
「盗撮で捕まったら刑務所に行くことになるのか」「執行猶予はつくのか」と、心配で落ち着かない方もいるのではないでしょうか。盗撮で実刑になるケースはまれで、多くは不起訴や罰金、執行猶予で終わります。もっとも、同種の前科がある場合や、執行猶予期間中に再び盗撮した場合などは、実刑となる可能性が高まります。
この記事では、盗撮事件を数多く扱ってきた弁護士が、次の点について解説します。
- 実刑になる割合と、それ以外の結果
- 盗撮で実刑になりやすい4つのケース
- 回避するために今からできること
なお、盗撮事件で逮捕された方や警察から連絡を受けている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っております。早い段階の対応が結果を左右します。
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盗撮で問われる罪と罰則
盗撮行為は、主に撮影罪か、各都道府県の迷惑防止条例違反として処罰されます。盗撮目的で他人の家の敷地や、トイレ・更衣室といった建物の一室に立ち入った場合は、住居侵入罪や建造物侵入罪(3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)にも問われることがあります。また、正当な理由なく浴場や更衣室などをひそかにのぞき見ただけでも、軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留又は1,000円以上1万円未満の科料)となることがあります。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
撮影罪
撮影罪は、性的姿態撮影等処罰法という法律に規定されている罪です。女性のスカートの中にスマートフォンや小型カメラを差し入れて下着を撮影するといった、いわゆる盗撮行為のほか、次のような行為も処罰の対象とされています。
- 被害者が拒否できないような状態にさせ、あるいはそのような状態にあることを利用して被害者の身体等を撮影する行為
- 撮影が性的なものではない、あるいは撮影した画像を特定の人以外は見ないと被害者に誤信させ、又はそう誤信していることを利用して被害者の身体等を撮影する行為
なお、「盗撮罪」という名前の罪はなく、法律上の罪名は「性的姿態等撮影罪」(撮影罪)です。性的姿態撮影等処罰法の施行日は2023年7月13日なので、同日以降に行った上記の行為には撮影罪が適用されます。
撮影罪の罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。スマートフォンを差し向けたものの撮影できなかった場合でも、撮影の実行に着手したと認められれば、未遂として処罰の対象となり得ます。撮影罪の詳細は性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説をご覧ください。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は各都道府県が定める条例であり、その中に盗撮行為を処罰する規定が設けられています。東京都の条例では、駅や電車などの公共の場所・乗物だけでなく、住居・便所・浴場・更衣室といった場所での撮影も処罰の対象としています。
撮影罪が施行される前の盗撮行為には迷惑防止条例が適用されます。施行後の行為であっても、撮影罪の要件にあたらない撮影などは、条例違反として処罰されることがあります。なお、迷惑防止条例違反の公訴時効(犯罪行為が終わった時から一定期間が過ぎると起訴できなくなる制度)は3年なので、施行前の盗撮については、現時点では原則として時効期間が過ぎています。
罰則は都道府県によって異なります。東京都の場合、撮影は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、常習の場合は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。撮影する目的でカメラを差し向けたり設置したりしただけでも、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。
盗撮で実刑になるのはまれ?多くは不起訴・罰金・執行猶予で終わる
実刑とは、刑の全部に執行猶予がつかず、刑務所に収容されて刑に服することになる判決です。盗撮事件で実刑となる人は一部にとどまります。統計を見ると、正式起訴(公判請求)されて裁判になる人がそもそも少なく、裁判になった人でも多くは執行猶予がついています。
法務省の検察統計(2025年・表25-00-08の撮影罪の区分)によると、起訴・不起訴が決まった5,355人のうち、1,771人が不起訴、2,420人が略式命令請求(公開の法廷を開かずに罰金などを科すよう求める手続)で、正式起訴(公判請求)されたのは1,164人(約2割)でした。
裁判まで進んだ人に限ってみても、法務省『令和7年版犯罪白書』2-3-3-1表によると、2024年に性的姿態撮影等処罰法違反(この集計には撮影罪のほか画像の提供罪なども含まれます)で正式起訴されて地方裁判所で判決を受けた人442人のうち、刑の全部の執行が猶予された人は292人(66.1%)、実刑は135人(30.5%、刑の一部の執行猶予4人を含む)、罰金などは15人でした。この442人に、略式手続で罰金となった人は含まれていません。なお、検察統計は2025年の処分、白書は2024年の判決を集計したもので、年も対象も異なります。
出典:法務省『令和7年版犯罪白書』2-3-3-1表/e-Stat 検察統計調査(2025年)表25-00-08 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員
以下では、実刑以外の3つの結果について見ていきます。
- ①不起訴となる可能性
- ②罰金刑となる可能性
- ③執行猶予がつく可能性
①不起訴となる可能性
