- 高校生の息子が盗撮してしまった…慰謝料はいくら払うべきだろう?
- 息子は逮捕や起訴されるのだろうか…前科はつくのだろうか?
- 処分を少しでも軽くするにはどうすればいいのだろう…
この記事では,これらの疑問や悩みを,刑事事件に強い弁護士が解消していきます。この記事を最後まで読むことで,盗撮の慰謝料相場や,息子さんの処分を軽くするためにどうすればいいのかを知ることができます。
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目次
盗撮事件の慰謝料
そもそも慰謝料とは?
慰謝料は,精神的苦痛に対する賠償のことをいいます。盗撮事件の被害者は,盗撮をされたことにより,大きな不安・恐怖・憤り等の精神的苦痛を受けることになります。そのような精神的苦痛を法的な損害として金銭に換算し,その損害を補填するものが慰謝料になります。
慰謝料の相場は?
上述のとおり,慰謝料は精神的損害に対する賠償です。精神的損害を客観的に示すことは難しく,また,盗撮事件と一口にいっても事件の内容は様々です。そのため,慰謝料の相場というものが明確に存在するわけではありませんが,10万円から数十万円程度になる事例が多いと思われます。
慰謝料が高額になる事情としては,被害者が未成年者の場合,盗撮した動画や画像をインターネット上にアップロードして拡散した場合等が考えられます。
慰謝料の支払い責任は誰にある?
原則として,慰謝料の支払い責任は盗撮を行った本人にあります。本人が未成年者の場合であっても,それだけで親に支払い責任があるということにはなりません。
本人が支払い責任を負うかどうかは,自己の行為の責任を理解し得る能力(責任能力)を備えているかどうかによりますが,一般的に12歳程度の子どもであれば責任能力を備えていると考えられます。したがって,12歳以上の年齢であれば,親ではなく本人が慰謝料の支払い責任を負う可能性が高いです。
もっとも,子どもが未成年者の場合,まだ経済的に自立していないという事例も多く,そのような場合には,事実上親が代わりに支払うということもあります。
未成年が盗撮した場合の刑事責任
刑事事件には,逮捕等の身体拘束がされた状態で捜査が行われる身柄事件と身体拘束はされずに捜査が行われる在宅事件があります。身柄事件として捜査をするかどうかは,事件の内容等に照らし捜査機関が判断することになります。以下では,少年事件が身柄事件として進められた場合の刑事事件の流れや刑事責任を見ていきます。
少年事件の流れ
成人の刑事事件の場合,逮捕(最大72時間)・勾留(10日以内。延長された場合,最大でさらに10日間)後,検察官が起訴・不起訴の処分をすることになります。そして,起訴され有罪となれば前科がつくことになります。
少年事件の場合,逮捕・勾留は成人の場合とあまり変わりませんが(勾留に代わる監護措置がとられることもあります。その場合,留置施設は少年鑑別所になり,期間の延長はありません。),その後,全件が家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所への送致後は,監護措置がとられ少年鑑別所に収容されます(最大8週間。実務上4週間になることが多いです。)。そして,家庭裁判所において審判開始あるいは不開始の決定がなされます。さらに,審判が開始した場合には,不処分・保護処分(保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致)・検察官送致(いわゆる逆送)のいずれかの決定がなされます。
少年事件の刑事責任
親などの監督・指導により少年の更生の可能性が十分見込まれる場合は、上記でお伝えした審判が開始されない、または、審判が開始されても不処分となる可能性があります。
もっとも、少年は成人に比べて精神的に未熟であることから周りの環境による影響を受けやく,非行事実が認められたとしても,それは家庭や学校の環境等自分ではどうすることもできない事柄が要因となっていることが多いといえます。そのため、更生のために少年に対して援助が必要と判断された場合は、保護処分(保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致)となることもあります。保護処分は,このような少年の性質を考慮し,少年の更生を目的として決定されるものですので,刑事処分とは異なります。つまり、前科がつきません。
前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリットを弁護士が解説
なお、少年事件であっても、事件の内容や非行歴などの様々な事情を考慮して、保護処分ではなく通常の成人と同様の刑事処分が妥当と家庭裁判所が判断した場合には、事件が検察官に戻され(いわゆる「逆走」)、成人と同じく刑事裁判にかけられることになります。保護処分と異なり、逆送後,起訴され有罪となれば前科がつきます。
盗撮の刑事処分を軽くするには示談が重要
実際に盗撮を行ってしまったのであれば,真摯に反省し相手への謝罪をしなければなりません。そして,被害者と示談をし,被害届を取り下げてもらうことが重要です。起訴される前に被害者との間で示談が成立すれば,起訴される可能性を減少させることができます。
少年事件の場合,家庭裁判所への送致は避けられません。しかし,示談の有無は処分に影響すると考えられます。
慰謝料と示談金の違いは?
