
現行犯逮捕とは、犯罪を行っている最中や行い終わった直後などの人を、逮捕状なしで逮捕することです。警察官だけでなく一般人にもでき、軽微犯罪でも、住居や氏名が分からないときや逃げるおそれがあるときは逮捕が認められます。
「家族が逮捕されたまま連絡もつかない。この後どうなるのか」と不安な方に向けて、この記事では、逮捕事件の弁護実績が豊富な弁護士が、次の点を解説します。
- 逮捕が認められる要件と、どこまでが現行犯か
- 軽微犯罪でも現行犯逮捕されるのはどんな場合か
- 現行犯逮捕されたらその後どうなるか
- 逮捕された直後に本人と家族がすべきこと
お読みいただくことで、どのような場合に逮捕が認められるのかを見分け、逮捕されたときに何をすべきかを判断できます。
なお、ご家族が逮捕された方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
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現行犯逮捕とは?逮捕状なしで誰でもできる逮捕
刑事訴訟法212条1項は、現に罪を行っている人と、現に罪を行い終わった直後の人を「現行犯人」と定めています。この現行犯人と、後で説明する準現行犯人を、逮捕状なしで逮捕するのが現行犯逮捕です。
逮捕は裁判官が出す逮捕状に基づくのが原則ですが、現行犯逮捕はその例外で、一般の人にも認められています。逮捕状がいらない理由と、一般の人が逮捕するときの決まりを説明します。
逮捕状がいらない理由
憲法33条は、現行犯として逮捕される場合を除き、裁判官が発する令状(逮捕状)がなければ逮捕されないと定めています。これを令状主義といいます。
逮捕は身体の自由を大きく制限するうえ、捜査機関が行き過ぎた逮捕をするおそれもあります。そこで、逮捕の前に裁判官が理由の有無を審査し、不当な逮捕を防ぐ仕組みになっています。
一方、現行犯の場合は、逮捕する人が目の前で犯行を目撃しているなど、犯罪と犯人が明らかなため、人違いによる誤認逮捕の危険が小さいといえます。また、その場で捕まえなければ犯人に逃げられてしまうおそれがあり、逮捕状を請求して裁判官の審査を待つ時間はありません。こうした理由から、現行犯逮捕は令状主義の例外とされています。
一般人でも現行犯逮捕できる
刑事訴訟法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めており、一般人も現行犯逮捕できます。これを私人逮捕といいます。
ただし、一般の人が現行犯人を逮捕したときは、直ちに検察官や警察官などへ引き渡さなければなりません。
第214条
検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
取り押さえたら、すぐに110番通報をして警察官に引き渡しましょう。要件を満たさないのに逮捕したり、引き渡さずに長時間拘束したりすると、逮捕・監禁罪(刑法220条)に問われるおそれがあります。殴る・蹴るなど、取り押さえに必要な程度を超える暴行を加えた場合は、暴行罪や傷害罪が成立することもあります。
適法な取り押さえの範囲は「私人逮捕とは?逮捕できる要件と事例、取り押さえはどこまで許されるか解説」で解説しています。
現行犯逮捕の要件
現行犯逮捕できる相手には、罪を行っている最中か直後の「狭義の現行犯人」と、犯行から間がないと明らかな一定の場合に現行犯人とみなされる「準現行犯人」があり、要件が異なります。軽微犯罪では、逮捕できる場合がさらに限られます。
狭義の現行犯逮捕の要件
狭義の現行犯逮捕が認められるには、次の2つを満たす必要があります。
- いま罪を行っている、または罪を行い終わった直後であること
- 逮捕する人から見て、犯罪が行われたことと、逮捕される人が犯人であることの両方が明らかなこと
なお、この2つに加えて、逃亡や証拠隠滅を防ぐために身柄を確保する必要があること(逮捕の必要性)を、3つ目の要件に挙げる解説もあります。もっとも、目の前で犯行が行われている現行犯の場面では、この必要性も認められるのが通常と考えられています。