盗撮が初犯で、被害者との示談(被害者に謝罪し、示談金を支払って許してもらう合意)が成立している場合は、不起訴となる可能性が高くなります。
不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分です。不起訴になれば刑事裁判は開かれず、刑罰も科されません。前科もつかないため、最も軽い形で事件を終えることができます。示談の成立によって不起訴となる場合、その多くは、犯罪の疑いはあっても事情を考慮して起訴を見送る「起訴猶予」という処分です。
盗撮の不起訴率や不起訴を獲得するための具体的な方法については盗撮の不起訴率は?不起訴を獲得するためにすべき5つのことで詳しく解説しています。
②罰金刑となる可能性
示談が成立していなくても、初犯で悪質性が低い場合は、正式裁判ではなく略式手続により罰金刑が科されることが多いといえます。略式手続とは、簡易裁判所が公開の法廷を開かずに書面で審理し、略式命令で100万円以下の罰金又は科料を科す手続です。刑務所に収容されることはなく、迅速に事件が終わります。
一方、前科や余罪(今回の事件以外の盗撮)がある場合、計画的・常習的な犯行である場合、示談が成立せず被害者の処罰感情が強い場合、罪を否認し続けている場合は、罰金では済まず正式裁判となる可能性が高くなります。
なお、罰金刑は実刑と違って刑務所に入ることはありませんが、刑罰の一種なので、罰金で終わった場合も前科がつきます。罰金を納めないと労役場留置となり、一定期間身体を拘束されることもあります。
盗撮の罰金の相場や、罰金ではなく拘禁刑になりやすいケースは盗撮は罰金刑か懲役か?罰金の相場と刑罰を避ける方法で確認できます。
③執行猶予がつく可能性
正式裁判となり拘禁刑が言い渡される場合でも、刑の全部に執行猶予がつけば実刑とはならず、刑務所に入らずに済みます。執行猶予とは、言い渡された刑の執行を一定期間(1〜5年)猶予する制度です。有罪判決であることに変わりはないため、判決が確定すれば前科はつきます。執行猶予を取り消されることなく猶予期間を過ごせば、刑の言渡しは効力を失います。
執行猶予の対象となるのは、今回の刑が3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、過去に拘禁刑以上の刑を受けたことがない場合などです(刑を受けたことがあっても、その執行を終えるなどしてから5年以内に拘禁刑以上の刑を受けていなければ対象となります)。撮影罪の法定刑の上限は3年の拘禁刑なので、盗撮事件では、余罪が多く刑が重くなる場合などを除けば、刑の長さの条件が問題になることは多くありません。
そのうえで、盗撮事件で実際に執行猶予がつくかどうかは、次のような事情を踏まえて判断されます。
- 被害者との示談が成立し、被害弁償ができていること
- 深く反省し、治療を受けるなど再発防止に取り組んでいること
- 家族や職場の上司など、生活を監督する人がいること
- 同種の前科がなく、余罪も多くないこと
正式裁判になるケースについては盗撮で裁判になる可能性は?刑事裁判になるケースと回避する方法にまとめています。
盗撮で実刑になりやすいケースは?
実刑の可能性が高まるのは、主に次の4つのケースです。
- ①盗撮の前科がある
- ②複数の余罪を立件・起訴された
- ③執行猶予期間中に盗撮した
- ④犯行が悪質である
これら4つのケースに当てはまらない初犯であっても、否認を続けて反省の態度が見られない場合や、示談が進まず被害者の処罰感情が厳しい場合は、正式裁判となり、実刑の方向に傾くこともあります。初犯で逮捕された場合の処分の見通しは盗撮の初犯で逮捕された場合の量刑は?不起訴や執行猶予になる?で詳しく取り上げています。なお、盗撮をしていないのに疑われているのであれば、無理に罪を認める必要はありません。
①盗撮の前科がある
以前に盗撮で刑に処されたのに再び盗撮をした場合、前の刑では更生しなかったと受け止められ、より重い刑を科す必要があると判断されやすくなります。
もっとも、前科がどこまで重視されるかは、前科の内容、数、ついた時期によって異なります。盗撮の前科を複数持っていれば実刑の可能性は高まりますが、窃盗など盗撮とは種類の違う前科であれば、盗撮の前科ほどは重視されない可能性もあります。ただし、拘禁刑の前科は、罪の種類を問わず執行猶予の条件にかかわります。
②複数の余罪を立件・起訴された
余罪が複数あり、それらも立件・起訴された場合は、盗撮を繰り返す常習性があり社会の中での更生は難しいと判断されやすくなり、初犯でも実刑となる可能性があります。
もっとも、押収されたスマートフォンなどに過去の盗撮データが残っていても、実際に立件・起訴まで至るのはそのうちの一部に限られます。残されたデータから撮影の日時はわかっても、場所や被害者までは特定できないことが多いからです。捜査がどこまで及ぶかについては盗撮の余罪はどこまで捜査される?立件されにくい理由と対処法で解説しています。
③執行猶予期間中に盗撮した
執行猶予は、本来は刑務所に収容される事案について、社会の中で更生する機会を与える制度です。猶予の期間中に再び盗撮をすれば、自らその機会を手放したと評価されるため、実刑となる可能性が極めて高くなります。
今回の罪で実刑となれば、前の執行猶予も取り消され、前の刑についても服役しなければなりません。執行猶予期間中の犯行でも再度の執行猶予が認められる余地はありますが、今回言い渡される刑が2年以下の拘禁刑であることや、情状に特に酌量すべきものがあることなどが求められ、ハードルは高くなります。再度の執行猶予の詳細については再度の執行猶予(ダブル執行猶予)とは?要件・条文・確率をご参照ください。
④犯行が悪質である
盗撮の犯行態様が悪質な場合も、実刑のリスクが高まります。カメラを仕掛けるなど用意周到に準備していた、執拗に撮影を繰り返していた、被害者が多数にのぼっていたといった事情は、不利な情状として考慮される可能性があります。
撮影した動画をネット上で販売したり、拡散させたりした場合は、被害が大きく広がるため、特に厳しく評価されやすくなります。
盗撮事件で実刑を回避するには?
