美人局(つつもたせ)とは、男女が示し合わせて、女がターゲットとなる男性を誘惑し、仲間の男と共に金銭を脅し取ったり騙し取ったりする犯罪行為です。
女と性行為をしている最中や行為後に夫を名乗る男が登場して、妻と性的関係を持ったと因縁をつけて金銭を脅し取るのが典型的な手口です。ただし、女と男が実際は夫婦ではなく、夫婦を装っているケースも多いです。また、スマホが普及した現代においては、出会い系サイトやマッチングアプリなどネットを介した出会いから美人局の被害に発展するケースが頻発しています。
この記事では、多数の美人局被害を解決してきた弁護士が、
- 美人局とは
- 美人局の手口
- 美人局の特徴と被害に遭わないための対策
- 美人局の被害にあった場合の対処法
などについて徹底解説していきます。
なお、美人局被害に遭われた方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までお気軽にご相談ください。
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美人局被害の最近の傾向
美人局の被害に遭いやすい場として、以前はツーショットダイヤルやテレクラが主流でしたが、スマホの普及により、現在ではtwitterやインスタなどのSNS、掲示板、パパ活アプリ・サイトのほか、特に、出会い系サイトやマッチングアプリでの被害が多発しています。
また、デリヘルやメンズエステで女性から男性客に本番行為を誘っておきながら、行為後に「強姦された」と騒ぎ立て、グルになっている店の男性スタッフから慰謝料や示談金の請求を受けるパターンの美人局もあります。
最近では、新宿歌舞伎町の大久保公園付近にいる立ちんぼと性交渉をしたところ、仲間の男から「その子は未成年だ!」と恫喝されたり、女性の誘いで性行為の撮影をしたところ、「盗撮された」と騒がれて示談金や迷惑料を要求される美人局被害も発生しています。
美人局の手口
出会い系・マッチングアプリを利用した手口
当事務所への美人局の被害相談で最も多いのが、出会い系やマッチングアプリを利用した美人局の手口です。
出会い系サイトやマッチングアプリは、一般的には異性との出会いを求めて利用するものです。出会い系サイトについては、性行為の相手となってくれる女性を探すことを目的として登録している男性が多いでしょう。また、マッチングアプリについては、真剣交際や結婚の相手を見つけるというテーマで運営されているものの、実際は、性行為の相手を探す目的で登録している男性も少なくありません。
そのため、美人局を目論む者達からすれば、出会い系サイトやマッチングアプリはターゲット探しに最も適した場といえます。加害者は、それらターゲットの中から、お金を脅し取れそうな相手(会社員・公務員・既婚者など)を選び、手っ取り早く行動に移すことができるのです。
人妻(または彼女)と関係をもったと脅す手口
女性との性行為の後に、「俺の妻(または彼女)と関係を持ったな」と慰謝料や和解金などの名目で金銭を要求してくる、古典的で最もポピュラーな美人局の手口です。
金銭の支払いを渋ると、「ホテルの出入りは撮影した。払わないならお前の妻や勤務先にバラす」と脅迫してきたり、暴力団や半グレと関係があると仄めかすこともあります。
また、待ち合わせ場所やホテル等に向かう途中で複数の若者にに取り囲まれ、性行為に及んでもいないのに、暴行や脅迫で金銭を要求する手口も最近は多発しています。
18歳未満であることを利用する手口
18歳未満(未成年)の女子と性的関係を持つと、男性は児童買春禁止法違反、児童福祉法違反、淫行条例(青少年健全育成条例)違反で逮捕されることがあります。
逮捕されればマスコミに実名報道され、家庭崩壊や会社に懲戒解雇されるリスクもあります。
その弱みに付け込んで、女子の親族や関係者を名乗る男が「援助交際で警察に通報する」などと脅迫し、高額な口止め料を要求してくる手口です。
また、性行為前には18歳以上と言っていたのに性行為の後で18歳未満であることを告げてきたり、本当は18歳以上なのに18歳未満を装うこともあります。
飲み屋で男性を誘う手口
飲み屋で男性に話しかけ(あるいは、話しかけられるのを待ち)、さも意気投合したかのように振舞い、ホテルで関係を持った後に仲間の男が因縁をつけて金銭を脅し取る手口です。
