準強姦(準強制性交等罪)とは?懲役何年かと強制性交等罪との違い

「"準"がつく準強姦は軽い罪なの?」「昔のことでも罪に問われるの?」と不安を感じていませんか。

準強制性交等罪(旧準強姦罪)とは、意識を失った相手や抵抗できない状態の相手に乗じて(またはそうさせて)、性交等をする罪です。2017年7月13日以降の行為の刑罰は強制性交等罪と同じ5年以上の有期懲役です。"準"がついても軽い罪ではありません。

2023年7月13日からは不同意性交等罪にまとめられましたが、それより前の行為の罪名と刑罰は、今も行為をした時点の法律で決まり、2017年7月13日以降の行為は公訴時効が15年に延びているため、今も罪に問われる可能性があります。

この記事では、性犯罪事件の弁護に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 準強姦が成立するのはどんなケースか
  • 懲役何年か、強制性交等罪との違い
  • 改正前の行為は今どう扱われるのか
  • 容疑をかけられたら逮捕されるのか、示談で不起訴になるのか

お読みいただくことで、ご自身の行為にどの罪が当てはまるのか、そして取調べを受ける前に何をしておくべきかを判断できます。

なお、準強姦の容疑をかけられている方や、ご家族が逮捕された方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期の対応が結果を左右します。地域を問わずご相談を承っています。

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準強制性交等罪(準強姦罪)とは?

準強制性交等罪とは、相手の心神喪失や抗拒不能の状態に乗じて、またはその状態にさせて、性交等をする罪です。心神喪失は正常な判断ができない状態、抗拒不能は抵抗できない状態のことをいいます。2017年7月12日までは「準強姦罪」という罪名でした。

準強制性交等罪(準強姦)は、令和5年改正前の刑法178条2項に定められていた罪です。2023年7月13日に施行された改正で同項は削除され、現在は刑法177条の不同意性交等罪にまとめられています。ただし、2023年7月12日以前の行為の罪名と刑罰は、改正前の法律で決まります。

令和5年改正前の刑法178条2項と、同項が「前条の例による」として参照していた改正前の177条は、次のとおりです。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)

第百七十八条 (省略)

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

(強制性交等)

第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

令和5年改正前の刑法(法務省「資料24」)

準強制性交等罪の構成要件(成立要件)

準強制性交等罪(準強姦)の成立要件は、①相手の心神喪失・抗拒不能という状態を手段として、②性交等をしたことです。また、行為をした人が、相手がそうした状態にあることを認識していたことも必要です。

まず準強姦の手段として、次のどちらかにあたることが必要です。

  • 相手がもともと心神喪失・抗拒不能の状態にあることを利用する(例:飲み会で酔いつぶれた相手に乗じる)
  • 相手を心神喪失・抗拒不能の状態にさせる(例:飲み物に睡眠薬を混ぜて眠らせる)

心神喪失とは、深い眠りや酒・薬の影響、精神の障害などにより、自分が何をされているのかを判断できなくなっている状態のことです。ぐっすり眠り込んでいる場合や、酔いつぶれて意識がもうろうとしている場合が典型です。

抗拒不能とは、意識はあっても、抵抗することが心理的または物理的にできないか、極めて難しい状態を指します。医師や施術者から「治療に必要だ」と偽られて信じ込まされた場合や、恐怖で体が動かなくなっている場合などがこれにあたりえます。

相手がこうした状態にあったかどうかは、どれくらい酒を飲んでいたか、会話や歩行ができていたかといった、行為の前後の様子から判断されます。どのような事情で抗拒不能が認められたのかは、「準強制性交等罪(準強姦罪)の有名判例を解説」で紹介しています。

次に、行為として、準強制性交等罪でいう「性交等」をしたことが必要です。性交等とは次の3つをいいます。

  • 性交:膣に陰茎を入れる行為
  • 肛門性交:肛門に陰茎を入れる行為
  • 口腔性交:口に陰茎を入れる行為

なお、2023年7月13日以降の行為に適用される不同意性交等罪では、膣や肛門に陰茎以外の身体の一部や物を入れるわいせつな行為も「性交等」に含まれるようになりました。

準強制性交等罪は懲役何年?

