
「不正アクセスをしてしまったけれど、自分は逮捕されるのだろうか」「家族が突然、警察に連れて行かれた」と、不安な気持ちで調べている方もいるのではないでしょうか。
他人のID・パスワードを入力して無断ログインする不正アクセスは犯罪であり、発覚すれば逮捕されることがあります。もっとも、逃亡や証拠隠滅のおそれがなければ、逮捕されずに捜査が進むこともあります。
なお、刑の重さは行為によって異なります。不正アクセス禁止法の5つの罪のうち、不正ログインそのものの刑が最も重く、3年以下の拘禁刑(刑事施設に収容する刑)、または100万円以下の罰金が定められています。
この記事では、不正アクセス事件に強い弁護士が、次の点について解説します。
- どのようなときに逮捕されるのか
- 処罰される5つの行為とそれぞれの罰則
- 罪に当たる行為・当たらない行為の具体例
- 逮捕された後の流れと身柄拘束の期間
お読みいただくことで、自分のしたことが罪に当たるのか、この先どのような手続きが待っているのかを見通せるようになります。
なお、この件についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
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不正アクセスをすると逮捕される?不正アクセス禁止法とは
不正アクセスをした人は、不正アクセス禁止法違反の容疑で警察に逮捕されることがあります。ただし、どの事件でも逮捕されるとは限らず、逃げたり証拠を隠したりするおそれがないとみられれば、自宅で生活しながら呼び出しを受けて取調べに応じる「在宅事件」として捜査が進むこともあります。逮捕される前にできる対応については、「不正アクセスで警察は動かない?動く前にすべきことを解説」をご参照ください。
不正アクセス禁止法が禁じているのは、他人のID・パスワードを勝手に使ってログインする行為などで、違反した人は処罰されます。正式名称は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律といいます。不正ログインそのものだけでなく、不正ログインのための準備や手助けにあたる行為も処罰の対象になっています。条文はe-Gov法令検索で確認できます。
実際に、美容院に勤める40代の男性が、客だった女性のSNSに2026年2月から3月にかけて20回ログインしたとして、逮捕された例があります(名古屋テレビ 2026年10月20日報道)。不正ログインをめぐる過去の裁判例は「不正アクセス禁止法の有名判例を弁護士が解説」で紹介しています。
不正ログインが発覚するきっかけには、被害者が「アカウントを乗っ取られた」と気づき、警察に相談して被害届を出すケースがあります。警察は、サービス側に残るアクセスログなどをもとに捜査を進めます。
警察庁の統計によると、令和7年に不正アクセス禁止法違反で検挙(警察が容疑者を突き止めて事件として処理すること)されたのは431件・248人でした(警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」)。
不正アクセス禁止法で処罰される5つの行為と罰則
不正アクセス禁止法では、ID・パスワードや指紋・顔などの生体情報のように、サービスの管理者が利用者を見分けるために使う情報を「識別符号」と呼びます。この識別符号の悪用を中心に、法律が禁止し刑罰を定めている行為は次の5つで、いずれの罪でも逮捕の対象になりえます。
- 不正アクセス行為罪
- 不正取得罪
- 不正アクセス助長罪
- 不正保管罪
- 不正入力要求罪
このほか、不正ログインに続けて他人の口座から勝手にネットバンキングで送金すれば電子計算機使用詐欺罪、業務に使われるデータを壊すなどして業務を妨げれば電子計算機損壊等業務妨害罪といった刑法の罪にも問われる場合があります。
不正アクセス禁止法の5つの罪の公訴時効(処罰を求められる期間)については、「不正アクセスの時効は何年?時効の完成を待たずにすべきことを解説」をご覧ください。
不正アクセス行為罪
不正アクセス行為罪は、不正アクセス行為をしたときに成立する犯罪で、罰則は、3年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金です(不正アクセス禁止法3条・11条)。
ここでいう不正アクセス行為とは、インターネットなどの通信回線を通じて次のいずれかの操作をし、本来はログインしないと使えない機能を使える状態にすることをいいます。
- 他人のID・パスワードなどを無断で入力してログインする(いわゆるなりすまし)
- ID・パスワード以外の情報や指令を送り込み、システムの弱点を突いてログイン認証などの制限をすり抜ける(いわゆるハッキング)
不正取得罪
他人になりすまして不正アクセスをする目的で、その人のID・パスワードなどを手に入れると、不正取得罪(同法4条)が成立し、逮捕に至る場合もあります。たとえば、次のような行為が取得にあたります。
- 他人のID・パスワードなどが書かれた紙を受け取る
- 他人のID・パスワードなどが記録されたUSBメモリなどを受け取る
- 自分のスマートフォンやパソコンの画面に、他人のID・パスワードなどを表示させる
- 他人のID・パスワードなどを、再現できる状態で覚える
罰則は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。
不正アクセス助長罪
不正アクセス助長罪は、業務その他正当な理由がないのに、他人のID・パスワードなどを、サービスの管理者や本人以外の人に教えたり渡したりしたときに成立します(同法5条)。
提供した相手が不正ログインに使うつもりだと知っていた場合は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。相手の目的を知らずに渡した場合でも罪は成立し、「30万円以下の罰金」の対象になります。
