
「別れた相手からの連絡が止まらない」「持ち物に見覚えのないタグが付いていた」といった被害が、ストーカー規制法に当たるのか迷っていませんか。
ストーカー規制法は、恋愛感情やそれが満たされなかった恨みによるつきまといや、位置情報の無断取得を規制する法律です。不安を覚えさせる行為なら、1回でも警察の警告や禁止命令の対象になることがあり、繰り返せば刑事罰の対象にもなります。
この記事では、ストーカー被害の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 対象となる8つの行為とGPSによる追跡
- どこからが「ストーカー行為」になるのか
- 警察の警告・禁止命令の効果と罰則
- 被害を受けたときにとるべき対処
お読みいただくことで、受けている行為が対象になるのか、警察に何を頼めるのかを判断できます。
なお、ストーカー被害でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
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ストーカー規制法とは?何を規制する法律か
ストーカー規制法とは、恋愛感情や好意、それが満たされなかったことへの恨みから行われる待ち伏せや無言電話、GPS機器による追跡などを規制し、繰り返した場合などに処罰する法律です。正式な法律名は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。
1999年の桶川ストーカー殺人事件をきっかけに制定され、規制と被害者への援助によって、個人の身体・自由・名誉への危害を防ぐことを目的としています(1条)。
規制される3つの対象行為
ストーカー規制法が規制しているのは、「つきまとい等」「位置情報無承諾取得等」「ストーカー行為」の3つです。
「つきまとい等」は待ち伏せや連続した電話など8つの行為、「位置情報無承諾取得等」はGPS機器や紛失防止タグで居場所を探る行為を指します。こうした行為を同じ相手に繰り返すことが「ストーカー行為」です。
3つとも、恋愛感情その他の好意の感情か、それが満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で行われることが前提です。被害者本人だけでなく、配偶者や直系・同居の親族など、本人と社会生活において密接な関係を有する人への行為も含まれます。
ストーカー規制法はどのように改正されてきたか
ストーカー規制法の主な改正は次のとおりです。
- 2016年改正(2017年施行):SNSのメッセージやうろつき行為を追加。警告がなくても公安委員会が禁止命令を出せるようにし、ストーカー行為罪を非親告罪(告訴がなくても起訴できる犯罪)に変更
- 2021年改正:GPS機器などによる位置情報の取得や、文書の連続送付などを追加
- 2025年改正(同年12月30日施行):紛失防止タグの規制や、申出がなくても警察が警告できる仕組みなどを追加
- 2025年改正(翌年3月10日施行):被害者の情報を持っている人や集めようとしている人に、警告等を受けた相手へ提供しないよう警察が求めることができる仕組みを追加
ストーカー規制法の対象となる「つきまとい等」8つの行為
ストーカー規制法2条1項は、「つきまとい等」を次の8つの類型で定めています(参考:e-Gov法令検索)。
①つきまとい・待ち伏せ・見張り・押し掛け
例えば、通勤経路で尾行される、職場の出入口で待ち伏せされる、自宅の近くで見張られる、家に押し掛けられる、といった行為です(ストーカー規制法2条1項1号)。旅行先など「現に所在する場所」の付近での見張りやうろつきも対象です。
②監視をほのめかして告げる行為
例えば、帰宅した直後に「今帰ったね」とメッセージが届く、その日の服装を言い当てられるなどの行為です(ストーカー規制法2条1項2号)。実際に見張られていなくても、「監視していると思わせるような事項を告げる」こと自体が対象です。
③面会や交際の要求
例えば、断っているのに復縁や面会を求め続ける、受け取りを拒んだプレゼントを押しつける、といった行為です(ストーカー規制法2条1項3号)。条文の「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること」には、謝罪を繰り返し求める行為なども含まれます。
④乱暴な言動
例えば、大声で怒鳴りつける、「殺す」といった粗暴な言葉を投げつける、家の前でクラクションを鳴らし続ける、といった「著しく粗野又は乱暴な言動」です(ストーカー規制法2条1項4号)。
