強制性交等罪(強姦罪)の懲役は何年?執行猶予はつく?

強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役(20年以下)です。執行猶予は3年以下の懲役でなければ付けられませんので、原則として強制性交等罪は執行猶予がつかない実刑判決となります。ただし例外として、刑の減軽があった場合には執行猶予が付く可能性があります

この記事では、上記内容につき刑事事件に強い弁護士が解説していきます。また、2017年の法改正により強姦罪から強制性交等罪へと何が変わったのか、罪を犯してしまった場合にどう対処すべきかについて合わせて解説していきます。

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強制性交等罪とは

成立要件

「強制性交等罪」については刑法第177条に規定されています。

同条には「13歳以上の者」に対して、「暴行または脅迫」を用いて「性交、肛門性交又は口腔性交(=性交等)」をした場合に同罪が成立する旨が規定されています。なお「13歳未満の者」に対しては、被害者の同意の有無に拘わらず「性交等」をすれば同罪が成立します。

性交とは、陰茎を被害者の膣内に挿入する行為を指します。肛門性交とは陰茎を被害者の肛門に挿入する行為を指します。口腔性交とは陰茎を被害者の口腔に挿入する行為を指します。

強制性交等罪の「暴行または脅迫」の程度については、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のもので足りると考えられています(最高裁昭和24年5月10日判決)。

罰則

強制性交等罪を犯した場合には、「5年以上の有期懲役」に処せられます。有期懲役の上限は20年(刑法第12条)ですので、強制性交等罪の罰則は5年以上20年以下の懲役刑となります。

なお、強制性交等の既遂または未遂を犯して被害者に傷害を負わせたり死亡させた場合には強制性交等致死傷罪が成立し、6年以上20年以下の有期懲役または無期懲役となります。

強制性交等罪の法定刑には罰金刑がなく、裁判にかけられ有罪が認定された場合には必ず懲役刑が言い渡されることになるため刑罰の重い犯罪であると言うことができるでしょう。ただし刑の執行が猶予される可能性があることについては後述します。

法改正により強姦罪からどう変わった?

かつては「強姦罪(ごうかんざい)」として規定されていたものが、2017年(平成29年)の刑法改正により「強制性交等罪」に改められました

それでは具体的にどのような点が変更されたのかについて解説していきます。

処罰される行為が拡大された

旧刑法には「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者」、「13歳未満の女子を姦淫した者」に強姦罪が成立する旨が規定されていました(旧刑法177条参照)。

まず、かつての強姦罪では「姦淫」する行為のみが処罰の対象とされていました。「姦淫」とは、男性生殖器の少なくとも一部を女性生殖器に挿入する行為を指します。そのためこれ以外の行為は強姦罪により捕捉することができませんでした。しかし姦淫行為以外であっても「性的自己決定の自由」を侵害する行為は存在するため、そのような行為も刑法によって処罰する必要性が主張されていました。

そこで刑法改正によって性交に並んで「肛門性交、口腔性交」という行為も処罰範囲に含むように変更されたのです。

被害者とされる者が拡大された

旧刑法では被害客体が、13歳以上または13歳未満の「女子」と規定されていたため、強姦罪の被害者は常に女性でした。

しかし法改正で「女子」という限定がなくなり、肛門性交・口腔性交が処罰行為に含まれたことで「男性」も被害者として保護の対象となりました

法定刑が重罰化された

強姦罪の法定刑は、「3年以上の有期懲役」と規定されていました。

しかし法改正により「5年以上の有期懲役」と重罰化されました。また同罪の行為を行い人を死傷させた場合に成立する致死傷罪(旧刑法では「強姦致死傷罪」、改正後の刑法では「強制性交等致死傷罪」)の法定刑が「無期又は5年以上の懲役」から「無期又は6年以上の懲役」と下限が引き上げられました。

関連する犯罪が新設・見直された

強姦に関する刑法改正にともない、「監護者性交等罪」が新設されました。これは「18歳未満の者」に対して、「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした」場合には強制性交等罪と同様に処罰するという規定が新設されました(刑法179条2項参照)。

また旧刑法では、強盗強姦罪について「強盗が先」なら強盗強姦罪(無期または7年以上の懲役)が成立し、「強姦が先」なら強姦罪と強盗罪(5年以上30年以下の懲役)が成立するという違いが発生していました。しかし強盗行為と強制性交等罪の行為を同一機会に行った場合にはその先後を問わず「無期または7年以上の懲役」に科されることが「強盗・強制性交等罪」の整備により統一されました(刑法第241条参照)。

非親告罪とされた

旧刑法では、強姦罪、準強姦罪、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪は「親告罪」とされていましたが、その規定を削除し非親告罪とされました。これに関連してわいせつ目的・結婚目的の略取・誘拐罪も非親告罪とされました。

強制性交等罪で執行猶予はつかない?

