
「電車内で盗撮してしまったが、現場では誰にも気づかれていないようだ。このまま何もなければ大丈夫だろうか」「もし後で逮捕されたら、職場や家族にバレてしまうのではないか」と、出口の見えない不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
電車内での盗撮は撮影罪または迷惑防止条例違反にあたり、現行犯逮捕を免れた場合でも、防犯カメラの映像やICカードの入退場履歴から後日特定されて逮捕されるケースも少なくありません。逮捕されれば実名報道や解雇・退学のリスクが生じ、起訴されて有罪が確定すれば前科が残ります。ただし、結果が確定する前の早い段階で正しい対応を取れば、逮捕や起訴を回避できる可能性は十分にあります。
この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 電車内の盗撮で問われる罪と刑罰、逮捕されるパターン
- 電車内の盗撮で逮捕された後に被るリスクと事例
- 逮捕を回避し、周囲に知られず事件を解決する方法
電車内で盗撮をしてしまい、一刻も早く対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。事件発覚や逮捕までの時間が、結果を大きく左右します。
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電車内での盗撮で問われる罪と刑罰
電車内で盗撮を行った場合、①撮影罪または②迷惑防止条例違反のいずれかが成立し、逮捕・起訴のリスクが生じます。
①撮影罪
電車内で盗撮をした場合には、撮影罪に問われます。
盗撮行為は、2023年7月13日から新たに施行された「性的姿態撮影等処罰法」に規定されている「撮影罪(正式名称:性的姿態等撮影罪)」により処罰されます。同法は、同意のない盗撮被害から個人の人格的利益を守るために新設された法律で、撮影行為だけでなく、撮影によって生成された画像・データの提供行為なども処罰の対象としています。
撮影罪の条文は次のとおりです。
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(中略)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
出典:e-Gov法令検索
電車内で、正当な理由がないのに、ひそかに「性的姿態等」を撮影した場合には撮影罪が成立します。ここでいう「性的姿態等」は、性的な部位や身に着けている下着、わいせつな行為がされている間の人の姿を指します。
そのため、ラッシュアワーの満員電車で通勤通学中の女性のスカートの中に盗撮目的でスマホを差し向けたり、小型カメラや隠しカメラで下着等を盗撮したりする行為は、撮影罪に該当します。撮影罪の成立要件や条例違反との違いについては「性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?盗撮罪との違いと刑罰を解説」もあわせてご参照ください。
撮影罪が成立した場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。
※拘禁刑は、2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した新しい刑罰です。
なお、撮影に至らなかった場合でも処罰の対象となります。性的姿態撮影等処罰法第2条第2項では「前項の罪の未遂は、罰する」と規定されているため、スカートにスマホを差し向けただけで実際には撮影できなかったケースでも、撮影未遂罪として逮捕・起訴されることがあります(出典:e-Gov法令検索 性的姿態撮影等処罰法第2条)。
また、撮影罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。電車内で盗撮を行った日から3年が経過すると、検察官は起訴できなくなるため、その後に刑事処分を受けるおそれはなくなります。ただし、それまでの3年間は、警察からの呼び出しや逮捕がいつ訪れるか分からないまま過ごすことになり、心理的な負担は決して軽いものではありません。
なお、警察庁「令和6年の犯罪情勢」によれば、令和6年中に撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)で認知された事件は8,436件と前年比で232.4%増加しており、性犯罪関連の罪種で最も大きな伸びを示しています(出典:警察庁「令和6年の犯罪情勢」)。電車での盗撮は、駅や車両内の防犯カメラ、目撃者の証言、交通系ICカードの入退場履歴などから犯人像を絞り込みやすく、その場で気付かれなかったとしても、後日に犯人として特定されるケースが少なくありません。