電車内の痴漢や盗撮の犯人がその場で取り押さえられる、万引きが店員に見つかる、職務質問で違法薬物の所持が分かる、検問で飲酒運転が発覚するといったケースが、現行犯逮捕の典型例です。
「直後」がどこまでかについて、犯行から何分以内なら現行犯、という決まりはありません。時間や場所の近さ、犯行が発覚した経緯、追跡が続いていたかなどを総合して判断されます。目を離さずに犯人を追い続けて取り押さえたときは、現場からある程度離れた場所でも認められることがあります。反対に、逃げた犯人をいったん見失って追跡が途切れ、後で見つけて捕まえたような場合は、準現行犯の要件にもあたらなければ、違法な逮捕とされる可能性があります。
準現行犯逮捕の要件
準現行犯逮捕は、犯行から間がないと明らかで、次の各号のいずれかにあたる場合にできます(刑事訴訟法212条2項)。
第二百十二条
(省略)
② 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
各号を言い換えると、次のとおりです。
- 1号:犯人として追いかけられている(追呼)
- 2号:盗品(贓物〈ぞうぶつ〉)や、犯行に使ったと明らかな凶器などを持っている
- 3号:体や服に、返り血などのはっきりした犯罪の跡がある
- 4号:警察官などに呼び止められて(誰何〈すいか〉)逃げようとしている
「間がない」とは、「直後」ほどではないものの、犯行が終わった時点から時間的に近いことをいい、それに応じた場所の近さも考慮されます。
軽微犯罪で現行犯逮捕できる場合は限られる
軽微犯罪でも現行犯逮捕はできますが、犯人の住居や氏名が明らかでない場合か、逃げるおそれがある場合に限られます(刑事訴訟法217条)。
ここでいう軽微犯罪とは、法定刑が一定額以下の罰金、拘留または科料だけの罪をいいます。罰金の基準額は、刑法・暴力行為等処罰に関する法律・経済関係罰則の整備に関する法律の罪が30万円、それ以外の法律や条例の罪が2万円です。
拘留は1日以上30日未満、刑事施設に収容される刑罰です。科料は1,000円以上1万円未満のお金を納めさせる刑罰です。過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)や軽犯罪法違反(拘留または科料)などが軽微犯罪にあたり、万引き(窃盗罪)は被害額が小さくてもあたりません。まとめると、軽微犯罪では、住居と氏名が分かっていて逃げるおそれもなければ、現行犯逮捕できないことになります。
通常逮捕・緊急逮捕との違い
逮捕には、現行犯逮捕のほかに通常逮捕と緊急逮捕があります。警察庁の犯罪統計によると、2025年に刑法犯で検挙された人のうち逮捕されたのは64,650人で、その約37%にあたる23,757人が現行犯逮捕でした(警察庁「犯罪統計」令和7年)。
通常逮捕・緊急逮捕との比較は「現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いは?それぞれの要件を解説」をご覧ください。
通常逮捕との違い
通常逮捕とは、あらかじめ裁判官が発付した逮捕状に基づいて行う逮捕です。現行犯逮捕との違いは、主に逮捕状が必要かどうかと、誰が逮捕できるかです。
通常逮捕では、逮捕状を請求できるのも、実際に逮捕できるのも、検察官や警察官などに限られます。現行犯逮捕は逮捕状が不要で、一般人でも行えます。
緊急逮捕との違い
緊急逮捕とは、死刑、無期または長期3年以上の拘禁刑にあたる罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、急を要する場合に、逮捕状なしで逮捕し、その後すぐに逮捕状を請求する手続きです。殺人罪のほか、窃盗罪や詐欺罪なども対象です。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
逮捕の時点で逮捕状がいらない点は現行犯逮捕と同じですが、緊急逮捕は対象の罪が限られ、逮捕できるのも検察官や警察官などだけです。緊急逮捕の後に逮捕状が発せられなければ、直ちに釈放されます。
緊急逮捕できる罪の範囲は「緊急逮捕の要件とは?できる罪・できない罪の一覧を解説」にまとめています。
現行犯逮捕されるとその後はどうなる?
