
「家族が突然逮捕された。一日でも早く外に出してあげたい」。そんな切迫した思いで、釈放について調べている方も多いのではないでしょうか。
逮捕後の身柄拘束は最大23日間に及ぶことがあり、タイミングを逃すと仕事や学校、日常生活に大きな影響が出かねません。そもそも「釈放」と「保釈」は何が違うのか、どの段階で外に出られるのかがわからず、不安を抱えている方もいるはずです。早期の釈放を実現するうえでは、弁護士による迅速な弁護活動が大きな鍵を握ります。
この記事では、刑事事件に注力する弁護士が、次の点をわかりやすく解説します。
- 釈放と保釈・仮釈放の違い
- 釈放されるタイミングと条件
- 保釈の流れと保釈保証金
- 早期釈放のために家族ができること
なお、ご家族の釈放を急いでいる方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
釈放とは~保釈との違い
釈放とは、逮捕や勾留によって留置場や拘置所に、拘禁刑などの刑罰の執行などによって刑務所などに収容されたものの、身柄拘束を解かれることをいいます。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事では改正後の法律に基づいて解説しています。
保釈も釈放の一部ですが、釈放されるタイミングが起訴後、判決が確定するまでの間という点で、他の釈放と異なります。
刑事手続きでは、釈放と似た言葉に「保釈」「仮釈放」があり、身柄が解かれる場面や手続きが異なります。保釈と釈放の違いを中心に整理すると、次のとおりです。
| 釈放(起訴前) | 保釈 | 仮釈放 | |
|---|---|---|---|
| 身柄が解かれる場面 | 逮捕から起訴前まで | 起訴後から判決確定まで | 実刑で服役している間 |
| 根拠となる主な規定 | 嫌疑なし・不起訴など | 刑事訴訟法88条以下 | 刑法28条 |
| 主に動く人 | 捜査機関が判断 | 被告人・弁護人などが請求 | 地方更生保護委員会が決定 |
| お金 | 不要 | 保釈保証金が必要 | 不要 |
| 解放後の扱い | 不起訴なら事件は終結 | 判決まで。実刑なら再び収容 | 残りの刑期は保護観察 |
このうち仮釈放は、拘禁刑で服役している人が刑期の満了前に釈放される制度で、逮捕・勾留の段階で身柄を解かれる釈放とは場面が大きく異なります。仮釈放の条件や期間については「仮釈放とは?3つの条件と期間、許可のために身元引受人が出来ること」で詳しく解説しています。
以下では、起訴前の釈放を中心に、釈放されるタイミングを詳しく見ていきます。
釈放のタイミングと条件
釈放されるタイミングは、大きく以下の4つの段階にわけることができます。
- ①逮捕後勾留までの間
- ②勾留後起訴されるまでの間
- ③起訴後判決までの間
- ④判決後裁判が確定するまでの間
①逮捕後勾留までの間
逮捕後勾留までには、
- 警察官の弁解録取
- 送致(送検)
- 検察官の弁解録取
- 勾留請求
- 裁判官の勾留質問
- 勾留許可決定
という流れで進んでいきます。
もっとも、①、③、⑤の後に釈放される可能性があります。また、⑥により勾留されても、弁護人が裁判所に対して不服を申し立て(準抗告)、その不服が認められると釈放されます。
この段階で釈放されることが多いのは次のようなケースです。
- 犯罪自体が軽微
- 定職に就いている
- 家族などの適切な身元引受人がいる
- 被害者と接触するおそれがない
- 罪を認めている
- 被害者と示談交渉中である
勾留の要件や回避するための具体的な方法については「勾留とは?勾留期間や要件、勾留回避・早期釈放のための方法」で詳しく解説しています。
②勾留後起訴されるまでの間
勾留されるとはじめ10日間、その後、最大で10日間、身柄拘束される可能性があります。もっとも、その間、前述のとおり、弁護人の不服申し立て(準抗告)が認められることで釈放される可能性はあります。準抗告のほかにも、逃亡や証拠隠滅のおそれがなくなった場合に裁判所へ勾留の取り消しを求める「勾留取消請求」や、被疑者・被告人が病気の治療や入学試験などの事情を抱えている場合に一時的な釈放を求める「勾留の執行停止の申立て」によって釈放されることもあります。
また、検察官の判断で釈放されることもあります。検察官の判断で釈放されるのは、検察官が必ず不起訴とする、あるいは不起訴とする可能性が高いケースです。たとえば、次のようなケースです。
- 親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪)で被害者等の告訴権者が告訴を取り消した場合(必ず不起訴となります)
- 被害者と示談が成立した
- 勾留期限までに捜査機関が起訴するに足りる証拠を集めることができなかった
不起訴処分の種類や前歴との関係については「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」もあわせてご確認ください。
なお、勾留の期限までに検察官が起訴か不起訴かを判断しきれない場合、その判断をいったん保留したまま身柄が釈放されることがあります。これを処分保留による釈放といいます。処分保留で釈放された後も、在宅事件(身柄を拘束されないまま捜査が進められる事件)として捜査は続くため、その後に起訴される可能性は残ります。ただし、勾留期間を使いきっても起訴に足りる証拠がそろわなかったケースが多く、実務上はそのまま不起訴となることが少なくありません。釈放されたからといって事件が必ず終わるわけではない点には注意が必要です。
