
身代わり出頭をした側は犯人隠避罪、頼んだ側は犯人隠避罪の教唆犯に問われます。身代わり出頭は捜査の過程でバレる可能性が高く、実際に逮捕に至った事例も少なくありません。
「身代わり出頭を頼まれて応じてしまったが、自分も罪に問われるのだろうか」「身代わりを頼んだ場合、どのような罪になるのか」「そもそも身代わり出頭は警察にバレるのだろうか」といった不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、
- 身代わり出頭をした側・頼んだ側がそれぞれ問われる罪と刑罰
- 身代わり出頭がバレて逮捕に至った実際の事例
- 家族が身代わり出頭した場合に刑が免除される可能性
についてわかりやすく解説します。
なお、身代わり出頭について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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身代わり出頭で問われる罪
身代わり出頭では、身代わり出頭をする人と身代わり出頭を頼む人がいます。それぞれ問われる罪が異なりますから、以下分けて解説します。
身代わり出頭をした側が問われる罪
まず、身代わり出頭した側は、犯人隠避罪に問われる可能性があります。犯人隠避罪は刑法第103条に規定されています。
(犯人蔵匿等)
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。出典:e-Gov法令検索
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
「罰金以上の刑に当たる罪」とは、たとえば以下で挙げる罪のように、法定刑に死刑、拘禁刑、罰金のいずれかの刑が規定されている罪のことです。なお、暴行罪などのように、選択刑として罰金以下の拘留・科料の刑が規定されていても「罰金以上の刑に当たる罪」に含まれます。
- 殺人罪:死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑
- 強盗罪:5年以上の有期拘禁刑
- 暴行罪:2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
- 過失致死罪:50万円以下の罰金
「罪を犯した者」とは、実行犯(正犯)はもちろん、正犯を教唆した教唆犯、幇助した幇助犯も含まれます。必ずしも真犯人である必要はなく、現段階では真犯人かどうかわからない者、あとで無実と判明した者も「罪を犯した者」に含まれると考えられています。
「拘禁中に逃走した者」とは、法令によって身柄拘束されている者をいいます。逮捕されている被疑者、勾留されている被疑者・被告人、受刑中の受刑者はもちろん、保釈の許可決定が取り消されて収容される者なども含みます。
「蔵匿」とは、犯人に場所を提供しかくまってやることです。
「隠避させる」とは、蔵匿以外の方法によって警察官等による逮捕・発見を免れさせる一切の行為をいいます。たとえば、
- 犯人に変装用の衣服や旅費を与える
- 潜伏場所を教えて逃がす
- 逃避中の者に捜査の進行状況や留守宅の状況、家族の安否を知らせて逃避の便宜を与える
- 真犯人の身代わりとして別人を立てる
- 自己が犯人であるとして捜査機関に虚偽の申告をする
などが「隠避させる」にあたります。
犯人隠避罪が成立するには、行為者(蔵匿・隠避する側の人)が、相手方が「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」又は「拘禁中に逃走した者」であることを知っている必要があります。
しかし、判例(最高裁判所昭和29年9月30日)では、行為者が、その罪の刑に罰金以上の刑が定められていることまでを知っていることは必要ではなく、罰金以上の刑が定められている罪を犯したことを認識していれば足りると考えています。
身代わり出頭を頼んだ側が問われる罪
罪を犯した犯人が自ら逃げ隠れしても犯人隠避罪に問われないことは刑法第103条の規定からも明らかです。これは、罪を犯した人間が逃げ隠れするのは人の心情としてある意味当然であって、逃げ隠れしないよう期待することができないからです。
では、犯人が自ら実行したのではなく、他人に頼んで(教唆して)自分を隠避させた場合は犯人隠避の教唆犯は成立しないのでしょうか?上記のように、自ら実行した場合は処罰されないのに、他人を介して実行すると処罰されるのかが問題となります。
