ストーカーといえば、元配偶者や元交際相手、友人、知人、職場の同僚など、自分のことをよく知る人や自分と関係がある人が加害者になることが多いものです。
しかし、中には、全く見知らぬ人がストーカーになり、付きまとわれたり待ち伏せを受けたりする被害も起きています。
この記事では、
- 知らない人からのストーカーにはどんな種類があるのか
- 被害に遭いやすいのはどういうタイプなのか
- 知らない人からストーカーされた場合の有効な対策
について、ストーカーに強い弁護士が解説していきます。
「知らない人につけられている気がする」「待ち伏せされている」と感じて恐怖を抱いている人は、ぜひこの先を読み進めてください。
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目次
見知らぬ人からのストーカーはなぜ増えている?
警察庁が公表しているデータによれば、ストーカー規制法が施行された年の翌年(平成13年)に約15000件だったストーカーの相談件数が、令和3年には約20000件まで増加しています。
ストーカーという言葉が認知され、泣き寝入りせずに被害者が警察に相談し始めたことも大きな要因かもしれませんが、ストーカーそのものが増えていることも要因の一つと言えるのではないでしょうか。
また、知り合いからのストーカーだけではなく、見知らぬ人からのつきまといや待ち伏せといった被害が増えていることも、その要因に数えられそうです。
見知らぬ人からのつきまといは郊外よりも都心部で顕著
見知らぬ人からのストーカー被害にあうことは、特に都心部での、人間づきあいが希薄な街に多いと言われます。
田舎であれば人口密度も低いうえ、それぞれのつながりが深いために、なにかしでかすとすぐに噂が広まってしまうという特性があります。そのため、見知らぬ人にストーカーなどしようものなら、すぐに「何か怪しい人がいる」「○○さんが付きまとわれている」と噂になり、加害者自身が特定されるでしょう。
しかし都会のように人とのつながりが薄ければ、そうはなりません。
お互いに知らないという気軽さが助長している
とあるサイトで、見知らぬ人に対してストーカーをしたことがあるかどうかという質問をし、答えを募ったことがありました。そこに回答したのは若い女性が中心でしたが、中には「数年かけて名前も知らない人を追いかけ、実家や勤務先だけではなく、実家や家族構成なども調べ尽くした」という声もありました。
しかも1人や2人ではありません。実際に対象者に立ちはだかったり、執拗に電話をかけたりといった行動に出た人こそ少なかったものの、知らない人へのストーカーはそう別世界の話でもないという印象を受けました。
こうして知らない人に対して気軽にストーキングができるというのは、「相手に自分のことを知られていない」という気楽さからくるところもあるでしょう。
相手に自分の存在を知られていないため、ストーカー行為をしていても拒否されたり嫌われることがない、万が一バレてしまったらストーカー行為をやめればいい、そんな手軽さが伺えます。
知らない人につきまとうストーカー被害の種類
知らない人から付きまとわれる・知らない人が立ちはだかってきた、というような目にあって、恐怖を感じている人もいるかもしれません。知らない人のストーカーには、以下のような4つの種類があります。
①たまたま会った時に好意を抱いた
すれ違った時に「いいな」と行為を抱き、どんな人なのかが気になってその人の情報を調べまくる...ぞっとしますが、実はこういったケースはそう少なくもないようです。
中には、年単位の時間をかけてその人の現住所や勤務先、交友関係や恋人の有無などを調べ尽くし、「誰よりも自分が一番その人のことを知っている」という状態になって悦に入る人もいるのです。
それだけであればまだ実害は少ないですが、そこから発展して相手に対して「全てを知っている」ということを告知する人や、つきまとったりメールを送ったりするなどの接触行為に出てくる場合もあります。
②告白しようと思ってつきまとっている
通勤電車でよく見かける人を好きになったり、よく行くカフェの店員を好きになったりと、人間関係を構築できていない人に対して好意を抱くことは日常的によくあることです。