③起訴後判決までの間
起訴後の釈放を保釈といいます。保釈されるのは弁護人による保釈請求が許可され、裁判所に保釈保証金を納付することが条件です。保釈の許可条件などについては、後記で詳しく解説します。
なお、検察官が行う起訴には、「公判請求」という公開の法廷で審理を求める起訴のほか、「略式起訴(略式命令請求)」という裁判をせずに書面での審理のみで罰金もしくは科料の刑罰の言い渡しを裁判所に求める起訴があります。略式起訴をされると通常はその日のうちに裁判所から罰金や科料を支払うよう命令が出され、支払いをすると即日釈放されます。
略式起訴の手続きや罰金の相場については「略式起訴とは?前科・罰金相場・手続きの流れをわかりやすく解説」をご参照ください。
④判決後裁判が確定するまでの間
判決時に勾留されている(身柄拘束されている)場合でも、全部執行猶予付きの判決を受けた場合、罰金・科料のみの判決を受けた場合、無罪判決を受けた場合には釈放されます。
また、実刑判決を受け、引き続き身柄拘束された場合でも、裁判が確定するまでの間は保釈請求することができます。そして、保釈請求が許可され、裁判所に保釈保証金を納付すれば釈放されます。
保釈のタイミング・流れ・条件
保釈とは、起訴された後の釈放のことです。保釈までは、起訴された後に、
- 裁判所に保釈請求書等を提出する
- 裁判官が検討する
- 裁判官が保釈許可決定を出す
- 裁判所に保釈保証金を納付する
というのが基本的な流れとなります。
起訴後の手続き全体の流れについては「起訴後の流れはどうなる?保釈の流れも合わせて弁護士が解説」で具体的に紹介しています。
①裁判所に保釈請求書等を提出する
保釈請求に向けた活動を行うのは、被疑者・被告人についた私選・国選の弁護人です。弁護人は保釈請求しようと考えた段階で保釈請求に向けた活動を始めます。具体的には、被疑者・被告人との接見のほか、
- 被害者との示談交渉を進展させる
- 示談を成立させる
- 身元引受人から、保釈後の監督意思・監督体制について聴き取りを行う
- 専門の治療機関、被告人の受け入れ機関等との調整
などです。
そして、保釈請求書のほか必要書類を揃えて準備が整った段階で、保釈請求書等を裁判所に提出します。被疑者・被告人が一刻も早い保釈を切望している場合は、起訴された段階を見計らって保釈請求することもあります。
②裁判官が検討する
裁判官が弁護人の保釈請求を受理すると、裁判官は被疑者を起訴した検察官に、弁護人からの保釈請求があった旨を通知します。また、同時に、裁判官は検察官に弁護人の保釈請求に対する意見書を提出するよう求めます。
裁判官は、基本的には、弁護人から提出のあった書類と検察官から提出される意見書、事件記録をもとに、保釈請求を許可するかどうかを判断します(弁護人、検察官と直接面談、あるいは電話して意見を聴くときもあります)。
そのため、検察官の意見書等の提出が遅れれば遅れるほど裁判官の判断も遅れ、保釈許可までの時間もかかってしまいます。
③裁判官が保釈許可決定を出す
裁判官は弁護人の意見、検察官の意見を参考にしながら、保釈請求を許可するかどうかを判断します。保釈請求が許可されるためには、まず、以下の刑事訴訟法89条1号から6号のいずれにも該当しないことが必要です。
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
1号から6号に該当する事情がない場合は保釈請求が許可されます。これを権利保釈といいます。
また、仮に、1号から6号に該当する事情がある場合でも、逃亡または罪証隠滅のおそれの程度や、身柄拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上、または防御の準備上の不利益の程度などの事情を考慮して、裁判所が適当と認めるときは、裁量で保釈が許可されることがあります。これを裁量保釈といいます。
このほか、勾留による拘禁が不当に長くなった場合には、請求または職権によって保釈が認められることがあります(義務的保釈、刑事訴訟法91条)。ただし、義務的保釈が実務で用いられることはそれほど多くありません。
④裁判所に保釈保証金を納付する
裁判官の保釈許可・不許可の判断は、弁護人に通知されます。
保釈許可の場合は、弁護人(あるいは法律事務所の事務員)が、ご家族などからあらかじめ預かっておいた保釈保証金用のお金を裁判所に納付します。保釈保証金の額は、裁判所が犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮し、被告人の裁判への出頭を保証するに足りると考える金額を指定します。
裁判所に保釈保証金が納付されると、裁判所から検察官に保釈保証金が納付された旨を通知します。検察官はその通知を受けて、被告人が拘束されている施設の職員に被告人を釈放するよう指揮します。この指揮に基づいて被告人は釈放されます。
なお、保釈許可決定に対して、検察官から不服を申し立てられることがあります。そして、検察官の不服申し立てが認められた場合は、保釈許可決定は取り消され、身柄拘束が継続します。
保釈保証金を準備できない場合には?