現行犯逮捕された後の流れは、通常逮捕の場合と同じです。
逮捕後は被疑者として警察署で取調べを受け、犯罪の嫌疑がないと判断された場合や、ごく軽い事件の場合は、釈放されることもあります。釈放されなければ、逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察官に送られます(送致・送検)。
送致を受けた検察官は、受け取った時から24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、裁判官へ勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するか、釈放するかを決めます。勾留が認められると原則10日間、延長されると最長20日間身柄の拘束が続き、その間に検察官が起訴か不起訴かを判断します。
この流れの途中にも、身柄拘束が解かれる機会はあります。勾留が決まる前であれば、弁護士が検察官や裁判官に勾留の必要がないことを伝え、勾留を避けるよう働きかけることができます。勾留が決まった後も、その判断に不服があれば、準抗告(別の裁判官に判断し直してもらう手続き)を申し立てられます。
起訴された後も勾留が続く場合は、保釈を請求できます(起訴される前の勾留中は使えません)。被害者がいる事件では、弁護士を通じて早めに示談を進めることが、早期の釈放や不起訴につながる可能性があります。
釈放されても、捜査が続くことがあり(在宅捜査)、その後に処分が決まります。勾留が認められる基準と早期釈放の方法は「勾留とは?逮捕との違いと要件、勾留期間を解説」をご参照ください。
逮捕された場合の対応方法
現行犯逮捕されたときに大切な対応は、主に次の2つです。
①態度を明確にする
罪を認めるのか否認するのか、取調べでの態度をはっきりさせておくことが大切です。
罪を犯したことに間違いがなければ、事実を正直に話したほうが、早く釈放される可能性が高まります。間違いがないのに否認や黙秘を続けると、身柄拘束が長引くことにもなりかねません。
一方、身に覚えがないのに現行犯逮捕されたなら、弁護士と接見(面会)して助言を受けるまでは、黙秘したほうが賢明です。黙秘権(取調べで言いたくないことを話さなくてよい権利)は、被疑者にも認められています。無実を訴えて話した内容が、意図と違う形で調書に残るおそれもあります。
②弁護士との接見を要請する
あわせて、弁護士との接見を求めることも重要です。
現行犯逮捕の直後から本人と面会できるのは弁護士だけで、家族や友人は、勾留が決まるまでは面会できないのが通常です。弁護士と接見すれば、今後の見通しや取調べへの対応について助言を受けられます。
知り合いの弁護士がいればその弁護士を指定し、いなければ当番弁護士を呼ぶよう求めましょう。警察官などに「当番弁護士を呼んでほしい」と伝えれば弁護士会から派遣され、1回目の接見は無料です。家族も、逮捕された地域の弁護士会に電話をして依頼できます。
当番弁護士も知り合いの弁護士も、すぐに来てくれるとは限らないため、逮捕されたらできるだけ早く求めるのがよいでしょう。
当番弁護士が来るまでの時間や費用は「当番弁護士とは?呼び方・費用・国選弁護人との違いを解説」で解説しています。
現行犯逮捕されてお困りの方へ
現行犯逮捕は前触れなく行われ、逮捕から72時間以内には勾留請求の有無が決まります。本人もご家族も、突然のことに動揺されていることと思います。
この短い期間に弁護士が接見すれば、本人は取調べでの受け答えについて助言を受けられます。弁護士も、勾留を避ける働きかけや、被害者がいる事件での示談に早く取りかかれます。ご家族は、本人と連絡がつかなくても、一日でも早く動くことが大切です。
当事務所は、現行犯逮捕された方の早期釈放や不起訴処分の獲得に力を入れており、豊富な実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

