
「別れた相手の性的な画像をSNSに載せてしまった」「『ばらまく』と言っただけでもリベンジポルノは犯罪になるのか」と不安を抱えている方もいるでしょう。相手が分かる形で性的な画像をネットに公開すれば、リベンジポルノ防止法の公表罪として3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になりえます。撮り方次第で撮影罪、「ばらまくぞ」と告げれば脅迫罪にもあたります。
もっとも、公表罪は親告罪(告訴がなければ起訴できない罪)で、起訴前の示談で告訴を取り消してもらえれば、公表罪での起訴は避けられます。
この記事では、性的画像をめぐる事件の示談交渉に携わってきた弁護士が、次の点を解説します。
- 成立する罪と罰則
- 逮捕されるケースと逮捕後の流れ
- 有罪・前科を避けるために今できること
お読みいただくことで、ご自身の行為がどの罪にあたりうるかを見極め、今日やるべきことを判断できます。
なお、お困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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リベンジポルノとは
リベンジポルノとは、交際相手や元配偶者などを写した性的な画像・動画を、本人の同意なくネット上に公開したり、他人に渡したりする行為です。こうした画像・動画のうち一定のものを、リベンジポルノ防止法では「私事性的画像記録」と呼びます。
リベンジポルノ防止法とは
リベンジポルノ防止法は通称で、法律名は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。2013年の三鷹ストーカー殺人事件をきっかけに、2014年に制定されました。令和7年版犯罪白書によると、令和6年の私事性的画像被害に係る相談等は2,128件と施行後最多で、被害者と加害者の関係別では、交際相手(元交際相手を含む)が最も多く、1,047件(49.2%)を占めました。
同法は処罰のほか、被害画像の削除を早める特例も設けています。被害に遭った方は「リベンジポルノ画像・動画の3つの削除方法と依頼窓口」をご覧ください。
対象となる私事性的画像記録
処罰対象の「私事性的画像記録」は、次のいずれかの姿を撮った画像・動画のデータなどです(リベンジポルノ防止法2条1項)。
- 性交または性交類似行為をしている姿
- 性器・肛門・乳首を他人に触られる、または他人のそれらに触れる姿で、性欲を興奮させ、または刺激するもの
- 衣服の全部または一部を着けず、性器やその周辺部・臀部・胸部が殊更に露出・強調された姿で、性欲を興奮させ、または刺激するもの
データを保存したUSBメモリや写真(私事性的画像記録物)も対象です(同条2項)。第三者に見られると分かって本人が任意に撮影に応じたり自ら撮ったりしたもの(アダルトビデオなど)は除かれます。
リベンジポルノで成立する犯罪と罰則
リベンジポルノ防止法で犯罪とされているのは、「公表罪」と「公表目的提供罪」の2つですが、撮り方や使い方次第で別の罪も成立します。主な罪と法定刑は次のとおりです。
| 罪名(根拠法) | 法定刑 |
| 公表罪(リベンジポルノ防止法3条1項・2項) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
|---|---|
| 公表目的提供罪(同法3条3項) | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| わいせつ物頒布等罪(刑法175条) | 2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または拘禁刑および罰金の併科 |
| 名誉毀損罪(刑法230条) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 児童ポルノ禁止法違反(同法7条6項ほか) | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科 |
| 性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 脅迫罪(刑法222条) | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| ストーカー規制法違反(同法18条・19条) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(禁止命令違反は2年以下・200万円以下) |
※法定刑は、懲役・禁錮を「拘禁刑」に一本化した改正刑法(2025年6月1日施行)後の内容です。
公表罪と公表目的提供罪は親告罪です(リベンジポルノ防止法3条4項)。告訴(被害者などが捜査機関に犯罪を申告し処罰を求めること)は犯人を知った日から6か月を過ぎるとできず(刑事訴訟法235条)、取り消せるのは起訴されるまでです(同法237条1項)。表の罪のうち、ほかに親告罪なのは名誉毀損罪だけです。
公表罪の公訴時効(起訴できる期限)は、犯罪行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号・253条1項。詳しくは「リベンジポルノ防止法の時効は3年です|民事の時効も解説」)。
公表罪
公表罪は、写っている人を第三者が特定できる方法で、私事性的画像記録をインターネットなどの電気通信回線で不特定または多数の人に提供したり、記録物を不特定または多数の人に提供・公然陳列したりしたときに成立します(リベンジポルノ防止法3条1項・2項)。
構成要件(犯罪が成立する条件)の「不特定または多数」はどちらか一方で足りるため、仲間内のLINEグループへの共有でも、人数によっては公表罪が成立しえます。