保釈保証金を準備できない場合には、保釈保証金を立て替えてくれる「日本保釈支援協会」という団体もあります。
この「日本保釈支援協会」を利用するには、被告人やその家族が申込みをする必要があります。そして被告人の更生の点などから審査を経て、立て替え限度額500万円の範囲内で立て替え払い契約を締結することになります。その後担当弁護人名義の口座に立替金が入金されることになります。
立て替え期間は「2カ月」とされているため、2カ月後には返済する必要があります。
また立て替え手数料や事務手数料5,500円の支払いが必要となります。立て替え手数料については段階的に定められており、立替金「50万円まで」の場合には13,750円、最大「500万円」の場合には137,500円となっています。
なお、保釈保証金ではなく弁護士費用が支払えない場合に備えて、「国選弁護人制度」や、日本弁護士連合会(日弁連)が費用を立て替える「刑事被疑者弁護援助制度」も用意されています。
早期釈放のためにすべきこと
まずはできるだけ早く弁護士をつける
逮捕され身柄拘束を受けた際には、できるだけ早く弁護士に依頼して弁護方針を構築する必要があります。
弁護士に依頼すると高額な費用を請求されると誤解している方もいらっしゃいますが、逮捕直後には「当番弁護士制度」という無料で一回だけ弁護士を呼ぶことができる制度が用意されています。当番弁護士に相談するのは弁護士会に連絡をするだけですので被疑者本人でもその家族でも可能です。
当番弁護士にそのまま弁護活動を行ってもらいたいという場合には、その弁護士を私選弁護人として選任できますし、またそれとは別の弁護士を私選弁護人に選任することもできます。また弁護士費用を支払う金銭的な余裕がない人の場合には「国選弁護人制度」を利用できる場合があります。弁護士は、起訴前の早期釈放だけでなく、起訴後の保釈請求まで見据えて弁護活動を進めます。
いずれにしても身柄拘束を受けた直後から、弁護人としっかりとコミュニケーションをとり弁護方針を決め、早期に釈放されるように弁護活動に動いてもらうことが何より重要です。
被害者と示談を成立させる
被疑者が被害者に謝罪して示談を成立させることも早期釈放のためには重要です。被害者が被疑者の謝罪を受け入れ示談金・解決金を支払うことで被害届や告訴を取り下げてくれる場合もあります。
親告罪の場合、告訴が取り下げられると検察官は公訴提起することができませんので釈放されることになります。また、非親告罪の場合であっても被害者と示談が成立したことで、ある程度被害回復されたとして「行為の違法性が事後的に減少した」と捜査機関が考える場合があります。そのような場合には被疑者に有利な事情として不起訴となったり在宅事件として捜査が進められる可能性もあります。
示談の具体的な流れや示談金の相場については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」で詳しく解説しています。
捜査機関や裁判所に対して釈放を訴える
警察による逮捕の場合には捜査を行い「48時間以内」に検察官に事件を送致します。弁護士はこの48時間の間に警察官に被疑者の身柄拘束の必要がないことを訴えていくことができます。具体的には被疑者が犯人でないことが明らかであることや罪を認めて反省していること、逃亡・罪証隠滅のおそれがまったくないことなどを説得的に説明していくことになります。
検察官に送致されて以降は「24時間以内(身柄拘束から72時間以内)」に裁判所に勾留請求するか否かを判断します。その期間については弁護士は検察官に対して勾留請求の必要がないことを主張していきます。それでも勾留請求された場合には、裁判官に対して勾留の必要性がないことをアピールし、勾留請求を却下するよう求めていきます。これらにより、早期釈放の実現を目指していきます。
裁判所に対して勾留の異議申立てを行う
裁判官が勾留決定をした場合には、弁護士は異議申し立て(準抗告)を行います。勾留期間中、被疑者に勾留の必要性がないことを裁判所に訴えていくことになります。具体的には上記のように逃亡・罪証隠滅のおそれがないことなどを説得的に説明することになります。
ご家族の早期釈放は早期対応が重要です
逮捕後の釈放には、逮捕直後から判決が確定した後まで複数のタイミングがあり、それぞれの段階で弁護士が果たせる役割があります。勾留を阻止する意見書の提出、被害者との示談交渉、保釈請求の準備と実行など、弁護士は各段階に応じた弁護活動を行います。
特に逮捕直後の72時間は、その後の身柄拘束が長引くかどうかを左右する重要な時間です。対応が遅れるほど釈放の機会は狭まり、勾留が長期化するおそれが高まります。
ご家族が突然逮捕され、「何をすればいいのかわからない」「いつ出てこられるのか」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。すでに勾留が決まっている場合や、起訴されて保釈を検討している場合でも、状況に応じた対応が可能です。
当事務所は刑事事件の弁護に注力し、早期釈放・保釈に向けた弁護活動の実績があります。ご家族の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして対応します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

