
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
状況:勤務先の元同僚に付きまとわれ、自宅や会社に連絡が入っている
Aさんはとある企業で勤務しておりました。
勤務先には同僚の男性Bさんがおり、ことあるごとにAさんに話しかけてくるようになったようです。
業務上の会話であれば何も気にしなかったのですが、業務外の個人的な話を一方的にしてくるようになり、Bさんが自身に好意を持っていることは感じていたものの、少しずつBさんのアプローチが負担になってきました。
それでもAさんは職場の同僚であったことから我慢をしていました。
ある時、Bさんは退職をしました。
AさんはBさんからの連絡が止むものと思っておりましたが、月1回くらいのペースでメールが来ることが数年間続いたようです。
Bさんからの連絡は、直接的な表現はないものの、Aさんを褒めちぎるような内容でした。
AさんはBさんに対する好意はありませんでしたが、あまりにも連絡が続くので、一度Bさんと食事に行ったことがありました。
その際、Bさんは嫌がるAさんの写真をたくさん撮影したり、体に触れたりしてきたとのことです。
そんなことがあり、Aさんは限界を感じ、これ以上の連絡はしないとBさんに対してメールを送りました。
Bさんからは、もう終わりですねという返信があった後、暫く連絡はありませんでした。
Aさんは安心しましたが、暫くすると、匿名のハガキや手紙が会社や自宅に届くようになり、Aさんの携帯電話や会社宛に無言電話が非通知でかかってくるようになりました。
匿名や非通知であったため、誰が送り主・発信者であるのかは分かりませんでしたが、Aさんに心当たりがあったのはBさんのみであったため、会社の同僚に協力をしてもらい、Bさんに話を聞いてもらうと、Bさんがハガキや手紙を送り、無言電話をかけたことを認めたようです。
二度と同じようなことをしてもらいたくなかったAさんは、同僚を通じて誓約書を作成するよう申し入れ、Bさんから誓約書を受け取ります。
しかしながら、誓約書を受け取った後も、非通知でAさんの携帯電話が鳴ったり、会社への無言電話が続きました。
Aさんは精神的に不安定になり、弊所に相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんから時系列で、現在までの事実経過を伺いました。
一度、食事に行ったことはあるが、それまでも、それからもBさんに対して好意を示したことはないとのことでした。
また、Bさんとの間で貸し借りを作りたくなかったことから、お金やプレゼントを貰ったり、食事をご馳走してもらったりすることは断っていたようです。
AさんのBさんに対する認識は、職場の元同僚でしかなく、自身に好意があるのは気づいていたが、数年間にもわたり連絡を続け、さらに自宅や会社へアプローチしてきていることに恐怖しかないとのことでした。
Aさんが持参したハガキや手紙を拝見すると、直接的な表現はないものの、Aさんの身に危険が及ぶとも読めるくだりがあり、同じような内容のハガキや手紙を複数回受け取れば、恐怖を感じるのは当然だと思えるものでした。
また、Bさんが差し入れた誓約書には、Aさんの自宅や職場宛に、匿名のハガキや手紙を送ったことや、非通知で無言電話をかけたことを認めたうえで謝罪し、二度と同様の行為をしないと約する旨記載されており、少なくとも、誓約書を作成する前のつきまとい行為の裏づけとなるものでした。
弊所から、まず身の安全を確保することが重要になるということを伝え、最寄りの警察署にBさんからのハガキや手紙、誓約書など証拠となる物を持参のうえ、被害相談に行くようアドバイスをしました。
しかしながら、警察からは、Bさんが行為を自認していることは分かるが、ハガキや手紙の内容を見る限り、具体的な害悪の告知をしている訳ではなく、刑事事件として対応することは難しいと言われてしまったようです。
そのため、Bさんの行為をブロックして欲しいとの要望を受け、弊所で対応を引き取ることになりました。
ご依頼を受けて早速、Bさんに連絡をしました。
具体的には書面で、弊所がAさんの代理人に就いたこと、Aさんに対してはもちろん、Aさんの職場等関係先に連絡をしないこと、過去に誓約書を差し入れてもらっているが、それ以降もAさんの携帯電話や職場宛に非通知の無言電話が続いていること、その件について最寄りの警察署に被害相談をしていること、Bさんに思い当たる節があるならば弊所まで連絡が欲しいと伝えました。