「執行猶予」とは、有罪の判決が言い渡されたとしても一定期間刑の執行を猶予してその間なんら問題なく過ごすことができれば、刑の言渡しの効力を失わせるという制度です。

執行猶予は、「3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき」にすることができます。しかし前述の通り、強姦罪の法定刑の下限が「3年」であったところ、強制性交等罪へと法改正されたことにより法定刑の下限が「5年」となりました。つまり、強制性交等罪は原則として執行猶予が付きません

しかし、以下の場合には執行猶予が付される可能性があります。

減軽される3つのケース

法律上刑を減軽すべき事由がある場合、有期懲役では「長期及び短期の2分の1を減ずる」とされています(刑法第68条3号)。

強制性交等罪の法定刑の下限は「5年」で、有期懲役の上限は「20年」ですので、「2年6月以上10年以下の懲役」で刑罰が言い渡されます。

したがって3年以下の懲役となれば執行猶予の可能性が出てきます。そして刑が減軽されるのは以下のようなケースです。

犯人が自首した場合

「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と規定されています(刑法第42条1項参照)。

「発覚する前」とは、犯罪の発覚前または犯人が誰であるかが判明する前を意味し、犯人の所在だけが判明していない場合は含まれません。

未遂で終わった場合

「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」と規定しています(同43条参照)。

性交等を試みたものの相手方に逃げられた場合などには未遂となります。

また「自己の意思により犯罪を中止したとき」は必ず刑が減軽されます(同但書き)。このように中止犯が成立するには、任意性と中止行為が必要となります。

酌量減軽

「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と規定されています(同66条参照)。

酌量すべき場合とは、法定刑の最低をもってしてもなお重いと考えられる場合で、犯行の動機や態様、被害結果、被告人の境遇や生活環境、前科前歴の有無、反省の程度などが考慮されます。

強制性交等罪では不起訴処分を目指す

法改正により法定刑が重罰化したことに伴い、強制性交等罪に執行猶予が付く率も低くなったのではと思われるかもしれませんが、法務省刑事局作成の「性犯罪の量刑に関する資料」を基に作成した以下の表の通り、平成29年の刑法の改正の前後で強制性交等罪(法改正前は「強姦罪」)の執行猶予率が必ずしも減少しているわけではないようです。

平成27年平成28年平成29年(法改正)平成30年令和元年
17%14.6%13.6%15.5%19.2%

もっとも、強制性交等罪で執行猶予を獲得できる率は上記の通りけして高くはありません。他方で、2021年に公開された検察統計調査によると、令和2年度の強制性交等罪の起訴率は37%ですので、63%が不起訴処分となっております。つまり、執行猶予よりも不起訴処分の獲得を目指す方が現実的といえます。

日本の司法では起訴されると99.9%の確率で有罪判決となりますので、仮に執行猶予が付いたとしても前科はついてしまいます。一方、不起訴処分を獲得できれば前科はつきませんし、刑事裁判にかけられて刑務所に収監されることもありません

不起訴処分を獲得するには弁護士に示談交渉を依頼

強制性交等罪で不起訴処分を獲得するには、被害者との示談成立が最も効果的です

被害者と示談を成立させることができれば、示談金の支払いと条件に被害者に被害届や告訴を取り下げてもらうことができます。加えて被害者の処罰感情が大幅に緩和されていれば、不起訴となる可能性は飛躍的に高まります。先ほど、強制性交等罪が法改正により非親告罪となったことをお伝えしましたが、示談の成立や被害者の加害者に対する処罰感情の低下は、起訴・不起訴の判断でも重視されます。

もっとも、被害者が示談交渉に応じるか否か、被疑者側が提示した示談条件に応じるか否かは被害者の意思次第です。被害者が示談に応じるタイミングも大切です。不起訴を獲得するためには起訴される前に示談を成立させなければいけませんが、必ずしも起訴前に示談に応じていただけるとは限りません。

また、強制性交等罪を始めとした性犯罪においては、被害者は加害者に強い恐怖心を抱いており、加害者との直接の示談交渉に応じる被害者はまずいません。そこで、後述するように、示談交渉するには弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。被害者の連絡先等の個人情報を知らない場合は、捜査機関から被害者の個人情報を取得する必要がありますが、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を教えることはありませんから、その意味でも弁護士の力が必要です。

弊所では、強制性交等罪の被害者との示談交渉、早期釈放、不起訴処分の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、逮捕されるかご不安な方、既に逮捕された方のご家族の方はまずはご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。

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