
「盗撮の示談金はいくらが相場なのだろう…」「もし示談しないとどうなるのだろう…」と不安を抱えている方は多いでしょう。
盗撮の示談とは、加害者が被害者に謝罪し、示談金の支払いなどについて話し合いで合意することです。示談金の相場は10万円~50万円程度です。成立すれば、逮捕の回避や早期釈放、不起訴処分につながる可能性が高まります。一方、成立しない場合は起訴されて罰金などの刑を受け、前科がつくおそれがあります。
この記事では、解決実績が豊富な当事務所の弁護士が以下の点について解説します。
- 示談をする意味と4つのメリット
- 示談金・慰謝料の相場と金額の交渉
- 示談しないとどうなるのか・できない場合の対処法
- 示談の流れと示談書に記載する内容
なお、事件を起こしてしまい早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。
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盗撮で示談をする意味とは?
盗撮をした場合、民事責任と刑事責任という2つの責任を負います。示談は民事責任を果たす手続きですが、刑事責任の重さにも直結します。
被害者への損害賠償と示談の意味
民事責任とは、盗撮という違法な行為によって被害者に与えた精神的苦痛に対して、慰謝料などの賠償金を支払う責任です。
盗撮における示談とは、この賠償金などについて、加害者と被害者とが話し合いによって合意に達することを意味します。合意した内容どおりに賠償金を支払えば、民事責任は果たしたことになります。示談交渉から示談書の作成までの一連の活動を、示談活動と呼ぶこともあります。
盗撮で問われる罪・刑罰と示談の影響
盗撮行為は、性的姿態等撮影罪(撮影罪)や各都道府県の迷惑防止条例違反に該当し、有罪となれば刑罰を受けることになります。撮影罪では法定刑として拘禁刑3年以下・罰金300万円以下が定められており、迷惑防止条例違反の法定刑は自治体ごとに異なるものの、拘禁刑1年以下・罰金100万円以下とする例が多く見られます(拘禁刑とは、2025年6月施行の改正刑法で懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰です)。下着や性的な部位を撮影した場合は撮影罪、着衣の上から体の一部を執拗に撮影した場合などは迷惑防止条例違反が適用されるのが一般的です。
初犯であれば罰金で済むことが多いものの、略式手続による罰金であっても前科はつきます。盗撮に適用される罪名と刑罰について詳しくは、盗撮はどこからが犯罪?該当する5つの罪名と刑罰を解説で整理しています。
示談の成立は、こうした刑事責任の重さにも大きな影響を与えます。誠意を持って賠償金を支払い、被害者から「赦し」をもらえれば、検察官や裁判官はその点を処分や量刑の判断で考慮します。この「赦し」を得ることは、刑事手続きにおいて非常に重要な要素です。
盗撮で示談する4つのメリット
盗撮で示談するメリットは次の通りです。
- ①逮捕・勾留の回避、早期釈放の可能性が高まる
- ②不起訴処分になる可能性が高まる
- ③刑が軽くなる可能性が高まる
- ④民事上の損害賠償の問題も同時に解決できる
①逮捕・勾留の回避、早期釈放の可能性が高まる
まず、被害届が出される前に示談を成立させることができれば、逮捕を回避できる可能性が高まります。被害者に警察へ被害届を出さないことに合意してもらえる場合があるためです。被害者が知人である場合など被害届の前に連絡が取れるときも、本人が直接接触せず弁護士を通じて交渉します。
また、逮捕された後でも、示談が成立すれば被害者に働きかけて証拠を隠滅するおそれがないと判断されやすくなり、早期釈放につながる可能性があります。交渉の進捗状況によっては、示談成立前に釈放が認められることもあります。
盗撮で逮捕された後の流れや勾留を回避する方法については、盗撮で逮捕される?逮捕後の流れと勾留を回避する方法を解説で解説しています。
②不起訴処分になる可能性が高まる
示談の成立は、不起訴処分につながる可能性を高めます。
検察官は、起訴・不起訴を判断するにあたって、被害者の処罰感情や被害回復の状況を重視します。示談が成立して被害者が「加害者の処罰を望まない」という意思(宥恕)を示していれば、起訴の必要性が低いと判断されやすくなります。実務上、初犯で示談が成立した盗撮事件は、余罪が多数ある場合などを除き、不起訴処分となることが多いといえます。起訴されて有罪となれば刑事罰を受けて前科がつきますが、不起訴となればこうした不利益を回避できます。
盗撮の不起訴率や不起訴を獲得するためにすべきことについては、盗撮の不起訴率は?獲得するためにすべき5つのことを弁護士が解説で詳しく解説しています。当事務所で示談により不起訴となった事例は、トイレ盗撮で在宅捜査を受けた男性が示談成立で不起訴になった事例をご覧ください。
