
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
状況:飲み仲間である女性数名と飲んだ後、わいせつ行為の存在を疑われ、警察から連絡が来ている
Aさんは仕事柄、出張が多く、夜には付き合いもあって飲み屋に行くことが頻繁にありました。
出張で訪れた東北にある飲み屋街でお酒を飲んでいたところ、お店で女性Bさんと知り合い、個人的に連絡を取り合うようになります。
Bさんを通じ、他にも数名の女性と仲良くなり、皆で集まっては食事をしたり、お酒を飲みにいったりするようになりました。
なお、AさんはBさんをはじめ、集まった女性に対して恋愛感情を持ったことは無く、あくまで飲み仲間として楽しむ間柄であるという印象を持っておりました。
ある時、いつものようにBさんらと遊びに行くことになり、その日も、食事をした後はバーに行って楽しく過ごしていました。
少し飲み足りなかったAさんは、Bさんらに対して、ホテルの部屋で飲むことを提案し、BさんらはAさんのホテルについてきました。
部屋に入った後、ビールで乾杯をしましたが、時間が遅かったこともあって、Bさんらは帰宅すると言い出しました。
もう少し飲みたかったAさんは、ふざけてBさんの携帯電話を取り上げ、帰宅を妨害するようなことをしましたが、結局、Bさんに携帯電話を返し、Bさんらは帰宅します。
普段と同じように楽しく過ごしていたと考えていたAさんですが、後日、会社の上司から呼び出しを受けます。
用件を確認すると、Aさんのことを警察が探している、とのことでした。
Aさんとしては全く身に覚えがなく、上司に対して、どこからそのような話が出たのかを確認しましたが、回答できないと言われてしまいました。
その後、会社の役員からも呼び出され、刑事事件になっているのかどうかなど、事実関係のヒアリングを受けたうえ、取り掛かっている仕事を外されてしまいました。
Aさんは訳もわからず、Aさんのことを探しているという警察署に連絡をすると、Bさんから被害相談を受けている、不同意わいせつ罪の疑いがあるので、話を聞かせて欲しいと言われました。
Bさんがどのような主張をしているかについて警察は全く教えてくれず、捜査が進んだ後にAさんから話を聞く予定であると言われ、時間がかかるかもしれないとのことでした。
Aさんは取り掛かっていた仕事を外されたほか、今後、管理職からも外されるという話があったため、急いで誤解を解きたいと考えておりました。
警察と会社との間に挟まれ、自分での対応が難しいと考えたAさんは、弊所に相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんから時系列で、Bさんと知り合ってから現在までの事実経過を伺ったところ、Aさんの行為が犯罪に該当するとは考えられませんでした。
ただ、当日、Aさんはお酒を飲んでいたため、Aさんの認識していないところでBさんに対して問題となる行為があった可能性もあることから、まずは警察からBさんの主張を確認することを提案しました。
次に、万が一、犯罪に該当するような行為があった場合にはもちろん、犯罪に該当するような行為が無かったとしても、Bさんが不快に感じるような行為があった場合には、謝罪のほか、場合によっては一定の金銭を払って話し合いによる解決を目指すこともあることを説明しました。
Aさんは会社の処分が出される前に事件を解決したいと焦っており、刑事弁護及び会社への対応を弊所で引き受けることとなりました。
警察署に連絡をすると、事件は刑事課が対応しているとのことでした。
担当刑事に繋いでもらい、Bさんの言い分を確認すると、Aさんが認識していた事実と異なり、Aさんから強引に抱きつかれたり、キスをされたりして恐怖を感じた旨話しているとのことでした。
担当刑事から、Bさんが直接弁護士と話をしても良いと話しているとのことであったので、Bさんとも話をしました。
Bさんの主張は、刑事が説明していた通り、Aさんから強引に抱きつかれたり、キスをされたりしたというものでした。
Aさんに事実を確認すると、酒を飲んでいたため酔っていたのは間違いないが、Bさんに対してそのような行為をしたことは一切ないとのことでした。
AさんとBさんの事実認識は全く異なるものでした。
なお、警察から明確に言われた訳ではありませんが、録画や録音などの客観的な証拠は存在しないようだということも分かってきました。
