業務上横領は少額でも逮捕や会社を解雇をされる?事例も紹介

会社のお金を着服してしまった…額は少なくても業務上横領で逮捕されるのだろうか…会社を解雇されることはあるのだろうか…

このようにお考えではないでしょうか。

結論から言いますと、業務上横領は被害が少額でも逮捕や解雇をされる可能性はあります

この記事では、横領事件に強い弁護士が、

  • 業務上横領は少額でも罪に問われるのか
  • 横領額が少額でも解雇されるのか
  • 業務上横領は少額でも逮捕されるのか
  • 逮捕の回避・不起訴の獲得のためにすべきこと

などについてわかりやすく解説していきます。

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業務上横領は少額でも罪に問われる?

業務上横領とは

「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合には、業務上横領罪が成立します(刑法第253条参照)。

業務上横領罪が成立した場合には、法定刑として「10年以下の懲役」が科されることになります。

業務者でないものが横領行為をした場合にも横領罪(刑法第252条)が成立することになります。横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」であるため、業務上横領罪の法定刑が加重されてることがわかります。これは業務者については仕事として委託を受けていることから所有権侵害や委託信任関係の侵害が拡大するため違法性が加重されるていると考えられているからです。

ここでいう「業務」とは、「委託を受けて物を管理することを内容とする事務」と定義されます。従業員が会社の経費や備品などを着服する行為が業務上横領罪の典型例です。

業務上横領罪とは?逮捕されないケースと構成要件・事例・判例

たとえ少額でも業務上横領罪は成立する

業務上横領罪は、「業務上自己の占有する他人の物」です。

金額などの基準は示されていませんので法律的にはたとえ少額の現金・財物であっても業務上横領罪は成立することになります。

少額の横領でも会社を解雇されるのか

そして少額の業務上横領でも会社を「解雇」される可能性があります

「解雇」とは、労働者と使用者間の労働契約を当事者の合意に基づかず、使用者からの一方的な意思表示で解消することをいいます。

労働者と使用者双方の合意に基づく「合意解約」や、労働者からの一方的意思表示である「辞職」は解雇とは全く異なる法概念ですので注意が必要です。

解雇は「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3つの類型に分けて説明することができます。

  • 「普通解雇」とは、労働者の能力不足や勤務態度の不良等、解雇の理由が労働者側にある場合の解雇をいいます。
  • 「整理解雇」とは、経営不振で事業を継続することが難しい場合に人員整理としての解雇をいいます。整理解雇は使用者側に理由のある解雇といえます。
  • 「懲戒解雇」とは、懲戒処分として解雇をする場合をいいます。懲戒処分とは労働者の企業秩序違反に対する制裁としての使用者の処分のことをいいます。

そして、業務上横領行為が原因になって解雇される場合は、「懲戒解雇」となるのが一般的でしょう。

まず、「労働者が刑事罰を受けたこと」が懲戒事由として定められていることは多いです。労働者が業務上横領が原因で刑事罰を受けた場合、それが使用者の社会的評価に悪影響を与えることがあるからです。

さらに刑事事件として立件されずとも、会社の財産を着服する業務上横領行為は、「重大な非違行為」として懲戒事由に該当する可能性が高いです。

下級審判例の中には、少額の業務上横領行為であっても従業員の解雇が認められた事例が複数存在しています。

  • 550円の着服で懲戒解雇が有効と認められた事例(水戸地方裁判所昭和47年11月16日判決)
  • 1100円の着服で懲戒免職処分が有効とされた事例(東京地方裁判所平成23年5月25日判決)
  • 1万円の着服で懲戒解雇が有効と認められた事例(東京高等裁判所平成元年3月16日判決)

このように、少額であっても業務上横領罪は成立することがお分かりいただけたと思います。

ただし刑事罰に該当する行為にも様々なタイプがあり,具体的な懲戒事由の該当性は,犯罪行為の性質・情状,会社の事業の種類・態様・規模,当該労働者の会社における地位・職種等を総合的に考慮して決定される必要があります。

また横領事件の場合には、被害金額について会社側が認識している金額と従業員側が認識している金額に相違が発生しているケースも多いです。

懲戒解雇をする場合には、会社側が具体的に横領行為について事実認定をする必要があり、そのような理由を従業員に示す必要があります。

十分な証拠や理由なく懲戒解雇を行った場合には、そのような解雇は無効と判断される可能性もあります

したがって、業務上横領について会社から懲戒解雇を言い渡されて納得できないような場合には、一度弁護士に相談してみることがおすすめです。

業務上横領は少額でも逮捕される?逮捕されるとどうなる?