一般的な美人局の手口である「俺の女に手を出しやがって!」のほか、酩酊している女性を無理やりホテルに連れ込んでレイプしたと主張して金銭要求してくるパターンもあります。
その他にも、飲み屋で知り合った男性を、仲間が経営するぼったくりバーに誘導し、高額な料金を請求する手口も存在します。
妊娠したことにする手口
妊娠詐欺で騙せなかった場合に恐喝に切り替える美人局の手口もあります。
まず、女性が妊娠をでっち上げ、男性に中絶費用や慰謝料を請求します。男性が支払を拒否すると、女性の仲間の男が出現し、「払わないなら裁判を起こす」「お前の妻や勤務先にばらす」などと恐喝してきます。
美人局の特徴とそれに応じた対策方法
女性を目の前にして脳内の落ち着きを失った男性であれば、相手の不自然な行動を見逃してしまうこともあるでしょう。
しかし、これから紹介する9つの美人局の特徴を頭に入れておき、その特徴が2つ3つと重なっていけばさすがに鈍い男性でも気付くはずです。
全て読んで頭の片隅にでもいいので留めておくと良いでしょう。また、それぞれの特徴に応じた対策法についても解説しています。
①会うまでがやたらとスムーズ
美人局は、時間をかけずに手っ取り早くターゲットの男性を捕獲するために、女性から会うことを急かしてくる特徴があります。
一般的に女性は受け身な方が多いのと、たくさんの男性からメッセージが送られてくるため、どの男性が良いか(安全面も含め)時間をかけて見極めることが多いと言われています。
そのため、連絡を取り始めて実際に会うまでが2~3通など驚くほどスムーズな場合や、いきなり「あなたのプロフィールを見て興味を持ちました!今から会えませんか?」などと女性から会いたいと誘ってくるメッセージには注意が必要です。
対策としては、会うまでのメールやLINE等での遣り取りに時間をかけるようにしましょう。余計な時間をかけずに早く金銭を脅し取りたい。こういった心理を逆手にとるのです。
美人局であれば痺れを切らして、「すぐ会わないなら別の人と会う」「今日以外には予定があけれない」等、会う事をせかしてくるはずです。このように女性とは会わないことが賢明です。
②女性の方から性交渉に積極的
女性は男性とは違い、妊娠や性病、盗撮されるなどのリスクを抱えているため、会ってもいない男性と性的関係を結ぼうと考えることは極めて稀です。
にもかかわらず、「会って気が合えば流れでエッチもOKだよ」「最近旦那とはご無沙汰だからムラムラしている」など、メールや電話、SNSなどでのやり取りの段階で女性から性的関係を誘ってくるのも美人局の特徴です。
対策としては、ホテル以外でのデートを提案してください。
美人局であれば、食事やデートなどの時間を要する事は出来るだけ省きたいのが本音です。
会う前の段階で、「とりあえず初日だから食事や映画でも行こうよ」と提案し、それを女性が頑なに拒んでホテル等に行きたがるようであれば美人局の可能性が大でしょう。
③写真での外見がやたらと良い
美人局では、出会い系やマッチングアプリのプロフィール写真や、会う前に送ってくる写真が、やたらと外見が良い傾向があります。
最近では、スマホの写真加工アプリもあるために一概には言えませんが、ネットで拾ってきた外見の良い赤の他人の写真を無断使用しているケースも少なくありません。
そうすることで男性が群がるため、手っ取り早く美人局のターゲットを捕まえるには好都合だからです。
対策としては、こちら側が指定したポーズでの写真を送るよう言ってみることです。
例えば、「疑って悪いんだけど、本当にこんな可愛い子が当日に来てくれるのか心配だし、確認のために俺の指定したポーズ(右手の中指を鼻の頭に置くなど)で写真1枚送ってもらえる?」と聞いてみて下さい。
何らかの言い訳をして、写真を送ってこない場合はネットで拾ってきた画像を使用しているからでしょう。
そもそも、美人やスタイルの良い女性は、出会い系などを利用しなくとも自然と男性が寄り付いてきます。写真の外見が良すぎる場合は美人局を疑うべきでしょう。
④女性の方からお金を払うと持ちかけてくる
女性側から「お金をお支払いするのでデートやセックスをしませんか?」と、現実離れした美味しい話を持ちかけてくるのも出会い系の美人局の特徴の一つです。
一般的には女性はお金を貰う方です。また、「エッチができる女性なら誰でもいい」といった男性も少なからずいますので、たとえ容姿が悪い女性でもお金を払ってまで男性を求める必要性は極めて低いと言えます。
