
刑事事件では、逮捕から72時間以内に勾留するかどうかが決まり、その後の手続きも短い期間のなかで進んでいきます。家族が逮捕された、あるいは自分が捜査の対象になったという状況で、「この先どうなるのか」「いつ釈放されるのか」と強い不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
刑事手続は、捜査の開始から逮捕・勾留、起訴・不起訴の判断を経て、刑事裁判の判決へと段階的に進みます。各段階に厳しい時間制限があり、どのタイミングで何が起きるのかを知っておくことが、落ち着いた対応につながります。
この記事では、刑事事件に注力する弁護士が、刑事事件・刑事裁判の流れをフローチャートに沿って解説します。次のような点がわかります。
- 逮捕された後はどうなるのか
- 勾留される期間と釈放のタイミング
- 起訴・不起訴が決まるまでの流れ
- 刑事裁判が始まってから判決までの流れ
なお、刑事事件についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
刑事事件の流れ

ここでは、刑事事件の一般的な流れにつき、上の画像(刑事事件の流れの図・フローチャート)に沿ってわかりやすく解説していきます。
①捜査の開始
捜査機関は世の中に存在する「事象」が「犯罪」に当たると考えた事件を捜査の対象とします。
では、捜査機関はどんな方法で「事象」を把握するのかといえば、被害者などからの、「被害届」「告訴状」「告発状」の提出や密告という受動的な方法のほか、「職務質問、所持品検査」「交通検問」「内偵捜査」など、捜査機関自ら事象の把握に乗り出すという積極的な方法によって把握していきます。
②犯罪事実、被疑者の特定
①の段階での捜査の主目的は被疑者を特定することです。捜査の最終的な目的は犯人に刑罰を科すことであるところ、まずは被疑者を特定しなければ刑罰を科すための捜査も進めることができないからです。
なお、①、②の段階で犯罪事実や被疑者特定のため、捜索(ガサ)や証拠物の精査、事件関係者あるいは被疑者への事情聴取が行われることがあります。
③逮捕の判断・逮捕状の請求
捜査機関は犯罪事実や被疑者を特定したら、被疑者を逮捕するか否かを判断します。
通常逮捕の場合は裁判官が発布する逮捕状が必要です。逮捕状が発布されるためには、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること(逮捕の理由)」に加えて、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれなどから判断される「逮捕の必要性」が認められることが必要です。捜査機関は、逮捕状請求の際、①・②の段階で収集した証拠をこれらの要件を疎明(証明)するために使います。
現行犯逮捕、緊急逮捕の場合は逮捕時に逮捕状が不要なため以下の④から手続きが始まります。通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の違いについて詳しくは「逮捕の種類は3つ|通常・現行犯(準現行犯)・緊急の要件と違い」で解説しています。
④被疑者の逮捕
裁判官から逮捕状が発布される(通常逮捕の場合)といよいよ逮捕の段階です。しかし、実際に逮捕を実行に移すか否か、移すとしていつ実行するかは捜査機関の判断に委ねられます。したがって、捜査機関以外の者(弁護士も含む)が逮捕時期を予測することはできません。
また、警察に出頭をかけてから逮捕する、いきなり自宅に押し寄せて逮捕するなど、逮捕の方法も捜査機関が決定します。最終的には、事件の性質、被疑者の特質(罪証隠滅、逃亡を図るおそれがあるか否か)などを勘案して判断されます。
⑤警察の留置場に収容
逮捕(通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕を問わない)されると警察の留置場に収容されます。留置場は罪証隠滅、逃亡のおそれを防止するための施設で、各警察署の中に設けられています。釈放されるまでは基本的に留置場で生活しなければなりません。
留置場の中には10畳ほどの広さの部屋がいくつか設けられ、接見、取調べ、入浴、運動など必要な場合以外はその部屋の中で生活しなければなりません。もちろん集団生活であり、プライベートはありません。
⑥警察官の弁解録取⑦送致(送検)
