強制性交等致傷(旧強姦致傷)とは?構成要件や罰則を解説
レイプしてしまい被害者に怪我を負わせてしまった…
強制性交等致傷罪が成立するのだろうか…刑罰はどれくらいだろう…

 この記事では、性犯罪に強い弁護士がこの疑問を解消します。

強制性交等致傷罪(法改正前は「強姦致傷罪」)は裁判員裁判にもなる重大犯罪です。もし心当たりのある方で、記事を最後まで読んでも問題解決しない場合は、弁護士までお気軽にご相談ください。

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強制性交等致傷罪とは?

強制性交等致傷罪とは、強制性交等・準強制性交等・監護者性交等の既遂またはそれらの未遂を犯して、被害者に傷害を負わせた場合に成立する犯罪です刑法181条2項)。

以下では、強制性交等・準強制性交等・監護者性交等と記すところを、便宜上、「強制性交等」で統一して解説していきます。

強制性交等罪(旧強姦罪)とは?弁護士が解説

構成要件

強制性交等致傷罪が規定されている刑法第181条2項の条文を分解すると以下の3つの要素から成立要件が構成されていることがわかります。

①強制性交等罪などの既遂、または未遂を犯したこと

まず、強制性交等罪の既遂、または未遂を犯したことが必要です。強制性交等罪は刑法第177条に規定されており、相手が13歳以上の者か13歳未満の者かで成立要件が異なります。

相手が13歳以上の者である場合は、暴行又は脅迫を手段として性交等(性交のほか、肛門性交又は口腔性交を含む)をした場合に強制性交等罪の既遂が成立します。一方、性交等をする意図で暴行又は脅迫したものの、性交等に至らなかった場合は未遂にとどまります。

相手が13歳未満の者である場合は、暴行又は脅迫は不要で、性交等をしただけで強制性交等罪の既遂が成立します。一方、性交等をしようとしたものの、何らかの事情でできなかった場合は未遂にとどまります。

②人に傷害を負わせたこと

次に、人に傷害を負わせたことが必要です。傷害の程度が軽いか重いのかは問いません。傷害は外傷に限らず、PTSDやパニック障害などの精神障害も含まれます。また、傷害を生じさせる意図は必要とされていません。そのため、男性器を膣や肛門内に挿入し、その際に摩擦で膣や肛門を傷つけてしまった、という場合にも強制性交等致傷罪に問われる可能性があります。

③因果関係があること

最後に、強制性交等罪の既遂、または未遂と傷害との間に因果関係があることが必要です。、強制性交等罪の既遂、または未遂がなければ傷害は生じなかったといえる場合に因果関係が認められてしまいます。

傷害は強制性交等罪の性交等から生じたものである場合はもちろん、性交等の手段である暴行又は脅迫から生じたものでも因果関係を認められてしまいます。また、被害者が現場から逃げようとした際に転倒して怪我した場合など、傷害が性交等の機会に生じたといえる場合にも因果関係が認められてしまうことがあります

成立時期

強制性交等致傷罪は「①(強制性交等罪の)暴行又は脅迫→②性交等→③傷害の発生」という流れを経て成立します。また、②性交等を実行できなかったとしても、性交等の手段として①暴行または脅迫を実行しており、③傷害の発生があれば強制性交等致傷罪が成立する可能性があります

刑罰

強制性交等致傷罪の刑罰は6年以上20年以下の有期懲役または無期懲役です。

時効

強制性交等致傷罪の時効は傷害が発生したときから15年です。

怪我はさせたが姦淫が未遂の場合でも成立する?

前述のとおり、性交等をする意図で暴行又は脅迫を加え、傷害を発生させた場合は、性交等が未遂でも強制性交等致傷罪が成立する可能性があります

姦淫行為以外で怪我をさせても成立する?

前述のとおり、傷害(怪我)が性交等の機会に生じたと認められるものであれば強制性交等致傷罪が成立する可能性があります。例えば、被害者が逃走の際に転倒して負傷した場合も同罪が成立します。

強制性交等致傷罪は裁判員裁判の対象事件

裁判員裁判とは、裁判官3名に加えて一般の市民(裁判員)6名を加えた裁判体で実施される裁判のことです。強制性交等致傷罪の裁判員裁判では次の点に注意が必要です。

裁判が始まるまでの期間が長い

裁判員裁判では裁判のための準備手続きである「公判前整理手続」が開かれます。裁判を短期間で終わらせるため、裁判の争点を整理するための手続きですが、争点や証拠の数等によっては半年から1年以上を要することがあります。この間、保釈が許可されない限り、留置所、あるいは拘置所での生活が続いてしまいます。なお、裁判員裁判の審理期間は1か月以内で終わることが多いです。