②迷惑防止条例違反
盗撮行為は迷惑防止条例違反としても処罰され得ます。
各都道府県では、盗撮や痴漢行為を規制するために、一般的に「迷惑防止条例」と呼ばれる条例を制定しています。規定の仕方は都道府県ごとに異なりますが、例えば東京都の迷惑防止条例では、次のような行為が刑事罰の対象となっています。
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(中略)
二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
(中略)
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
現在も、迷惑防止条例は撮影罪と並行して適用される条例です。2023年7月12日以前の盗撮行為は迷惑防止条例のみが適用されますが、同月13日以降の行為であっても、撮影罪の要件を満たさないケースには、引き続き迷惑防止条例が適用されます。
また、下着や性的な部位の盗撮とは言えない場合でも、条例違反に問われる可能性があります。上記三号の「卑わいな言動」に盗撮行為が該当する場合があるためです。実際、店舗内で膝上丈のスカートを着用した女性に背後の至近距離から近づき、前かがみになった被害者の下半身に向けて小型カメラを構えた行為について、最高裁が「卑わいな言動」にあたると判断した事例もあります(最高裁第一小法廷 令和4年12月5日決定)。したがって、電車内での盗撮が撮影罪の要件を満たさないケースでも、迷惑防止条例違反として処罰されることがあります。服の上から撮影した場合のより詳しい解説は、「街中等で着衣の女性を服の上から撮ると盗撮?後ろ姿の場合は?」もあわせてご参照ください。
東京都迷惑防止条例における罰則は、行為態様によって異なります。下着等を撮影した場合は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、常習として撮影を行った場合は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります。服の上からの撮影など「卑わいな言動」にとどまる場合は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(常習として行えば1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)が科されます。
電車での盗撮で逮捕される2つのパターン
電車で盗撮をした場合、逮捕に至るパターンには①現行犯逮捕と②後日逮捕の2つがあります。
①現行犯逮捕
不特定多数の乗客が乗り合わせる電車内で盗撮を行えば、被害者やほかの乗客に行為を目撃され、その場で現行犯として取り押さえられるケースが多く見られます。
現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っている、または犯罪を行った直後の犯人を逮捕状なしで逮捕することを指します。現行犯逮捕は、警察官などの捜査機関以外の一般人であってもできます(私人逮捕)。
そのため、電車での盗撮を見とがめられて逃走を図ったり、その場で盗撮行為を発見されたりした場合には、被害者や目撃者、駅員によって現行犯逮捕されるケースが少なくありません。取り押さえられた際に盗撮データが残ったスマホなどを所持していれば、その場で決定的な証拠となります。私人が現行犯逮捕した場合、直ちに検察官または司法警察職員に引き渡す必要があるため、そのまま警察による身体拘束が継続します。
②後日逮捕
その場で誰にも気づかれなかったとしても、後日、警察官によって通常逮捕(後日逮捕)されるケースもあります。
電車での盗撮で後日逮捕に至る主なきっかけは、次のとおりです。
- 駅構内・ホーム・車内・エスカレーターの防犯カメラ映像の解析
- Suica・PASMOなど交通系ICカードの改札の入退場記録
- 被害者や目撃者からの証言・通報
- 別件で差し押さえられたスマホやパソコン内の盗撮データ
盗撮の犯人として特定された場合には、裁判官が発付した逮捕状を携帯した警察官が自宅を訪れ、身体を拘束されて警察署に連行されることが一般的です。同時に家宅捜索も行われることが多く、被疑者の自宅が捜索され、盗撮データが入ったスマホやパソコンは犯罪の証拠として押収・差し押さえの対象になります。