準強制性交等罪(2017年7月13日以降の準強姦)の刑罰(刑期)は、5年以上20年以下の有期懲役です。罰金刑はありません。

2017年7月12日以前の準強姦罪の刑罰は3年以上の有期懲役でした。2023年7月13日以降の行為に適用される不同意性交等罪は、5年以上の有期拘禁刑です。

懲役と禁錮は2025年6月1日から拘禁刑に一本化されましたが、それより前の行為には懲役が科されます。

執行猶予がつくには、言い渡される刑が3年以下であることが条件の一つです。準強制性交等罪は下限が5年のため、刑が減軽されなければ執行猶予はつきません。反対に、示談(被害者との話し合いによる解決)などの事情を考慮して刑が減軽されると、下限は2年6か月まで下がり、執行猶予の余地が生まれます。

実刑になるか執行猶予がつくかの分かれ目については、「不同意性交等罪(強姦)は懲役実刑確定?執行猶予はつく?」をご覧ください。

準強制性交等罪は、性交等にいたらなかった未遂も処罰されます。

また、相手にけがをさせた場合は、より重い準強制性交等致傷罪(無期または6年以上の懲役)に問われます。

関連記事:強制性交等致傷(旧強姦致傷)とは?構成要件や罰則を解説

準強制性交等罪と強制性交等罪・準強姦罪・不同意性交等罪の違い

準強制性交等罪と、よく比べられる3つの罪(強制性交等罪・準強姦罪・不同意性交等罪)との違いを順に見ていきます。

強制性交等罪との違い

強制性交等罪と準強制性交等罪(準強姦)の違いは、性交等にいたる手段にあります。強制性交等罪は暴行や脅迫で相手の抵抗を抑え込む罪で、準強制性交等罪は、相手が心神喪失・抗拒不能の状態にあるのに乗じる(またはその状態にさせる)罪です。

2023年の改正前の強制性交等罪は、13歳以上の相手に暴行・脅迫を用いて性交等をした場合や、13歳未満の相手と性交等をした場合に成立する罪でした。

ここでいう暴行とは、相手を押し倒したり殴ったりするなど、相手の体に不法な力を加えることです。脅迫とは、害を加えると告げて相手を怖がらせることをいいます。いずれも、相手の反抗を著しく困難にする程度のものが必要とされていました。

両罪の法定刑は、どちらも5年以上の有期懲役で同じです。準強制性交等罪(旧準強姦罪)の「準」は、暴行・脅迫を用いた場合に準じて同じ重さで処罰するという意味であり、軽い罪という意味ではありません。

準強姦罪との違い

準強姦罪は、準強制性交等罪の改正前の罪名です。2017年7月13日に施行された改正刑法で、準強姦罪は準強制性交等罪に、強姦罪は強制性交等罪に改められました。

この改正で変わった主な点は、次の4つです。

  • 被害者:女性に限られていたのが、性別を問わなくなった
  • 処罰される行為:膣への性交だけだったのが、肛門性交・口腔性交にも広がった
  • 法定刑:3年以上の有期懲役から、5年以上の有期懲役に引き上げられた
  • 告訴(被害者などが犯罪を申告して処罰を求めること):告訴がなければ起訴できない親告罪(しんこくざい)から、告訴がなくても起訴できる非親告罪になった

3年以上だった準強姦罪では、減軽がなくても懲役3年の判決なら執行猶予がつく余地がありました。

注意したいのは、告訴の扱いについては、2017年7月12日以前の準強姦にあたる行為にも改正後のルールが及ぶことです。改正法の附則により、改正の時点ですでに告訴ができなくなっていたものを除き、告訴がなくても起訴できるとされました。ただし、公訴時効(起訴できる期限)が完成していないことが前提です。「当時は親告罪だったから、告訴されなければ大丈夫」とは言えません。

