「盗撮事件を起こして自首をしたらどんなメリットがあるのだろう…そもそも自首すべきだろうか…」
「盗撮で自首する場合、被害届が出されていなくても自首は成立するのだろうか…」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、盗撮事件に強い弁護士が、次の点について詳しく解説します。
- 盗撮で自首するメリット・デメリット
- 盗撮で自首を検討すべきケース
- 盗撮で自首した時の流れ
- 被害届が出されていない場合でも自首は成立するのか
なお、盗撮事件を起こしてしまい、逮捕や起訴の回避を早急に考えている方は、この記事をお読みいただいた上で、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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盗撮で自首するメリット
自首とは、犯罪を犯した者が、事件が発覚していない又は事件は発覚しているが犯人が特定されていない段階で自発的に捜査機関に名乗り出てその処分を求める行為をいいます。盗撮の被害者が既に被害届を出している場合でも、犯人が特定されていない段階であれば自首は成立します。盗撮で自首するメリットは以下のとおりです。
- ①逮捕を回避することができる
- ②報道を回避することができる
- ③警察に怯えた解放される
- ④家族や会社にバレることを避けることができる
- ⑤不起訴になる可能性が高くなる
- ⑥量刑が軽くなる可能性がある
①逮捕を回避することができる
一つ目のメリットは、逮捕を避けることができることです。
自首するということは盗撮したことを認めていることが前提となります。罪を認めている人があえて逃亡することは考えづらいため、自首することで逮捕の要件である「逃亡のおそれ」がないと判断されやすくなります。また、捜査機関に自ら出頭する人が、今後の捜査機関の呼び出しに応じないことも考えづらいです。そのため、そのような人をあえて逮捕するまでもないという判断になりやすいのも逮捕を避けることができる要因の一つです。
②報道を回避することができる
二つ目のメリットは、報道を回避することができることです。
盗撮は性犯罪の中でも比較的報道されやすい犯罪の一つです。特に、著名・有名人、社会的地位の高い方などは報道されやすい傾向にあります。成人の場合だと実名で報道され、盗撮したことが周囲にバレてしまう可能性があります。盗撮したことが周囲にバレると、日常生活に様々な支障をきたす可能性があります。一度ネットに情報が掲載されると、長期間に渡って影響を受ける可能性があります。そして、これらの報道がなされるタイミングとして最も多いのが逮捕のときです。したがって、逮捕を回避することができれば報道を回避することにもつながります。自首が逮捕の回避につながりやすいことは前述したとおりです。
③警察に怯えた生活から解放される
三つ目のメリットは、警察に怯えた生活から解放されることです。
盗撮がバレたもののその場を何とか逃げ切ることができた方々にとって、警察から呼び出されるのではないか、逮捕されるのではないか、警察官が自宅に来るのではないか、そしてもし逮捕されたら今後の生活がどうなるのだろうか、といった不安が絶えず付きまとっていることでしょう。このような不安を抱えながらの生活は、精神的にも負担が大きく、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
この点、自首することで逮捕を回避することができれば、上記のような不安を一気に解消することができ、不安を抱えることなく日々の生活を送ることができるでしょう。
④家族や会社にバレることを避けることができる
四つ目のメリットは、家族や会社に盗撮のことがバレることを避けることができることです。
前述したとおり、逮捕されると報道される可能性があります。万が一報道された場合、家族や会社に盗撮したことがバレる可能性があります。また、後日逮捕されるケースでは、逮捕の前後、あるいは逮捕と同時に自宅等に対する警察のガサ(捜索)を受けることがほとんどです。もし、家族と同居している場合は警察のガサによって家族にバレる可能性があります。この点、自首することで逮捕を回避できる可能性があがることは前述したとおりです。逮捕を回避できることで報道されるリスクも回避でき、家族や会社に盗撮したことがバレることを回避することができます。また、自首して逮捕を回避できた際は、警察官から任意で証拠品を提出するよう求められるでしょう。自首の際に提出できなかった証拠品は、後日提出すれば自宅等のガサも回避することができます。