また、まずは被疑者の任意同行や自宅での事情聴取を行い、本人が電車内での盗撮を自白した段階で後日逮捕を行うというパターンもあります。仮に任意の事情聴取として警察に呼ばれた場合でも、その場で逮捕に切り替わる事態は十分に起こり得るため、油断はできません。
後日逮捕の可能性や証拠について詳しくは「盗撮で後日逮捕される確率は?逮捕の可能性があるケースや証拠を解説」をご参照ください。
電車での盗撮で逮捕された最近のニュース事例
ここでは、2026年に実際に報道された電車での盗撮事件のうち、典型的な3つのケースをご紹介します。
事例①|JR武蔵野線で小型カメラを差し入れて現行犯逮捕
2026年4月、JR武蔵野線の電車内で女子高校生のスカート下に小型カメラを仕込んだリュックサックを差し入れて盗撮しようとしたとして、会社員の男(54歳)が現行犯逮捕されました。
行徳署は17日までに、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで市川市、会社員の男(54)を現行犯逮捕し、同法違反の撮影容疑に切り替えて送検した。
逮捕容疑は16日午前7時半~40分ごろ、JR武蔵野線の西船橋-市川塩浜駅を走行中の電車内で女子高校生=千葉県内=のスカートの下に、小型カメラを仕込んだリュックサックを差し入れ、盗撮しようとした疑い。
同署によると「女性のスカートの中を撮影したかった」と容疑を認めている。西船橋駅で挙動不審な様子を鉄道警察隊員が見つけ、電車に同乗して警戒していた。逮捕後の捜査で、実際に盗撮した疑いも強まった。
この事件は、駅で挙動不審な様子を察知した鉄道警察隊員が電車に同乗して警戒し、車内で犯行を確認して取り押さえたものです。電車での盗撮は、被害者だけでなく、駅構内や車内を巡回する鉄道警察隊員の目によっても発見されるため、現行犯逮捕につながりやすい類型といえます。なお、撮影に至らなかった未遂の段階でも、性的姿態等撮影未遂罪として処罰の対象となります。
事例②|別件の盗撮通報をきっかけに過去の電車内盗撮が発覚し逮捕
2026年4月、香川県内で発生した別の盗撮事件をきっかけに、約2か月前の電車内での盗撮が発覚し、地方公務員の男(38歳)が後日逮捕された事例です。
2026年2月、高松市内を走行中の電車で少女のスカートの中を盗撮しようとしたとして、香川県広域水道企業団の職員の男(38)が逮捕されました。
警察によりますと、男は2026年2月20日午後9時25分ごろ、高松市内を走行中の電車で対面に座った少女のスカートの中をスマートフォンで盗撮しようとした疑いが持たれています。
男は3月19日、別の盗撮の疑いで110番通報されました。警察が男のスマホを調べたところ、今回の逮捕容疑が発覚したということです。
引用元:2026年4月20日 KSB瀬戸内海放送
この事件は、別件の盗撮通報をきっかけに警察がスマホを解析した結果、過去の電車内での盗撮が余罪として発覚し逮捕に至った典型例です。その場では誰にも気づかれていないと感じても、別件の捜査でスマホ内のデータが解析されれば、過去の盗撮動画や盗撮画像が芋づる式に発覚するケースも珍しくありません。データを削除していてもデジタルフォレンジック(電子機器の解析技術)で復元される可能性もあり、時間が経過しても発覚のリスクは残り続けます。
事例③|電車内で複数回の盗撮を行った公務員が不起訴後に懲戒処分・辞職
2026年1月、電車内で複数回の盗撮を行ったとして、大阪法務局の50歳代の課長補佐級男性職員が停職3か月の懲戒処分を受け、同日付で辞職した事例です。男性は刑事手続きでは不起訴処分となっていましたが、その後の組織内調査で一連の盗撮行為が認定され、懲戒処分に至っています。
電車内で女性を盗撮したとして、大阪法務局は9日、50歳代の課長補佐級の男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。男性職員は撮影したことを認めて「深く反省している」などと話しているといい、同日付で辞職した。
発表によると、男性職員は2025年3月24日午後9時頃、電車内で向かいの席に座る女性を無断で動画撮影したほか、24年6~12月に複数回、不特定多数の女性の下着などを盗撮したという。男性は2025年3月の件で警察の捜査を受けたあと不起訴処分となったが、その後の法務局の調査で一連の盗撮行為を認めたことから、国家公務員法に違反するものとして処分された。
引用元:2026年1月10日 読売新聞オンライン