弁解録取は、捜査機関が認定した犯罪事実を認めるか認めないか、認めないとしてどの部分が間違っているのかなど、被疑者から事件についての弁解を聴くための手続きです。実質は取調べと同様で、被疑者には黙秘権などの権利が認められています。
警察官は弁解録取を行った上、このまま被疑者を拘束するか否かを判断します。警察官が身柄を拘束する必要がないと判断した場合は釈放され、必要があると判断した場合は逮捕から48時間以内に事件と書類を検察庁へ送致(送検)します。送致の仕組みや逮捕との関係について詳しくは「書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説」をご参照ください。
⑧検察官の弁解録取⑨勾留請求
警察から事件と書類の送致を受けた検察官は、警察官と同様に弁解録取を行います。その上で、検察官が身柄を拘束する必要がないと判断した場合は釈放されます。
検察官は警察官と同じく捜査官ではありますが、そもそも警察と検察は全く別の機関です。また、検察官は警察官と異なり弁護士、裁判官と同様法律の専門家ですから、警察官とは異なる観点から身柄拘束の要否を判断します。したがって、送致されたからといって必ず勾留請求されるわけではありません。
もっとも、検察官が身柄を拘束する必要があると判断した場合は、送致から24時間以内(逮捕から通じて72時間以内)に勾留請求されます。
⑩裁判官の勾留質問⑪勾留決定
検察官に勾留請求された場合は裁判官の勾留質問を受けます。勾留質問でも事件のことを聴かれます。
裁判官は事件当事者(罪を追及される被疑者、罪を追及する警察官・検察官)ではなく、あくまで公平・中立な立場にある人です。したがって、警察官や検察官とは異なる観点から身柄拘束の要否、必要性を判断します。
近年は裁判官のチェックが厳しく、以前に比べて検察官の勾留請求が却下されることが多くなっています。勾留請求が却下され、検察官の不服申し立てがないか、不服申し立てが棄却された(認められなかった)場合は釈放されます。
もっとも、裁判官が身柄を拘束する必要があると判断した場合は勾留決定が出されます。勾留の要件や早期釈放のための方法については「勾留とは?逮捕との違いと要件、勾留期間を解説」もあわせてご確認ください。
⑫勾留⑬捜査⑭刑事処分
勾留決定が出ると勾留されます。勾留場所は逮捕時の留置場と指定されることが多いでしょう。
勾留期間は検察官の勾留請求日から10日間です。その後、捜査上、勾留期間を延長することにやむを得ない事由があると認められる場合は、特定の事件を除き最大10日間延長されます。これにより、勾留による身柄拘束は合計で最大20日間に及びます。
ただし、この間、検察官自ら身柄を拘束する必要がないと判断した場合、あるいは弁護人による不服申し立てが認められた場合は期間途中でも釈放されます。
この勾留期間中に取調べ、実況見分などの捜査を受け、最終的な刑事処分(起訴・不起訴)が下されます。
検察官の処分は、起訴と不起訴に大きく分かれます。起訴には次の3種類があり、どの形をとるかも検察官が決めます。
| 起訴の種類 | 内容 |
|---|---|
| 公判請求 | 公開の法廷で正式な裁判を求める、通常の起訴です。 |
| 略式命令請求 | 被疑者の同意を前提に、簡易裁判所が書面審理だけで100万円以下の罰金・科料を言い渡す手続きです(略式起訴)。詳しくは「略式起訴とは?前科・罰金相場・手続きの流れをわかりやすく解説」をご覧ください。 |
| 即決裁判請求 | 軽微で争いのない事件について、起訴からおおむね14日以内に1回の公判で判決まで終える手続きです。 |
一方、不起訴は公訴を提起しない処分です。犯人でないことが明らかな「嫌疑なし」、証拠が足りない「嫌疑不十分」、犯罪は認められても被疑者の事情や犯罪後の状況などから訴追を見送る「起訴猶予」などに分かれます。不起訴の種類や前科との関係は「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」で詳しく解説しています。
不起訴処分の獲得を目指すうえでは、被害者がいる事件で示談を成立させることが重要になります。
また、釈放された場合でも捜査を受け、最終的な刑事処分を受けるという流れは変わりありません。
⑮起訴⑯勾留⑰刑事裁判⑱判決
勾留中のまま起訴されれば、自動的に2か月の勾留期間が決定します。
