
パパ活そのものを取り締まる法律はありません。建前では単に一緒に食事やデートをする対価を支払う契約に過ぎず違法性がないためです。
しかしながら、
と思われている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、刑事事件に強い弁護士がこの疑問を解消していきます。
記事を最後まで読むことで、パパ活で何をすれば犯罪や違法な行為になるのか、その場合、どのような法律が適用されて逮捕されてしまうことがあるのかがわかります。
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目次
パパ活で犯罪にならない場合は?
「パパ活」とは、女性側が食事やデートなどの「一定のサービス」を提供し、男性側が金銭や物品などをサービスの「対価」として支払うことを指す俗称です。女性側が行うこの「一定のサービス」が食事・映画・ショッピングなどのデートや、性行為を含まない程度の交際などであればなんら問題なく犯罪行為とはなりません。このような内容のパパ活であれば、当事者同士は自由な意思の合致に基づいて行われている限り、有効な契約であると考えられるからです(私的自治の原則)。
また、冒頭でもお伝えしたように、そもそもパパ活それ自体を取り締まる法律が存在しませんので、パパ活をしたというだけで刑事事件になることもありませんし、当然、処罰を受けることもありません。
既婚者のパパ活は犯罪ではないが違法
それではパパが妻のいる既婚者であった場合はどうでしょうか。
結論から言うと、既婚者がパパ活を行った場合、刑法上は違法ではありませが、民法上は違法となる可能性があります。
まず、既婚者がパパ活を行っても犯罪行為にはなりません。しかし、既婚者のパパ活は妻に対する不法行為となる可能性があります。不法行為とは故意・過失によって他人(妻)の権利・法律上保護された利益を侵害した場合に、侵害した者が生じた損害を賠償する民法上の義務のことです(民法第709条)。
パパ活で性行為がある場合には「不貞行為」で違法となりますが、性行為がない場合でも、デートを繰り返すなど親密な交際に発展した結果「夫婦の婚姻関係を破綻させた」と認められる場合には、損害賠償責任を負う可能性があります(民法第770条1項5号)。
そして、パパはもちろん、パパ活をした女性側も夫と共同して妻の権利・利益を侵害したことになるため、故意・過失がある限り、違法の評価を免れず損害賠償責任を負います。
性行為有りのパパ活は売春防止法で犯罪にならないの?
「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいいます(売春防止法第2条)。そして「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」として売春行為は禁止されています(同法第3条)。
ただし売春それ自体は違法ではあるものの処罰の対象とはなっていません。これは売春をする状況に陥っている人は保護の対象であると法律が考えているからです。そのため売春行為それ自体が処罰の対象ではなく客となる相手も処罰の対象とはなっていません。
同法で刑罰が科される対象となっているのは売春の「勧誘」「周旋」「場所の提供」など売春行為を助長する行為です。これらの処罰される行為に該当する場合には女性側であっても刑罰が科される可能性はあります。
例えばSNSやマッチングアプリなどを利用して、何人もの人が閲覧できる場所で性行為ありのパパ活の相手となる人を募集したような場合には「公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手となるように勧誘」したとして売春勧誘罪に処せられる可能性があります(同法第5条1号)。
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パパ活の相手が未成年だとどんな犯罪が成立し得る?
未成年者保護の観点から以下のような犯罪が成立する可能性があります。
なお、前提として、「未成年」とは18歳未満の者のことです。令和4年4月1日に民法が改正され、成年年齢が18歳となったためです。「児童」「青少年」については民法改正前から18歳未満の者をさしています。
児童福祉法違反
「児童」とは、満18歳に満たない者のことをいいます(児童福祉法第4条1項)。
「児童に淫行させる行為」は禁止されており(同法第34条1項6号)、これに違反した者は「10年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」が科されます(同法第60条1項)。「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交または性交類似行為のことをいいます。「させる行為」とは直接間接を問わず児童に対して淫行することを助長促進させる行為を含みます。
そのため、第三者が児童に対しパパとの性交等を強制した場合はもちろん、パパが児童と性交等をした場合にも適用される可能性があります。
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児童買春・ポルノ禁止法違反
児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)により「児童買春」は禁止されています(同法第3条の2)。
「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)等に対し、対償を提供し、またはその供与を約束してその児童に対し性交等をすることをいいます。この「性交等」には性交渉のほか性交類似行為や自己の性的好奇心を満たす目的で児童の性器・肛門・乳首を触り、または児童に自己の性器等を触らせることをいいます(同法第2条2項)。
児童買春をした者は「5年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」に処せられます(同法第4条)。
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各都道府県の青少年保護育成条例違反
各都道府県には「青少年保護育成条例(淫行条例)」が定められています。
多くの場合青少年との「みだらな性行為」や「性交類似行為」を禁じています。東京都の場合だと青少年保護育成条例に違反した者には「2年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が処せられます(東京都青少年の健全な育成に関する条例第24条の3)。
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未成年者誘拐罪
刑法第224条には、「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する」と規定されています。
「略取」とは、暴行または脅迫を手段として用いて他人の意思に反し、その生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配の下に置く行為をさします。脅迫とは畏怖心を生じさせる目的で他人に害悪を告知する一切の行為をいいます。
また「誘拐」とは、詐欺または誘惑の手段によって他人を自己の実力支配下に置き、その居所を移させることをいいます。嫌がる女性を無理やりホテルや自宅に連れて行った場合や、お金を払うといって連れ込んだような場合には未成年者略取・誘拐が成立する可能性があります。
「未成年だと知らなかった」は通用する?成人と聞いていたら?
