脅迫・恐喝で逮捕を回避したり不起訴処分を得るには、被害者と示談を成立させることが最も重要です。
もっとも、示談金をいくら支払う必要があるのか、どういう流れで示談をすればいいのかわからない方も多いことでしょう。
そこでこの記事では、脅迫・恐喝事件に強い弁護士が、
- 脅迫・恐喝で示談するメリット、示談しないデメリット
- 脅迫・恐喝の示談金相場
- 示談するタイミング、示談の流れ
などについて解説していきます。
なお、脅迫・恐喝行為をしてしまった方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
脅迫・恐喝で示談するメリット
脅迫罪とは、「相手を怖がらせる目的で、相手や相手の親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害悪を加える旨を告げること」で成立する犯罪です(刑法222条)。罰則は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
恐喝罪とは、暴行や脅迫を手段として人を畏怖させ、財物を交付させたり、財産上不法の利益を得る又は他人に得させる犯罪です(刑法249条)。罰則は10年以下の懲役です。
脅迫にしても恐喝にしても、犯行態様が悪質で被害の程度が大きいなどケースでは逮捕・起訴される可能性があります。とくに恐喝罪については罰金刑がないため、最悪の場合、懲役実刑となって刑務所に収監される可能性もあります。
そこで、このような事態を回避するために重要となるのが、脅迫・恐喝の被害者との示談です。ここでは、脅迫・恐喝で示談するとどのようなメリットがあるのかにつき解説していきます。
逮捕・勾留を回避できる可能性がある
脅迫や恐喝の被害者と示談が成立した場合には、逮捕・勾留を回避できる可能性があります。
被疑者に「逃亡」や「罪証隠滅のおそれ」がある場合には、逮捕・勾留という身体拘束の処分がなされる可能性があります。
被疑者が警察官に逮捕された場合には、48時間以内に事件を検察官に送致するか釈放するかの判断がなされます。そして被疑者の身柄を受け取った検察官は、24時間以内に勾留請求をするか否かを判断することになります。
脅迫・恐喝事件後すぐに被害者に謝罪をして許しを得ることで、被害者が告訴・被害届を取り下げてくれる可能性が高まります。
この場合、捜査機関はこれ以上被疑者の身体拘束をする必要はないと判断する可能性があります。
不起訴処分となる可能性がある
脅迫・恐喝事件で逮捕されたとしても、被害者と示談が成立した場合には不起訴処分となる可能性があります。
示談とは、加害者が被害者に謝罪して一定の示談金や解決金を支払うことで、被害者からの許しを得ることを指します。示談成立の際には、当事者間で合意された内容を示談書の形にして取り交わします。
この示談書に告訴を取り下げる旨の合意が明記される場合もありますが、被害者がそのような条項を拒否することもあります。
宥恕条項がない場合でも、一定の示談金を被害者が受け取っている場合には、被害弁償が完了しているとして、事件性が減少したと判断される可能性が高まります。
脅迫・恐喝を受けた人の被害感情が強い場合には、示談交渉が難航する可能性がありますが、そのような場合であっても弁護士のサポートを受けて示談交渉をすることで、不起訴処分を得られる可能性が高まります。
刑罰が軽くなる可能性がある
脅迫・恐喝事件によって起訴された場合であっても、被害者との示談が成立することで刑罰が軽くなる可能性があります。
示談が成立すると、裁判官が加害者が反省し再犯の可能性が低いと評価される可能性が高まります。
恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」で罰金刑がないため(刑法第249条第1項)、有罪となれば、執行猶予が付されない限り、刑務所に入らなければなりません。
したがって、執行猶予付き判決を得るためにも、被害者との間で示談を成立させることは重要となります。
脅迫・恐喝で示談しない場合のデメリット
身体拘束が長期化するリスク