Aさんの事実認識を前提とするのであれば犯罪に該当するものではありませんでしたし、今の段階で事実を否認しつつ、示談を提案するというのも不自然であったため、方針としては示談成立を目指さないが、捜査には協力をする、当方の主張や捜査の進捗については都度会社に報告すると決めました。
その後、Bさん側とは話ができないまま時間が経過していきましたが、突然、Bさんに代理人の弁護士が就きました。
当該代理人と話をしようとしたところ、現時点ではあくまで刑事事件化のサポートを受けただけであるとのことで、具体的な話はできませんでした。
また暫く時間が経過した後、今度は警察からBさんからの刑事告訴を受理したと連絡がありました。
Aさんの認識はやはりBさんの主張と異なっておりましたが、告訴が受理されたとの連絡を受けたことで起訴されてしまうのではないかという不安や職場でより重い処分を受けるのではないかといった不安が強まり、当初の方針を変えて、話し合いでの解決を希望するようになりました。
Bさんに示談の意向を確認すると、刑事告訴のサポートをした弁護士を通じてやり取りをしたいとのことであったため、代理人に連絡をしました。
Bさんに嫌な思いをさせた可能性があるため、その点において示談をしたいと申し入れ、示談の対象をどのような事実とするか、また示談金額をいくらにするかについて、交渉を始めました。
最終的に、Aさんが絶対にそのような行為はしていないという事実は除外し、Bさんに誤解された可能性のある行為については示談の対象として残すことになりました。
また、示談金については、30万円ということになりました。不同意わいせつの示談金相場について詳しくは「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方」で解説しています。
Bさん側と合意書を取り交わし、事件が送致されていたため、検察官に示談が成立したことを報告すると、その後不起訴処分が出されました。
解決結果と弁護士のコメント
刑事処分:不起訴
職場・家族:示談成立により会社処分を回避
アルコールの影響によってトラブルになるケースは多く、弊所でもご相談・ご依頼を多数いただいております。
本件のように、飲酒後に不同意わいせつ罪や不同意性交罪を疑われ、警察が介入してくるケースも少なくありません。
アルコールの影響を受けた状態で犯罪に該当する行為があったと疑われた場合、まずはどれだけ記憶があるか、また正確であるかを確認してまいります。
全く記憶がないという方もいらっしゃいますし、少し認知や判断の力が低下していた気がするという方もいます。
いずれにせよ、客観的な証拠があれば、記憶とどこまで整合するかどうかを確認しながら、お話しいただいている内容がどこまで正確であるのかを判断していきます。
本件では、長時間飲酒していたことから酔っていたと自覚しているものの、記憶が飛んだ部分は無く、最初から最後まで事実を認識できていたという事案でした。
飲み会に参加した他の女性の話とも整合するものであり、基本的には正確に事実を認識し、記憶したうえ、話をしているという印象を持ちました。
ただ、Bさんも同様にアルコールの影響を受けていたものの、酩酊していた訳ではなく、正確に事実を認識していたと主張しており、双方の言い分が真っ向から対立しておりました。
Aさんが強く早期解決を希望したことから、示談を成立させたうえでの終結を目指しましたが、犯罪に該当する事実がないと認識している以上、戦うという選択肢も十分あったかと思います。
弁護人の早期選任について
現在では多くの刑事事件において弁護人が就きますが、本件のように、すぐに就任したうえで具体的なアドバイスができないこともあります。
弁護人が就く前には、警察から圧力をかけられることも珍しくありません。
本件は在宅事件(逮捕や勾留をされずに捜査が進む事件)であったため、自分の認識を冷静に振り返ることができましたが、身柄事件(逮捕や勾留をされた状態で捜査が進む事件)の場合には、警察から圧力をかけられて、自身に不利な事実を供述し、書面を作成されてしまうこともございます。在宅事件と身柄事件の違いについて詳しくは「在宅事件の流れと身柄事件との違い、起訴率(不起訴率)を解説」をご参照ください。
在宅事件であれば、警察とやり取りをする前に弁護士に相談いただきたく思いますし、身柄事件の場合には、警察署の担当者に弁護士に接見(面会)を希望する旨伝えて、速やかに状況や方針を整理していただきたく思います。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

