
「盗撮の時効は何年なのか」「時効が来れば、もう逮捕されないのか」。警察から連絡はないものの、防犯カメラの映像やスマホに残ったデータが気になって落ち着かない方もいるのではないでしょうか。
盗撮の公訴時効(検察官が起訴できる期限)は、多くの場合3年で、軽犯罪法ののぞきは1年、画像を不特定または多数に公開すれば5年です。時効が完成するまでは、後から発覚して逮捕されることもあります。
この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点を解説します。
- 盗撮の時効は罪名によって何年か
- 時効はいつから数え、完成するとどうなるか
- 刑事と民事の時効はどう違うのか
- 時効待ちで生じる逮捕リスクと今すべきこと
お読みいただくことで、ご自身の行為がいつまで処罰の対象になり得るのか、今何をすべきかを判断できます。
なお、このまま待つべきか迷っている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
盗撮の時効は何年?多くは3年、罪名別に見る公訴時効の一覧
公訴時効とは、犯罪行為が終わってから一定の期間が過ぎると、検察官がその事件を起訴できなくなる制度です。期間は、その罪の法定刑(法律で定められた刑罰)の上限で決まります。
法律に「盗撮罪」という名前の罪はありません。盗撮は、行為の時期や場所に応じて次の罪に問われます。
| 罪名(根拠条文) | 法定刑 | 公訴時効 |
| 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 | 3年 |
|---|---|---|
| 特定少数への提供(同法3条1項)・提供目的の保管(同法4条) | 提供は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、保管は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 | 3年 |
| 不特定または多数への提供・公然陳列(同法3条2項)、影像送信(同法5条) | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(両方を科されることもある) | 5年 |
| 迷惑防止条例違反(東京都の例:5条1項2号・8条) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(常習は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金) | 3年 |
| 軽犯罪法違反・のぞき(軽犯罪法1条23号) | 拘留または科料 | 1年 |
| 住居侵入罪・建造物侵入罪(刑法130条) | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 | 3年 |
| 児童ポルノ製造罪・ひそかに製造(児童ポルノ禁止法7条5項) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 | 3年 |
刑事訴訟法250条2項により、法定刑の上限が10年未満の拘禁刑なら5年(同項5号)、5年未満の拘禁刑または罰金なら3年(同項6号)、拘留または科料なら1年(同項7号)で、盗撮で問われる罪の多くは6号にあたり、時効は3年です。
表中の「拘禁刑」は、2025年6月1日施行の改正刑法で懲役と禁錮を一本化した刑罰です(同日より前の行為には懲役刑が適用されます)。
撮影罪(性的姿態等撮影罪)の時効は3年
撮影罪とは、性的姿態撮影等処罰法(2023年7月13日施行)2条が定める「性的姿態等撮影罪」の通称です。電車内でスカートの中をひそかに撮る行為や、トイレ・更衣室に仕掛けたカメラでの撮影が典型です。
法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、上限が5年未満の拘禁刑であるため、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。
画像の提供目的の保管(性的姿態撮影等処罰法4条)や特定少数への提供(同法3条1項)は撮影とは別の罪で時効3年です。SNSへの投稿など不特定または多数への提供・公然陳列(同条2項)や、その場の映像を不特定または多数へ流す影像送信(同法5条)は、時効が5年になります。
2023年7月12日以前の盗撮には撮影罪は適用されず、行為の時点の迷惑防止条例や軽犯罪法などが適用されますが、その時効は原則としてすでに完成しています。ただし、当時の画像を投稿・提供すれば、その時から別の罪の時効が進むことがあります。撮影罪の成立要件や施行日の詳細は「性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説」にまとめています。
迷惑防止条例違反の時効は3年
撮影罪にあたらない態様の盗撮には、各都道府県の迷惑防止条例が適用されることがあります。東京都の場合、撮影した場合の法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(同条例8条2項1号)、常習なら2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(同条7項)です。
対象となる場所や罰則の重さは都道府県ごとに異なります。もっとも、条例で定められる拘禁刑は、地方自治法14条3項により原則として2年以下が上限です。そのため、拘禁刑や罰金を定めた盗撮の規定であれば、どの都道府県の条例違反でも公訴時効は3年となります(刑事訴訟法250条2項6号)。どの法令が適用されるかは「盗撮は軽犯罪法違反?迷惑防止条例違反との違いを解説」で整理しています。
軽犯罪法違反の時効は1年、住居侵入罪・建造物侵入罪は3年
撮影せずにのぞき見ただけの場合は、軽犯罪法1条23号にあたることがあります。対象は、住居や浴場、更衣場、便所など、人が通常衣服をつけないでいる場所をひそかにのぞき見る行為です。法定刑は拘留(1日以上30日未満)または科料(1,000円以上1万円未満)で、公訴時効は1年です(刑事訴訟法250条2項7号)。カメラを向けたり仕掛けたりして撮れなかった場合は、撮影罪の未遂(性的姿態撮影等処罰法2条2項)にあたれば時効は3年です。
一方、のぞきや盗撮のために他人の住居や店舗のトイレ、施設の更衣室などへ立ち入れば、盗撮の罪とは別に住居侵入罪・建造物侵入罪(刑法130条)が成立することがあります。法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金なので、公訴時効も3年です。この罪の時効は「住居侵入罪・建造物侵入罪の公訴時効は3年。民事の時効も3年」で詳しく解説しています。
時効はいつから数える?完成するとどうなる?