⑤不起訴になる可能性が高くなる
五つ目のメリットは、不起訴になる可能性が高くなることです。
自首したとしても、そこで手続きが終わるわけではありません。警察での捜査が終われば検察庁に事件が送致され、最終的には起訴か不起訴かの判断を受けます。この判断の際に、自首したことが考慮されることがあります。自首は、罪を認め反省していること、再犯可能性がないことを示す判断材料の一つになります。
⑥量刑が軽くなる可能性がある
六つ目のメリットは、量刑が軽くなることです。
残念ながら自首したとしても不起訴が確約されているわけではありません。しかしながら、裁判官が量刑を決める際に、自首したことが考慮される可能性があります。量刑とは刑の重さのことです。たとえば、略式起訴され、裁判官が罰金額を決めるときに、通常であれば罰金30万円のところ、自首したことによって罰金10万円となる可能性があります。また、正式起訴され、通常であれば実刑のところ、自首したことによって保護観察付きの執行猶予となる可能性もあります。
盗撮で自首するデメリット
一方、盗撮で警察に自首(出頭)するデメリットは、警察に盗撮のことが発覚してしまうことです。警察に出頭しなければ、警察に盗撮のことが発覚しないまま時効(時効期間は盗撮したときから3年)が完成してしまうことも考えられます。出頭した時点で被害者から被害届が出されている場合はもちろん、出頭した時点で被害者から被害届が出されていなくても、あとから出されないとも限らず、その場合出された時点で立件されてしまう可能性があります。
また、出頭したからといって必ずしも自首が成立するとは限りません。もしかしたら、すでに警察が逮捕状を発布していて、犯人を見つけしだい逮捕するという状態でいることも考えられます。そうした状態の中、仮に警察に出頭した場合、逮捕を回避できるどころか、逆に逮捕されてしまう可能性もあります。
このように、警察に出頭することは必ずしもメリットばかりではなく、リスクも伴います。そのため、自首を考える際には、弁護士と十分に相談し、慎重に判断することが求められます。また、出頭する場合には、事前にどのような準備が必要かをしっかりと検討することが重要です。
盗撮で自首を検討すべきケース
では、盗撮の場合、どのようなケースで自首を検討した方がいいのでしょうか?以下では、盗撮で自首を検討した方がいい一般的なケースをご紹介します。なお、自首した方がいいケースは個々の事情により異なります。以下で紹介するケースが、必ずしもあなたにあてはまっているとは限りません。自首した方がいいのかどうか迷ったら、必ず弁護士に相談するようにしてください。自首を検討した方が良い具体的なケースは次の通りです。
- ①防犯カメラが設置されている場所で盗撮した場合
- ②盗撮した施設内でカード類を使用した場合
- ③設置した小型カメラがなくなっていた場合
- ④時効完成まで精神的に耐えられそうにない場合
①防犯カメラが設置されている場所で盗撮した場合
まず、防犯カメラが設置されている場所で盗撮した場合です。
近年は、駅等の公共の施設やショッピングモールなど、いたるところに精度の高い防犯カメラが設置されています。したがって、こうし場所で盗撮した場合には、盗撮行為そのものはもちろん、犯人の顔や服装まではっきりとカメラに映されている可能性があります。たとえ、カメラの映像だけでは犯人の顔が明確にわからなくても、たとえば複数のカメラをリレー方式で解析したり、後ほど紹介するカードの利用履歴などをあわせてチェックしたりすることで、犯人と特定されてしまう可能性があります。
②盗撮した施設内でカード類を使用した場合
次に、Suica、クレジットカードなど利用履歴が残るカードを駅等の施設で使った場合です。
これらのカードを使った場合、利用履歴が残りますから、その利用履歴によって少なくとも犯人がその時間帯に施設を使った(いたこと)はわかってしまいます。もちろん、この証拠のみでは盗撮したことの証明にはなりませんが、前述したとおり、防犯ビデオ映像などの証拠と照らし合わせることで盗撮の犯人と特定されてしまう可能性はあります。
③設置した小型カメラがなくなっていた場合
