
「時効が過ぎた罪で自首したら逮捕されるのだろうか」「民事の賠償責任はどうなるのだろう」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
公訴時効が完成した後に自首をしても、逮捕されることはありません。時効完成により検察官は起訴できないため、仮に事件が送致されても不起訴処分(時効完成)となり、前科がつくこともありません。ただし、刑事上の責任を免れたとしても、民事上の消滅時効が完成していなければ被害者から損害賠償を請求される可能性は残ります。
この記事では、時効完成後の自首で何が起こるのか、民事上の賠償リスクはどこまで残るのかを、実際の事例とともに刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説します。
なお、公訴時効を過ぎた犯罪について被害者への謝罪や被害弁償をお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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時効後に自首するとどうなる?
時効後に自首した場合は、警察から話を聴かれます。場合によっては供述調書をとられるかもしれません。
ただし、公訴時効が完成していると検察官は事件を起訴する(刑事裁判にかける)ことができません。そのため、仮に、事件が検察庁に送致されたとしても、事件の処分は不起訴処分(時効完成)となります。
不起訴処分となるということは、前科はつきません。また、不起訴処分となることが目に見えていますから、警察に逮捕されることもありません。
なお、時効の完成前に自首を検討されている方は「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」もあわせてご確認ください。
民事事件の時効が完成していなければ賠償請求される可能性がある
時効には、刑事事件の時効(公訴時効)のほかに民事事件の時効があります。民事事件の時効は、一定期間を経過すると権利を取得する取得時効と権利が消滅する消滅時効があります。このうち、犯罪を犯した場合に関係する時効は消滅時効です。
加害者の不法行為によって損害を被った被害者は、加害者に対して損害の賠償を求めることができる権利を取得します。民法という法律では、この権利の消滅時効の期間を、被害者が損害及び加害者を知ったときから3年(人の生命又は身体を害する不法行為の場合は5年)、または不法行為のときから20年と定めています。
つまり、公訴時効が完成していても民事上の消滅時効が完成していなければ、犯人は損害賠償責任を免れません。被害者への賠償を行うにあたっては示談交渉が必要になりますので、具体的な流れについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」で詳しく解説しています。
例えば、傷害罪の時効は10年ですが、(暗がりの道で突然後ろから殴られたなどの理由で)被害者が加害者が誰かを知らずに10年が経過したとします。この場合、加害者が自首をしたとしても、公訴時効は完成しているため刑事上の責任を問われることはありません。ただし、被害者が加害者が誰であるかを知るのは加害者が自首した後ですので、その時点から民事上の時効がスタートする、すなわち、自首により警察から連絡を受けるなどして被害者が加害者が誰かを知った時点から5年間は、加害者は損害賠償請求されるリスクを負うということです(傷害は身体の侵害にあたるため、消滅時効の期間は3年ではなく5年となります)。
時効後に自首・自供した事例
ここで、時効完成後に自首または自供により犯行が明らかになった事例を紹介します。
足立区女性教諭殺害事件
1978年8月、東京都足立区内の小学校に勤める女性教諭が失踪。警察は母親からの捜索願を受け、事件性があるとして捜査を続けていたものの、犯人の特定には至りませんでした。その後、失踪から26年後の2004年8月、小学校で警備主事をしていた男が警視庁綾瀬警察署に自首し、女性教諭の殺害を自供。土地区画整理事業のため、女性教諭の遺体を隠していた自宅からの立ち退きを余儀なくされたことから、遺体の発覚は免れないとの思いからの自首でした。当時の殺人罪の時効期間(15年(※))は経過していたことから刑事訴追は免れましたが、民事裁判では遺族に対し約4255万円の賠償金の支払いが命じられています。
※現在は殺人罪の時効期間はありません
生坂ダム殺人事件
こちらは自首ではなく服役中の自供によって犯行が発覚した事例ですが、時効完成後に不起訴となったケースとして紹介します。
1980年3月、長野県東筑摩郡生坂村のダムの湖底から会社員男性(当時21歳)の水死体が発見されました。警察は、遺体の首の索条痕以外に目立った外傷がないこと、解剖・検視により死因が溺死と推定されたこと、被害者が生前「死にたい」という趣旨の発言を繰り返していたという証言があることなどから自殺として処理していました。ところが、20年後の2000年4月、覚醒剤取締法違反の罪で服役中の男が警察署長宛の手紙で被害男性の殺害を告白。警察は捜査を再開し、2003年に男を殺人容疑で書類送検しましたが、すでに殺人罪の公訴時効(当時15年)が完成していたため不起訴処分(時効完成)となりました。この事件では民事上の時効(20年)もすでに経過していたため、民事上の賠償責任も問われていません。
時効完成後の被害者への謝罪・賠償をお考えの方へ
公訴時効が完成した後に自首をしても逮捕や起訴をされることはありません。しかし、民事上の消滅時効が完成していなければ、損害賠償請求を受ける可能性は残ります。
時効完成後に被害者へ謝罪や賠償を申し出る場合、被害者側の心情的な抵抗は非常に大きく、当事者同士での交渉は困難を極めます。弁護士を介することで、被害者の感情に最大限配慮しながら示談交渉を進めることができ、弁護士が間に入るのであれば話を聞いてもよいという被害者も少なくありません。
罪の意識を長年抱え続けてきた方や、時効を過ぎてしまったものの被害者にできる限りの償いをしたいとお考えの方は、おひとりで悩まずご相談ください。当事務所は犯罪被害者との示談交渉を得意としており、多数の解決実績があります。全国どこからでも無料相談をご利用いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

