転職会議で悪い口コミを削除し、犯人を特定するための方法を徹底解説

転職先として考えている会社がホワイト企業なのか、それともブラック企業なのかは転職を考えている人にとっては重大な問題です。知り合いがその会社に勤めていれば情報が手に入りますが、普通はなかなか内部情報は手に入りにくいもの。そこで役立つのが、転職会議などの口コミサイトです。

転職会議では、その会社で働いている、または働いていた人が口コミを書いていることから信頼性が高い反面、嫌がらせや恨みなどから虚偽の情報が書かれることもあります。

今回は、転職会議に悪い口コミを書かれてしまったときの削除方法について解説します。

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1. 転職会議の特徴

転職会議とは、その会社で働いている、または働いていた人が会社に対する口コミ情報を書き込む情報サイトです。類似する口コミサイトは数多くあるものの、転職会議には100万件以上の口コミ情報が掲載されており、国内最大級の規模を誇る口コミサイトとなっています。転職会議の主な特徴は、以下の3つです。

1-1. 無関係な人間でも書き込める

基本的に転職会議に書かれている口コミは、原則として社員または元社員が書いています。求人広告にいくらいいことが書かれていたとしても、実際に求人広告通りのことが行われているかは、入社してみないとわかりません

また、社内の雰囲気や社風なども、働いている人でなければ見えないことが多いものです。そうした生の声を社員や元社員が情報提供することによって、転職を考えている人の役に立つという特徴を持っています。

しかし、転職会議に会社の口コミを投稿するにあたり、その会社で働いている、あるいは働いていたことを証明するための在職証明書の提示が求められるものではありません。

つまり、競合企業の評判を落とすためや、面接で不採用になった逆恨みから、社員や元社員でない人が事実無根の書込みをすることも可能なのです。

1-2. 匿名で口コミを掲載できる

転職会議の口コミを書いた人の情報については、「正社員」「20代後半」「女性」などと表示されるだけで、アカウントすら表示されることはありません。そのため、たとえ会社の同僚であったとしてもその人を特定することは困難だという特徴があります。

会社の口コミを投稿するとき、良い点だけではなく悪い点についても掲載することで公平さを保つことができます。しかし実名やアカウントを作って投稿するとなると、やはり投稿する側が萎縮してしまいます。

そうしたことを防ぎ、情報の公正さを保つために、転職会議では匿名制度をとっているのです。

1-3. 誰でも無料で利用できる

転職会議の情報をすべて閲覧しようとすると、転職会議の会員登録をしなければなりません。しかし、この会員登録は無料で行うことができます。会員登録さえしてしまえば、すべての口コミ情報を見ることができるようになります。

1-4. 悪い口コミを投稿されたときの影響が大きい

では、もしこの転職会議に悪い口コミを投稿されてしまったらどうなるのでしょうか?例えば「パワハラが横行している」「賞与があると聞いていたのに一切支払われなかった」「残業が当たり前だが、サービス残業を強要される」といった口コミが投稿された場合、その会社はブラック企業だというイメージになってしまうことは容易に想像ができます

そうすると、転職を希望している人が「この会社に応募するのは止めておこう」といって採用に支障をきたすだけでなく、その口コミを見た人がSNSなどにその情報を拡散することで、求職者以外の人に対しても会社の悪いイメージが伝わってしまいます

その結果、会社の業績が悪化する可能性もあるのです。こうした悪い口コミが投稿されることによって、会社は大きな損害を被る恐れがあります。

さらにたちが悪いのは、事実ではなく虚偽の誹謗中傷を書き込まれる可能性があるということ。転職会議は完全に匿名での投稿が可能な上、無料で会員登録をしておけば、誰でもその口コミを見ることができます。

そのような場に嘘の情報を拡散されてしまうと、会社が被る損害は計り知れません。そうした害のある口コミについては、できるだけ早い段階で削除し、被害が拡大しないように対策をとる必要があります。

転職会議の口コミ、削除されやすいものとは?

誹謗中傷や名誉毀損となるような口コミが投稿されてしまうと、会社が受ける損害は非常に大きくなってしまいます。転職会議でも、誹謗中傷を意図した投稿は削除の対象となると明言しています。

しかし、だからといって削除してほしいと感じるすべての口コミが削除対象になるわけではありません。一説には、転職会議の口コミは削除されにくいとも言われていますが、どのような口コミが削除されやすく、どのような口コミは削除されにくいのでしょうか?