厳罰が下される可能性がある

強制性交等致傷罪をはじめとする性犯罪の裁判員裁判では、被告人にとって厳しい判決が下される傾向があります。これは、裁判官と同等あるいはそれ以上に、裁判員も性犯罪に対して厳しい目をもって裁判に臨んでいる証でもあります。裁判で有罪と認定されれば、相場以上の量刑を受ける覚悟でいなければなりません。そのため、後述するように、強制性交等致傷罪に問われた場合は、裁判員裁判にさせない=起訴させない(不起訴を獲得する)ための弁護活動が必要となってきます。

法改正による強姦致傷から強制性交等致傷への変更点

平成29年7月に改正刑法が施行され、かつての強姦致傷罪が強制性交等致傷罪に改正された経緯があります。

強姦致傷罪は、強姦犯が被害者に傷害を負わせた場合に成立する点で強制性交等致傷罪と共通しますが、罪名以外でいくつか改正点がありますので以下で確認しましょう。

保護の対象が男性にも拡大された

まず、保護の対象が拡大されています。強姦致傷罪では13歳以上、あるいは13歳未満の「女子」のみを保護の対象としていましたが、強制性交等致傷罪では13歳以上、あるいは13歳未満の「者」と男女の区別なく保護の対象としています。

処罰の対象行為が拡大された

次に、処罰の対象行為も拡大されています。強姦致傷罪では姦淫、すなわち陰茎を膣内に挿入する行為だけが処罰の対象でしたが、強制性交等致傷罪では姦淫(=性交と同じ意味)のみならず、肛門性交、口腔性交も処罰の対象とされています。

刑罰が重たくなった

次に、刑罰が重たくなっています。強姦致傷罪の刑罰は5年以上20年以下の有期懲役又は無期懲役でしたが強制性交等致傷罪の刑罰は6年以上20年以下の有期懲役又は無期懲役です。なお、強姦致傷罪は非親告罪(※)でしたが、強制性交等致傷罪も非親告罪です。

※検察官が起訴するにあたって被害者の告訴が必要ではない罪。必要な罪を親告罪といい、刑法では器物損壊罪や過失傷害罪など一部に限られています。

強制性交等致傷罪の弁護活動

強制性交等致傷罪の弁護活動は次のとおりです。

罪を認める場合は示談交渉が重要

罪を認める場合は起訴を避ける、すなわち起訴猶予による不起訴を獲得するための活動が優先されます。なぜなら、前述のとおり、起訴されるといずれ裁判員裁判が開かれ、厳罰が下される可能性があるからです。

起訴猶予による不起訴を獲得するための弁護活動とは具体的には被害者との示談交渉です。示談交渉の結果、示談が成立し、検察官が刑事処分を決めるまでにその結果を提示することができれば起訴猶予による不起訴を獲得できる可能性が高くなります。検察官は刑事処分を決めるにあって被害者の意思を重要視しますから、示談書に宥恕条項(被害者が加害者の犯罪行為を許すことを明記した条項)を盛り込むことができれば起訴猶予による不起訴となる可能性は飛躍的に高まります。弁護士としては、示談交渉において、宥恕条項の獲得にも努めていきます。

もっとも、強制性交等致傷罪という罪の性質からして、示談金は高額となることは覚悟しておかなければなりません。また、逮捕された場合、検察官が刑事処分を決めるまでの期間は約3週間と短く、かつ、その間に被害者に示談に応じていただけるかどうかは被害者の意向しだいという点も否めません。

無罪を主張する場合

無罪を主張する場合は、起訴されるまでは嫌疑不十分による不起訴の獲得に努めます。性犯罪では、被疑者・被告人と被害者のいずれの供述(証言)が信用できるかが重要視されますので、まずは依頼者からしっかり話を伺った上で、取調べ等に対するアドバイスを行います。加えて、依頼者から聴取した内容等をもとに意見書を作成して検察官に提出し、嫌疑不十分による不起訴が適当であることを主張していきます。

一方、起訴された場合は、裁判員裁判での無罪獲得に努めます。起訴後は検察官の手元にある証拠を開示するよう求めることができます。まずは、証拠を全て開示させた上で、事件の争点や主張、立証していくべきポイントを整理し、公判前整理手続及び裁判員裁判に臨みます。同時に保釈も請求してまいります。

弊所では、強制性交等致傷の示談交渉、不起訴処分の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に依頼者を全力で守りますので、強制性交等致傷を犯してしまってまだ逮捕されていないご本人様、逮捕されてしまった方のご家族様は、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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