脅迫罪などが同時に成立することもあり、身の危険を感じたら110番通報を優先してください。どの言動が脅迫罪などに当たるかは「どんな行為がストーカーや脅迫罪になるの?弁護士が分かりやすく解説」をご覧ください。
⑤無言電話や拒否後の連続した電話・メール・SNS
例えば、無言電話をかけてくる行為や、拒んでいるのに電話をかけ続けたり、手紙やメール、SNSのメッセージを連続して送ってきたりする行為です(ストーカー規制法2条1項5号)。
LINEなどのメッセージや、あなたが開設したブログ・SNSへの書き込みも「電子メールの送信等」に含まれます(2条2項)。
⑥汚物や動物の死体などの送付
例えば、汚物や動物の死体のように著しく不快な物を、自宅や勤務先に送りつけたり、玄関先に置いたりする行為です(ストーカー規制法2条1項6号)。
⑦名誉を害する内容を言いふらす行為
例えば、「不倫している」といった名誉を害する内容をSNSに書き込む、共通の知人に言いふらすなどの行為です(ストーカー規制法2条1項7号)。条文は、告げた内容が事実かどうかで区別していません。
⑧性的羞恥心を害する行為
例えば、わいせつな画像を送りつける、性的な言葉を浴びせる、性的な画像をインターネット上に公開する、といった行為です(ストーカー規制法2条1項8号)。交際中の画像を無断で公開されたときは、いわゆるリベンジポルノ防止法違反も問題になります。
GPS機器や紛失防止タグによる「位置情報無承諾取得等」も規制対象
承諾を得ずに居場所を探る行為(位置情報無承諾取得等)も、ストーカー規制法2条3項で規制されています。例えば、車やカバンに付けたGPS機器の位置情報を受け取る、スマートフォンに勝手に位置情報共有アプリを入れて居場所を把握する、紛失防止タグで追跡する、機器やタグを仕込んだ物を渡す、といった行為です(2条3項1〜3号)。
交際中に同意した位置情報の共有でも、別れた後に拒んだのに相手が取得を続ければ、規制対象になり得ます。
見覚えのない機器やタグを見つけたときは、その場で捨てずに、発見した場所や状態を写真に残して警察に相談してください。
どこからが「ストーカー行為」になるのか
ストーカーとは、一般にしつこくつきまとう人を指しますが、ストーカー規制法は、同じ相手につきまとい等や位置情報無承諾取得等を反復することを「ストーカー行為」と定義しています(2条4項)。これに当たるかは反復と目的の2点で判断します。
同じ相手に繰り返していること
1回きりの行為は、ストーカー行為に当たりません。条文に回数の基準はありませんが、拒まれた後も同じ相手につきまとい等を繰り返していれば、反復の要件を満たし得ます。
ただし、①〜④と、⑤のうち電子メールの送信等は、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」で行われた場合に限り反復に数えられます(ストーカー規制法2条4項)。
一方、不安を覚えさせる行為があって繰り返すおそれがあれば、1回の行為でも警告や禁止命令の対象になり得ます。
恋愛感情や好意が背景にない場合はストーカー規制法の対象外
貸したお金の取り立てや近隣トラブルによる嫌がらせなど、前述の目的(恋愛感情や好意、それが満たされない恨み)がないつきまといは、ストーカー規制法の対象外です。
ただし、都道府県ごとの迷惑防止条例などで対応できることがあります。
ほかにも、不安や迷惑を覚えさせるような仕方でのつきまといは軽犯罪法違反になることがあり、脅迫罪や住居侵入罪に当たる場合もあります。
逆に、前述の目的があれば、相手が交際相手か、元交際相手か、面識のない人かは問いません(2条1項)。
ストーカー規制法の警告・禁止命令と罰則
ストーカー規制法では、警察の「警告」と公安委員会の「禁止命令」で被害を止め、ストーカー行為や命令違反には刑事罰を科します。
警察による警告は申出がなくても出せる
警告とは、つきまとい等や位置情報無承諾取得等をして相手に不安を覚えさせた人に、同じ行為を繰り返すおそれがあるとき、警察本部長や警察署長が「繰り返してはならない」と告げる措置です(ストーカー規制法4条1項)。
被害者の申出によるのが基本ですが、2025年12月30日からは申出がなくても警察が職権で警告できるようになりました。
警告そのものには行為者を法的に縛る効果はなく、従わないことだけで処罰されるわけではありません。ただ、警告を受けた人は警察に動向を注視され、行為が続けば禁止命令や逮捕につながることがあります。
公安委員会による禁止命令は警告がなくても出せる
禁止命令は、都道府県公安委員会が、行為者にその行為を繰り返さないことなどを命じる処分です(ストーカー規制法5条1項)。申出のほか、職権でも出せます。