転職会議においてどのような口コミが削除の対象となるかについては、転職会議のガイドラインを見るとわかりやすいでしょう。転職会議では、以下の5つにあてはまる投稿は削除の対象となるとしています。

  • ①誹謗中傷を意図した投稿
  • ②実際に体験していないことを書いた口コミ
  • ③誇張した表現、断定的な批判
  • ④閲覧者が不快に思う投稿
  • ⑤利用規約に反する投稿

①誹謗中傷を意図した投稿

転職会議では、以下の投稿は誹謗中傷に当たるとして削除の対象となるとしています。

特定の個人に対する、外見的な容姿等に関して悪意ある感情的な表現。
特定の個人に対する、内面的な能力等に関して悪意ある感情的な表現。
特定の企業に対する、定義が曖昧な悪意ある感情的な表現。
個人及び企業に対する、乱暴な言葉遣いによる悪意ある表現。

例えば、「社長が中卒のバカ」といった発言や「○○部の部長はクソみたいな人格」といった発言、「この会社は社会にとって害悪でしかない」というような表現のある投稿は、削除の対象となります。

②自分が体験していないことを書いた口コミ

また、自分が実際に体験していないことについて書かれた口コミも削除の対象となります。

例えば、「私が入社する前のことですが、パワハラが普通に行われていたようです」「残業代を払われていない社員もいたようです」といったように、自分が体験していないこと、人から聞いたことなどを投稿した場合も削除対象となります。こうした投稿は、憶測や推測となってしまい信憑性に欠けるからです。

③誇張した表現や断定的な批判

「上司が毎日始業時間に来ない」「休みがない」といったオーバーな表現や、「この会社で働く価値はない」「粉飾決算をしているに違いない」など、断定的な表現で会社のことを批判するような口コミについても、削除の対象となります。

④閲覧者が不快に思う投稿

転職会議は、あくまでも転職活動をしている人が転職に役立つ情報を手に入れるためにあるサイトです。その趣旨から逸脱するような口コミも削除の対象となります。

「閲覧者が不快に思う」というのはややあいまいではありますが、転職会議では、以下のような投稿を削除対象とするとしています。

転職会議のガイドラインで、閲覧者が不快に思う投稿の例として挙げている5つの項目

⑤利用規約に反する投稿

また、転職会議の利用規約には削除権限として以下のように明記されています(2019年7月時点)。この規約に反する場合も削除の対象となります。

第8条(削除権限)
次のいずれかに該当すると弊社が認めた場合、情報の違法性・規約違反の有無に関わらず、関連する情報について、弊社は、本サイトからその全部もしくは一部の削除または公開範囲の変更等の措置を行うことができるものとします。

公的な機関または専門家(国、地方公共団体、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律のガイドラインに規定された信頼性確認団体、インターネット、ホットライン、弁護士等)から、投稿された情報について、違法性、公序良俗違反または他人の権利を侵害する等の指摘、意見表明があった場合。
権利者と称する者から、投稿された情報が自分の権利を侵害する旨の申告があった場合。

このように、「自分の権利を侵害する」という申告があり、そのことが認められた場合に削除に応じるとしているのです。

転職会議に投稿された口コミを削除したいと思うときには、まずは転職会議のガイドラインを確認し、ガイドラインにある削除対象の条件と合致しているかどうかをチェックしましょう。

転職会議に投稿された口コミを削除する方法

では、ここからは転職会議に投稿された口コミを実際に削除するための方法について解説します。方法としては、転職会議に削除依頼をする・裁判所に仮処分命令を出してもらうという2つの方法があります。

転職会議に削除を依頼する

まずは、転職会議を運営している株式会社リブセンスに対して口コミの削除を依頼します。転職会議には問い合わせフォームが設置されていますので、まずは問い合わせフォームを使ってリブセンスにコンタクトをとりましょう。

問い合わせフォームには問い合わせ内容を具体的に書く欄がありますので、そこで削除依頼を行います。削除依頼を行うときは、必要事項を簡潔に書くことを心がけましょう。必ず書いておくべき情報は以下です。

  • 削除対象となっている口コミの特定
  • その口コミが企業のどのような権利を侵害しているのか
  • もしくは、ガイドライン上のどの部分に違反しているのか

これらの情報を簡潔に記載し、運営側がすぐに該当の口コミを特定できるようにすることが大切です。また、感情的、主観的な文章は逆効果になる可能性もあるので、できるだけ客観的な事実を書くことを心がけてください。

削除依頼をかけるときの注意点

転職会議が任意の投稿削除に応じることは少ない

ただ、注意したいことが、リブセンス側が削除依頼に応じる可能性は極めて低いことです。削除依頼を受けた件数のうち、実際に削除された件数は1%にも満たないというデータもあります。

リブセンスが削除依頼に応じてくれる確率が低いことを考えると、急いで削除したい場合は削除依頼という方法は向いていないといえます。

全て削除されるとは限らない

転職会議で口コミを削除依頼して応じてもらえたとしても、全文が削除の対象になるとは限りません。一部削除として処理されることがあるのです。

一部だけ削除された場合、例えば「この会社は良い会社だが、経営者がワンマンだ」という一文の「ワンマン」だけが削除されて「この会社は良い会社だが、経営者が****だ」というような表記になる可能性もあります。

確かに害のある表現ではなくなっているとしても、全体的に見てこの文章が良いことを伝えている文章でないことは明らかです。削除依頼を行うときには、一部削除になる可能性があるということを押さえておきましょう。

裁判所の仮処分命令を出してもらう

とにかく急いで口コミを削除してほしい、リブセンスが削除依頼に応じてくれない、一部削除ではなく全文削除を求めたいという場合には、裁判所に仮処分を申し立てるという方法が有効です。