③刑が軽くなる可能性が高まる
起訴された後に示談が成立した場合でも、量刑が軽くなる可能性があります。
たとえば、本来なら拘禁刑になるところが罰金で済む、実刑になるところに執行猶予がつく、罰金50万円のところが罰金30万円で済む、というような場合です。示談の成立は、被害弁償と被害者の宥恕という被告人に有利な情状として量刑に反映されます。盗撮の罰金の相場や、刑罰を少しでも軽くするためにできることは、盗撮は罰金刑か懲役か?罰金の相場と刑罰を避ける方法で確認できます。
④民事上の損害賠償の問題も同時に解決できる
民事上の問題を同時に解決できる点も大きなメリットです。示談を成立させて賠償金を支払えば、盗撮の被害者に対する慰謝料などの損害賠償義務を果たしたことになります。示談書に清算条項(示談金以外の請求をしない旨の条項)を入れておけば、刑事手続きが終わった後に改めて損害賠償を請求されるリスクも基本的に避けられます。
盗撮の示談金・慰謝料はいくら?相場と金額の交渉
では、示談金(慰謝料)の相場と、金額の交渉についてみていきましょう。
示談金の相場は10万円~50万円程度
盗撮の示談金の相場は他の性犯罪と比べて低く、10万円~50万円程度と言われています。
示談金は、盗撮によって被害者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料を中心に、休業損害や転居費用などが生じていればそれらも含めて合意される金銭です。金額は、被害者の意向を踏まえつつ、次のような事情を考慮して交渉されます。被害者側の事情だけでなく、加害者側の事情も考慮されます。
- 被害者の年齢
- 被害状況・事件後の被害者の状況
- 被害者と加害者との関係性
- 犯行手段・態様
- 加害者の前科・前歴の有無
- 加害者の反省の程度
- 加害者の年収・社会的地位
これらの諸事情を総合的に考慮し、被害者が納得できる範囲で適切な示談金の額が決められます。相場はあくまで目安であり、金額に法律上の基準があるわけではありません。
示談金が高額になるケース
盗撮行為が悪質な場合や、被害者が受けた精神的苦痛が大きい場合は、示談金が相場より高額になる傾向があります。具体的には、次のようなケースです。
- 被害者が未成年で、保護者が交渉の相手方になる
- トイレや更衣室に小型カメラを設置して撮影した
- 同じ被害者を繰り返し撮影していた、余罪が多数ある
- 撮影した画像・動画をインターネット上に流出させた、販売した
- 住居侵入や建造物侵入を伴っていた
- 被害者が仕事を休んだり転居したりせざるを得なくなった
このような事情があるときは、示談金が100万円を超えることもあります。特に被害者が未成年の場合は、交渉相手となる保護者の処罰感情が強く、金額が上がる傾向にあります。
示談金を払えないとき・高額な示談金を要求されたとき
盗撮の示談金は一括での支払いを求められることが多いですが、一括が難しい場合は分割払いを交渉する余地があります。次のような工夫をすることで、被害者が分割に応じてくれる可能性を高めることができます。
- 分割回数を少なくする(一回に支払う金額を少なくし過ぎない)
- 一回目に多めの金額を支払う
- 分割にしてもらう代わりに、支払い総額を一括の場合より多めにする
- 支払いが滞った場合の違約金を定める
一方、相場を大きく超える示談金を要求されたときは、必ずしも要求どおりの金額に応じる必要はありません。あらかじめ応じられる限度額を決め、それ以上の要求には応じない姿勢が重要です。ただし、加害者本人が被害者と直接交渉することは難しく、仮にできても感情的な対立から交渉が平行線をたどりがちです。金額面の交渉は早めに弁護士に相談して任せた方がよいでしょう。
盗撮で示談しないとどうなる?示談できない場合の対処法
示談は、必ず成立するとは限りません。ここでは、示談しない・できない場合に加害者が受けるデメリットと、その場合の対処法を解説します。
示談しないと逮捕・起訴・前科のリスクが高まる
盗撮で示談を成立させることができなかったときは、前述のメリットとは逆の不利益を被りかねません。
逮捕前であれば、被害届が出されて逮捕され、引き続き勾留されてしまう可能性があります。逮捕後も、示談が成立していない分、勾留が長引くおそれがあります。
また、起訴される可能性も高くなります。盗撮の初犯では略式起訴により罰金の略式命令を受けることが多く、罰金であっても有罪である以上、前科はつきます。前科がつくと就職や資格の取得に影響が出ることがあるほか、勾留が長引けば勤務先に知られるおそれも高まります。さらに、刑事手続きが終わった後に被害者から民事上の損害賠償を請求されるリスクも残ります。
