不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の時効は12年です

不同意わいせつ罪の公訴時効は12年です。2023年の刑法改正により、旧強制わいせつ罪の公訴時効7年から大幅に延長されました。

「このまま時効を待てば逮捕されずに済むのではないか」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、不同意わいせつ罪の検挙率は高い水準にあり、性犯罪では被害から何年も経ってから被害届が出されるケースも珍しくありません。12年もの間、逮捕の不安を抱え続けることは精神的にも大きな負担となります

この記事では、性犯罪事件に強い弁護士が、

  • 不同意わいせつ罪の公訴時効と民事の時効
  • 時効完成を待つことのリスク
  • 時効完成を待たずに早期解決を目指すためにすべきこと

などについてわかりやすく解説していきます。

なお、不同意わいせつについて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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不同意わいせつの時効は?

公訴時効は12年

不同意わいせつ罪の公訴時効は「12年」です。「時効は、犯罪行為が終わった時から進行する」とされています(刑事訴訟法第253条)。

公訴時効とは、「時効が完成したとき」は、「判決で免訴の言い渡しをしなければならない」という制度です(刑事訴訟法第337条4号)。

そのため、公訴時効が経過した事件については、検察官が公訴を提起しても、裁判所は免訴判決を下さなければなりません。免訴判決が下ることがわかっていてわざわざ検察官が起訴することはありませんので、不同意わいせつの行為が終わった時から12年が経過すれば、犯人が刑事処罰を受ける可能性は消滅します

このような公訴時効制度が設けられている理由は、時間の経過によって犯罪事実の社会的な影響が薄れ、未確定の刑罰権が消滅し可罰性がなくなるという点にあります。加えて、時間が経つにつれて証拠が散逸し、公正な裁判の実現が困難になるという事情もあります。

そして、「刑法第176条若しくは第179条第1項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第60条第1項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 12年」の公訴時効が規定されています(刑事訴訟法第250条3項3号)。

以上の規定により、不同意わいせつ罪(刑法第176条)の公訴時効は「12年」です。

さらに、不同意わいせつを行い、被害者を負傷させた不同意わいせつ致傷罪が成立した場合には公訴時効は「20年」、被害者を死亡させた不同意わいせつ致死罪の場合には公訴時効は「30年」となります(同法第250条第3項第1号、同法250条1項1号)。不同意わいせつ罪の成立要件や罰則について詳しくは「不同意わいせつ罪とは?旧強制わいせつ罪との違いをわかりやすく解説」をご参照ください。

民事の時効

不同意わいせつ罪の場合には、国家が加害者に対して行使する刑罰権の問題のみならず、被害者と加害者との間の民事の問題も残っています。

不同意わいせつ罪が成立する場合、加害者は民事上の不法行為責任を負うことになります。

そのため、不同意わいせつ行為によって被害者が受けた損害を賠償する責任があります(民法第709条)。被害者が請求できる損害として、入院・治療費や、休業損害、後遺障害が残った場合の逸失利益や慰謝料などが含まれます。

ただし、不法行為に基づく損害賠償請求権には、消滅時効が規定されています。損害賠償請求権は、以下の事情がある場合に時効によって消滅します(民法第724条参照)。

  • 被害者(法定代理人)が損害及び加害者を「知った時から3年間」権利を行使しないとき
  • 「不法行為の時から20年間」権利を行使しないとき

ただし、2017年の民法改正により、「人の生命又は身体を害する」不法行為による損害賠償請求権については「3年」ではなく「5年」に延長されることになりました(民法第724条の2)。不同意わいせつ行為は被害者の身体に対する侵害を伴うことが通常であるため、多くの場合この規定が適用されると考えられます。

以上から、不同意わいせつ罪による損害賠償請求については、身体侵害を伴う場合、損害・加害者を知った時から「5年」が消滅時効期間となります。なお、被害者が負傷・死亡した場合の公訴時効については「不同意わいせつ等致死傷罪(旧強制わいせつ等致死傷罪)とは?」で詳しく解説しています。