仮処分の申し立てが認められれば、裁判所からリブセンスに対して「口コミの投稿を削除しなさい」という仮処分命令が出されることになります。

訴訟とは異なり、仮処分は暫定的な処分です。そのため、仮処分の申し立てから実際に命令が出るまでの期間も短く、1ヶ月程度で命令が出るため、急いでいるのであれば最初から仮処分を検討した方がよいでしょう。

転職会議に口コミを投稿した犯人を特定する方法

仮処分命令などを活用して投稿を削除しても、また同じ人と思われる誹謗中傷の書き込みがなされた。今回の口コミ投稿によって甚大な被害を被ったため、犯人に対して損害賠償を請求したい。

そういったときには、口コミを投稿した犯人を特定する必要があります。そのために活用できるのが、「発信者情報開示」という手続きです。

また、転職会議では「投稿者は投稿を削除できない」と明言しているため、投稿者を特定して自主的に投稿を削除させることはできません。しかし、投稿を修正することは認められています。

そこで、犯人を特定して口コミの内容を問題のない範囲に修正させるということも考えられます。そのためにも、犯人の特定は必要です。

リブセンスに対して発信者情報開示請求を行う

まず最初に行うこととしては、リブセンスに対して発信者情報開示請求を行うことが考えられます。発信者情報開示請求が認められれば、リブセンス側から犯人(発信者)が利用しているプロバイダのIPアドレスが開示されます。
この時点では、犯人の名前などが開示されるわけではありません。

次に、このプロバイダに対してさらに発信者情報開示請求を行うことになります。プロバイダがこの請求に応じたところで、発信者の名前や住所、メールアドレスなどの個人情報が開示されることになるのです。

ただ、口コミの削除依頼と同じく、リブセンスが発信者情報開示請求に応じる確率は極めて低いのが現状です。口コミの投稿者の個人情報を開示するように請求しているため、リブセンス側としては利用者の個人情報を開示するというリスクを負うことになるからです。

同様に、プロバイダも開示請求に応じることに対しては慎重な姿勢を保ちます。そのため、開示請求をしたとしてもそもそも応じてもらえないか、応じてもらえたとしても時間がかかることが予想されます。

ログの保存期間は6ヶ月程度。期限に注意

ここで注意が必要となるのが、プロバイダ側にログが保存されている期間が決まっているということです。プロバイダに発信者情報開示請求を行ったとき、プロバイダ側にログが保存されていなければ、プロバイダが発信者を特定することができません。

このログの保存期間はプロバイダによって変わりますが、一般的には3ヵ月から6ヶ月の保存期間となっています。発信者情報開示請求が認められないままに期間が過ぎてしまえば、犯人の特定が非常に難しくなってしまうため、この点は注意が必要です。

裁判所に対して発信者情報開示請求訴訟を行う

これまでに解説したとおり、リブセンスもプロバイダも、発信者情報開示請求の対応には慎重になることがわかりました。しかし、ログの保存期間や広がり続ける誹謗中傷の被害のことを考えると、あまり時間的な猶予は残されていません。

そこで有力な方法として、裁判所に対して発信者情報開示請求訴訟を行うという方法があります。実際に訴訟を起こして裁判所から「情報を開示しなさい」という判決を勝ち取るのです。

仮処分ではなく訴訟となるため、審理には時間がかかります。期間としては、3ヶ月~6ヶ月ほどを想定しておくとよいでしょう。

リブセンスもプロバイダも、企業からの情報開示請求には慎重であっても、裁判所からの命令には従います。そのためこの方法はかなり有効な方法ではあるのですが、デメリットとして費用がかかるという点があります。また、訴訟も1回では済まず、複数回行わなければなりません。

そのため、すべてのケースで最善な方法とはいえないかもしれません。しかし、何度も同じ人から悪質な投稿をされているため、どうしても犯人を特定したいという場合や、投稿が原因で甚大な損害が生じていて損害賠償を請求したいというように、どうしても犯人を特定したいという場合は有効な方法といえるでしょう。

転職会議の口コミ削除や犯人特定にかかる費用

では、転職会議の口コミを削除したり、犯人を特定したりする場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?どちらの方法も、直接リブセンスやプロバイダに削除依頼や情報開示請求を行う場合は、さほど費用はかかりません。

しかし、仮処分の申し立てや開示請求の訴訟を提起するとなれば、弁護士に依頼する必要が生じます。弁護士にこれらのことを依頼した場合、概ね以下の費用相場となっています。

  • 相談:無料~10,000円程度
  • 任意の削除依頼:5万円~10万円程度
  • 削除請求の仮処分:20万円程度
  • 任意の発信者情報開示請求:5万円~10万円
  • 発信者情報開示請求訴訟:30万円程度

このように、手続きによって費用がかなり変わってきます。まずは相談のときに大まかな見積もりをとっておくとよいでしょう。

まとめ

今回は、転職会議に寄せられた悪質な口コミを削除する方法や、犯人を特定する方法についてご紹介しました。基本的に転職会議に任意に削除依頼や犯人の情報開示を依頼しても、応じてくれる可能性は低いといえます。
早急に事態を改善したい場合は、弁護士に依頼して仮処分や訴訟を視野に入れた対策が重要となります。

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