脅迫・恐喝の被害者と示談しない場合には、逮捕に続き勾留されるリスクがあります。
逮捕期間は72時間ですが、勾留決定がなされた場合には原則として10日間の身体拘束が継続することになります。さらに10日を上限として勾留は延長することができます。
このように逮捕及び勾留が続く場合には、起訴・不起訴の判断までに最長23日間の身体拘束を受けるリスクがあります。そして起訴された場合、被告人は保釈されない限り、刑事裁判まで勾留されることになります。
したがって、身柄事件とされた場合には数か月程度、外部と遮断され自由に家族・知人とも連絡することができなくなってしまいます。
早期釈放を獲得するためには脅迫・恐喝の被害者と示談を成立させることが重要となります。
重い刑事罰に科されるリスク
脅迫・恐喝の被害者と示談をしない場合には、重い刑事罰に科されるリスクもあります。
前述のとおり、恐喝罪の法定刑には罰金刑はなく懲役刑だけです。
被害者に有利な事情がなく、情状酌量の余地がない場合には執行猶予が付されず即日刑務所に収監されることになります。一方、示談が成立した場合には、起訴猶予処分を得られる可能性もあり、起訴されたとしても減刑につながる有利な事情となります。
刑務所に入ることを避けるためにも、弁護士を介して示談交渉を積極的に行うべきでしょう。
被害者から賠償金を請求されるリスク
脅迫・恐喝事件の場合、加害者には被害者に対して刑事責任のみならず民事責任が発生する可能性が高いです。
刑事責任を負う場合には、裁判所の有罪判決によって刑罰を受けることになります。これに対して、民事責任を負う場合には、被害者に対して賠償金を支払うことになります。
脅迫・恐喝を行った場合には、不法行為に基づく損害賠償責任が発生することになり、被害弁償や精神的苦痛に対して慰謝料を支払う必要があります。
示談をしない場合には、被害者から裁判手続きによって請求され、示談する場合よりも高額な賠償金の支払いを請求されてしまうおそれもあります。
脅迫・恐喝の示談金相場は?
脅迫の示談金相場
脅迫事件の被害者と示談を成立させるためには、被害者の精神的な苦痛に対して慰謝料を支払う必要があります。
被害者の精神的苦痛を金銭に換算する必要がありますが、慰謝料は加害の程度や被害者の被害感情に応じて変わる可能性があります。
脅迫事件の示談金の相場は、「10万〜30万円」程度といえるでしょう。
ただし、被害者が納得してくれなかったり、被害感情が大きい場合には示談を成立させられません。
脅迫事件で示談を成立させるには、弁護士に依頼して、過去の同様な事件の慰謝料相場による適切な金額を提示することが重要です。
また、示談金の支払い方法については、示談書の中で合意しておくことができます。
示談金を一括で支払う場合の方が、示談が成立しやすいといえます。ただし、経済的な事情で一括支払いが難しい場合には、被害者と交渉して分割での支払いで合意できる場合もあります。
恐喝の示談金相場
恐喝事件の示談金の相場は、「被害金額+30万円」程度といえるでしょう。
恐喝の場合、被害者に暴行・脅迫を加えて財物を交付させる犯罪です。したがって、被害弁償をしようとする場合、恐喝によって奪った財物の価値が賠償の基準になります。
恐喝行為を受けた被害者は、暴行・脅迫によって財産的な被害だけでなく、精神的な被害を受けていることになるため、財産の時価に慰謝料の金額を加えた額が示談金額となります。
したがって、奪った財物が高額なほど、示談金も高額になる可能性があります。
脅迫・恐喝で示談交渉をするタイミング
脅迫・恐喝事件の被害者と示談交渉をするタイミングは早ければ早いほどよいでしょう。
基本的に事件から時間が経てばたつほど、刑事事件として立件され深刻な事態に発展していくことになります。
被害者が警察に被害を申告して刑事事件として捜査の対象となった場合には、逮捕・勾留、起訴、刑事裁判と手続きが進んでいってしまうおそれがありますので、できるだけ早く被害者と示談を成立させることが重要となります。
しかし一方で、事件直後に被害者に示談の話を持ちかけた場合には、「反省していない」「バカにしている」と被害者の感情を逆撫でしてしまい、結果的に示談の成立が難しくなるというケースもあります。
