
ご家族や身近な方が逮捕、勾留された場合にできることの一つとして接見があります。しかし、弁護士以外の方の接見(一般接見)には様々な制限があり、はやく、自由に接見したいという方にとっては大きな足かせとなるでしょう。そこで活用したいのが弁護士による弁護士接見です。
そこで、この記事では、
- 接見とはなにか。一般人の接見と弁護士の接見の違いはなにか。
- 弁護士接見でできることはなにか
について、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
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目次
接見とは
接見とは、弁護士あるいは弁護士以外の人が被疑者(起訴される前の人)・被告人(起訴され刑事裁判にかけられた人)が逮捕・勾留によって収容されている留置施設、拘置所などに出向き、被疑者・被告人と面会することをいいます。
逮捕、勾留された被疑者・被告人は日常生活とかけ離れた生活を余儀なくされます。また、日々、捜査員による厳しい取調べなどにも耐えなければなりません。かといって、周囲には親身に話を聴いてくれる、相談に乗ってくれる相手などいません。
接見は、そうした精神的にも肉体的にも辛い生活を送っている被疑者、被告人の支えとなる重要な機会です。
特に、弁護士との接見は、被疑者・被告人が捜査や刑事訴追に対する法的アドバイスを受けることができる大変重要な機会といえます。なぜなら、被疑者は、逮捕直後から捜査員による厳しい取調べを受けます。そして、その取調べで話したことがその後の刑事手続の中で重要なウェイトを占める場合があるからです。また、弁護士による接見は被疑者・被告人の肉体的、精神的支えとなるばかりでなく、不当な処分、不当な量刑、不当な判決(冤罪)を防ぐためにも大変重要や役割を果たしています。そこで、可能な限り取調べ前、あるいはその直後に弁護士と接見し、弁護士から取調べなどに関するアドバイスを受けることが非常に重要です。
こうした接見の重要性から、法律では、被疑者・被告人が弁護士と立会人なくして接見できることを権利として認めています。この権利を接見交通権といいます。
なお、弁護士が行う接見のことを「弁護士接見」、弁護士以外の人が行う接見のことを「一般接見」といって区別しています。
第39条
1.身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、第31条第2項の許可があった後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
第80条
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
弁護士接見と一般接見の違い
⑴ 逮捕期間中から接見できるか否か
逮捕期間中とは逮捕から勾留決定が出るまでのおおよそ3日間です。弁護士(国選弁護士以外)接見はこの逮捕期間から可能です。
他方で、基本的にこの期間中の一般接見は不可です。
⑵ 接見できる時間帯
土日祝日でも接見できます。また、早朝、深夜を問わず24時間接見できます(もっとも、起訴前(被疑者の場合)に限り、捜査機関から日時を指定されることがあります)。
他方で、一般接見は平日のみの限定された時間帯とされています。一般接見の受付時間は、各留置施設や拘置所などによって異なりますが、たとえば「午前10時から午前11時」と「午後2時から午後4時」などとされていることが多いです。
⑶ 接見時間
弁護士接見は、基本的に接見時間の制限はありません(ただし、接見室の運営上の制限はあります。また、起訴前(被疑者の場合)に限り、捜査機関から時間を指定されることがあります)。
他方で、一般接見は15分あるいは20分です。
⑷ 接見回数
弁護士接見の場合は接見回数に制限はありません。
他方、一般接見は、1人につき1日1回です。1回に一般接見できる人数は、幼児・赤ちゃんを含む最大3名までとなります。
⑸ 立会人の有無
弁護士接見では立会人がつきませんから、事件のことなどなんでも気兼ねなく話せます。
他方、一般接見では立会人がつきます。立会人は、留置施設であれば警察官、拘置所であれば刑務官となるでしょう。立会人は被疑者・被告人等が何を話しているのか聴き取り、メモしています。いわば接見を監視されているのと同じで、心理的に自由な会話を行うことは難しいかもしれません。
⑹ 接見禁止が出ていても接見できるか否か
接見禁止とは被疑者・被告人と弁護士以外の方との接見を禁止することです。
≫接見禁止とは|禁止の理由、期間、解除の方法をわかりやすく解説
逃亡や罪証隠滅をすると疑うに足りる相当な理由がある場合、具体的には、以下のようなケースでは接近禁止が出やすいといえます。
- 重大事件
- 共犯事件
- 薬物事件
- 否認事件
- 組織で行った、組織が関与した事件
ただし、弁護士接見は、接近禁止になっても可能です。
他方、接近禁止が出ると一般接見は不可となります。面会した者が、被疑者・被告人と示し合わせて、逃亡の手助けをしたり証拠隠滅に手を貸す恐れもあるからです。ただし、裁判所に対して不服申し立て、あるいは、接見禁止一部解除を申し立て、それが認められれば、接見禁止が一部解除(あるいは全部解除)されることもあります。
≫接見禁止一部解除とは?|解除の方法、解除までの流れなどについて解説
弁護士接見でできること
⑴ 被疑者・被告人に対して
被疑者に対しては罪に対する認否、被疑者の希望を聴取した上で、それぞれに応じたアドバイスを行います。また、事件の流れや今後の見通しなどの説明についても併せて行います。
被告人に対しては、被告人の認否に応じた弁護方針を説明した上で、裁判の流れ、今後の裁判の見通しなどの説明を行います。また、裁判の打ち合わせも併せて行います。
また、予めご依頼者から伝言を預かり、被疑者・被告人に伝えます。また、接見後は、被疑者・被告人から預かった伝言をご依頼者に伝えます。さらに、可能な範囲で職場への事件等に関する説明も行います。このように、弁護士はご依頼者、職場との橋渡し役となることが可能です。
⑵ 接見を依頼した方に対して
接見の報告を行います。これによって、被疑者・被告人がどんな罪を犯したのか、罪について認めているのか否認しているのかなどを知ることができます。また、今後の見通しや事件に対するアドバイスも行います。これによって、今後依頼者として何をやるべきか、弁護士を私選で選ぶべきか国選で選ぶできか、費用はどの程度かかるのかなどの目安を知ることができます。
4.まとめ
被疑者・被告人にとって接見は重要な機会ですが、一般接見には様々な制限があり思うように接見できない場合があります。また、被疑者・被告人に接近禁止決定が出ると一般接見することができません。そうした場合は制限や接近禁止にかかることのない弁護士接見を活用することも一つの方法です。接見でお困りの際ははやめに弁護士にご相談ください。
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