誓約書を差し入れた後の無言電話がBさんであるとの確証がなかったため、Bさんの行為であるとは決めつけないようにしつつも、おそらくはBさんの行為である可能性が高かったことから、弊所に連絡をしてもらい、Bさんに自認をしてもらうきっかけとなる書面となるよう、表現や内容には注意をしました。
ほどなくして、Bさんから連絡がありました。
Bさんはかなり狼狽しており、誓約書を差し入れた後にも関わらず、気持ちを抑えることができずにAさんの携帯電話や職場に非通知で無言電話をかけてしまったことを認めました。
弊所から、Aさんがいかに恐怖を感じているのかを説明したうえ、二度と同じ行為をしないよう申し入れました。
また、Aさんが、Bさんの行為によって長期間にわたり強い不安を感じ続けたことや警察への相談などの対応のために時間を取られたこと、弁護士に依頼することで経済的な負担を余儀なくされていることを説明し、損害賠償請求をする旨伝えたところ、Bさんは自身の行為がAさんに与えた影響の大きさを実感したようです。
その後、Bさんとの話し合いにより、解決金として100万円を支払ってもらうことになり、接触禁止等の条項を盛り込んだ合意書の取り交わしをしました。
約束の期日通りに解決金の支払があったことから、本件は終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
刑事処分:警察介入なし(民事解決)
職場・家族:職場への影響を最小限に抑え、解決
弊所では今まで、いわゆるストーカー行為の被害を受けた方からのご相談・ご依頼を多数お受けしてまいりました。
被害の内容は様々で、元配偶者、過去の交際相手など、個人的な関係を持っていた相手方から被害を受けるケースが比較的多いと言えますが、ネットを通じて知り合った相手方に個人情報を調べられつきまといを受けるといったケースもございます。
ストーカー被害の対応は、基本的に最寄りの警察署に被害相談に行っていただくことになります。
過去に凄惨なストーカー被害事件があったことから、警察は他の事件と比較して、早い段階から介入をしてくれる傾向にあります。
ある程度、被害の実態が証拠から把握できる事案であれば、警察署によっては、犯罪を未然に防止するという見地から、相手方に連絡を入れてくれる場合もあります。
警察へ相談をしているという事実そのものが、後の対応にプラスに働くこともございますので、ストーカー行為の被害を受けたら、まず最寄りの警察署に被害相談に行くようにしてください。
もっとも、本件のように警察が対応してくれないという場合もございます。
そのような場合でも、ご自身での対応は控えるようにしてください。
ストーカー行為に走る相手方は、認知が歪んでいることも多々あります。
当方から拒否する態度を示しても、自分の話がちゃんと伝わっていないだけだと考えたり、深刻なケースでは、家族や知人などに邪魔をされているのではないかと考えたりすることがあります。
当方の直接のリアクションを見せることで、より事態が複雑化・深刻化していくおそれもございますので、極力接点を持たないようにしてください。
弁護士が介入すれば、相手方と直接の接点を持たないようにしながら、つきまとい行為をしないよう申し入れることのほか、継続すれば警察へ対応を要請することなど警告をすることが可能です。
また、警察に継続的に情報を提供しつつ、連携を取りながら、不測の事態に対応していくこともできます。
さらに、一方的にブロックするだけでなく、相手方の言い分を聞くなどガス抜きをすることもできますし、警察では対応ができない民事上の問題(金銭関係の清算や物の返還など)も代理人として対応していくことができます。
警察へ被害相談に行ったが対応できないと言われてしまった場合には、弊所までお気軽にご相談いただければと思います。
職場でのストーカー被害への対策について詳しくは「社内ストーカーの被害に遭ったら?被害者と会社がとるべき対応」で解説しています。
ストーカー被害で弁護士に相談した場合の具体的な対応については「ストーカー被害に強い弁護士に無料相談|費用と相談の流れを解説」もあわせてご確認ください。
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この記事の監修者
ストーカー被害の解決に豊富な実績を持つ。元交際相手からのつきまとい、ネットストーカー、職場でのストーカー被害など、警察に相談しても動いてもらえないケースにも弁護士として毅然と対応。「報復が怖い」「大事にしたくない」という被害者の心情に寄り添い、穏便かつ確実にストーカー行為を止めさせることに全力を注いでいる。