犯罪に該当する事実について認識・認容を欠く場合には故意がないため犯罪は成立しません。しかし「相手が未成年かもしれない」と思っていたのにそれを確認しなかったような場合には、「未必の故意」が認められる可能性が高いです。
それでは女性側が積極的に「自分は18歳以上である」と年齢を偽っていた場合はどうでしょうか。そのような場合でも未成年の可能性をうかがわせる客観的な事実(見た目、言動、服装など)がある場合、「知らなかった」という男性側の主張は信用してもらえない可能性があります。
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パパ活の相手が成人であっても成立し得る犯罪
強制わいせつ罪
「13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした」場合には強制わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。「わいせつな行為」とは性的な意味を有する行為をいい、本人の性的羞恥心の対象となるような行為のことをいいます。具体的にはキスや抱きつきなど相手の身体を触ったり、自分の身体を触らせたりする行為が含まれます。
強制わいせつをした場合には「6月以上10年以下の懲役」に処せられます。
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強制性交等罪
13歳以上の者に対して、暴行または脅迫を用いて性交、肛門性交または口腔性交をしたものは強制性交等の罪として「5年以上の有期懲役」に処せられます(刑法第177条前段)。また13歳未満の者に対しては、暴行や脅迫を手段として用いなくとも性交等をするだけで同罪が成立します(同条後段)。
旧刑法では強姦罪として規定されていましたが、法改正により保護の範囲が拡大され男性を被害者として犯罪が成立するようになりました。
迷惑防止条例違反
各都道府県には迷惑防止条例が制定されており、刑法犯にならない範囲の迷惑行為でも犯罪として刑罰が科される可能性があります。
東京都の例では「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」を禁止しています(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条参照)。例えば衣服の上から身体に触れたり、公共の場所で卑猥な言動をしたりすることです。
この条例に違反した場合には「6月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」に処せられます(同8条1項2号)。
パパ活女子に犯罪が成立するケースとは?
売春防止法については女性側にも犯罪が成立する可能性について説明しましたが、パパ活において以下の犯罪が女性側に成立するケースがあります。
恐喝罪
例えば女性が男性に「パパ活を家族に言う」「(女性が未成年の場合)警察に通報する」などと脅し、「そうされたくなければ金を払え」などと要求することは、害悪を告知して男性から財産を交付させる行為ですので「恐喝罪」に問われる可能性があります。
恐喝罪は「10年以下の懲役」が科される犯罪です(刑法第249条1項)。
詐欺罪
例えば、好意があるふりをしてパパに恋愛感情を持たせて金品を貢がせたり、借金があるなどと嘘をついて返す意思がないにもかかわらずパパからお金を借りる行為は、欺罔行為により男性を錯誤に陥らせて財物を交付させる行為ですので「詐欺罪」に問われる可能性があります。
詐欺罪は「10年以下の懲役」が科される犯罪です(刑法第246条1項)。
パパ活での犯罪が警察に発覚する経緯は?