警告を経る必要はなく、危険性が高い事案では最初から禁止命令で対応できます。
効力は1年で、延長もできます(5条8項・9項)。緊急時は申出により、身体の安全を守るためなら職権でも、行為者の言い分を聞かずに出せます(5条3項)。
警察庁の公表資料によると、令和7年(2025年)の禁止命令等は3,037件で、法施行後最多でした。
被害者に近づかないよう行為者に命じる、いわゆる接近禁止もこの禁止命令で行われます。裁判所の接近禁止は、DV防止法の保護命令や民事の仮処分という別の制度によります。保護命令は、配偶者や生活の本拠を共にする交際相手から身体への暴力や、生命などに害を加えると告げる脅迫を受けた人が対象です。
ストーカー規制法違反の罰則
罰則は次の3段階です(ストーカー規制法18条〜20条)。
- ストーカー行為をした者:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 禁止命令(繰り返しを禁じるもの)に違反してストーカー行為をした者:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
- 上記以外でその禁止命令に違反した者:6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」になりました。
ストーカー行為罪は非親告罪です。また、警告や禁止命令を待たずに、繰り返される行為そのものが処罰されます。公訴時効(起訴できる期限)は3つの罪とも3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。
ストーカー被害を受けたときの対処
ストーカー規制法を使う際の要点をまとめます。対処法の全体像は「ストーカー被害に遭ったらすぐすべき8つの対処法と対策」で解説しています。
証拠を残す
ストーカー規制法に基づく申出でも弁護士への相談でも、「いつ、どこで、何をされたか」の記録が証拠として役立ちます。着信履歴やメッセージのスクリーンショット、届いた物の写真、待ち伏せされた日時と場所のメモを残しましょう。
警察に相談する
ストーカー規制法の警告や禁止命令の申出の窓口は、最寄りの警察署です。緊急でない相談は、警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。
現在の住所地だけでなく、被害を受けた当時の住所地や行為者の現住所、行為があった場所の警察も警告を出せるため(14条3項)、転居後でも相談できます。
警察には、被害を自ら防ぐための援助を申し出ることもでき、相当と認められれば防犯の措置の教示などを受けられます(7条)。地域住民や、被害者の勤務先・学校の長も援助に努めるものとされています(9条3項)。また、誰であっても、ストーカー行為等をするおそれがある人だと知りながら、その人に被害者の住所などを教えることは禁じられています(6条1項)。
警察に相談した後の進み方は「ストーカーを警察に相談したらどうなる?相談後の流れを解説」をご覧ください。
ほかの相談先は「ストーカー被害の相談窓口|警察以外の窓口も紹介」をご確認ください。
弁護士に相談する
「自分の被害がストーカー規制法の対象になるのか分からない」「警察に何をどう伝えればよいか分からない」というときは、弁護士に相談してください。
弁護士は経緯を整理したうえで、警察への相談に同行したり、警告や禁止命令の申出を支援したりできます。
弁護士が窓口になれば相手と直接やり取りせずに済み、慰謝料の請求など、警察では扱わない民事上の対応も任せられます。
ストーカー規制法の対象になるか迷ったら弁護士にご相談ください
恋愛感情などを背景にしたつきまとい等や居場所の無断取得に対し、警察の警告、公安委員会の禁止命令、刑事罰という複数の手段で被害者を守るのがストーカー規制法です。
ただ、被害の渦中で経緯を整理し、緊急性が伝わるように警察へ説明するのは容易ではありません。すでに待ち伏せや繰り返しの連絡を受けているなら、時間が経つほど危険が高まります。
当事務所はストーカー被害の相談を多数取り扱ってきた実績があり、依頼者の安全を最優先に、弁護士が迅速に動きます。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
ストーカー被害の解決に豊富な実績を持つ。元交際相手からのつきまとい、ネットストーカー、職場でのストーカー被害など、警察に相談しても動いてもらえないケースにも弁護士として毅然と対応。「報復が怖い」「大事にしたくない」という被害者の心情に寄り添い、穏便かつ確実にストーカー行為を止めさせることに全力を注いでいる。