公表罪の量刑の実例を「リベンジポルノ防止法の有名判例を弁護士が解説」で紹介しています。
未遂は処罰されませんが、撮影や所持の段階で別の罪にあたることがあります(後述)。
公表目的提供罪
公表目的提供罪は、受け取った人に公表させる目的で、私事性的画像記録や記録物を提供すると成立する犯罪です(リベンジポルノ防止法3条3項)。「掲示板に載せてほしい」と頼んで知人に画像を送る行為が典型です。
リベンジポルノ防止法以外に成立しうる犯罪
リベンジポルノの画像に写る相手が撮影時に18歳未満なら児童ポルノ禁止法にも触れ、不特定または多数への公開は特定の相手への提供より重く処罰されます(同法7条2項・6項)。性的好奇心を満たす目的で自分の意思で持つに至ったことが明らかなら、所持も処罰対象です(同条1項)。詳しくは「児童ポルノ禁止法違反となる行為と罰則は?逮捕後の流れを解説」をご覧ください。
わいせつな画像を誰でも見られる状態にすればわいせつ物頒布等罪(刑法175条)の公然陳列に、相手が分かる形で公開して社会的評価を下げれば名誉毀損罪(同法230条)にあたることがあります。
2023年7月13日以降に画像を正当な理由なくひそかに、拒めない状態に乗じて、または「ほかの人には見せない」と誤信させて撮っていれば、性的姿態等撮影罪にあたります(性的姿態撮影等処罰法2条1項)。相手が13歳未満の場合や、13歳以上16歳未満で撮影者が5歳以上年長の場合は、同意があっても成立します。
関連記事:性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説
「ばらまくぞ」と告げれば脅迫罪、そう脅して金銭を要求すれば恐喝罪、復縁などを強いれば強要罪が問題になります。好意やそれが満たされない怨恨から、相手に性的な画像を送りつける行為などを繰り返せば、ストーカー規制法違反にもなりえます。
リベンジポルノで逮捕されるケースと逮捕後の流れ
リベンジポルノで捜査が始まる主なきっかけは、被害者による警察への相談や告訴状・被害届の提出です。匿名の投稿でも、契約者情報や端末のデータなどから投稿者が特定されることがあります。
特定後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、逮捕される可能性があります。そのおそれが小さければ、在宅事件(身体拘束されずに取調べを受ける形)となることもあります。
逮捕後の手続きは次の順に進みます(刑事訴訟法203条〜208条)。
- 逮捕から48時間以内に、警察が事件を検察官へ引き継ぐ(送致)
- 検察官が24時間以内(逮捕から72時間以内)に、勾留(引き続きの身体拘束)を請求するか釈放するかを決める
- 勾留が認められると請求の日から10日間、延長されるとさらに最長10日間、身体拘束が続く
- 勾留期間が終わるまでに、検察官が起訴・不起訴を決める
このため、身体拘束は逮捕から最長23日間に及ぶことがあります。
起訴されて有罪が確定すると、罰金刑でも前科がつきます(不起訴なら前科はつきませんが、捜査を受けた記録である前歴は残ります)。勤務先や学校に知られれば、懲戒や退学につながるおそれもあります。拘禁刑の前科があると、職業によっては資格の制限を受けることもあります。
刑事手続きとは別に、慰謝料などを請求されることもあります。賠償額の考え方は「リベンジポルノの慰謝料相場は?損害賠償の請求方法と増額要因」も参考にしてください。
リベンジポルノ防止法違反に問われた場合の対応方法
リベンジポルノ防止法違反に問われたら、まずネット上に公開した投稿を削除して拡散を止めてください。削除しても罪は消えませんが、被害拡大を止めたことは示談や処分で考慮されえます。
被害者との示談を目指す
リベンジポルノ防止法の公表罪と公表目的提供罪は親告罪なので、起訴前に示談が成立して告訴が取り消されれば、これらの罪で起訴されることはなく、有罪判決を受けて前科がつくこともありません。
ただし、脅迫罪など親告罪ではない罪も成立している場合は、告訴が取り消されてもそれらの罪では起訴されえますが、示談の成立は起訴の判断で考慮されます。
示談金は、被害の大きさや拡散の範囲などで大きく変わります。金額の決まり方は「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」で整理しています。
示談交渉は弁護士に任せる
リベンジポルノの加害者本人や家族が直接連絡すると、被害者が恐怖心から態度を硬くしたり、新たな被害と受け止めたりしかねません。捜査機関は被害者の連絡先を加害者本人には通常教えませんが、弁護士なら被害者の了承を得て伝えてもらえる場合があります。
弁護士が窓口になれば、被害者の心情に配慮して示談を進めやすくなり、早期の釈放や不起訴処分を目指せます。示談に至らなくても、謝罪や被害弁償に努めたことは、起訴猶予(罪は認められるが、事情を考慮して起訴を見送る処分)や量刑で考慮されることがあります。
警察から連絡が来たら、早めに弁護士へご相談ください。
リベンジポルノで犯罪に問われそうな方は弁護士にご相談ください
リベンジポルノは、公表罪にあたれば3年以下の拘禁刑などの対象となり、脅迫罪など別の罪にもあたりえます。ただ、公表罪は親告罪なので、起訴される前に示談をまとめ、告訴を取り消してもらうことが公表罪での起訴を避ける道になります。
一時の感情で行為に及び、不安を抱えていませんか。
当事務所はこうした事件の示談交渉に取り組んできました。弁護士が迅速に間に入り、ご家族や勤務先に知られるリスクを抑えながら穏便な解決を目指します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