まだ捜査機関が犯人を突き止めていない段階であれば、刑の減軽につながり得る自首(自ら罪を申し出ること)も選択肢の一つです。自首するメリットとデメリットは盗撮で自首するメリット・デメリット|逮捕回避を弁護士が解説で紹介しています。
犯人として特定された後であっても、実刑を回避するために重要なのは次の3つです。
- ①示談を成立させる
- ②社会内での更生可能性があることを示す
- ③盗撮事件に強い弁護士に依頼する
①示談を成立させる
まず、実刑を避けるため、盗撮の被害者と示談交渉し、示談を成立させることが考えられます。示談交渉では、謝罪と示談金の支払いを条件に、被害届を取り下げてもらうことや処罰を求めないことについて合意してもらえるよう、弁護士を通じて被害者に働きかけていきます。
検察官が起訴する前に示談が成立すれば、不起訴処分を得られる見込みが大きくなります。起訴される前に示談をまとめられなかった場合でも、裁判中に示談が成立すれば判決で有利な事情として考慮され、執行猶予や罰金につながることもあります。
なお、示談交渉は盗撮したことを認め、被害者に謝罪することが前提となります。盗撮したことが明らかなのに否認を続けていると、被害者の処罰感情が悪化し、交渉を始めることすら難しくなる場合があります。示談金の相場や示談の進め方については盗撮の示談とは?相場は10万~50万円|弁護士が解説をご覧ください。
②社会内での更生可能性があることを示す
社会内での更生可能性がないと判断されると、刑務所で更生させるしかないとして実刑が選ばれやすくなります。刑務所ではなく社会の中で更生できることを、検察官や裁判官にどう示せるかが、実刑を回避するうえでのポイントです。
更生できることを示す事情としては、次のようなものが考えられます。
- 盗撮の問題を扱う専門の医療機関に定期的に通い、治療やカウンセリングを受けている
- 家族などの周囲の理解を得て、日々の生活を見守ってもらえる体制がある
こうした事情は、口頭で伝えるだけでなく、通院の記録や家族の協力を示す書面などの資料で裏づけることが大切です。
③盗撮事件に強い弁護士に依頼する
示談交渉を進めるにも、反省や更生可能性を効果的に伝えるにも、盗撮事件の弁護経験が豊富な弁護士の協力が欠かせません。
盗撮事件では、加害者本人は被害者の連絡先を知らないことが多く、警察もそれを本人に教えないのが通常です。弁護士であれば、捜査機関を通じて示談の意向を伝え、被害者の了承が得られた場合に連絡先を教えてもらえることがあります。
また、取調べでの受け答えや再犯防止の準備についても、弁護士から事件の内容に応じた助言を受けられます。
盗撮で実刑を回避したい方は弁護士にご相談ください
盗撮事件で刑務所に入る人は限られており、多くは不起訴か罰金、あるいは執行猶予がついた判決にとどまります。ただし、同種の前科がある、複数の余罪が立件・起訴された、執行猶予期間中に再犯した、犯行が悪質であるといった事情があれば、実刑となるおそれが高まります。
実刑を避けるためには、被害者との示談をできるだけ早くまとめ、再犯防止への取り組みを具体的に示していくことが重要です。被害者の連絡先が分からないまま本人だけで示談を進めるのは難しく、弁護士のサポートが結果を大きく左右します。
「このまま実刑になってしまうのではないか」と一人で悩んでいる方や、すでに取調べを受けている方もいらっしゃるかと思います。動き出すのが早いほど、示談や再犯防止の準備に時間をかけることができます。
当事務所では、盗撮事件に関する不起訴・執行猶予の獲得実績が豊富にあります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてサポートします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

