会社の物品を自分のものにしたら業務上横領?逮捕される?対応方法を解説
会社の物品(商品や備品)を自分のものにしたら業務上横領になるのだろうか…

このようにお考えではないでしょうか。

結論から言いますと、会社の物品を自分のものにした場合も業務上横領罪が成立する可能性があります。業務上横領は「業務上自己の占有する他人の物」を横領した場合に成立しますが、「他人の物」には金銭のみならず物も含まれているからです。ただし、業務上横領が成立するには、本人と会社との間に委託信託関係が必要ですので、アルバイトのように一般的には会社と委託信託関係がない者による犯行の場合には、業務上横領ではなく窃盗罪が成立する可能性があります。

この記事では、上記内容をより詳しく解説するとともに、会社の物品を自分のものにしてしまった場合の対応方法について、刑事事件に強い弁護士が解説していきます。

なお、会社の物品を自分のものにしてしまい逮捕のおそれがある方や、既に逮捕された方のご家族の方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には全国無料相談の弁護士までご相談ください

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会社の物品を自分のものにすると業務上横領になる?

まず、そもそも業務上横領とはどんな罪で、会社の物品を自分のものにした場合に業務上横領が成立し得るのか解説したいと思います。

そもそも業務上横領とは?

業務上横領とは刑法第253条に規定されている罪です。

(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

刑法 | e-Gov法令検索

「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務(仕事)のことをいいます。たとえば、タクシー・トラック・バス・電車などの運転、コンビニ・飲食店・ファストフード店などでのアルバイトなど、あらゆる職種、形態の仕事は業務にあたると考えてよいでしょう。ただし、仕事の内容としては「自己の占有する他人の物」を保管・管理するものでなければいけません。

「自己の占有する他人の物」とは、自分が事実上・法律上支配している他人の物のことです。「他人の物」にはお金だけではなく物も含まれていますので、会社の物品や商品、備品といった有体物も対象となります。また、業務上横領が成立するには本人と会社との間に委託信任関係があることが必要と考えられています

業務上横領についてより詳しく知りたい方は、業務上横領罪とは?逮捕されないケースと構成要件・事例・判例をご覧になってください。

会社の物品・備品を自分のものにすると業務上横領になることも

以上を前提にすると、たとえば、オーナーから店の運営を任されているスーパーマーケットやコンビニなどの店長が、物品(商品)を自宅に持ち帰るなどして自分のものにした場合には、業務上横領が成立する可能性が高いです。店長は、会社の物品を保管・管理するという「業務」に基づいて、物品という「自己の占有する他人の物」を自分のものにした(「横領した」)といえるからです。業務上横領の罪に問われると、10年以下の懲役刑を科せられます。

一方、アルバイトが会社の物品を勝手に持ち帰った場合、業務上横領罪(や横領罪)は成立しない可能性が高いでしょう。アルバイトは通常占有補助者といって占有が認められない上に、店との委託信任関係に基づいて物品の管理を任されているわけではないからです。アルバイトが店の物品を勝手に持ち帰った場合は横領罪ではなく窃盗罪(10年以下の懲役)が成立する可能性が高いです。

ただし、アルバイトやパート従業員が会社の物品を持ち帰った場合に業務上横領罪が成立するかはケースバイケースです。アルバイトやパート従業員であっても占有があり、会社との間に委託信任関係が成立していることが認められる場合には業務上横領罪が成立する可能性はあります。

会社の物品を自分のものにして業務上横領で逮捕された事例

ここで会社の物品を自分のものにして業務上横領で逮捕された事例を2つ紹介します。

1つ目は、コンビニのオーナーが、フランチャイズ契約を解除された後も店舗の鍵や備品を返却しないまま、店舗内の冷蔵庫やレンジなどの備品合計36点(時価合計516000円相当)を売却し、横領したという事件です。

2つ目は、郵便局員が、郵便配達中にクレジットカードが入った郵便物を配達先に配達せずに自分のものにして横領したという事件です。郵便局員はこのクレジットカードを使って約23万円分の買い物をしていたようです。

なお、業務上横領は少額でも逮捕や会社を解雇をされる?事例も紹介で書かれていますが、被害額が少額であっても逮捕される可能性があります。そのため、たとえ横領した会社の物品が低額であっても、逮捕を回避するには早急に会社側と示談を成立させることが重要となります。

会社の物品の業務上横領でよくある質問

最後に、会社の物品の業務上横領でよくある質問について回答します。

自分のものにしなければ業務上横領にならない?