また、親告罪だったころは、被害者が告訴を取り消せば起訴されることはありませんでしたが、現在は示談が成立しても、それだけで起訴の可能性がなくなるわけではありません。非親告罪になった経緯と示談が重要な理由は「不同意性交等罪は親告罪ではなく非親告罪|示談が重要な理由」で解説しています。

不同意性交等罪との違い

2023年7月13日施行の改正刑法により、強制性交等罪と準強制性交等罪(準強姦)は不同意性交等罪にまとめられ、「準不同意性交等罪」という罪名はありません。不同意性交等罪の成立要件は「不同意性交等罪とは?旧強制性交・強姦罪との違いや構成要件」をご覧ください。

どの罪で裁かれるかは、行為をした時期で決まります。行為の時期ごとの罪名・法定刑・公訴時効は次のとおりです。

行為の時期 罪名 法定刑 公訴時効
2017年7月12日以前 準強姦罪 3年以上の有期懲役 行為の時期によって異なるため弁護士に確認
2017年7月13日〜2023年7月12日 準強制性交等罪 5年以上の有期懲役 15年(2023年の改正で延長)
2023年7月13日以降 不同意性交等罪 5年以上の有期拘禁刑(2025年5月31日以前の行為は有期懲役) 15年

準強制性交等罪と不同意性交等罪は、法定刑の下限(5年)も上限(20年)も同じため、どちらの法律で比べても刑の重さは変わりません。

公訴時効は2023年の刑事訴訟法改正で15年に延ばされ、2017年7月13日以降の準強制性交等罪にも適用されるため、完成するのは早くても2032年7月です。被害者が当時18歳未満だった場合は、18歳になるまでの期間がさらに加わります。

2017年7月12日以前の準強姦罪の公訴時効は扱いが異なりうるため、弁護士に個別に確認してください。数え方は「不同意性交等罪(旧強制性交等罪・旧強姦罪)の時効は15年です」も参考にしてください。

容疑をかけられたら逮捕される?逮捕後の流れと示談・不起訴

準強制性交等罪(準強姦)の容疑をかけられた場合、逮捕されるのか、罪が成立するのか、示談で何が変わるのかを順に解説します。

後日逮捕の可能性と逮捕後の流れ

準強制性交等罪(準強姦)の容疑では、被害届(被害を警察に申告する書類)や告訴を受けて捜査が進み、証拠がそろった段階で、裁判官が出した逮捕状により後日逮捕されることがあります。被害者の話が中心の事件でも、防犯カメラの映像やメッセージのやり取りなどで裏付けが取れれば、逮捕にいたることがあります。

準強制性交等罪(準強姦)で逮捕された後は、次の流れで手続きが進みます。

  1. 警察で言い分を聞かれる(弁解録取)
  2. 逮捕から48時間以内に、事件と身柄が検察官に送られる(送致)
  3. 検察官が言い分を聞き、送致から24時間以内(逮捕から72時間以内)に、裁判官へ勾留(逮捕に続く身柄の拘束)を請求するか釈放するかを決める
  4. 裁判官が本人の言い分を聞き(勾留質問)、請求が却下されれば釈放される
  5. 勾留が認められると10日間身柄を拘束され、やむを得ない事由があれば最大10日間延長される
  6. 勾留期間内に、検察官が起訴するか不起訴(裁判にかけないこと)にするかを決める
  7. 起訴されると勾留は2か月続き、特に継続の必要があれば裁判所の決定で1か月ごとに更新される(準強制性交等罪のように刑の下限が1年以上の罪では、更新の回数に制限はない)。保釈(保証金を納めて釈放される制度)が許可されれば釈放される
  8. 刑事裁判を受ける

勾留が決まると、起訴・不起訴が決まるまで最大20日間、逮捕から数えると最大23日間、身柄を拘束されることになります。逮捕中の最大72時間は、家族であっても本人と面会するのは難しく、自由に会えるのは弁護士だけです。勾留後も、弁護士以外との面会を禁じる処分が出れば、家族は面会できません。

