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出頭と自首の違い
出頭とは捜査機関(警察、検察)・裁判所・役所などに自ら出向くことをいいます。
他方で、自首とは、犯罪を犯した者が、事件が発覚していない又は事件は発覚しているが犯人が特定されていない段階で自発的に捜査機関に名乗り出てその処分を求める行為をいいます。
出頭にしても自首にしても、罪を犯した者が警察や検察といった捜査機関に自ら出向く点で共通していますが幾つかの違いがあります。出頭と自首との相違点をまとめると以下の一覧表のとおりです。
出向くタイミング | 自白の要否 | 減軽の有無 | 方法 | |
出頭 | いつでも | 必要なし | なし ※ただし、量刑判断で斟酌される可能性はあり | 書面は不可 |
自首 | 犯人特定前に必要 | 必要あり | 可能性あり | 書面でも可 |
以下では、この表の内容に沿って、出頭と自首の違いについて解説していきます。
①「捜査機関に出向くタイミング」の違い
「犯人特定前」に捜査機関に出向く必要があるのが自首、「犯人特定後」でもよいのが出頭です。
犯罪事実が発覚していても、犯人が誰かが捜査機関に知られていない段階では自首ができます。しかし、”誰が犯人か”を警察や検察が把握してから出向いた場合は自首ではなく出頭になります。
捜査機関に出向くタイミング | 自首の成否 |
犯罪事実も犯人が誰であるかも捜査機関に発覚していない | 自首が成立 |
犯罪事実は捜査機関に発覚しているが犯人が誰であるかは発覚していない | 自首が成立 |
犯罪事実も犯人が誰であるかも捜査機関に発覚している | 自首は不成立 |
②「出向いた捜査機関での取調べの際、罪を認める必要があるかないか」の違い
罪を認める(自白する)ことを前提とするのが自首で、そうした必要がないのが出頭です。
③「法律上の減軽の可能性があるか否か」の違い
捜査機関に出向いた場合に法律上の減軽を受ける可能性があるのが自首で、可能性がないのが出頭です。
自首による減軽の可能性については刑法42条1項で規定されていますが、出頭につきそのような規定はないからです。
第42条
1.罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
とはいえ、実務上は、出頭したことが刑事処分(起訴または不起訴)や量刑判断で斟酌されることはありますし、出頭することで罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを自ら証明できますので、出頭したという事実を捜査機関や裁判所に有利に勘案してもらえ、その結果、逮捕、勾留を回避できる可能性があります。
なお、自首・出頭ともに上記のようなメリットがある反面、デメリットもあります。自首・出頭ともに自身の犯罪事実をわざわざ捜査機関に認めに行く行為ですので、もしかしたら放置しておけば事件化されずに済んだかもしれないところを自身で刑事事件化することになります。
そのため、後述するように、出頭や自首すべきかどうかを事前に弁護士に相談する必要があるでしょう。
④「書面での申告が可能かどうか」の違い
自首は書面による申告も認められているという点で出頭と違います。
出頭前に弁護士に依頼するメリット
警察から出頭命令(出頭要請)を受けた、あるいは、ご自身の意思で出頭を検討しているけれど、身柄拘束が心配などという方は出頭前に弁護士に相談、依頼することも検討しましょう。出頭前に弁護士に相談、依頼するメリットは以下のとおりです。
なお、出頭命令(出頭要請)とはなに?という方は、出頭命令(出頭要請)とは?警察からの命令を無視したら逮捕される?も合わせて読んでみてください。
⑴ 捜査機関と出頭日時を調整してくれる
弁護士がご依頼者に代わって捜査機関との間で出頭日時を調整します。このやり取りの中で、逮捕の可能性を探ることもできます。
⑵ 逮捕回避に向けてアドバイスを受け、対策を取ることができる
逮捕を回避するには今何をすべきかアドバイスを受けることができます。また、事前に出頭を約束した誓約書や適切な監督者による上申書などを捜査機関に提出します。
⑶ 一緒に出頭してくれる
いざ出頭となった場合は、一緒に捜査機関まで同行してくれます。出頭後は(逮捕されなければ任意の)取調べを受けることとなるでしょう。取調べに関するアドバイスを受けることもできます。
⑷ いざ逮捕された場合も、釈放に向けた活動に入りやすい
最悪、逮捕された場合も、弁護士はご依頼者の事情について把握していますから、釈放に向けた活動について入りやすいといえます。結果として、釈放される可能性も高くなります。
まとめ
犯人が特定されていれば、警察や検察といった捜査機関に自ら出向いても、自首ではなく出頭となります。出頭は自首と違い減軽の対象ではありませんが、起訴・不起訴といった刑事処分や刑罰の重さ(量刑)を決める際の判断で考慮されることもあります。
出頭するか迷われている場合は弁護士に今後の対応について事前に相談しましょう。
弊所では、自首や出頭後の取り調べでの対応や弁護士の同行などについてのご相談を受け付けております。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますのでまずは弊所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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