たとえば、他人に無償で譲ったり、売ったりする目的で会社の物品を勝手に持ち帰った場合でも業務上横領罪が成立する可能性はあります。「横領」とは、権限がないのに、物品の所有者でなければできないような処分をすることをいいます。つまり、他人に無償で譲ったり(贈与)、売ったり(売却)する行為も「横領」にあたり、他の要件を満たせば業務上横領罪が成立する可能性が高いです。

なお、会社の物品を横流し(正規のルートを経ずに転売すること)した場合にも業務上横領が成立します。詳しくは、会社の商品の横流しは業務上横領?罪を犯した人がすべきことをご覧になってください。

廃棄する予定の会社の物を持ち帰る場合も業務上横領になる?

廃業する予定の会社の物品を持ち帰った場合でも業務上横領罪が成立する可能性はあります。ただし、中には物品の所有者が所有権を放棄している物が明らかな物品もあるでしょう。そのような物品は「自己の占有する他人の物」とはいえないため、持ち帰っても業務上横領罪は成立しないでしょう。

一時的に借りて返すつもりだった場合でも業務上横領になる?

業務上横領罪が成立するには横領行為の故意、すなわち、権限がないのに、物品の所有者でなければできないような処分をする意思(不法領得の意思)が必要とされています。この点、後日返却する意思がある場合には不法領得の意思がないのではないかとも考えられますが、判例(大判明42610日など)は後日返却する意思があったとしても不法領得の意思は認められると判断しています

会社の物品を業務上横領をしてしまった場合の対応方法

会社の物品を横領してしまった場合には、まず第一に被害者(会社)に対して真摯な謝罪をすること、そしてそれと同じく重要なのが示談を成立させることです。

業務上横領の場合、加害者の刑事処罰よりも物品の弁償を希望する会社も多いです。加害者に刑事処罰を科しても物品が返ってくるわけではなく、特に会社組織の場合には、捜査機関に告訴状や被害届を提出して刑事事件化し、逮捕・刑事裁判となって問題が公になることを避けたいというのが本音でしょう。

問題が刑事事件化する前に被害弁償し示談が成立すれば、捜査機関に告訴状や被害届を提出されず、捜査機関の逮捕や刑事処分(起訴、不起訴)はもとより、起訴された後の刑事裁判や刑罰、前科を受けるおそれがなくなります。なお、示談金には損害賠償金を含めることが一般的ですので、示談が成立すれば改めて民事訴訟(不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)を提起される心配もなくなります

また、万が一、刑事事件化した場合でも、起訴される前に被害弁償、示談が成立すれば、不起訴となる可能性が非常に高くなり、その後の刑事裁判、刑罰、前科を受けるおそれがなくなります。

なお、会社の物品を横領する行為などは、懲戒事由として就業規則に定められているのが一般的ですので、懲戒解雇を免れることは難しいでしょう。しかし、示談成立により前科がつかずに済むと、資格制限を受けることもありませんので、再就職への影響を回避することができます

前科が就くことでその後の生活にどのような影響があるかについては、前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリットをご覧になってください。

示談交渉は弁護士に依頼

物品の横領事件で会社と示談交渉をする場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

そもそも会社が加害者との直接の示談交渉に応じないというスタンスの場合は、弁護士に示談交渉を依頼するほかありません。会社の商品に手を付けた従業員の言葉を会社は信用しない可能性も十分あります。

また、横領した物品の数等について、加害者側と会社側で認識が異なることもあり、加害者が示談交渉してもスムーズに話がまとまらないケースも多々あります。さらに、直接交渉では立場上、会社の主張におされ不当な条件で示談せざるをえなくなる可能性もあります。

この点、弁護士であれば会社側も示談交渉のテーブルについてくれることも多く、穏便な解決に向けた姿勢を見せてくれることも期待できます。弁護士であれば、会社が必要としている情報をきちんと伝えることができますし、交渉の知識、経験ももちあわせていますから、交渉をスムーズに進めることができます。感情の対立によって、話し合いを頓挫させてしまうおそれもありません

また、横領した物品の数等についても、弁護士が客観的な資料によって会社側に説明をします。弁護士が主張すべきことはしっかり主張してくれますから、事案に適した内容で示談することができます

弊所では、業務上横領の示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、会社の物品を横領してしまい逮捕のおそれがある方、既に逮捕された方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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