したがって、示談交渉をするのは早い方がいいものの、被害者の被害感情の強さや、被害者との連絡の取り方などを時期を見計いながら進めることが大切です。
拙速な示談交渉とならないためにも弁護士に対応を依頼して真摯な謝罪の意思を伝えることが先決です。
脅迫・恐喝の示談の流れ
脅迫・恐喝で示談を成立させるまでの流れは次の通りです。
- 被害者と連絡を試みる
- 示談条件について交渉する
- 示談書の取り交わし
- 示談金の支払い
被害者と連絡を試みる
示談交渉を開始するためには脅迫・恐喝の被害者と連絡を試みるところから始まります。
被害者が知り合いの場合などで連絡先を知っていて相手が拒否しない場合などでは、当事者間で示談の意思確認をすることができます。これに対して被害者の連絡先を知らない場合や被害者が接触を拒否している場合には、弁護士に代理してもらい意思確認することになります。
被害者に被害感情がある場合であっても、こちら側は謝罪と示談の意思があることを明確に伝えておくことが重要です。被害者側の出かたを伺うような対応を見せてしまうと誠意や謝罪の意思がないと受け取られてしまうおそれがあります。
示談条件について交渉する
被害者に示談に応じる用意があることが確認できたあとは、示談条件について交渉していくことになります。
条件面の交渉については、弁護士に依頼して話し合いを進めるようにしてください。当事者だけで直接話し合いをすると、言い訳をし始めたり・相手側の非を指摘したりしてトラブルが再燃してしまうおそれがあります。また、突然自宅まで出向く等の加害者の接触の仕方や話し方などによっては、再び加害行為があったと受け取られてしまうリスクもあります。
その点、代理人弁護士であれば客観的に冷静な態度で交渉に臨むことができ、丁寧かつ毅然として態度で被害者から過剰の要求があった場合にも適切な対応をとることができます。
示談書の取り交わし
話し合いによって示談条件が整った場合には、示談書を作成し取り交わしを行います。
一般的に示談書には以下の事項を確認し記載することになります。
- 事件発生日時や場所
- 加害者や被害者の氏名
- 加害の状況や形態など事件の内容
- 示談金額の支払い約束
- 宥恕(ゆうじょ)条項
- 清算条項
上記のうち、宥恕条項と清算条項については、起訴・不起訴や量刑の判断に非常に大きな影響を与えます。
まず宥恕条項とは、加害者が被害者を許すことを示す条項です。清算条項とは、当事者の間で示談された事件についてこれ以上の債権債務関係がないことを示す条項です。
いずれの条項も刑事手続きにおいて加害者に有利な内容として考慮されます。
示談金の支払い
示談書で合意した金額、方法で示談金を支払うことになります。
示談金は一括での支払いが難しい場合には分割支払いに応じてくれる場合もあります。示談金は被害者が指定する金融機関口座に振り込む方法で行うことが一般的でしょう。
示談金は支払期日までに必ず支払うようにし、期限を過ぎることは厳禁です。
脅迫・恐喝の示談交渉は弁護士に依頼
脅迫・恐喝事件の場合、被害者は加害者に対して、恐怖や怒りの感情が強い可能性があります。とくに恐喝罪は財産犯として重い刑が科されているため、示談の成否が被疑者の処遇に大きな影響を与えることになります。
したがって、脅迫・恐喝の被害者と示談をする際は弁護士に依頼することがおすすめです。
刑事事件に精通している弁護士であれば、示談交渉の豊富な経験・実績によってスムーズに示談交渉を進められる可能性があります。また法律の専門家が当事者の間に入ることで冷静に話し合いを進めることが期待できます。
当事務所では、脅迫・恐喝の示談交渉を得意としており、示談成立による逮捕の回避、不起訴の獲得の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、脅迫・恐喝で逮捕のおそれがある方、既に逮捕された方のご家族の方は、当事務所の弁護士までまずはご相談ください。
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