この事件は、刑事処分が不起訴であっても、勤務先の調査によって一連の盗撮行為が発覚し、懲戒処分・辞職という形で社会的制裁を受けた事例です。電車内での盗撮は刑事処分を免れたとしても、勤務先での懲戒処分や事実上の退職勧告など、職業上の不利益から逃れられないリスクが大きい犯罪です。特に複数回繰り返している場合は、組織の調査でデータが解析され、過去の盗撮行為が芋づる式に認定されることもあるため、刑事手続きが終了したからといって安心はできません。
電車内の盗撮で逮捕された後の流れ
電車内の盗撮で逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまでは、以下の4つのステップで進みます。
- 逮捕(48時間以内)
- 送検(24時間以内)
- 起訴・不起訴の判断(最大20日間)
- 刑事裁判
①【逮捕から48時間以内】逮捕・警察の取り調べ
電車内の盗撮事件の犯人として特定され、逃亡・証拠隠滅のおそれがある場合、被疑者は逮捕されます。逮捕された後は警察署で取り調べを受け、逮捕から48時間以内に検察官への送致(送検)の可否が決まる仕組みです。
逮捕直後は、身柄が警察署の留置施設に置かれ、弁護士以外の家族や知人との面会は原則として認められません。外部と自由に連絡をとることはできないため、弁護士を通じて家族や職場・学校に連絡を入れる必要があります。
②【送致から24時間以内】検察への送検・勾留請求の判断
事件が検察官に送致(送検)された場合、検察官による取り調べ(弁解録取)が行われ、送致から24時間以内が勾留請求または釈放の判断期限です。
検察官が勾留が必要と判断した場合には、裁判官に勾留を請求します。裁判官は被疑者に勾留質問を行ったうえで、勾留決定が出された場合には、原則として10日間の身体拘束が継続。さらに、やむを得ない事由がある場合には、10日を上限として勾留延長が認められます。したがって、被疑者が勾留された場合には、最大で20日間の勾留が続くことになります。
一方、検察官や裁判官が勾留の必要がないと判断した場合には、身体拘束は終了するため、釈放され身柄事件から在宅事件に切り替わります。在宅事件となった場合には、警察の捜査が継続したうえで書類送検され、被疑者はこれまでどおり日常生活を送りながら検察官の処分を待つことになります。
電車内の盗撮事件の場合、被害者との示談が済んでいる事案や、初犯で常習性がない事案など被疑者側に有利な事情がある場合については、在宅事件となる可能性があります。
③【最大20日間】勾留と起訴・不起訴の判断
被疑者が勾留された場合には、最大20日間の勾留期間内に、検察官は起訴または不起訴を判断しなければなりません。つまり、逮捕から通算すると、起訴・不起訴の判断まで最大で23日間(48時間+24時間+20日間)の身体拘束を受けることになります。
ここで起訴とは、検察官が裁判所に対して、刑事裁判を開始するよう求める行為のことです。
これに対して、被疑者が不起訴になった場合には、そもそも被疑者は刑事裁判にはかけられませんので、有罪判決を受ける可能性もなくなります。有罪とならない以上は、前科がつくこともありません。
不起訴には、盗撮の事実がないという「嫌疑なし」を理由とする不起訴のほかに、電車内で盗撮をした事実があったとしても、証拠が不十分である「嫌疑不十分」や、常習性や示談交渉の状況などを考慮して「起訴猶予」を理由とする不起訴もあります。不起訴を獲得するためには、早期に弁護士へ相談して弁護活動を行ってもらう必要があります。
不起訴を獲得するための具体的な方法については「盗撮の不起訴率は?不起訴を獲得するためにすべき5つのこと」で解説しています。
④刑事裁判・略式起訴
検察官に起訴された場合には、刑事裁判にかけられます。刑事裁判では、被告人が有罪か無罪かの判断が行われ、有罪の場合には刑罰の言渡しを受けます。
刑事裁判にはかけずに、略式起訴という形で事件が終わる場合もあります。略式起訴とは、検察官が裁判所に対して略式手続の開始を請求することで行われる、簡易的な起訴の手続きです。正式な裁判は開かれず、検察官が提出した書面のみで審理され、罰金や科料の略式命令で刑罰が言い渡されます。この場合、刑罰が確定すれば直ちに釈放されます。電車内での盗撮事件については、略式起訴となるケースも少なくありません。
なお、略式命令であっても、刑罰であることには変わりないため、前科は残ることになる点には注意が必要です。
電車内の盗撮で逮捕された場合に被る3つのリスク
電車内での盗撮で逮捕された場合には、次のようなリスクを負います。
- ①実名報道の可能性
- ②解雇・退学の可能性
- ③前科がつく可能性
