- 「不正アクセスをしてしまったらどんな罪で逮捕されるのだろう…」
- 「不正アクセスで逮捕されたらその後どうなってしまうのだろう…」
- 「不正アクセスで逮捕されたらどう対応すればいいのだろう…」
このようにお考えではないでしょうか。
結論から言いますと、不正アクセス行為をすると不正アクセス禁止法違反で逮捕される可能性があります。もし逮捕されてしまうと、起訴または不起訴が決まるまで最大で23日間身柄拘束されます。仮に起訴された場合には刑事裁判にかけられ、有罪判決となれば前科がついてしまいます。そのため、もし罪を犯したのであれば、弁護士を介して被害者と示談を成立させることが重要です。示談が成立すれば、早期釈放や不起訴処分となることも十分期待できます。
この記事では、不正アクセス事件を得意とする弁護士が、
- 不正アクセス禁止法違反で逮捕される場合の罪
- 不正アクセス禁止法で逮捕された後の流れ
- 不正アクセス禁止法違反で逮捕された場合の対処法
などについてわかりやすく解説していきます。
なお、この記事を最後まで読んでも悩みや問題が解消されない場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
不正アクセス禁止法違反で逮捕される場合の罪と罰則
不正アクセスとは、他人のスマホにインストールされているSNSに他人のID・パスワードを入力して他人のSNSを使える状況にしたり、ネット回線を通じてインターネットバンキング等の他人のID・パスワードの入力が必要なサービスに入り、他人のID・パスワードを入力して当該サービスを使える状況にする行為のことをいいます。
不正アクセスについては「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(以下、「不正アクセス禁止法」)」という法律で定義されており、あわせて以下の5つの行為を禁止・処罰する旨の規定が設けられています。
不正アクセス禁止法には様々な罪が規定されています。ここでは、検挙されやすい代表的な罪について解説します。
不正アクセス行為罪
不正アクセス行為罪は、不正アクセス行為をした場合に成立する犯罪です。
「不正アクセス行為」とは、
- 他人の識別符号(ID・パスワード、生体認証情報)を無断で入力する行為
- 識別符号以外の情報をまたは指令を入力する行為のような、いわゆる「なりすまし」行為
- 認証情報が不明の場合でも、ウェブサイトの脆弱性を狙ってセキュリティホールを攻撃し、ログイン認証を回避しながらコンピュータ内に侵入する行為
も含まれます。
罰則は「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
不正取得罪
不正取得罪は、不正アクセス行為をするために、他人のID・パスワード等を取得したときに成立する犯罪です。
具体的には、
- 他人のID・パスワード等が書かれた書面を受け取った
- 他人のID・パスワード等が記録されたUSBメモリ等を受け取った
- 自分が使用するスマートフォンやパソコンの画面に、他人のID・パスワード等を表示させた
- 他人のID・パスワード等を暗記した
などが取得行為に該当します。
罰則は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
不正アクセス助長罪
不正アクセス助長罪は、業務その他正当な理由がある場合を除き、他人のID・パスワード等を第三者に提供した場合に提供した場合に成立する罪です。
他人のID・パスワード等を第三者に提供すること自体危険な行為ですので、第三者が不正アクセス行為をすることを知って他人のID・パスワード等を提供した場合のほか、知らないで提供した場合でも不正アクセス助長罪が成立します。
第三者が不正アクセス行為をすることを知って他人のID・パスワード等を提供した場合は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、知らないで提供した場合は「30万円以下の罰金」の罰則を科されます。
不正保管罪
不正保管罪は、不正アクセス行為をする目的で、他人のID・パスワード等を保管したときに成立する犯罪です。
具体的には、
- 他人のID・パスワード等を書いた紙をもっていた
- 他人のID・パスワード等が記録されたUSBメモリをもっていた
場合などが保管行為にあたります。
罰則は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
不正入力要求罪
不正入力要求罪は、アクセス管理者になりすまして次のいずれかの行為を行うことにより成立する犯罪です。
- ID・パスワード等の入力を求める情報を送信して公衆が閲覧できる状態に置くこと
- サイト利用者に対し、ID・パスワード等の入力を求める情報を送信すること
罰則は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
不正アクセスで逮捕されるとどうなる?