不同意わいせつの公訴時効についての注意点

刑法改正前のわいせつ行為にも改正後の時効が適用される

不同意わいせつ罪に当たる行為は、刑法改正前には強制わいせつ罪として処罰されていました。刑法改正前の強制わいせつ罪の公訴時効は7年でしたが、改正により12年に延長されています

しかし、令和5年(2023年)7月13日から施行されている改正刑法に伴い、令和5年(2023年)6月23日から施行されている改正刑事訴訟法により、不同意わいせつ罪の公訴時効は延長されています。

不同意わいせつ罪などの性犯罪は、一般的に被害者による被害申告が難しく、被害者の周囲の人間も被害に気づきにくいという特徴があります。そのため、刑事訴追が事実上可能になる前に公訴時効が完成してしまい、犯人の処罰が不可能になるという不当な事態が懸念されていました。

こうした性犯罪の特性を踏まえ、今回の法改正では訴追の可能性を適切に確保するため、性犯罪の公訴時効が5年延長されました。

刑法改正前の2023年7月13日までに発生したわいせつ事件についても、公訴時効が完成していなければ改正後の12年が適用されます

例えば、2018年1月1日に強制わいせつ罪を犯した場合、改正前の刑事訴訟法によれば、公訴時効は7年後の2025年1月1日に完成するはずでした。しかし、この場合も改正刑事訴訟法の規定が適用されるため、12年後の2030年1月1日までは公訴時効は完成しません。

【旧強制わいせつ罪の公訴時効】

罪名 改正前 改正後
強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪・監護者わいせつ罪 7年 12年
強制わいせつ等致傷罪 15年 20年
強制わいせつ等致死罪 30年 30年

被害者が18歳未満であれば時効期間が加算される

性犯罪の被害者が18歳未満である場合には、被害者が18歳になる日までの期間が公訴時効期間に加算されます。心身ともに未熟な子どもや若年者は、特に被害を申告することが難しいと考えられるためです。

この改正により、例えば、12歳のときに不同意わいせつ罪の被害に遭った人については、公訴時効期間が12年に延長されたうえ、18歳になる日までの期間も加算されるため、公訴時効はその人が30歳(6年+12年=18年)に達する日まで完成しません。なお、「30歳に達する日」とは、法律上、30歳の誕生日前日のことをいいます。

公訴時効の進行が停止することがある

公訴時効は一定の事由がある場合には、その進行がストップする場合があります。これが「時効の停止」という制度です。

公訴時効が停止するのは以下のような事由がある場合です(刑事訴訟法第254条、255条参照)。

  • 当該事件について公訴が提起された場合
  • 共犯の1人に対してした公訴が提起された場合:他の共犯に対しても時効が停止する
  • 犯人が国外にいる場合:国外にいる期間は時効が停止する
  • 犯人が逃げ隠れているため有効な起訴状の謄本の送達・略式命令の告知ができなかった場合:逃げ隠れている期間は時効が停止する

公訴時効の「停止」とは、あくまでも「一時停止」という意味合いです。例えば、不同意わいせつ事件を起こしてから半年後に国外に渡った犯人がその後日本に帰国した場合、国外に滞在していた期間は公訴時効が停止しており、帰国した時点で残りの公訴時効の進行が再開されます。

不同意わいせつの時効完成を待つリスク

逃げ切れるという考えは甘い

不同意わいせつ罪にあたる行為を犯し、簡単に逃げ切れると考えない方が良いでしょう。

法務省が発表している令和6年版犯罪白書によると、令和5年の不同意わいせつ(旧強制わいせつを含む)の認知件数は6,096件で、検挙件数は4,813件であり、検挙率は79.0%にのぼります

なお、令和5年は法改正直後で被害申告しやすい環境の整備が進んだことなどから認知件数が大幅に増加しており、前年(令和4年)の検挙率は86.3%とさらに高い水準でした。

不同意わいせつ事件の検挙率がこれほど高いのは、捜査機関が重大犯罪として力を入れて捜査にあたっているためです。

不同意わいせつ事件の場合には、捜査機関も総力を挙げて被疑者の特定に努めることになるため、公訴時効が成立する12年間逃げ切ることは非常に難しいと考えられます。逮捕された場合の流れや逮捕を回避する方法については「不同意わいせつで逮捕されるとどうなる?逮捕を回避するには?」をご確認ください。