待ち合わせ場所に行くと実際にはお金は支払われず、また写真は本人と違う。そしてさらに美人局の被害に遭ってしまう可能性が極めて高いでしょう。
対策としては無視するにかぎります。
⑤彼氏や夫が暴力的であると話してくる
会う前に、交際している彼氏や配偶者である夫が暴力的で怖い男性であることを印象付けさせるのも美人局ではよくある特徴です。
「DV被害を受けている」「キレると何をするかわからない」「昔は暴走族に所属していた。やんちゃしていた」など、会話の中でさりげなくパートナーの粗暴さを伝えておきます。
これは、美人局の実行段階で”そのパートナー”が登場してきたときに恐怖心を増幅させるためのスパイス的な役割を果たす目的があります。
普通は、こういった男性パートナーがいる女性との関係は遠慮したくなるものですが、暴力的なパートナーにDV被害や精神的虐待を受けている”可哀想な女性”を演出することで男性の庇護欲をくすぐり、実際に会うところまで漕ぎ着けます。
対策としては、彼氏や旦那が暴力的と聞いた時点で会わないことです。
仮に本当に女性が被害を受けていたとしても、そういった女性はメンヘラ体質のケースも多く、一度でも身体の関係を持つとあなたに対する依存度が強くなります。後々本当に彼女のパートナーに知れて大問題にもなりかねません。
⑥人目につきにくい場所を待ち合わせに指定してくる
人目につきにくい人通りの少ない場所を待ち合わせにしてくるのもよくある特徴です。
女性に夫や彼氏がいる場合は人目を避けたい気持ちは理解はできますが、共犯者の男が恐喝しやすい場所を指定している可能性もあります。
対策としては、早目に待ち合わせ場所に行って現場の状況を確認するのも一つの方法です。
美人局は、グルになっている仲間と事前打ち合わせのために待ち合わせ場所に訪れてくることもあります。
女性の顔写真をもらっているなら、その女性が他の男性と一緒にいないか、怪しい車から降りてきたりしていないかを見張るのもいいでしょう。
しかし、できることならば、待ち合わせ場所は相手の都合の良い場所を考慮しつつも人通りの多い場所を自分から指定するようにしましょう。女性が人目を気にするようであれば、距離を開けて歩けはよいだけです。
心寂しい場所をしつこく待ち合わせ場所に誘うようなら警戒して会わない方が得策です。
⑦入るホテルや、ホテルまでのルートを女性から誘導してくる
入るホテルや、ホテルに行くまでのルートについて女性が主導権を握ろうとするのも美人局の特徴の一つです。
美人局の仲間が待機している場所にターゲットを仕向ける意図であることも少なくありません。
対策としては、利用するホテルも道順も全て自分が下調べしておき、リードするようにして下さい。女性自身がホテルやルートを決めようと食い下がるようなら美人局の可能性が高いでしょう。
また、相手の手口を逆利用するのも一つの方法です。わざと女性が指定したホテルに行くことを承諾しておいて、ホテルに向かう途中で急遽違うホテルをこちらから指定してみます。
急な予定変更が入ると仲間の男との連携がとれなくなるため、美人局であれば女性に動揺した様子が伺えるはずです。
⑧面識もないのに自宅に誘ってくる又は自宅に来たがる
女性は防犯意識が高く、初対面の男性はおろか、よほど親しくない限り通常自宅に男性を招き入れることはありません。また逆に、よほど親しくない限り男性の家に一人で入ろうとも思いません。
しかし、美人局の場合は、女性が自分の自宅に男性を招きいれたり、逆に男性の自宅で会うことを勧めてくることもります。
これは、女性の自宅のケースでは、共犯者である夫や彼氏(と称する者)が”偶然にも帰宅すること”が不自然ではなく、不貞の慰謝料請求などの金銭要求をその場で行える状況を作り出すことができるからです。
一方、男性の自宅に来たがるケースでは、個人情報の最たるものである住所を把握することができ、後からでもじっくりと金銭の取り立てなどを行えるようになるからです。
対策としては、「お互い初めて会うし、まだお互いのこと知らないから最初はラブホ(またはビジネスホテル)にしよう」とはっきりと伝えましょう。
もし女性から、「ホテル代がもったいないし私かあなたの自宅でいいよ」などともっともらしい優しい言葉をかけられた場合でもきっぱりと断ってください。
それでも自宅へと誘導してくるようであれば美人局の可能性が高いので会うのはお断りすべきです。