慰謝料と示談金は異なります。繰り返しになりますが,慰謝料は被害者の精神的損害に対する賠償です。しかし,盗撮事件により被害者が被る損害は精神的損害のみではありません。例えば,盗撮をされたことで精神的に大きなダメージを受け,精神疾患に罹患したような場合には,その治療費や通院費用も損害になります。また,被害者が休業を余儀なくされたのであれば,その分の給与等も損害になり得ます。
示談は,このような精神的損害以外の損害も含めその件に関連する当事者間の全ての問題を解決する意図で,加害者と被害者との間で締結される契約です。そして,その契約に基づき支払われる金員が示談金です。
なお,罰金は,刑罰として科されるものですので,当事者間で支払われる慰謝料や示談金とは性質が異なります。そのため,仮に当事者間で示談が成立し,示談金の支払いがなされたとしても,罰金が科される可能性はあります。
示談のメリットは?
民事については,示談を締結し被害者に示談金を支払ったのであれば,それ以上金員を支払う必要はなくなります(後になって示談を締結したこと自体や示談の内容を争われないように,示談締結時に示談書を作成することをお勧めします)。
また,被害者と示談したという事実は,刑事事件にも影響します。加害者が被害者の被った損害を賠償し,被害者も加害者の刑事処分を望まないのであれば,刑事処分が軽くなる可能性が高くなります。
少年事件の場合でも,被害回復がなされ,被害感情が緩和されたことは,処分の内容に影響します。ただし,少年事件の場合には,非行事実と少年の要保護性(①犯罪的危険性(少年の性格や環境に照らして将来再び非行に及ぶ可能性があるか),②矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できるか否か),③保護相当性(保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること))を考慮したうえで処分が決定されるため,被害者との示談が成立したことで直ちに処分が軽くなるということはありません。
しかし,示談締結に向けて交渉や被害弁償を行う中で,少年が真摯に反省し更生への決意を強固にしたという事情は,要保護性を減少させるという意味で重要なものになります。また,示談金を少年の親が工面して支払った場合でも,少年の家族が少年の更生に協力的であるとして一定の評価がなされる可能性があります。その結果として処分が軽くなる可能性が高まります。このように,示談は民事上も刑事上も重要な意味を持ちます。
示談交渉が難航する場合には?
被害者と示談をすることは上記のようなメリットがありますが,身柄事件として扱われた場合,刑事処分や保護処分がなされるまであまり時間がありません。そのため,加害者としては,被害者に許してもらえるように,事件後早期に示談交渉を行うことが望ましいといえます。
まず,示談交渉を行うためには,被害者の連絡先を知らなければなりません。盗撮事件の加害者と被害者にもともと接点がない場合には,被害者から連絡先を教えてもらう必要がありますが,被害者が一切応じないということもあります。また,示談交渉には応じるつもりでも,加害者と直接話すことには抵抗を感じるという方もいます。
このような場合でも,弁護士が代理人として介入していれば,加害者本人には伝えないことを条件に連絡先を教えてもらえたり,弁護士が交渉の相手であれば示談交渉には応じてもらえるということがあります。また,直接加害者が交渉するより被害者からの理解が得られやすい場合もあります。本人が被害者と交渉するということが難しい場合には,弁護士に依頼することをお勧めします。
まとめ
高校生であっても罪を犯せば民事・刑事において責任を負います。ただし、被害者と示談を成立させることで逮捕の回避、早期釈放の可能性が高まります。家庭裁判所の審判のおいても有利に働くことが期待できます。
もっとも、未成年の高校生であれば、示談交渉はおろか示談金を準備することすらままならないでしょう。お子さんの将来を大切に思うならば、示談締結に向けて、親として出来る限りのサポートをしてあげましょう。
弊所では、未成年者が盗撮の加害者になってしまった場合の親御さんからのご相談を多数受けています。また、被害者との示談交渉、少年事件の弁護活動の実績があります。まずはお気軽にご相談下さい。
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