それは立派な片思いなので、どうにかして距離を縮めたいと努力する人も多いでしょう。中には、告白しようと思ってそのタイミングをうかがっているけれど、なかなか勇気が出なくて気がついたら長期間つきまとってしまっていた、ということもあるかもしれません。
しかし、どんな動機であれ、相手にとってみれば「知らない人から付きまとわれている」ことに変わりはありません。
③ゲーム感覚でつきまとったり尾行したりする
自分よりか弱い存在に対しての嫌がらせという側面が強いのが、ゲーム感覚でのストーカーです。夜道にすれ違った女性を延々と追いかけたり、監視していることをわからせるためにポストに何かを入れたり、家の前で待ち伏せをしたり...。
当然見知らぬ人からそんなことをされると恐怖心を抱きますが、このタイプのストーカーは、相手が恐怖に怯えている様子を見て楽しむのです。この場合、恋愛感情はないと言えるでしょう。
④憎い人・好きな人に外見が似ていた
完全なる逆恨みですが、加害者が恨んでいる人や恋愛感情を抱いている人に似ている、というだけで、ストーカーのターゲットにされてしまうケースもあります。恨みを抱いている人や好きな人本人に気持ちをぶつけることができない鬱憤を、似ている人に晴らそうとする、極めて迷惑な行為と言えるでしょう。
好きな人には嫌われたくないけれど、似ている他人なら嫌われても痛くもかゆくもない、という心理も見え隠れしています。この場合も、ターゲットに対する直接的な恋愛感情はないと言っていいでしょう。
知らない人に恋愛感情がないと取り締まれない?
ストーカー規制法という法律でどんな行為がストーカーにあたるかという「ストーカー行為」の定義がされ、その行為に当てはまった場合は処罰の対象になります。しかし同時に、ストーカー規制法では、「根底に恋愛感情や好意の感情があること」「複数回繰り返されていること」という条件があります。
そのため、付きまとわれていたとしても相手が好意を抱いているわけではないような場合には、ストーカー規制法を使って取り締まることはできません。
そうすると、見知らぬ人からゲーム感覚でストーカーの被害を受けている場合は特に、それを「ストーカー」と呼ぶこともできなければ、取り締まることもできないということになってしまいます。
そこで、もしも相手の行為がストーカー規制法に反しない場合は、他の法律に反するかどうかがポイントです。
単なるつきまといの場合は、軽犯罪法の追随等の罪にあたることがあります。また、各都道府県の条例では、ストーカー規制法の条件を緩和しているケースも多くなっています。
例えば神奈川県迷惑行為防止条例では、恋愛感情に基づかないつきまとい等も規制の対象となるとしています。知らない人からつきまとわれているが、全く恋愛感情などがない、という場合には、こういった条例があるかないかで取り締まれるかどうかが大きく変わります。
かといって、一つ一つを調べることは大変手間がかかること。知らない人からストーカーをされている場合は、弁護士や警察に相談に行くことが早道です。
知らない人からのつきまといで狙われやすい人の特徴
全く面識のない知らない人からのつきまとい行為ですが、加害者側も相手を選んでやっています。どんな人が狙われやすいのでしょうか。
大人しそうで派手な服装をしていない
服装が地味で落ち着いている、ファッションセンスがあまりよくない、大人しそうに見える...こんな人が狙われているようです。ストーカーは、自分よりも強い人に対してはしないのが一般的。そのため、大人しそうであまり派手な服装をしていない人は狙いやすいのです。
こういうタイプの女性は、包容力がある・あまり大騒ぎされなさそうだという印象を与えやすいため、ストーカーが安心感を抱きやすいのです。また、大人しそうな人は自分の言いなりにしやすそうに見えるため、狙われやすいともいえます。
おどおどしている、自分に自信がない
自分に自信がないと、人と接する時にオドオドしてしまったり、人と目を合わせるのを嫌がったりしてしまうため、自分にあまり自信がないことは他人にも伝わることがあります。そういった人はなにか不快なことをされたとしても、直接相手に言い返さない、強く押したらいいなりになってくれそうな雰囲気を持っていることが少なくありません。
そのため、ストーカーからすれば「支配できる」「言いなりになってくれる」と思われやすく、狙いやすいと思われてしまいます。