検察官への送致と勾留請求
不正アクセス禁止法違反で警察に逮捕された場合には、「48時間」以内に検察官に送致されます。
検察官送致がされた後、被疑者は弁解の機会が与えられ、これ以上の留置の必要があるか否かが判断されます。
検察官は被疑者の身柄を受け取ってから「24時間」以内、かつ身体拘束時から「72時間」以内に「勾留」請求するか否かを決定します。制限時間を過ぎた場合や、勾留の必要がないと検察官が判断した場合には身体拘束を解かれ在宅で捜査が進められることになります。
「勾留」とは、逮捕に引き続き、被疑者のさらなる身体拘束を継続する強制処分です。この「勾留」は検察官の請求に基づき、裁判官が勾留状を発して行います。
裁判官により勾留が決定された場合には、原則として「10日間」の身体拘束が継続することになります。さらに捜査のため必要がある場合には「10日間」を上限として勾留が延長される可能性も高いです。
したがって勾留延長された場合には、警察官に逮捕された時点から「最大23日間」の身体拘束を受けることになり、自由に外部と連絡をとることもできなくなってしまいます。
検察官による公訴提起(起訴)
被疑者を身体拘束している期間に検察官は不正アクセスについて捜査を実施して、被疑者に対して刑事罰が必要であるかを判断することになります。
検察官が刑罰をもって被疑者を処罰することが適切だと判断した場合には、裁判所に対して裁判請求・刑罰権の発動を求めて公訴提起(起訴)することになります。
検察官により起訴された場合、「被疑者」は「被告人」へと身分が変わります。
また公訴提起まで勾留されていた被疑者は、原則として被告人として勾留が継続することになります。
なお、不正アクセス禁止法違反で起訴された後、裁判が終了するまでは数か月間、身体拘束を受けることになります。
しかし裁判所に保釈を請求することで身体拘束から解放される場合があります。保釈とは、起訴後に勾留されている被告人に、保釈保証金の納付を条件として被告人を一時的に釈放する制度です。
保釈されるには、被告人の逃亡・罪証隠滅のおそれがないことを裁判所に理解してもらう必要があります。保釈保証金は約束を守り裁判が終結した場合には取り戻すことができます。
刑事裁判手続き
起訴により被告人が刑事裁判手続にかけられると、犯罪行為成立の有無、量刑について裁判所が判断することになります。
公訴提起されてから1〜2カ月以内に第1回公判期日が指定されます。
被告人が不正アクセス行為について自白している場合には、第1回期日で結審となり通常2〜3週間後に判決言い渡し日が指定されます。これに対して被告人が事実を争い、証人尋問などの必要がある場合には隔月ペースで裁判手続きが進行していくことになります。
証拠の取り調べや被告人質問などがすべて終わると、検察官は論告・求刑により意見を述べ、被告人も弁論・最終陳述を行います。そのうえで裁判所は弁論を終結して判決を宣告することになります。
有罪判決の場合は、実刑判決のほか刑の執行を猶予する執行猶予付きの判決が言い渡される場合もあります。
不正アクセス禁止法違反で逮捕された場合の対処法
ここからは、万が一不正アクセス禁止法違反で逮捕された場合の対処法について、身に覚えがない場合と心当たりがある場合にわけて解説します。
なお、身に覚えがない場合も心当たりがある場合も、逮捕されたらすぐに警察官に対し弁護士との接見を要請しましょう。接見では、不安なこと、疑問に思うことを何でも弁護士に聞くことができ、弁護士からアドバイスを受けることができます。逮捕直後は精神的に不安定な状況で、誰かに話を聞いてもらうこと、助言をしてもらうことがとても大切です。しかし、逮捕直後に接見できるのは弁護士のみです。家族などの身近な方とは接見することはできません。弁護士との接見に時間制限はなく、立会人もつきません。不安なこと、疑問に思うことがあれば何でも質問し、できる限り疑問を解消しておくことが大切です。
身に覚えがない場合
身に覚えがない場合は、弁護士と接見するまで不必要なことを話さないことが重要です。捜査官の質問に真面目に受け答えしていると揚げ足をとられ、追及の隙を与えてしまいます。逮捕された被疑者には供述拒否権、黙秘権、署名・押印拒否権という権利が認められていますので、ためらわずに行使することが大切です。今後どのように対応するかは独断で判断せず、弁護士と接見し、弁護士に刑事弁護を依頼の上、弁護士のアドバイスのもと決めていくのがよいでしょう。
心当たりがある場合
心当たりがある場合は自分のやったことを包み隠さず話すことが早期釈放などの結果につながりやすくなります。早期釈放を望んでいる場合は接見後、弁護士に刑事弁護を依頼し、早期釈放に向けて動いてもらいましょう。弁護士が早期釈放に向けて様々な書類を作ったり、集めたりして裁判所に提出し、早期釈放を求めていきます。
また、被害者への謝罪と示談交渉も進めていく必要があります。弁護士の指導のもと謝罪文を書き、被害者が謝罪を受け入れてくれる段階で示談交渉を申し入れます。示談交渉の結果、示談を成立させることができれば釈放、不起訴処分などの有利な結果につなげることができます。
まとめ
不正アクセスには様々な刑事罰が設けられています。不正アクセスで警察は動かない?動く前にすべきことを解説に書かれていますが、不正アクセス禁止法違反で逮捕される可能性は十分あります。心当たりのある方ははやめに弁護士にご相談ください。
また、ご家族が不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕された場合も、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士に依頼することで、厳しい処分を回避できる可能性が高まります。
当事務所では、不正アクセスの被害者との示談交渉、早期釈放、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、不正アクセス禁止法違反の逮捕でお困りの方は、当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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