⑨避妊具をつけなくてよいと言ってくる
「今日は安全日だから」「ピルを飲んでいるから」と初めて会った相手にゴムなしでの性行為を誘ってくるのも美人局の特徴です。
後日になって、中絶費用や慰謝料名目で金銭をたかられる被害が目立ちます。
ピルも避妊具も絶対に妊娠しないという保証はありません。また、性病の心配もあることから、普通の女性であれば必ず避妊具を装着するよう求めてきます。特に、初めて会う者同士なら尚更です。
対策としては、避妊具なしの性行為を誘ってきた時点で”美人局”と判断し、(男性には厳しいかもしれませんが)その場で性行為をやめるべきです。
仮に避妊具をつけて性行為を継続したとしても、「生理が来ない。ゴムから漏れ出していたのかもしれない」などと言って、妊娠詐欺や恐喝に発展する可能性が高いので、中断するのが得策です。
事前対策チェックリスト
男性とは悲しい性(さが)で、いくら美人局の特徴や対策を知識として頭の中に入れていても、いざ女性を目の前にすると、それらの知識が抜け落ちてしまいます。
そこで、せめて被害を最小限に食い止めるために、まだ頭が冷静な段階で簡単にできる対策チェックリストを紹介します。
事前対策チェックリスト |
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クレジットカードを持っていると、暗証番号を聞き出されたり、どこかに連れて行かれて現金化させられたりする恐れがありますので、持って行かないことが基本です。
現金も、「あまり手持ちがないところを見せるのも格好悪い」と考えてそれなりの金額を持ち歩きがちですが、危機管理としてはあまり勧められません。
持ち歩く現金は、”脅し取られても仕方がない”と思える金額に抑えておきましょう。
また、今や携帯電話は個人情報の宝庫です。親しい人から仕事の取引先までの連絡先、写真やメールのやり取りなど人に見られたくない情報が詰まっています。
美人局の加害者に暴力を振るわれてスマホを奪われるケースも少なくありませんので、必ず2重ロックをかけるなどの事前対策が必要でしょう。
スマホを奪われた場合に備えて、スマホのGPS機能もONにしておきましょう。
美人局の被害にあった場合の対処法
大声を出す・逃げる・警察に通報する
周囲に人が多い場所であれば、恥ずかしがらずに大声で「助けてください!警察を呼んでください!」と叫びましょう。
既に触れたように美人局は犯罪ですので、警察に通報されて逮捕されることを恐れて加害者達は逃げていきます。
また、個人情報(氏名・住所・勤務先)を知られていないのであれば隙をみて逃げ出しても構いません。
ただし、複数名の加害者グループに取り囲まれている状況では、無理に大声を出したり逃げ出そうとすることで危害を加えられる恐れがあります。
その場合はおとなしく従い、解放されたらすぐに警察に被害申告をしましょう。
穏便に解決したい場合は弁護士に相談する
「お前が性的関係を持った女は18歳未満だ」と脅される美人局の場合、それが事実であるケースも少なからずあります。
そうなると、被害者自身も児童買春禁止法違反や淫行条例違反で逮捕される恐れもあるため、警察に相談に行けないこともあります。
また、「俺の妻と不倫した責任をとれ」と男から脅される美人局の場合、実際に男女間に婚姻関係があるケースも僅かですがあります。
これらのケースでは、弁護士に依頼して、相手の女の年齢や婚姻の有無を調べてもらうことをお勧めします。
相手女性の携帯番号や携帯キャリアのメールアドレスがわかれば、弁護士照会制度で相手女性の氏名や住所を判明させることも可能です。
氏名や住所がわかれば、職務上請求で住民票や戸籍の情報を得ることが可能ですので、女性の年齢や婚姻の有無に偽りがないかを調べることができるのです。
調べた結果、「18歳未満」「既婚者」という相手方の主張が虚偽であれば、恐喝や詐欺で刑事告訴すると相手に警告し引き下がらせることも可能です。
また、事実であった場合でも、弁護士による示談交渉により穏便かつ内密に解決が図れます。
当法律事務所では、家族や会社、周囲の人に知られることなく美人局被害を解決することを得意としております。お気軽にご相談ください。
≫目的別で異なる、恐喝や脅迫の相談先と対処法。警察と弁護士はどう使い分ける?
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