示談できないときは贖罪寄付や再犯防止の取り組みを示す
盗撮の被害者が示談交渉に応じてくれない場合や、被害者が誰か分からない(被害者不明)ために示談交渉自体ができない場合もあります。
このような場合でも、示談以外の方法で反省と償いの意思を示すことで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。具体的には、弁護士会などへの贖罪寄付、被害者が受領を拒否している場合の賠償金の供託、専門のクリニックへの通院や家族の監督による再犯防止の取り組みなどです。弁護士はこれらの取り組みを証拠とともにまとめた意見書を検察官に提出し、示談ができなくても不起訴処分とすべき事情があることを主張します。
贖罪寄付の効果や手続きは、贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れで詳しく解説しています。
盗撮で示談をする流れ
盗撮の場合、加害者との直接の交渉に応じる被害者はほとんどおらず、警察も加害者本人に被害者の連絡先を教えることはまずありません。示談は早く始めるほど有利で、逮捕・勾留された場合は、逮捕から最長23日で起訴するかどうかが判断されるため、その間の成立が目標になります。以下は、弁護士に依頼して行う示談活動の流れです。当事務所の示談交渉の進め方や弁護士費用は、盗撮事件に強い弁護士による刑事弁護のポイントにまとめています。
- 弁護士に依頼し、警察・検察を通じて被害者の連絡先を確認する
- 弁護士が被害者に謝罪し、示談交渉を始める
- 示談書を取り交わす
- 示談書を警察・検察に提出する
①弁護士に依頼し、警察・検察を通じて被害者の連絡先を確認する
まずは、弁護士に盗撮の刑事弁護を依頼します。逮捕されてご自分で依頼することが難しい場合は、ご家族の協力を得て依頼することも可能です。
依頼を受けた弁護士は事件を担当する警察官に連絡し、被害者と示談交渉をしたいので連絡先を教えてもらえないか尋ねます。事件が検察に送致された後は、担当の検察官に同様に申し入れます。
警察官(送検後は検察官)は被害者に連絡し、加害者の弁護士に連絡先を教えてよいかを尋ねます。承諾が得られれば、弁護士限りという条件で連絡先が開示されます。承諾が得られない場合も、弁護士は時期を改めて再度申し入れるなど粘り強く働きかけます。
②弁護士が被害者に謝罪し、示談交渉を始める
弁護士は被害者に連絡し、加害者の刑事弁護人であることを告げて謝罪の意思を伝えたうえで、示談交渉を申し入れます。被害者が応じてくれる場合は、その要望に合わせて面会や電話の方法で示談交渉を始めます。示談交渉では示談金のほか、支払い方法や、被害者が加害者に対して求めること(誓約事項)などについて話し合います。
③示談書を取り交わす
示談金などの条件について話がまとまったら、弁護士が示談書を作成し、加害者側と被害者がそれぞれ署名・押印して1部ずつ保管します。示談書には、次の内容を記載します。
- 盗撮の事実と、加害者が事実を認めて謝罪すること
- 示談金の金額、支払い期限・方法
- 加害者の被害者に対する誓約事項(接触しない、特定の場所に立ち入らない等)
- 誓約事項に違反した場合の違約金
- 宥恕条項(被害者が加害者を赦し、刑事処罰を望まないこと)
- 清算条項(示談金以外に互いに債権債務がないこと)
- 守秘義務条項(示談の内容を第三者に漏らさないこと)
特に重要なのが宥恕条項と清算条項です。宥恕条項を盛り込んだ示談書を提出できれば、不起訴処分となる可能性が大きく高まります。ただし、いずれの条項も被害者が合意しなければ盛り込めません。示談書の書き方と文例は、盗撮の示談書の書き方を弁護士が解説【無料テンプレート付】をご覧ください。
④示談書を警察・検察に提出する
最後に、弁護士が示談書の写しを事件を担当する警察(送検後は検察、起訴後は裁判所)に提出します。検察官は示談の成立を起訴・不起訴の判断材料として重視するため、処分が決まる前に提出しておくことが重要です。弁護士が示談書だけでは効果が薄いと判断したときは、不起訴処分を求める意見書もあわせて提出し、処分の軽減を働きかけます。
盗撮の示談でお悩みの方は弁護士にご相談ください
盗撮事件では、被害者との示談が成立するかどうかで、逮捕・起訴・前科の有無が大きく変わります。ただし、捜査機関が加害者本人に被害者の連絡先を教えることは通常なく、示談交渉を進めるには、実際上、弁護士への依頼がほぼ必須です。
当事務所は盗撮事件の示談交渉に豊富な実績があり、弁護士が迅速に動き、依頼者を全力で守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