次に、設置した小型カメラがなくなっていた場合です。
設置した小型カメラがなくなっているということは、誰かに見つかり、警察に提出されてしまった可能性が考えられます。そして、もしカメラ内に盗撮の犯人につながる情報が残っていた場合にはそこから犯人を特定されてしまう可能性があります。また、特殊な小型カメラであれば購入履歴から購入者を特定され、盗撮の犯人として特定されてしまう可能性があります。
④時効完成まで精神的に耐えられそうにない場合
最後に、時効が完成するまで精神的に耐えることができそうにないという場合です。
撮影罪の時効期間は盗撮したときから3年です。3年が経過したら時効が完成し、逮捕されたり、起訴され裁判にかけられ刑罰を受けるおそれはなくなります。反対に、3年を経過するまではそうしたリスクを受ける可能性が続いているということになります。警察官を見るたび、あるいは車を運転中警察署の前を通るたび、パトカーとすれ違うたび、職務質問を受けないか、逮捕されないかなど、びくびくしながら生活しなければいけないことは間違いありません。また、いつ警察官が自宅を訪ねてくるかもわからず、不安な日々を送らなければならないことは間違いないでしょう。こうした不安からはやく解放されたい場合は、自首すべきかどうか見極めた上で、一日でもはやく自首した方がよいでしょう。
盗撮で自首したときの流れ
弁護士に盗撮の自首のことで相談してから、実際に警察に自首するまでの流れは以下のとおりです。
- 弁護士によるヒアリング
- 弁護士への依頼
- 自首の準備
- 警察との日程調整
- 警察署へ自首
①弁護士によるヒアリング
まずは、弁護士が相談者から、盗撮の日時・場所、盗撮の方法などの犯行状況、盗撮前後の行動、身上関係、被害者への謝罪・示談の意向等をお聴き取りし、自首すべきか否か、自首するとしてあらかじめどのようなことを準備する必要があるのか、自首した後どのような流れになるのかについてご説明します。
②弁護士への依頼
弁護士からの説明を受けて、弁護士に依頼したいとなったときは、弁護士と委任契約を締結していただきます。事務所で委任契約書を取り交わし、通常契約締結後に着手金をお振込みいただきます。
③自首の準備
委任契約締結後は、自首の準備にとりかかります。
具体的には、ヒアリングで聴き取った内容をもとに上申書を作ります。上申書には、盗撮した日時、場所、盗撮の方法などの犯行状況、盗撮前後の行動、動機、被害者への謝罪、示談意向である旨のほか、自首であることを明確にするために、処分を捜査機関に委ねる旨を記載します。
また、自首した後の警察等へ確実に出頭することを証明するため、家族等の身柄引受人を探し、身柄引受人となる方に身柄引受書にサインしてもらいます。その他、盗撮で使ったスマートフォンなどの電子機器など、盗撮に関連する証拠品もあわせて集めておきます。スマートフォンのほか、ケースによっては以下の証拠品も集めておく必要があります。
上申書、身柄引受書、証拠品は自首当日に警察署へもっていきます。
【準備すべき証拠品】
- 盗撮で使った小型カメラ、バック、靴
- 盗撮の画像・動画のデータを保存した記録媒体
- Suicaなどの交通系ICカード、クレジットカード
- 盗撮のときに着ていた服装
④警察との日程調整
ある程度の準備が整った段階で、警察に連絡を入れ、自首したい旨を申し入れます。警察が自首を受け入れる場合は、自首する日時を調整します。これらの連絡・調整は弁護士が行います。
⑤警察署へ自首
あらかじめ警察と打ち合わせた日時に警察へ自首します。
弁護士も自首に同行します。自首の際は、先ほど準備の箇所で紹介した書類や証拠品をもっていきます。警察署に着いたら担当部署に向かい、担当の警察官に書類と証拠品を提出します。
自首した後は、取調べを受けます。取調べでは自首調書(あるいは自首の内容を含んだ供述調書)が作成されます。弁護士が取調べに立ち会うことはできませんが、取調室の外で待機しておくことはできます。取調べはいつでも中断することができます。また、取調室からもいつでも退室することができますので、もし取調べでの対応に困ったら、取調室の外で待機している弁護士に相談することができます。
盗撮の自首は弁護士に相談
ここまで自首について弁護士に相談・依頼したときから、実際に自首したときまでの流れについてみてきました。もちろん、自首は弁護士に頼らずご自身でもすることができますが、弁護士に相談、依頼することには以下のメリットがあります。
