで行動することが重要です。それでも一人で夜道や狭い路地などを通る必要がある場合には、防犯ブザーや防犯スプレーなどの防犯グッズを必ず携帯しておきましょう。何かあった場合にはすぐに第三者の助けを呼べる体制を整えておくことが重要です。
個人情報の管理を徹底する
個人情報の管理を徹底するということもストーカー被害を防止するのに有効な手です。
具体的には、個人情報が記載された書類関係はシュレッダーにかけたうえで処分する、郵便ポストは施錠しておく、SNSアカウントの削除・変更するなど、ストーカーの相手に個人情報を把握されないような対策を講じておく必要があります。
大家さん・管理人に現状を伝えておく
第三者の助けを借りるというのも重要な対処法です。
例えばマンションやアパートの大家さんや管理人にストーカー被害に遭っている現状を伝えておくことで撃退してくれたり、怪しい人物に目を光らせてもらえたりする可能性があります。
また、第三者の目撃情報や監視カメラ映像の提供などによって警察を動かせるケースもあります。
民間の警備会社に依頼する
ストーカー撃退サービスを専門的に取り扱っている民間の警備会社も存在しています。
モバイルセキュリティによって非常時にはどこからでも通報できたり、非常時には警備員を現場に急行してもらえたりする防犯サービスが利用できます。
このような第三者の強力な防犯サービスを利用することで、ストーカー行為を諦めさせられる可能性があります。
専門機関の相談窓口に相談する
ストーカー被害者を支援するための公的機関やNPO(非営利)法人も存在しています。
インターネットや電話で無料相談できる機関もあります。
いきなり警察や弁護士にストーカー被害の相談に行くのははばかられるという方は、まずは専門機関に無料相談してみるのもおすすめです。適宜警察や弁護士会などの関係機関と連携して対処することも期待できるでしょう。
ストーカー被害に遭ってしまったときに利用したい公的相談窓口一覧
穏便に解決したい場合には弁護士に相談する
警察沙汰にまではしたくない、警察を介入させることで相手に逆恨みされたくない、穏便に解決したいという場合には、弁護士に相談することがおすすめです。
- 元恋人や知人などの間柄であるため警察に突き出すのは気が引ける
- 相手が自殺を仄めかしているのでおおごとにはしたくない
- 警察沙汰にして逆恨みされて報復されるのが怖い
上記のような場合には弁護士に依頼することで、適切に解決できる場合もあります。
弁護士に相談や依頼をすることでストーカー被害に遭っていることを立証するための証拠収集の方法や、代理人として相手への警告、代理人弁護士として告訴状を提出したり裁判所に接近禁止の仮処分などを申し立てたりしてもらえる場合があります。つきまといや嫌がらせの程度がひどい場合には、ストーカーに慰謝料を請求することもあります。
弁護士が被害者の代理人としてついていることが分かると、刑事告訴や慰謝料請求訴訟を恐れてストーカーも事態を深刻に受け止め、ストーカー行為を諦めるケースも少なくありません。
穏便に話し合いでの解決を望んでいる場合には、警察よりもまずは弁護士に交渉や警告を代行してもらうことが必要でしょう。
弊所では、ストーカーを諦めさせるための交渉を得意としており豊富な解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、出来るだけ穏便に解決したいとお考えの方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。
ストーカー被害を弁護士に相談すると何をしてくれる?注意点は?
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