不正保管罪
不正に取得された他人のID・パスワードなどを、不正アクセスに使う目的で保管すると、不正保管罪が成立します(同法6条)。他人のID・パスワードなどを書いたメモや、それらを記録したUSBメモリを手元に置いておく場合などが保管にあたり、まだログインしていなくても逮捕の可能性があります。
罰則は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。
不正入力要求罪
不正入力要求罪は、サービスの管理者になりすますなどして、利用者にID・パスワードなどの入力を求める次のどちらかの行為をしたときに成立します(同法7条)。いわゆるフィッシングがこれにあたり、自分で不正アクセスをしていなくても処罰や逮捕の対象です。
- 入力を求める偽のログイン画面などをインターネット上に置き、誰でも見られる状態にする
- 入力を求める電子メールを、そのサービスの利用者に送る
管理者の承諾を得ている場合は除かれます。罰則は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。
不正アクセスに当たる行為・当たらない行為の具体例
他人のIDなどで不正ログインし、サービスを使える状態になった時点で、不正アクセス行為は成立します。中をのぞいただけで、何も書き換えたり持ち出したりしていなくても罪は成立し、逮捕されるおそれもあります。
不正アクセスに当たりうる行為には、たとえば次のようなものがあります。
- 元交際相手や知人のSNS・LINE・メールに、本人に無断でログインする
- 誕生日などから推測したパスワードを試し、他人のアカウントにログインする
- のぞき見たり聞き出したりしたパスワードで、他人のアカウントにログインする
- 同僚に無断でそのID・パスワードを使い、自分には使用が認められていない社内システムにログインする
一方で、他人のIDを使ってログインしても、IDの持ち主本人やサービスの管理者の承諾を得ていれば不正アクセス行為には当たりません。自分のアカウントにログインする行為も対象外です。
また、不正アクセス行為は通信回線を通じた操作が前提のため、手元にある他人のスマホの中身を見るだけの行為は、それだけでは当たらない場合があります。
家族や恋人どうしでも、本人に無断でそのアカウントにログインすれば、不正アクセスに当たりうることに変わりはありません。スマホをのぞく行為との違いは「人のスマホを勝手に見ると不正アクセス禁止法違反の罪になる?」で詳しく解説しています。
不正アクセスで逮捕された後の流れ
逮捕されると、警察・検察官・裁判官がそれぞれ、法律で決められた時間の制限のなかで手続きを進めます。
検察官への送致と勾留請求
警察は、逮捕から48時間以内に、事件を検察官に送ります(送致、いわゆる送検)。検察官は、受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、身柄の拘束を続ける「勾留」を裁判官に請求するかどうかを決めます。拘束を続ける必要がないと判断されれば、その時点で釈放されます。
勾留が認められると原則10日間、やむを得ない事由があればさらに最大10日間延長され、逮捕から最長23日間、身柄を拘束されるおそれがあります。その間は、会社や学校に通うことができません。
逮捕直後は、家族であっても原則として面会できません。この段階で本人と面会(接見)できるのは弁護士だけで、立会人なしで話をし、取調べへの心構えなどを伝えられます。家族の面会は、勾留が決まってから認められるのが原則です。
検察官による起訴・不起訴の判断
検察官は、事件を裁判にかける(起訴)か、かけない(不起訴)かを判断します。勾留されている場合は、勾留の期限までに判断されます。逮捕されずに在宅で捜査が進む場合には、このような期限はありません。
不起訴になれば前科(有罪判決を受けた経歴)はつきません。一方、起訴されて有罪になると、罰金刑であっても前科が残ります。
不正アクセスの被害を受けた人との示談(話し合いによる解決)が成立していると、不起訴の可能性が高まります。
刑事裁判手続き
不正アクセスの事件で正式に起訴されると刑事裁判手続きに移り、公開の法廷で罪が成立するかどうかと、成立する場合の刑の重さが判断されます。勾留されたまま起訴された場合は、原則としてその後も身柄の拘束が続きます。
有罪の場合は、刑の執行が一定期間猶予される執行猶予つきの判決となることもあれば、実際に刑事施設に収容される実刑判決となることもあります。初犯であっても起訴されることはあり、事案によっては実刑もありえます。
不正アクセス禁止法違反で逮捕されてお困りの方へ
不正アクセスは、他人のIDなどで無断ログインした時点で成立する犯罪です。逮捕されれば、起訴・不起訴が決まるまで最長23日間にわたって身柄を拘束されるおそれがあり、起訴されて有罪になれば前科がつきます。
逮捕された直後から本人に会えるのは、弁護士に限られます。早い段階で弁護士が付けば、被害者との示談交渉や、早期の釈放を求める働きかけにすぐ取りかかれます。
警察から連絡を受けたご本人も、ご家族が突然逮捕された方も、この先どうなるのか分からず、大きな不安を抱えていらっしゃることと思います。
当事務所では、不正アクセスの被害者との示談交渉、早期釈放、不起訴の獲得を得意としており実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に力を入れて取り組む法律事務所の代表弁護士。逮捕・勾留されたご本人との接見、被害者の方との示談交渉、早期の身柄解放や不起訴を目指した弁護活動などに取り組む。痴漢・盗撮・暴行・傷害・窃盗・薬物事件・性犯罪など幅広いご相談に対応し、ご本人とご家族のお話を丁寧に伺ったうえで、状況に応じた対応を一緒に考えている。