起訴されると、裁判で無罪となる可能性は極めて低いのが実情です。令和7年版犯罪白書によると、令和6年に裁判が確定した人のうち無罪は96人で、全体の0.05%でした。準強姦(準強制性交等罪)で有罪判決を受ければ、執行猶予がついても前科が残ります。

罪の成立を争うなら取調べの前に弁護士に相談する

準強制性交等罪(準強姦)が成立するには、相手が心神喪失・抗拒不能の状態にあったことに加え、行為をした人がその状態を認識していたことが必要です。

そのため、行為の前後に相手がスマートフォンを操作していた、自分で歩いて移動していたなど、抵抗できない状態ではなかったことをうかがわせる事情があれば、罪の成立そのものを争う余地があります。

ただし、どう判断されるかは、飲酒の量や行為の前後のやり取りなど、具体的な事情によって大きく変わります。取調べで話した内容は供述調書にまとめられ、証拠として使われることがあるため、身に覚えがない、あるいは同意があったと考えている場合は、準強姦(準強制性交等罪)の容疑で取調べを受ける前に弁護士に相談し、事実関係と話し方を整理しておくことが大切です。

示談が成立すると不起訴・執行猶予の可能性が高まる

示談とは、加害者側が被害者に謝罪し、示談金を支払うなどして、事件について当事者どうしで合意することです。

準強制性交等罪(準強姦)は非親告罪のため、示談が成立しても、それだけで事件が終わるわけではありません。それでも、検察官は起訴するかどうかを決める際に、被害者の気持ちや被害回復の有無といった犯罪後の事情も考慮します。示談が成立し、被害者が処罰を望まない意思を示していれば、不起訴となる可能性が高まります。

準強姦の事件でも、逮捕前や勾留中に示談がまとまれば、逮捕や勾留を避けられたり、早く釈放されたりすることもあります。起訴された後でも、示談は刑を決める際に有利な事情として考慮され、刑が減軽されて執行猶予がつく余地が生まれます。

不起訴になれば裁判は開かれず、前科もつきません。ただし、不起訴は裁判で無罪と判断されたわけではない点で、無罪判決とは異なります。

示談を進めるうえでは、加害者本人が被害者の連絡先を知ることは難しく、知っていても直接連絡を取ると、かえって被害者の処罰感情を強めるおそれがあります。弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者の意向を確認し、了承が得られれば連絡先を教えてもらったうえで示談交渉を進められる場合があります。

示談金の相場や示談の流れは「不同意性交(強制性交・強姦)の示談金相場と流れ・メリットを解説」で解説しています。準強姦(準強制性交等罪)で示談を考えている場合は、弁護士に相談してください。

準強姦(準強制性交等罪)を疑われたら早めに弁護士に相談を

準強姦(準強制性交等罪)は、暴行・脅迫を用いた場合と同じ重さで処罰される重い罪です。罪名と刑罰は、行為をした時期の法律で決まります。2017年7月13日から2023年7月12日までの行為なら準強制性交等罪にあたり、法定刑は5年以上の有期懲役で、公訴時効も改正で15年に延ばされています。

起訴されれば実刑となるおそれがある一方で、被害者との示談が成立すれば、不起訴や執行猶予につながる可能性があります。ただ、性犯罪の示談は、被害者の連絡先を得る段階から、弁護士が間に入らなければ進めにくいものです。

「いつ警察から連絡が来るのか」と眠れない日を過ごしている方や、何年も前の行為を思い出して不安になっている方も、一人で抱え込む必要はありません。すでに警察から呼び出しを受けている場合や、ご家族が逮捕された場合は、できるだけ早く動くことが大切です。

当事務所は、準強姦(準強制性交等罪)をはじめとする性犯罪事件の示談交渉や逮捕回避、不起訴処分の獲得に取り組んできた実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして依頼者を守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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