前科をつけないようにするにはなにをすべきだろうか…
結論から言いますと、強制わいせつの初犯でも実刑判決が下ることもあります。前科をつけないためには、被害者と示談を成立させて不起訴処分を得るか、無罪を主張し、嫌疑不十分による不起訴や無罪を獲得する必要があります。
この記事では、強制わいせつに強い弁護士が、上記内容につきわかりやすく解説していきます。
初めて強制わいせつ事件を起こしてしまいいつ逮捕されるかご不安な方、既に逮捕されてしまった方のご家族の方で、記事を最後まで読んでも問題解決しない場合は弁護士までご相談ください。
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目次
強制わいせつとは?
強制わいせつは相手が13歳以上か13歳未満かで罪の成立要件が異なります。
すなわち、相手が13歳以上の場合は暴行又は脅迫を手段としてわいせつな行為を行うこと、相手が13歳未満の場合は暴行又は脅迫は不要で、わいせつな行為を行っただけで罪に問われる可能性があります。
暴行は殴る、蹴る、叩く、押し倒すなどが典型です。脅迫は相手の生命、身体、自由、名誉、財産を害する旨を言うことをいいます。一般に、いずれも相手の反抗を著しく困難ならしめる程度である必要があると解されています。なお、相手の背後から近づき、いきなり両手で相手の両胸を鷲掴みするように、暴行それ自体がわいせつな行為である場合も強制わいせつに問われることがあります。
わいせつな行為とは、腿・尻・胸・陰部を触る、胸をもむなど、いたずらに人の性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為と解されています。
罰則は6月以上10年以下の懲役で、罰金刑は定められていません。かつて強制わいせつは検察官が起訴するにあたり被害者の告訴を必要とする親告罪でしたが、平成29年の刑法改正により(平成29年7月13日より)、告訴が不要な非親告罪となっています。
強制わいせつとは?どんな行為が該当する?逮捕後の流れを弁護士が解説
強制わいせつは初犯でも実刑になる?
強制わいせつの量刑(懲役の長さ、実刑か執行猶予か)は、計画性の有無、犯行態様、結果の程度、被告人の反省の程度・認否、被害者の処罰感情、被害弁償・示談の有無、再犯可能性(前科・前歴の有無、被告人の性犯罪傾向など)、更生可能性(これまでの家族などの監督状況、家族などの周囲の支援、更生に向けた環境の整備・被告人の意欲)、社会的制裁の有無などの諸事情を考慮して判断されます。これらの諸事情で不利な事情があればあるほど初犯でも実刑になる可能性があります。
強制わいせつの初犯で前科をつけないためには?
ここからは強制わいせつの初犯で前科をつけないために何をやるべきかを解説していきます。
なお、前科とは、有罪と認定された罪名、刑罰、量刑、裁判所名などが記録されたものです。この「前科がつく」とは、要するに、刑事裁判で有罪認定を受け、その裁判が確定した(不服申し立てができなくなった)ことを意味しています。実刑の場合のみならず、執行猶予の場合でも前科はつきます。前科がつくことによる主なデメリットは次のとおりです。
- 刑務所に服役しなければならない(懲役実刑の場合)
- 会社を解雇される可能性がある
- 退学処分を受ける可能性がある
- 免許・資格をはく奪される可能性がある
- 免許・資格を必要とする職に就けなくなる可能性がある
前科がつくことで今後の生活にどのような影響を及ぼすのか詳しく知りたい方は、前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリットを弁護士が解説を合わせて読むことをお勧めします。
示談交渉し、示談を成立させる
強制わいせつの成立を認める場合は被害者と示談交渉し、示談を成立させることが先決です。次のとおり、示談の効果は、示談を成立させるタイミングによって大きく異なります。
まず、被害届を提出される前に示談を成立させることができれば、被害者に警察に被害届を提出しないことに同意していただけます。そのため、そもそも事件が警察に発覚することを防ぐことができます。事件が警察に発覚しなければ逮捕や長期間の身柄拘束、取調べなどを受けることはありませんし、前科もつきません。また、すでに被害届を提出されている場合でも、示談を成立させることができれば被害届を取り下げてもらうことができます。被害者が被害届を取り下げれば、それ以上、刑事手続きが進むことはありません。
一方、万が一、逮捕された場合でも、起訴される前に示談を成立させることができれば、不起訴(起訴猶予)の獲得を期待できます。不起訴を獲得できれば、起訴されず刑事裁判にかけられることはありません。前述のとおり、前科は刑事裁判を経てつくものですから、刑事裁判を受けないということは前科がつかないことを意味します。
無罪主張し、不起訴(嫌疑不十分)や無罪を獲得する
強制わいせつの成立を認めない場合は無罪主張をします。強制わいせつの成立を争う場合は、被疑者・被告人の供述と被害者の供述(証言)のどちらが信用できるのかが争点となります。そのため、身柄拘束された場合は、接見を通して取調べに対するアドバイスに力を入れるとともに、誤って不利な供述をしてしまわないよう精神面のサポートにも力を入れます。
また、必要によっては弁護士自ら証拠を収集するなどして、被害者の供述(証言)が信用できないことを主張していきます。こうした活動を通じて、強制わいせつの成立に疑いを差挟む余地が生じた場合、起訴される前は不起訴(嫌疑不十分)、起訴された後は無罪を獲得できる可能性があります。そして不起訴・無罪のどちらの場合も前科はつきません。
強制わいせつで無罪になるケースと無罪主張する場合にすべきこと
弁護士に依頼する
最後に、弁護士に依頼することです。強制わいせつの示談交渉では、加害者との直接の示談交渉に応じる被害者はほとんどいません。被害者が弁護士を立てた場合は、公平な内容で示談するにも弁護士の力が必要です。また、そもそも被害者とコンタクトを取れない場合は、捜査機関から被害者の連絡先などの個人情報を入手する必要がありますが、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を教えることはありません。一方、弁護士であれば、被害者の意向しだいでは教えてくれることがあります。
また、検察官に対して不起訴の意見を出したり、裁判で無罪主張するには高度な専門的知識が必要です。前述のとおり、はやめに依頼した方が、被る不利益を最小限に抑えることができますから、できる限りはやめに弁護士に依頼することが重要です。
弊所では、強制わいせつの被害者との示談交渉、不起訴獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、強制わいせつで前科を付けたくない方はまずはご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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