①実名報道される可能性
逮捕事案の中には、各種メディアによって実名報道されるケースもあります。
どのような盗撮事件であれば、実名報道がされるか否かについての基準については、各メディアの判断によります。ただし、誰もが知る有名な会社に勤務する人や、会社内での役職が高い人・社会的地位が高い人などが盗撮事件を起こした場合には、実名報道される可能性が高まります。また、電車内での盗撮事件を複数回起こしている場合や、被害者が多数にのぼるような場合も同様に注意が必要です。
盗撮事件で実名報道がされた場合には、社会に広く事件の内容を知られることになり、時間が経過してもインターネット上に半永久的に記録が残ってしまう可能性もあります。そのため、実名報道によって、「あの人、盗撮で捕まったらしい」などと周囲の人たちの噂話やゴシップの的となってしまい、社会的な信用をなくしたり、日常生活が送りづらくなったりするリスクがあります。
実名報道を回避する方法については「盗撮で実名報道されるケースは?報道のタイミング・基準・回避法」もあわせてご確認ください。
②解雇・退学の可能性
電車で盗撮をして逮捕されたことが、周囲に判明すると、勤務している会社を解雇されたり、通っている学校を退学させられたりするおそれがあります。現代社会ではコンプライアンスの遵守が厳しく求められており、特にわいせつ事件は、会社や学校の社会的な信用を毀損させるとして、懲戒解雇や退学の理由となり得ます。
多くの企業は、就業規則や服務規程に「犯罪を行い刑に処せられたとき」や「著しい非行により会社の秩序を乱したとき」などを懲戒処分の事由として定め、最も重い処分である懲戒解雇に至ることもあるとしているのが一般的です。盗撮で逮捕された場合、警察署が勤務先に連絡することはありませんが、長期間無断欠勤になったり、各種メディアで実名で事件が報道されたりした場合には、事件を隠し通すことは難しくなります。
学校に通っている場合にも、長期間の無断欠席により進学に必要な要件を欠いたり、学則の退学事由・懲罰事由に該当して退学処分の対象となるおそれがあります。
③前科がつく可能性
電車での盗撮で逮捕・勾留されたうえ、検察官に起訴された場合には、高い確率で有罪判決を受けます。日本の刑事裁判では起訴された被告人の99%以上が有罪となるとされており、無罪を勝ち取ることは容易ではありません。
そして、盗撮事件によって有罪判決を言い渡されると「前科」が残ることになってしまいます。盗撮事件で前科がつくと、次のようなデメリットが生じるおそれがあります。
- 公的な資格の欠格事由に該当し、資格をはく奪され、新たに取得できなくなる
- 履歴書の賞罰欄には前科の有無を記載する必要がある
- 前科は、就業規則や学則で解雇・退学事由として記載されていることが多い
- 配偶者からの離婚請求が認められる可能性がある など
電車内の盗撮で逮捕を回避し周囲にバレずに解決するには?
家族や勤務先に電車内の盗撮事件を知られずに解決するためには、逮捕を回避することが第一の目標となります。逮捕を回避できれば長期間の身体拘束もなく、実名報道のリスクも大きく下がります。仮に逮捕されても、その後の勾留を阻止できれば、最長72時間以内の釈放となり、病欠等で職場への説明も可能な範囲にとどまります。
逮捕回避・勾留阻止・不起訴獲得のいずれにおいても、次の3つの行動が有効です。
- ①捜査に協力的な態度を示し、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを示す
- ②早期に自首する
- ③被害者と示談を成立させる
①捜査に協力的な態度を示し、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを示す
被疑者の逮捕が認められるのは、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合です。逮捕を回避するためには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に説明し、証明しなければなりません。
電車での盗撮行為がバレて現場から逃走した場合、その後逮捕される可能性が高まります。さらに、盗撮したスマホや撮影したデータを保存したパソコンが手元にある場合、証拠隠滅のリスクが高いと判断され、逮捕される可能性も高くなります。
一方、被疑者が電車内での盗撮を素直に認めて反省し、証拠物を任意で捜査機関に提供した場合、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断され、逮捕が回避できる余地が出てきます。捜査に協力的な態度を示し、弁護士を通じて逮捕の必要性がない旨の意見書や身元引受書を提出することも効果的です。