パパ活内で発生した犯罪が発覚して警察による捜査が開始される理由はどのようなものでしょうか。以下、犯罪の特徴に応じた発覚する経緯を解説していきます。
女性からの被害届・告訴状の提出
パパ活内でパパが女性側に対して性的暴行やわいせつ行為(強制わいせつ罪や強制性交等罪が成立する可能性)を行った場合、女性側が警察に対して「告訴」を提出することで犯罪行為が発覚することがあります。
告訴とは,捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯罪者の処罰を求める意思表示のことをいい,被害者のみが行うことができます(刑事訴訟法第230条)。 告訴までされずとも、女性側が犯罪事実を申告するだけの「被害届」を出すことで犯罪が発覚することもあります。
未成年者の親が警察に相談
パパ活内の犯罪が暴行・脅迫を用いないもの(児童福祉法違反や児童ポルノ禁止法違反など)の場合、パパ活当事者の間には目に見える形でトラブルがありませんので女性本人が警察に通報するという事態は考えにくいです。
しかし、そのような場合であっても未成年の女性の保護者・監護権者、学校の先生、友人・知人などが心配して警察に通報する場合があります。このような第三者からのは罪事実の申告・処罰を求める意思表示を「告発」といい、誰でも行うことができます(刑事訴訟法第239条1項)。
未成年者が補導された
未成年者が補導されることでパパ活での犯罪が発覚することがあります。パパ活をする未成年者は夜の街に出て活動していることが多いため、パトロール中の警察官がパパ活へ行く際やパパ活帰りの女性を見かけ声かけすることで犯罪事実が発覚することがあります。
警察は補導に際して注意・指導するほか、事情を聞き取りパパ側のSNSアカウントを把握するなど必要な捜査を行い犯罪があると判断した場合には事件として立件されることがあります。
未成年者と一緒にいる時に職務質問を受けた
パパとパパ活女子が一緒にいるところを警察官に職務質問されることで未成年者とのパパ活であることが発覚する場合もあります。
一見して年齢が離れた男女が夜の街やラブホテル街を歩いている場合には、私服で巡回中の警察官に未成年が巻き込まれた犯罪の可能性があると目を付けられることがあります。場合によってはホテルから出てきたところを張り込んでいた警察官に声をかけられ犯罪が露呈する可能性もあります。
サイバーパトロール
サイバーパトロールとは、インターネット上で行われるパトロールのことで、有害なサイトや掲示板、アカウントなどを捜査機関が閲覧して犯罪行為を検挙する活動のことです。
近年では援助交際やパパ活を勧誘する内容の出会い系サイト、マッチングアプリ、SNSアカウントを取り締まり、捜査官が利用者の男性または女性になりすまして接触してパパ活を募ってくる男性を検挙することがあります。 検挙された場合には捜査機関による強制的な捜査や任意の取り調べを実施した結果、過去のパパ活に関連した犯罪が余罪として発覚する可能性もあります。
パパ活で逮捕されるとどうなる?その後の流れは?
パパ活が犯罪に問われ逮捕された場合には以下のような手続きの流れを経る可能性があります。
- 逮捕:パパ活が犯罪行為に該当していた場合には、警察官により逮捕される場合があります。逮捕された場合、身体拘束から72時間以内に勾留されるか否かが決定されます。
- 勾留:勾留は検察官が請求しますが、勾留の理由と必要性については裁判官が判断して身体拘束を継続させるか否かを決定します。初回の勾留は10日間で、延長されると最大20日間の身体拘束を受けることになります。
- 起訴:検察官が起訴することで裁判所が犯罪について刑罰を科すか否かについて判断することになります。
- 裁判:裁判所により出された有罪の判決が確定した場合には、言い渡された刑が執行されます。事案に応じて執行猶予判決が出される可能性もあります。
パパ活により逮捕された場合には事件の社会的重要性を考慮して、メディアにより実名報道がされる場合があります。少年事件や軽微な事件の場合には実名報道されない可能性もあります。
また有罪判決を受けた場合には就業規則に懲戒解雇できる旨が規定されている企業も多いため会社を解雇されるリスクがあります。さらに有罪判決が確定した場合には「前科」情報は、捜査機関や市区町村で管理されることになります。
パパ活で逮捕される前に弁護士に相談・依頼すべき理由とは
犯罪に該当するか否かの確認ができる
パパ活の相手が未成年だった場合には犯罪に該当する可能性が高いです。相手が未成年者ではない場合であっても前述のようにトラブルの内容によっては犯罪に問われる可能性があります。そのためまずは弁護士に相談してご自身がどのような状況に置かれているのか判断してもらうべきでしょう。
示談交渉を任せることができる
被害者と示談が成立すれば告訴を取り下げてもらえたり、被害は回復されたとして検察官が不起訴の判断をしたりする可能性があります。弁護士に依頼すれば被害者との示談交渉の手続きも一任することができ、適切に証拠として提出してもらうことが期待できます。
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自首や出頭する方が刑が軽くなる可能性もある
逮捕・起訴が免れない場合でも自首した場合などには刑が減軽される場合があります。そのほか弁護士にサポートを受けることで執行猶予判決を得られたり刑期が短くなったりする可能性があります。
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早期釈放や不起訴処分になる可能性がある
示談交渉などの弁護活動が奏功すると身体拘束が解かれたり、不起訴処分となる可能性もあります。そのためにも身体拘束を受けたらすぐに弁護士に依頼して被疑者のために活動してもらうことが重要です。
弊所では、パパ活での逮捕の回避、不起訴処分の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守ることをモットーとしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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