性犯罪の被害者は何年も経ってから被害申告することもある

不同意わいせつ事件では、被害者が警察に被害を申告することで捜査が始まることが一般的です。しかし、性犯罪の場合には、被害に遭ったことが恥ずかしいことだという感情や自分が悪いという感情により被害申告が遅れる可能性があります。性犯罪の被害から立ち直るためには時間がかかります。事件のフラッシュバックに悩まされる被害者の方も少なくありません。

そのため、事件から年月が経過してから警察に被害を申告するケースも決して珍しくはありません。一度は被害申告を諦めたものの、知人や家族からのアドバイスや感情の整理ができて事件化する可能性があります。

こうした事情から、性犯罪の場合には加害者が忘れかけた頃に突然警察に逮捕されるという可能性があるのです。

不同意わいせつの時効を待たずにすべきこと

被害者と示談を成立させる

不同意わいせつ事件において、不起訴や執行猶予付き判決を得るためには、事件の被害者と示談をすることが重要です

被害者との示談が成立した場合には、被害者が被害届や告訴を取り下げることがあります。示談の成立は犯罪の違法性が一定程度減少したことを意味し、加害者側に有利に判断される可能性が高いでしょう。具体的には、逮捕の回避や不起訴処分に繋がることも期待できます。

しかし、不同意わいせつの加害者本人が被害者と直接示談交渉を進めることは困難です。性犯罪事件の場合、捜査機関が被疑者に被害者の個人情報を教えることはありません。

ただし、弁護士が代理人として示談交渉をする場合であれば、被害者の承諾を得たうえで、被害者の連絡先を教えてもらえます。公正中立な立場の弁護士が相手であれば被害者の精神的負担が減り、示談に応じてくれる可能性もでてきます。示談金の相場や具体的な進め方については「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方」で詳しく解説しています。

自首をする

弁護士に相談することで、自首の同行を依頼することもできます。

自首とは、犯人が司法警察員・検察官に対して自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることを指します。罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首した場合には、その刑を減軽することができると刑法に規定されています(刑法第42条1項)。「捜査機関に発覚する前」とは、「犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない場合」や犯罪事実は発覚しているものの、「その犯人が誰であるか全く発覚していない場合」を指します。

自首そのものの効果ではありませんが、自首をすることで「逃亡・証拠隠滅の恐れがない」と判断され、逮捕を回避できる可能性もあります。さらに、自首は犯人が反省していることを示す事情ですので、検察官が不起訴の判断をしてくれる可能性もあります。

そして、自首をする場合には、弁護士に相談されることをおすすめします。

自首をして反省の態度を示したいという場合であっても、ご自身の行為がどのような犯罪に該当し、どのような法益を侵害したのかを正確に理解していることが重要です。弁護士に自首の同行を依頼すれば、捜査機関による威圧的な取り調べがなされる可能性が低くなりますし、弁護士が上申書を提出することで逮捕を回避できる可能性も高まります。自首同行のメリットや費用について詳しくは「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」もあわせてご確認ください。

不同意わいせつの時効でお悩みの方は弁護士にご相談ください

不同意わいせつ罪の公訴時効は12年ですが、検挙率は高い水準にあり、被害申告が何年も後になされることもあるため、時効の完成を待って逃げ切ることは現実的ではありません。時効を待つよりも、示談交渉や自首によって早期に事件を解決することが、ご自身の将来を守ることにつながります。

性犯罪事件では、加害者本人が被害者と直接連絡を取ることはできませんが、弁護士であれば被害者の同意を得たうえで示談交渉を進めることが可能です。また、弁護士に自首の同行を依頼することで、逮捕を回避できる可能性も高まります。

「いつ逮捕されるかわからない」という不安の中で日々を過ごされている方や、すでに警察から連絡が来ている方は、一日でも早くご相談いただくことが大切です。対応が早いほど、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。

当事務所では、不同意わいせつ事件をはじめとする性犯罪事件の弁護活動に豊富な実績がございます。全国対応・無料相談を受け付けておりますので、お一人で悩まず、まずは当事務所の弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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