
重過失致死傷罪とは、重大な過失(著しい注意義務違反)によって人を死傷させた場合に成立する犯罪です。法定刑は5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金と、通常の過失致死傷罪より格段に重い刑罰が科される可能性があります。
「ながらスマホ」による自転車事故で重過失致死傷罪に問われるケースも増えており、「自分には関係ない」とは言い切れません。自転車で通勤・通学をしている方、趣味でサイクリングをされている方は、いつ加害者の立場に置かれるかわからないのが実情です。
- 重過失致死傷罪とはどんな罪か、罰則や時効について
- 通常の過失致死傷罪との違い
- 重過失致死傷罪が適用された判例(自転車事故を含む)
この記事では、上記の内容について刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説します。重過失致死傷罪の疑いをかけられている方、ご家族が逮捕されてしまった方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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重過失致死傷罪とは?
重過失致死傷罪とは重大な過失(重過失)によって人を死傷させた場合に成立する罪です(刑法211条1項後段)。法定刑は5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。公訴時効は、重過失致死罪(人を死亡させた場合)は10年、重過失致傷罪(傷害にとどまった場合)は5年です。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
前段では業務上過失致死傷罪について規定されており、重過失致死傷罪と同じ罰則です。
過失致死傷罪とはどう違う?
過失致死傷罪の刑罰は罰金または科料のみで拘禁刑がないのに対し、重過失致死傷罪(及び、業務上過失致死傷罪)は拘禁刑が設けられています。これだけ刑罰に開きがあるのは、重過失致死傷罪の場合、単なる注意義務違反(軽過失)を超える「重大な過失(重過失)」があるからにほかなりません。通常の過失傷害罪の成立要件や刑罰については「過失傷害罪とは?成立要件や事例、傷害罪との違いを解説」で詳しく解説しています。
では、「重過失」があるとはどのような場合を指すのでしょうか。以下で解説します。
重過失とは?
重過失とは行為者の注意義務に違反した程度(過失の程度)が著しい場合、すなわち、わずかな注意さえ払えば結果の発生を回避できた場合をいいます。
たとえば、自転車を運転する場合、ハンドルを適切に操作し、前をよく確認しながら運転すること、これが自転車運転者に課される注意義務です。しかし、たとえば、Aが片手でスマホを操作しながら自転車を運転した結果、自転車を歩行者に衝突させ、歩行者に怪我をさせるか、あるいは死亡させたとします。
この場合、Aがスマホを操作しながら自転車を運転することは、ハンドルを適切に操作しておらず、かつ、前をよく見て運転していない、すなわち、自転車運転者に課される注意義務に明らかに違反しています。さらに、歩行者に怪我をさせる(あるいは死亡させる)という結果の発生は、Aさんがスマホを操作しないで通常どおり(交通ルールに従って)自転車を運転する、というわずかな注意義務さえ払えば回避できたはずです。そうすると、Aさんには重過失があったと認められてしまうというわけです。
重過失致死傷罪の判例
ここで重過失致死傷罪が適用された判例をご紹介します。
自転車事故に関する判例
- 自転車を運転中の男性が信号を無視して交差点に進入。折から青信号で横断歩道を左から右に向けて渡ってきた女性に自転車を衝突させ、その場に女性を転倒させ、女性を脳挫傷で死亡させた事例(東京地方裁判所判決平成22年11月12日)
- 左手でスマホを操作しながら、右手で飲料カップをもち、左耳にはイヤホンをした状態で電動自転車を運転していたところ、前方を歩いていた高齢男性に自転車を衝突させ、男性をその場に転倒させるなどして死亡させた事例(横浜地方裁判所川崎支部判決平成30年8月27日)
その他の判例
- 多量に飲酒するときは病的酩酊に陥って他人に危害を及ぼす素質をもつ被告人が、飲酒を抑止・制限すべき注意義務があるのに、多量に飲酒して乱酔に陥った点に重大な過失があるとされた事例(福岡高等裁判所判決昭和28年2月9日)
- 泥酔状態の内妻を冬場に水風呂へ入れ、衣服を着たまま長時間放置したことで心臓衰弱により死亡させた事例(東京高等裁判所判決昭和60年12月10日)
- 被告人が自宅から単身赴任先に向かうことに不安を覚え、同居していた家族の気をひこうと家の玄関の土間に灯油を撒布し、さらにライターを点火し、その火を直接又は媒介物を介して撒布した灯油に引火させるなどした重大な過失により、子ども4名を焼死させるなどした事例(大分地方裁判所判決平成28年4月11日)
重過失致死傷罪でお悩みの方は弁護士にご相談ください
重過失致死傷罪は、通常の過失致死傷罪と異なり拘禁刑が設けられており、有罪となれば前科がつく可能性があります。また、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、逮捕・勾留により最大23日間身柄を拘束されることもあり、学校や仕事への影響も避けられません。
もっとも、早期に被害者との示談を成立させることで、逮捕の回避、不起訴処分の獲得、起訴された場合でも執行猶予判決を得られる可能性が高まります。示談のメリットや具体的な流れについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。ただし、被害者やご遺族は加害者に対して強い処罰感情を抱いていることが多く、当事者同士での交渉は困難を極めます。
「事故を起こしてしまい、どうすればいいかわからない」「警察から連絡が来ている」という方は、一人で抱え込まず、できるだけ早く弁護士にご相談ください。弁護士が間に入ることで、被害者との示談交渉がスムーズに進むケースは少なくありません。
弊所は刑事事件に注力しており、被害者との示談交渉の実績も豊富です。全国どこからでもご相談いただけますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

