- 美人局は具体的にどのような犯罪に該当するのだろう…成立要件や罰則を知りたい…
- 美人局で逮捕されるとどうなってしまうのだろう…その後の流れが知りたい…
この記事では、刑事事件に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきます。
記事を最後まで読むことで、美人局で問われる可能性のある罪と罰則、逮捕後の流れ、逮捕されそう・逮捕された場合にどう対処すべきかがわかります。
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目次
美人局とは?
美人局とは、女がターゲット男性を誘惑し、共謀者である男と共に男性から金銭を脅し取ったり騙し取ったりする犯罪行為です。
代表的な手口は、共謀者の男女が夫婦(またはカップル)の設定で、女と関係を持った男性から不倫の慰謝料(または解決金)名目で金銭を脅し取るものです。また、出会い系やSNSを通じて18歳未満の女を男性と接触させ、児童買春や淫行条例違反をネタに「警察に通報されたくなければ金を払え」と恐喝する手口も今では常套手段となっています。ほかにも、妊娠したと嘘をついて中絶費用や慰謝料を騙し取ったり、性行為に至らない待ち合わせ段階で金銭を脅し取る手口もあります。
では、美人局をするとどのような犯罪に該当するのでしょうか。以下で解説します。
美人局が該当する犯罪と成立要件・罰則
美人局で成立し得る犯罪は以下の5つです。
- 恐喝罪
- 強盗罪
- 脅迫罪
- 詐欺罪
- 強要罪
なお、この5つの犯罪のうち、脅迫罪以外の犯罪は「未遂」も処罰されます。例えば恐喝罪のケースで、脅してお金を払わせようとしたものの被害者が払わなかったとしても同罪の未遂罪が成立します。犯罪をやり遂げなかったから自分は逮捕されないだろうと誤信しないよう注意してください。それでは、それぞれの犯罪の成立要件や罰則を以下で解説していきます。
恐喝罪
「人を恐喝して財物を交付させた者」には恐喝罪が成立します(刑法第249条)。
「恐喝」とは、暴行または脅迫により被害者を畏怖させることをいいます。例えば、「俺らが警察に通報したら児童買春で逮捕されるよ?許してほしかったら、金を払え」などと申し向け、相手方から金銭の交付を受けた場合には恐喝罪の成否が問題となります。
恐喝罪は財産に対する犯罪のうち交付罪にあたるため、相手方の意思に基づいて財物の交付が行われる必要があります。そのため相手方の意思を完全に制圧して財産を奪ったような場合には恐喝罪は成立しません(後述の強盗罪が成立する可能性があります)。
恐喝罪が成立すると、「10年以下の懲役」が科されます。
強盗罪
「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」には強盗罪が成立します(刑法第236条)。
強盗罪が成立するためには、暴行・脅迫は「被害者の反抗を抑圧するに足りる程度」のものでなければなりません。その程度に至らない暴行・脅迫の場合には強盗罪は成立せず前述の恐喝罪の成否が問題となります。暴行・脅迫の程度については被害者の事情や行為の内容、行為者側の状況などを総合考慮して客観的な基準により判断されます。
例えば、ナイフなどの凶器をちらつかせるなどして「解決金をはらわなければ痛い目にあわす」などと言い、相手を反抗できない状態にして財物を奪取した場合には、強盗となります。
強盗罪が成立した場合には「5年以上の有期懲役」に科されます。また強盗行為によって被害者が負傷し怪我を負った場合には、強盗致傷罪として「無期又は6年以上の懲役」として非常に重い刑が科されます(刑法第240条)。
脅迫罪
「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者」には脅迫罪が成立します(刑法第222条)。
「脅迫」とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。脅迫罪は一般市民の安全感が害されることによって意思活動の自由が侵害される犯罪です。そのため、「殺すぞ」「殴るぞ」など加害行為自体が違法の場合のみならず、「会社にばらすぞ」「警察に突き出すぞ」など必ずしも加害行為が違法とは言えない場合であっても脅迫罪が成立する可能性があります。
美人局トラブルでは、脅迫に続いて金品を要求するケースが多いですが、その場合には財産犯として恐喝罪(強盗罪)の成否が問題となります。そのため金銭を目的とせず被害者を脅すことのみを目的とする場合には、意思活動の自由に対する罪として脅迫罪が問題となります。
脅迫罪が成立した場合には「2年以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科されます。
詐欺罪
「人を欺いて財物を交付させた者」には、詐欺罪が成立します(刑法第246条)。