もっとも、起訴後は裁判官(第1回公判期日後は裁判所)宛に保釈請求することができます。保釈請求が許可され、裁判官(あるいは裁判所)から指定された保釈金を納付すればその時点で釈放されます。早期釈放のためにできることについては「保釈と釈放の違いは?早期釈放のためにすべきこと」で詳しく解説しています。
また、身柄不拘束のまま起訴されることもあります。
身柄拘束、身柄不拘束の場合もいずれは刑事裁判を受けなければならず、判決で有罪とされると拘禁刑や罰金などの刑罰を受けます。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
刑事裁判の流れ
刑事事件で起訴されると、被告人として刑事裁判で審理を受けることになります。自白事件(ただし、殺人罪、放火罪などの裁判員裁判対象事件を除く)であれば、起訴から約1か月〜2か月後に第1回の刑事裁判が開かれることが多いです。起訴から保釈までの具体的な流れについては「起訴後の流れはどうなる?保釈の流れも合わせて弁護士が解説」をご参照ください。以下では、第1回の刑事裁判が開かれてから判決までの流れを解説します。
- 冒頭手続
- 証拠調べ手続
- 弁論手続
- 判決
①冒頭手続
刑事裁判では、まず始めに冒頭手続から進められます。
冒頭手続は、
- 人定質問
- 起訴状朗読
- 黙秘権等の告知
- 被告人・弁護人の起訴事実に対する認否
という順に手続きが進められます。
人定質問は、被告人として刑事裁判に出廷している人物が、起訴状に被告人として記載されている者と同一人物であるかどうかを確かめる手続きです。
起訴状朗読は、検察官が起訴状に記載している公訴事実、罪名、罰条を読み上げる手続きで、これによって審理の対象が公的に明らかとされ、審理が開始されます。
黙秘権等の告知では、裁判官が被告人に対して黙秘権の権利の内容等を説明します。
被告人、弁護人の起訴事実に対する認否(罪状認否)では、被告人と弁護人が、公訴事実を認めるか、認めないかを陳述します。
②証拠調べ手続
冒頭手続の次に進められるのが証拠調べ手続です。
証拠調べ手続では、「冒頭陳述」、「検察官の立証」、「弁護人の立証」、「被告人質問」が行われます。
冒頭陳述は、検察官が刑事裁判で証拠によって証明しようとする事実を述べる手続きです。
冒頭陳述を終えた後、はじめに検察官が裁判官に見てもらいたいと考えている証拠を請求します。裁判官は弁護人の意見を踏まえた上で証拠を採用するか否かを決めます。検察官の立証が終わった後、弁護人も同じ手続きを踏みます。
書面の証拠は証拠の要旨を告げて裁判所に提出することが多いです。証人を尋問する必要がある場合は別の日に尋問する日を設けます。
被告人質問は証拠調べ手続の最後に行われることが多いです。
③弁論手続
証拠調べ手続が終わると、弁論手続に入ります。
弁論手続では、「論告・求刑」、「弁論」、「被告人の最終陳述」が行われます。
論告・求刑は、事件に対する検察官の意見及び検察官が相当と考える刑の重さを述べる手続きです。
弁論は、事件に対する弁護人の意見を述べる場です。
弁論の後、被告人に事件について述べる機会(被告人の最終陳述)が与えられます。
④判決
弁論手続の後、刑事裁判の最後の手続きである判決です。判決では、有罪か無罪か、有罪であれば拘禁刑や罰金といった量刑、執行猶予を付すかどうかなどが言い渡されます。
罪を認めている自白事件であれば、結審から1〜2週間ほどで判決が言い渡され、起訴から判決までは2〜3か月程度で終わることが多いです。これに対し、起訴内容を争う否認事件では審理が複数回に及び、判決まで数か月から1年以上かかることもあります。
判決の内容に不服がある場合は、判決の言い渡しを受けた日の翌日から14日以内に控訴を申し立てることができます。
刑事事件・刑事裁判の流れでお困りの方は弁護士にご相談ください
刑事事件は、逮捕から勾留、起訴、裁判まで各段階に厳しい時間制限があり、最初の数日でどう動くかがその後の結果を大きく左右します。
弁護士が早い段階で関与することで、勾留を回避したり、早期の釈放に向けて働きかけたりすることができます。被害者がいる事件では、示談交渉を進めることで不起訴処分につながる可能性も高まります。逆に、対応が遅れるほど取りうる選択肢は狭まっていきます。
ご家族が突然逮捕された、警察から出頭を求められているといった状況では、先が見えず強い不安を感じるものです。刑事事件は時間との勝負であり、迷っている間にも手続きは進んでいきます。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