この点、学説には、犯人隠避の教唆犯は成立しないという消極説と成立するという積極説がありますが、判例(最高裁判所昭和40年2月26日など)は教唆犯の成立を認めています。その理由は、「犯人自身が逃げ隠れする行為が不可罰なのは、これを罰することが刑事訴訟における被告人の防御の地位と相容れないからであるのに対して、他人を教唆してまでその目的を遂げようとするのは、もはや法の放任する防御の範囲を逸脱する」からと述べています。
身代わり出頭はバレる!実際の逮捕事例を紹介
ここでは、過去に身代わり出頭が警察にバレて逮捕された事例を3つ紹介します。
親族に身代わり出頭させて逮捕
2022年9月26日、無免許運転で交通事故を起こした内縁の夫の代わりに、親族の女性を警察に出頭させたとして、大阪府の女性が犯人隠避教唆の疑いで逮捕されています。
内縁の夫は、同年8月7日、無免許運転中に交通事故を起こし、そのまま現場から逃走。その後、自動車運転処罰法違反(無免許過失致傷)の容疑で逮捕されました。内縁の夫は、「車は運転していない、後部座席に乗っていた。」などと話しているようです。車には逮捕された女性も同乗していました。
警察によると、警察に出頭した親族の女性から事故の状況などについて話を聴いたものの、つじつまが合わず、不審に思った警察官が問い詰めたところ、身代わり出頭したことを認めたことから本件が発覚しています。
親族に身代わり出頭させる 内縁の夫が無免許運転、女を逮捕 - 産経ニュース
ひき逃げ運転手の身代わりで逮捕
2022年12月26日、交通事故を起こし現場から逃走した男性の代わりに、警察官に対し、「事故を起こしたのは私です」と嘘の申告をした男性が犯人隠避の疑いで逮捕されました。
運転手の男性はトラックを運転中、車線変更の際、後方から来たバイクと接触。バイクの運転手に重傷の怪我を負わせたものの、その場から逃走しています。
事故後、身代わりの男性が事故現場に現れ、上記の申告をしたことで身代わりが判明しました。
追突、ひき逃げ事故の身代わりで逮捕
2018年4月9日、追突事故を起こし現場から逃走した友人の身代わりとなった男性が犯人隠避の疑いで逮捕された事例です。
事故を起こした友人は、被害者が電話をしている隙に現場から逃走。約1時間後に身代わりの男性が現れ、現場にいた警察官に「(事故の)当事者です」と虚偽の申告をしています。
その後、友人と身代わりの男性がそろって警察署に出頭。身代わりの男性の話を不審に思って捜査していた警察官が追及したところ、犯人隠避の容疑を認めました。
家族が身代わり出頭しても罪に問われる?
親族が「罰金以上の刑にあたる罪を犯した者」又は「拘禁中に逃走した者」のために、犯人隠避罪を犯した場合は、刑法第105条の規定により、刑を免除されることがあります。
罪を犯した本人と同様、その親族が本人を隠避することは人の至情に基づくものであって、本人を隠避しないことを期待することができないからです。
ここでの親族とは、
- 配偶者
- 6親等内の血族(親、兄弟姉妹、子、孫、叔父叔母など)
- 3親等内の姻族(義父母、配偶者の兄弟姉妹など)
のことをいいます。
必ず刑を免除されるわけではなく、最終的には裁判官の判断で免除か否かが決まります。なお、親族が犯人を蔵匿、隠避した事件では、裁判で免除の判決が下される可能性があるため、そうした事態が予測される場合は、検察官が事件を裁判にかけないとの判断にする(不起訴処分とする)可能性が高いです。
身代わり出頭でお困りの方は弁護士にご相談ください
身代わり出頭をした側は犯人隠避罪に、頼んだ側は犯人隠避罪の教唆犯に問われます。いずれも3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科される可能性があり、親族による身代わりであっても、必ず刑が免除されるわけではありません。
弁護士に早い段階で相談することで、取調べへの適切な対応や、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を進めることができます。対応が遅れると逮捕や勾留のリスクが高まるため、できるだけ早く専門家の助言を受けることが重要です。
「警察から連絡が来ている」「既に取調べを受けている」「家族が逮捕されてしまった」など、身代わり出頭に関する問題を抱えている方は、おひとりで悩まずご相談ください。当事務所では、犯人隠避罪をはじめとする刑事事件の逮捕回避や不起訴獲得に豊富な実績があります。全国どこからでも無料相談をご利用いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