優しそうに見える
優しそうな人も、知らない人からストーカーに狙われやすいといえます。
恋愛感情があるタイプのストーカーであれば、優しそうな相手には「自分のことを受け入れてくれそう」「自分に好意を持ってくれそう」と勝手な印象を抱きます。また、優しい人は人当たりも柔らかいため、ストーカーの被害に遭ったとしても、そう強く騒いだりしなさそうだと思われます。
知らない人からのつきまといを止める対策法
見知らぬ人から狙われやすいタイプを見ていきました。次に、実際に知らない人から付きまとわれた人が、相手を撃退するために使って効果があったと公表している方法をまとめました。
防犯に気をつける
知らない人から付きまとわれたり、何らかの接触をされたりするのは恐怖です。そもそもその動機もわかりませんし、何をしてくるのかも把握できません。そのため、とにかくまずは自分の身を守ることが先決です。つきまといや待ち伏せの他にも、夜道や1人で歩いているときなどに襲われないように、防犯グッズを身につけておきましょう。
また、知らない間に家に入られたり、会社に忍び込まれたりしないよう、身につける防犯グッズの他にも、監視カメラなどを設置することも有効な手段です。
派手な装いをする・肌の露出を増やす
ストーカーに狙われやすいタイプとして、「おとなしい」「地味である」という特徴があることを書きましたが、それとは逆に派手なファッションにしたり、肌の露出を増やしたりという方法に出て効果があったという人もいます。
ストーカーの特徴として、自分よりも弱い人、言いなりにできそうな人をターゲットにするという傾向が強いと書きました。
派手なファッションやメイクをしている人は、しっかりと自己主張ができ、ストーカーに対しても毅然とした対応をする、すなわち、はっきりと拒絶されるとストーカーに思わせられるため、こういったタイプはターゲットにはならないことが多いよう。言い換えれば、「隙がない」と思われやすいのです。
ストーカー全般に対する基本的対策をしっかり押さえる
ここでは主に、見知らぬ人からストーカーをされた時に有効と思われる対策法について詳しく解説しました。しかし、これだけでは不十分といってもいいでしょう。
この他にも、ストーカー被害に遭った時には「1人で行動しない」「身近な人に相談する」など、いろいろな対策が考えられます。まずは基本的にどんな対策があるのかを知っておいてください。詳しくは、「ストーカー被害に遭ったら必ずすべき8つの対策」の記事で解説しています。こちらも合わせて参考にしてください。
見知らぬ人からのストーカー、「勘違い」と油断せず、早急な対策を
最近、自宅の近くでよくみかける人がいる。知り合いではないし、つけられるような覚えもない。このような時には、「自分とは関係ないだろう」と思って放置してしまうことは普通のことかもしれません。ストーカーに遭っているのかも、と不安になったりするのは自意識過剰かもしれない、と思ってしまうからです。
しかし、見知らぬ人がストーカーの加害者になるということはありえないことではないのです。「まさか自分が被害に遭うなんて」と信じたくない気持ちもわかりますが、もしも怪しい兆候を感じたら、万が一に備えて早急な対策をとることを強くお勧めします。何かあってからでは遅いのです。
もしも、少しでも身に危険を感じたら迷わずに最寄りの警察署にストーカーの相談に行きましょう。自宅周辺のパトロールの強化などの対応をとってくれることが期待できます。
また、知らない人から電話やメール、SNSなどでのネットストーカーに付きまとわれている場合には、弁護士に頼りましょう。電話番号や携帯キャリアメールのアドレスが分っていれば弁護士照会で、ネットストーカーであれば開示請求で犯人特定も可能です。特定後は弁護士からストーカー行為をやめるよう警告もできますし、刑事告訴や慰謝料請求もできます。
弊所はストーカー被害の解決実績が多数あります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。
ストーカー被害を弁護士に相談すると何をしてくれる?注意点は?
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