業務上横領は少額でも逮捕される?

横領したからからといって必ずしも逮捕されるわけではありません。

そもそも逮捕とは、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐことが主な目的です。そのため、横領犯が素直に罪を認め、定まった住居を有しているような場合には逮捕されずに「在宅事件」として捜査が進められることもあります。

また、業務上横領が、1~5万円など少額なケースでは、会社と話し合って全額を被害弁償できれば、刑事事件にまで発展しない可能性が高いでしょう。会社としても社内の不祥事を出来るだけ外部に知られたくないのが本音ですので、とくに少額の被害額のケースでは、被害弁償さえしてもらえればそれ以上の法的な責任追及をしないというスタンスをとることが多いためです。

もっとも、会社の方針として被害届、告訴をしないわけにはいかないという場合であれば、たとえ数千円〜1万円程度の横領であっても、被害者の意向・対応によって刑事事件として立件されることになります。このように横領した金額が少額であるから逮捕されない、というわけではないという点は留意しておく必要があるでしょう。

逮捕されるとどうなる?

業務上横領で逮捕された後は、以下の流れで手続きが進んでいきます。

  1. 警察官の弁解録取を受ける
  2. 逮捕から48時間以内に検察官に事件と身柄を送致される(送検)
  3. 検察官の弁解録取を受ける
  4. ②から24時間以内に検察官が裁判官に対し勾留請求する
  5. 裁判官の勾留質問を受ける
    →勾留請求が却下されたら釈放される
  6. 裁判官が検察官の勾留請求を許可する
    10日間の身柄拘束(勾留)が決まる(勾留決定)
    →やむを得ない事由がある場合は、最大10日間延長される
  7. 原則、勾留期間内に起訴、不起訴が決まる
  8. 正式起訴されると2か月間勾留される
    →その後、理由がある場合のみ1か月ごとに更新
    →保釈が許可されれば釈放される
  9. 勾留期間中に刑事裁判を受ける

業務上横領で逮捕されてから最大3日間(48時間+24時間)は弁護士以外の者との連絡はとれません。また、逮捕に引き続き勾留が決定すると、刑事処分(起訴・不起訴)が決まるまで最大20日間身柄拘束されます。

起訴された場合、日本では99%以上の確率で有罪判決となってしまいます。初犯で被害金額が少額であれば執行猶予付き判決になる可能性は高いですが、それでも前科がついてしまいます。前科がつくと、就職面接や資格の取得等で不利益を被ることもあるため、起訴の前段階、つまりは、逮捕の回避、不起訴の獲得のための対応が重要となってきます。以下で解説します。

業務上横領で逮捕の回避・不起訴の獲得を狙うには

前述の通り、業務上横領で被害額が少額である場合には、被害弁償を済ませることで、刑事事件になることを回避できる可能性が高まります。

もっとも、加害者が被害弁償を申し出たところで、被害者である会社の意向によっては、捜査機関に被害申告をする方向で話が進められてしまう可能性も否定できません。

そのため、加害者としては、まずは会社に対して真摯に謝罪し、反省の態度を示したうえで、会社と示談を成立させることが重要となります。

会社が捜査機関に被害申告する前段階で示談を成立させることができれば、横領の事実が捜査機関に知られない、つまりは逮捕されることを回避することができます

また、仮に逮捕後に示談が成立した場合でも、示談成立により逃亡・証拠隠滅のおそれがなくなったと判断されて早期釈放も望めます。

そして起訴された場合でも、示談の成立は被告人に有利な情状となりますので、量刑が軽くなる可能性があります

もっとも、たとえ少額の横領額であったとしても、会社のお金に手を付けた従業員の言葉を会社は信用しない可能性も十分あります。また、横領した金額について、被疑者側と会社側で認識が異なることもあり、被疑者が示談交渉してもスムーズに話がまとまらないケースも多々あります。

そのため、業務上横領の示談交渉は弁護士に依頼すべきでしょう

弁護士であれば会社側も示談交渉のテーブルについてくれることも多く、穏便な解決に向けた姿勢を見せてくれることも期待できます。また、横領した金額についても、弁護士が客観的な資料によって会社側に説明をしますので、示談交渉がスムーズに進めやすくなります。

当事務所では、業務上横領の示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、横領金額の大小にかかわらず罪を犯してしまった方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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