詐欺罪は、「欺罔行為」に基づいて相手方を「錯誤」に陥らせて財物を交付させることで成立する犯罪です。例えば、真実女性が妊娠したわけではないのに「彼女が妊娠したので堕胎するための100万円を払え」などと言って、相手方を誤信させて金銭を支払わせたような場合には詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪が成立した場合、「10年以下の懲役」が科されます。
強要罪
生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、「人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者」には強要罪が成立する可能性があります(刑法第223条)。
例えば、「俺の女に手を出しやがって!ぶっ殺すぞ!」などと脅して無理やり土下座をさせたりたりする場合が強要罪にあたり得ます。
強要罪が成立する場合には、「3年以下の懲役」が科されます。
美人局の逮捕事例
ここでは、令和4年度になってからのマスコミ報道された美人局の逮捕事例を2つ紹介します。
16歳の少女らが出会い系サイトで知り合った男性から 美人局つつもたせ の手口で現金を脅し取っていた事件で、島根県警松江署は18日、いずれも18歳で松江市内の少年2人を恐喝容疑で逮捕した。2人は容疑を認めているという。
発表によると、2人は少女らと共謀。9日夜、松江市東津田町の会社員男性方で、「お前のやっていることは犯罪だぞ」「財布出せ」などとどなったり、男性の頭を踏みつけたりし、3000円を脅し取った疑い。
同署によると、2人は知人を介して少女と知り合ったという。
いわゆる「美人局(つつもたせ)」の手口で20代の男性に因縁をつけ、現金150万円を脅し取ったとして富山市に住む20代の男女4人が19日逮捕されました。
恐喝の疑いで逮捕されたのは、いずれも富山市に住む竹橋龍太郎容疑者(22)、尾山絢哉容疑者(21)、杉木涼太容疑者(22)、高山桃花容疑者(20)の4人です。
警察によりますと4人は先月10日、富山市内の商業施設の駐車場に20代の男性を呼び出しいわゆる「美人局」の手口で因縁をつけて、「150万円払え。払えなければ警察に連れていく」などと脅迫し、現金150万円を脅し取ったとされています。
4人のうち尾山容疑者と杉木容疑者は別の恐喝未遂の疑いですでに逮捕されていて、その取り調べの中で今回の事件が浮上しました。警察は捜査に支障があるとして4人の役割分担や認否を明らかにしておらず、引き続き余罪があるかどうか調べを進めています
弊所では以前から美人局の弁護活動をしていますが、この2つの美人局の逮捕事例のように10代~20代前半と年齢的に若い加害者が増えて来ていることを実感しています。スマホやSNSが若者の間でも普及したことで加害者の低年齢化も進んでいます。
美人局で逮捕された後の流れ
美人局で逮捕された場合、その後の手続きはどのように流れていくのでしょうか。以下で確認しておきましょう。
- 逮捕:美人局が犯罪行為に該当していた場合、警察によって勾留に先立つ短期間の身体拘束として「逮捕」される場合があります。逮捕された場合には身体拘束から72時間以内に更に勾留する必要があるか否か判断されます。
- 勾留:勾留は検察官が裁判官に請求します。そして裁判官が長期の身体拘束をする理由と必要性があるか否かを判断して決定されます。勾留期間は10日間ですが、さらに10日間延長することができるため最大20日間の身体拘束を受ける可能性があります。
- 公訴提起:勾留期間中に捜査機関は必要な捜査を実施して被疑者の起訴・不起訴を決定します。起訴とは検察官が裁判所に対して国家刑罰権の発動を求めて、審理と判決を求めていく意思表示です。起訴された場合、裁判手続を行うことになります。公訴提起により被疑者は被告人となります。
- 判決:公判手続きを経て被告人が有罪・無罪かが判断がなされます。有罪判決の場合でも事案によっては執行猶予付き判決となる場合があります。
美人局で逮捕された時に弁護士に依頼するメリット
美人局は恐喝罪や詐欺罪、強盗罪など、比較的刑罰が重い犯罪が成立し得ます。前科・前歴の有無や行為態様の悪質性などにもよりますが、刑事裁判にかけられて実刑懲役となる可能性もあります。また、有罪判決になれば前科もつきます。
そのため、逮捕された場合にはすぐに弁護人を選任して弁護活動を行ってもらうべきでしょう。なぜなら、勾留・起訴までに被害者と示談ができた場合、被害者が告訴を取り下げてくれる場合や、捜査機関側が被害回復できたことを被疑者に有利な事情として考慮してくれる場合があるからです。また身体拘束を受けた場合外部と自由に連絡をとることもできません。そのような場合、家族や職場への連絡についても弁護人に依頼できる場合があります。
弊所では、美人局の被害者との示談交渉、弁護活動を得意としており解決実績もあります。親身誠実に、弁護士が被害者を全力で守りますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決に繋がります。
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