盗撮の時効を数え始める時点(起算点)は、撮影行為が終わった時です。被害者が気づいた時や、警察が捜査を始めた時ではありません(刑事訴訟法253条1項)。
第二百五十三条 時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
出典:e-Gov法令検索
初日を1日目として暦で数えるため(同法55条)、2025年3月10日の撮影なら、2028年3月9日の終了で3年の時効が完成します。
時効の進行は、逮捕ではなく起訴によって止まります(同法254条1項)。犯人が国外にいる間も止まり(同法255条1項)、一時的な海外旅行も含まれます。停止の仕組みや他の罪の年数は「刑事事件の時効は何年?公訴時効を一覧表で犯罪別に解説」で扱っています。
盗撮を繰り返していた場合は、原則として撮影行為ごとに時効が進みます。ただし、条例の常習違反のように一つの罪にまとめられる場合は、最後の行為から数えます。また、画像を提供目的で保管している間は、その罪の時効は進まないと考えられます。撮影の2年後に投稿すれば、投稿から5年間は起訴される可能性があります。
時効が完成した事件は、起訴されても免訴(有罪・無罪を判断せずに手続きを打ち切る判決)となるため(同法337条4号)、起訴や逮捕に進むことは通常なく、その盗撮行為で刑罰を受けることはなくなります。ただし、民事上の賠償責任は別の時効で判断されます。時効が完成した後の自首は「時効後に自首するとどうなる?わかりやすく解説」で取り上げています。
盗撮の時効は刑事と民事で違いがある?損害賠償請求は3年・20年
刑事と民事では、時効の期間も数え始める時点も異なります。盗撮の被害者は、不法行為に基づく慰謝料などの損害賠償を請求でき(民法709条・710条)、損害賠償の請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年、または盗撮の時から20年の消滅時効にかかります(民法724条)。
被害者が盗撮に気づいていない間や、誰に撮られたか分からない間は、3年の時効は進みません。たとえば撮影から2年半後に別件の捜査で発覚し、被害者がそこで加害者を知った場合、刑事の時効は残り半年でも、民事の時効はその時から3年です。
なお、被害者が心身に不調をきたすなど、生命・身体を害されたと評価される場合は、3年ではなく5年となります(民法724条の2)。示談金の目安は「盗撮の示談とは?相場は10万~50万円|弁護士が解説」で解説しています。
盗撮の時効待ちで生じる逮捕リスク
警察庁によると、令和7年の撮影罪(ひそかに撮影)の検挙は7,926件・5,124人です(警察庁「令和7年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」)。その場で捕まらなかった盗撮でも、数か月から1年以上たって発覚し、逮捕や書類送検(身柄を拘束せず送致すること)に至る例は珍しくありません。後日逮捕されやすいケースは「盗撮で後日逮捕される可能性は?逮捕されやすいケースと対処法」で紹介しています。
別件の捜査や防犯カメラから後日発覚するリスク
盗撮は、防犯カメラの映像、被害者や目撃者の後日の届け出、仕掛けたカメラの発見、クラウドやSNSに残った画像などから後日発覚します。見落とされがちなのが、別の事件の捜査でスマホを解析され、過去の盗撮画像がまとめて見つかるケースです。現行犯以外で発覚する仕組みは「盗撮は現行犯以外の逮捕は難しい?その理由と逮捕されるケース」で掘り下げています。
時効の完成前に立件された報道を3件挙げます(実名は伏せています)。
- 中央省庁の元職員:2024年7月から12月にかけての盗撮などの疑いで、2025年11月に書類送検。2024年12月に発生していた別の盗撮事件を調べる過程でスマホを解析したことがきっかけでした(出典:時事通信・2025年11月25日)
- 警察官:2024年1月と4月にコンビニ店舗のトイレに小型のカメラを取り付けて盗撮した疑いで、4月から約1年8か月後の2025年12月に書類送検。2025年3月に警察署のトイレで見つかったカメラをめぐる別の警察官への捜査で、この疑いが浮上しました(出典:時事通信・2025年12月18日)