②早期に自首する
電車内で盗撮事件を起こしてしまった場合でも、逮捕される前に自ら自首することで、逮捕を回避できるケースがあります。
自首するということは、自らの罪を認めることであり、逃亡や証拠隠滅とは逆の行動にほかなりません。そのため、自発的に犯罪を認めて出頭した場合、捜査機関はその経緯を考慮し、逮捕を見送る判断を下すケースもあります。
もっとも、自首したからといって必ずしも逮捕を回避できる保証はなく、場合によっては逮捕されることもあります。自首を検討する前には、まず弁護士に相談し、逮捕回避に向けた具体的な対策を講じた上で出頭するのが望ましいでしょう。
弁護士に自首の同行を依頼すれば、弁護士が身元引受人となり、警察から家族や会社に連絡が行くのを防ぎやすくなります。これにより、電車での盗撮事件が周囲に発覚することを未然に防ぐ効果も期待できます。
自首のメリットや具体的な流れについては「盗撮で自首する6つのメリット|流れや弁護士の自首同行を解説」で詳しく解説しています。
③被害者と示談を成立させる
被害者と示談を成立させることは、逮捕回避・勾留阻止・不起訴獲得のいずれにおいても極めて有効です。示談をすることは自らの犯した罪を認めることでもあるため、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されやすくなり、逮捕や勾留の阻止につながります。仮に逮捕・勾留されてしまった場合でも、示談の成立や被害届の取り下げは被疑者にとって有利な情状として評価され、被害回復が図られたとして処罰の必要性が低下するため、検察官が不起訴の判断をする可能性も高まります。
特に勾留阻止の観点では、逮捕されてから3日以内に示談を成立させることが重要です。勾留されると最大20日間の身体拘束となり、通算23日間も欠勤を余儀なくされるため、職場に対して事件を取り繕うことが難しくなり、盗撮事件がバレるリスクが高まります。一方、勾留を阻止できれば最長でも3日以内の釈放となり、病欠の連絡を入れておけば職場に知られる可能性は低くなります。
もっとも、盗撮の加害者と直接示談交渉に応じる被害者はいません。特に性犯罪の場合には、二次被害を防ぐ目的から、捜査機関も犯人に被害者の個人情報を教えることはありません。
しかし、弁護士に限り示談交渉を目的とする場合については、被害者の利益につながることから、被害者に意向を確認したうえで、弁護士にだけ被害者の連絡先を教えてもらうことができます。
したがって、電車内での盗撮事件で立件された場合、被害者と示談を成立させるためには、弁護士への早期の依頼が必須となります。
盗撮事件における示談金の相場や示談の流れについては「盗撮の示談金相場は?示談しないとどうなる?弁護士が解説」をご参照ください。
電車内での盗撮は早期対応が結果を左右します
電車内での盗撮は、撮影罪または迷惑防止条例違反として処罰される犯罪です。逮捕されれば最長23日間の身体拘束を受け、その間の長期欠勤によって職場や家族に事件が発覚するリスクも高まります。さらに、起訴され有罪が確定すれば前科が残り、実名報道によって社会的信用を失うおそれもあります。
もっとも、早期に弁護士に依頼し、被害者との示談交渉や捜査機関への適切な対応を行うことで、逮捕の回避、勾留阻止による在宅事件への切り替え、不起訴処分の獲得など、依頼者にとって有利な結果につなげられる可能性は十分にあります。盗撮事件では捜査機関も被害者の連絡先を加害者本人に教えないため、示談成立による被害回復には弁護士の介入が不可欠です。
「家族や会社に知られる前に解決したい」「もし逮捕されたら人生が終わる」という不安を抱えながらも、誰にも相談できずにいる方も多いのではないでしょうか。盗撮事件は時間の経過とともに証拠の固定が進み、打てる手が一つずつ失われていきます。任意の事情聴取の連絡や突然の自宅捜索を受ける前に、できるだけ早く弁護士までご相談ください。
当事務所は、電車内を含む盗撮事件の解決実績を多数有しており、依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に動き全力で守ります。被害者との示談交渉や捜査機関への対応においては、職場や学校への連絡を避けつつ事件を収束させるための弁護方針もご事情に応じてご提案いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