自首を弁護士に相談、依頼するメリット
まずは、何といっても逮捕を回避できる可能性を高めることができることでしょう。
前述のとおり、弁護士に相談、依頼すれば、弁護士の指示のもと、自首の準備を進めることができます。これまでの経験から、弁護士はどんな書面を準備し、書面にどのような内容を盛り込み、どのような証拠品を準備すれば逮捕を回避できるかを心得ています。示談意向の場合は、自首当日に弁護士が警察に示談意向である旨を伝えます。これにより、さらに逮捕回避につなげることができます。
また、精神的な負担を軽減できる点も大きなメリットです。
ご自身で警察と事前調整したり、実際に自首することはとても勇気がいることです。この点、弁護士に依頼すれば、弁護士が警察官と事前調整してくれますし、自首の際は自首に同行してくれます。何か困ったときにいつでも相談できる相手がいることはとても心強いことです。
自首同行の弁護士費用の相場
自首同行の弁護士費用の相場は20万円から30万円です。
内訳としては、着手金の10万円から20万円、自首当日の日当費の5万円のほか、交通費がかかります。交通費は弁護士の事務所から警察までの距離、交通手段によって変動します。着手金は弁護士が活動を始める前に支払う必要があります。
上記の費用には、依頼後の相談、自首の準備、自首当日の対応が含まれています。一方、被害者への謝罪、被害者との示談交渉などの弁護活動は含まれていません。自首のほか、これらの活動も依頼する場合は追加の費用がかかります。
盗撮の自首でよくある質問
最後に、盗撮の自首でよくある質問にお答えします。
盗撮データを消去した場合でも自首は成立する?
盗撮データを消去した場合でも、警察に出頭した時点で被害届が警察に受理されていれば自首が成立する可能性はあります。
警察が被害届を受理しているということは、何らかの事実(防犯カメラの映像や目撃者の証言など)ですでに犯人の特定に向けて動き出している証拠でもあります。その犯人が特定されていない中で出頭したということは自首の要件を満たす可能性があるからです。
一方、出頭のタイミングが遅く、すでに警察が犯人の特定に至っている場合、自首は成立しない可能性があります。
盗撮の被害届が出されていなくても自首として成立する?
警察に出頭した時点で被害届が警察に受理されていない場合は、自首が成立する場合と自首が成立しない場合があります。
この点、盗撮データを消去していない場合は、そのデータ自体が盗撮したことの決定的な証拠になる可能性があるため、自首が成立する可能性があります。一方、盗撮データを消去している場合は、自首の手続きはとられず、その後の警察の捜査で自首した事実の裏付けがとられた場合に自首として扱われる可能性があります。なお、裏付けがとられなかった場合は、そもそも立件されず自首は成立しませんが、立件されないわけですから逮捕されたり、刑罰を科されるおそれもありません。
まとめ
盗撮で自首するメリットとしては、逮捕を回避できる、報道を回避できる、逮捕等の不安から解放される、家族や会社にバレにくくなる、不起訴になる可能性が高くなる、量刑が軽くなるといった点にあります。盗撮してバレなかった、あるいはバレたもののその場を切り抜けることができたという場合でも、防犯カメラの映像などから犯人として特定され、逮捕されてしまう可能性があります。もし、心当たりのある方は自首を検討した方がよいでしょう。
もっとも、自首するといっても事前準備なく自首することは危険です。自首したところ、逮捕されてしまう可能性もあるからです。したがって、自首するにしても入念に事前準備しておかなければなりません。このように、一言で自首するといっても、入念な事前準備や警察との調整が必要ですから、自首でお困りの方ははやめに弁護士に相談しましょう。
当事務所では、盗撮事件における自首の同行や、被害者との示談交渉を通じて、逮捕回避や不起訴獲得を得意としており、これまでに多くの実績があります。依頼者の立場に立ち、親身かつ誠実に対応する弁護士が全力でサポートいたします。盗撮による逮捕に不安がある方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。
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