- 札幌市の事例:2025年9月1日に介護施設で女性にわいせつな行為をして撮影した疑いで、ちょうど1年後の2026年9月1日に再逮捕。同じ施設での別の盗撮などの疑いで逮捕されていた人物です(出典:STV札幌テレビ・2026年9月1日)
3件とも、被害者の通報ではなく別の事件の捜査から過去の行為が明るみに出ています。「あの時は誰にも気づかれなかった」という記憶は、発覚しない根拠にはなりません。
発覚が遅れるほど処分が重くなるリスク
時間がたつほど被害者の処罰感情が固まったり連絡が取れなくなったりして、示談は難しくなります。示談が成立しないまま起訴されて有罪になれば前科が残り、余罪が多ければ常習性が認められて処分が重くなることもあります。
また、長い間名乗り出なかったことやデータを消していたことは、逃亡や証拠隠滅のおそれを裏付ける事情と受け取られ、逮捕される可能性を高めかねません。時効の完成を待つことは、こうした不利益を先送りにしているに過ぎません。逮捕後の流れや身柄拘束の見通しは「盗撮で逮捕される?逮捕後の流れと勾留を回避する方法を解説」で確認できます。
盗撮の時効を待たずにすべきこと
多くの盗撮では、時効が完成するまで3年かかります。それを待つより、発覚する前に自分から動いたほうが、逮捕の回避や不起訴につながりやすくなります。取るべき行動は、弁護士への相談、被害者との示談、示談できない場合の自首の検討です。
まず弁護士に相談し、成立する罪を確かめる
自分の行為にどの罪が成立し、時効がいつ完成するのかは、弁護士に確かめてもらうのが確実です。いつ撮ったか、画像を誰かに送ったか、どこに立ち入ったかによって、答えが変わるためです。弁護士には守秘義務があるため(弁護士法23条)、相談した内容を弁護士が警察に伝えることはありません。
盗撮の被害者と示談する
被害者の名前や連絡先が分かっている場合は、弁護士を通じて示談を進めることが重要です。被害届が出される前なら事件化そのものを防げる可能性があり、出された後でも示談が成立していれば不起訴で終わる見込みが大きくなります。被害者と面識がない盗撮でも、すでに被害届が出ている事件であれば、弁護士が捜査機関を通じて示談の意向を伝えられる場合があります。被害者が了承すれば、連絡先を教えてもらえることもあります。ただ、まだ犯人と特定されていない段階で捜査機関に示談を打診すれば、弁護士を通じて自分が犯人だと名乗り出ることになるため、次に述べる自首とあわせて弁護士と進め方を決めてください。自分で被害者に直接連絡すると証拠隠滅を疑われかねないので、連絡は必ず弁護士に任せます(依頼の流れや費用は「盗撮事件に強い弁護士による刑事弁護のポイント」で紹介しています)。
示談できない盗撮は自首を検討する
被害者が誰か分からず、被害届が出ているかも分からないため示談に動けない盗撮で検討したいのが、自首です。捜査機関に犯人が特定される前に自ら申告すれば、刑が減軽される可能性があります(刑法42条1項)。時効を待つうちに別の事件の捜査などから犯人だと特定されてしまえば、自首は成立しなくなります。一方で、自首すれば捜査が始まり、余罪が明らかになることもあるため、自首するかどうかは弁護士と相談して判断してください。自首の手続きの流れは「盗撮で自首するメリット・デメリット|逮捕回避を弁護士が解説」をご覧ください。
盗撮の時効でお悩みの方は弁護士にご相談ください
盗撮の公訴時効は多くの場合3年ですが、軽犯罪法ののぞきなら1年、不特定または多数への公開は5年で、原則として行為ごとに進みます。完成するまでは、別の事件の捜査などから過去の盗撮が明るみに出る可能性が残ります。
発覚する前に弁護士が関われば、示談や自首を落ち着いて検討でき、逮捕や前科を避けられる可能性が高まります。
いつ発覚するか分からない時効待ちは、精神的な負担も大きいものです。時効までの残り期間を確かめたい方や、すでに警察から連絡が来ている方は、一人で抱え込まずにご相談ください。
当事務所は盗撮事件を多数取り扱っており、家族や職場に知られないよう配慮しながら、逮捕の回避や不起訴に向けて弁護士が迅速に動きます。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お気軽にご相談ください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

