【相談例】自宅での盗撮は犯罪ですか?逮捕されますか?
この記事では、当事務所に寄せられた自宅での盗撮事件に関する相談を元に、逮捕される可能性や盗撮が発覚した後に取るべき対応について、盗撮事件に強い弁護士が解説します。
相談内容
私は、先日、自宅に友人として招いたA子さんという女性を盗撮してしまい、大変なトラブルに発展しています。
A子さんは、私が普段から親しくしていた友人で、何度もグループで遊んだり、飲み会を開いたりする仲でした。その日は、A子さんを含むいつものメンバーで自宅で宅飲みをしていました。参加した他の友人たちは終電に合わせて帰宅しましたが、A子さんとは夜が深まるまで飲み続けていました。
そのうち、A子さんがソファでうたた寝を始め、私はふとその横顔が美しいと感じ、また普段と異なるリラックスした様子に目を奪われてしまいました。その瞬間、私の中で抑えきれない衝動が湧き上がり、スマートフォンでA子さんの写真をこっそり撮ってしまいました。
その後も、A子さんが体勢を変えるたびに、再度スマートフォンを取り出して撮影を繰り返してしまいました。特に、A子さんが寝ている際に、スカートの中を盗撮してしまったことは、今振り返っても許される行為ではなく、深く反省しています。撮影した写真はすぐにアルバムに保存し、他人に見られないように隠していました。
しかし、酔いが覚め始めたA子さんに私がスマホを手にしているのを見られ、問い詰められました。私はすぐに謝罪しましたが、A子さんは許してくれず、「警察に被害届を出す」と言われました。
その後も、私は心から謝罪し、二度とこのような行為を繰り返さないことを誓いましたが、A子さんの怒りは収まらず、警察に届け出るつもりだと言われています。
今、私はこのままでは逮捕されてしまうのではないか、そしてその結果、家族や職場にも大きな迷惑をかけることになるのではないかと、毎日不安でいっぱいです。もし逮捕されてしまった場合、どのような罪に問われ、どのような刑罰が科せられる可能性があるのか、具体的に教えていただきたいです。
【弁護士の回答】自宅内での盗撮も犯罪です
自宅に知人が訪れた際、トイレや風呂場、脱衣所にカメラをしかけたり、眠っている相手の下着などを盗撮した場合であっても犯罪になります。
このような事案では、性的姿態撮影等処罰法に規定されている「撮影罪」に該当する可能性が高いでしょう。同法は、2023年(令和5年)7月13日から新たに施行されている法律です。撮影罪とは、正当な理由がないのに、ひそかに他人の「性的姿態等」を撮影する犯罪のことです。
「性的姿態等」とは、以下のようなものをさします。
- 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
- 人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられているもの)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
- わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態
撮影罪については盗撮場所の制限はありませんので、自宅で盗撮した場合にも適用されます。自宅内のトイレ、風呂、脱衣所での盗撮はもちろん、デリヘルを自宅に呼んで性的行為を盗撮した場合も同罪に問われます。
撮影罪が成立した場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。
また、撮影罪が規定される前(2023年7月12日以前)の盗撮事件については、各都道府県が制定している迷惑防止条例違反の罪に問われる可能性があります。迷惑防止条例では、一般的に「住居、便所、浴場、更衣室など、衣服を通常着けていない状態でいる場所」での盗撮行為が禁止されています。例えば、東京都の場合、迷惑防止条例に違反して盗撮を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることになります。
さらに、軽犯罪法では、「正当な理由なく、人の住居、浴場、更衣室、便所など、通常衣服を着けていない場所をひそかにのぞき見た」場合に、拘留または科料が科せられることが規定されています(同法第1条23号)。
迷惑防止条例や軽犯罪法のいずれにおいても、「住居での盗撮」が規制の対象となっているため、いずれにせよ自宅での盗撮は犯罪となり、逮捕される可能性があります。
【弁護士からのアドバイス】今すぐ示談交渉を開始すべきです
自宅での盗撮事件で逮捕・起訴されたくないという場合には、すぐに被害者と示談を成立させることが重要となります。被害者と示談が成立すると、事件について謝罪し示談金を支払うことで、被害者から許しを得ることができます。示談の成立によって、被害回復が図られ、犯罪の違法性が減少したと評価されるため、逮捕や起訴される可能性を小さくすることができます。
しかし、今回のケースのように、被害者が友人や知人で、被害感情が強い場合には、弁護士に代理人として示談交渉してもらうことが必須です。相手が盗撮されたことに激怒している場合、当事者同士では話し合いがこじれる/そもそも話し合いにすら応じてもらえない、ということも少なくありません。
弁護士に依頼をすれば、弁護士が代理人として被害者と示談の申入れ・交渉を行うことになるため、事件当事者が直接顔を合わせる必要はありません。事件とは無関係な法律の専門家が対応することになるため、強い被害感情を抱いている被害者であっても、冷静に話し合いができる可能性があります。
まとめ
自宅を訪れた第三者を盗撮した場合、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪や、迷惑防止条例、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
盗撮された被害者が被害届を提出して刑事事件となった場合、警察に逮捕され、刑罰が科されることになる可能性もあります。
逮捕や起訴を回避するためには、被害者との示談を成立させることが非常に重要です。示談成立のためには、刑事事件に強い弁護士に依頼し、適切に対応してもらうことが必要です。
弁護士が示談交渉を行う際には、適切な内容・条件で示談書を取り交わし、刑事事件化を回避することが期待できます。
当事務所では盗撮事件での示談交渉、逮捕の回避を得意としており豊富な実績があります。親身かつ誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、自宅内の盗撮で逮捕が不安な方は、当事務所の弁護士にまずはご相談ください。
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