
現行犯逮捕とは、犯罪を行っている最中または直後の現行犯人を、逮捕状なしで逮捕することです。警察官だけでなく、一般人でも現行犯逮捕を行うことができます。
「家族が現行犯逮捕されてしまった」「このまま長期間拘束されるのではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が以下の内容についてわかりやすく解説します。
- 現行犯逮捕の要件(狭義の現行犯逮捕・準現行犯逮捕)
- 現行犯逮捕と通常逮捕・緊急逮捕との違い
- 現行犯逮捕されやすい罪と現行犯逮捕できない罪
- 現行犯逮捕された場合の対応方法
なお、ご家族が現行犯逮捕されて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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現行犯逮捕の要件
前述のとおり、現行犯逮捕には狭義の現行犯逮捕と準現行犯逮捕の2種類があります。それぞれ逮捕の要件が異なりますので、以下わけて解説します。
狭義の現行犯逮捕の要件
狭義の現行犯逮捕が認められるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- ①現に罪を行い、又は現に罪を行い終わったこと
- ②犯罪と犯人の明白性
①現に罪を行い、又は現に罪を行い終わったこと
まず、犯人が現行犯人であること、すなわち、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者であることが必要です。
「現に罪を行い」とは、逮捕者の眼の前において、犯人が特定の犯罪の実行行為を行っている場合をいいます。
「現に罪を行い終わった」とは、犯人が特定の実行行為を終了した直後、あるいはそれに極めて近接した段階にあることをいいます。現に罪を行い終わったかどうかは、時間的接着性のみならず、場所的接着性、犯行発覚の経緯、犯行現場の状況、追跡継続の有無などの事情を総合的に勘案して判断されます。
②犯罪と犯人の明白性
次に、犯人が現行犯人であること、すなわち、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者であることが逮捕者にとって明白であることが必要です。
逮捕者の眼の前で犯罪が行われ、現に逮捕者が犯罪を目撃していた場合は明白性の要件に欠けることは少ないと思われますが、犯行を現認していない逮捕者が、逃走する犯人を一時見失い、その後発見して逮捕したような場合は明白性の要件に欠け、違法な現行犯逮捕と判断される可能性はあります。
準現行犯逮捕の要件
準現行犯逮捕が認められるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- ①罪を行い終わってから間がないと明らかに認められること
- ②法定の条件を満たすこと
①罪を行い終わってから間がないと明らかに認められること
まず、犯人が準現行犯人であること、すなわち、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる者であることが必要です。
「罪を行い終わってから間がない」とは、犯行終了時から時間的に近接した時点をいいます。その時間に対応した場所的な近接性も考慮されます。
②法定の条件を満たすこと
次に、刑事訴訟法第212条2項各号の状況が存在し、かつ、逮捕者がいずれかの状況を認識していることが必要です。
(現行犯人)
第二百十二条
(省略)
② 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
1号の「追呼」とは、犯人として追跡、又は呼称されることをいいます。声を出して追っている必要はなく、身振り手振りで追いかけている場合も追呼にあたります。犯罪終了後、継続して追呼されることが必要ですが、逮捕者が一時犯人を見失った後、間もなく発見して追呼した場合も適法と解されています。
2号の「賍物(ぞうぶつ)」とは窃盗や強盗などの財産犯によって得られた物のことです。「凶器」とは、ナイフ、ピストルなど人を殺傷し得る物をいいます。紐など、使い方によっては人を殺傷し得る物であっても、通常の使い方ではその危険を感じさせない物は凶器にはあたりません。「その他の物」とは、賍物や凶器以外の物であって、これらの物と同様に犯罪と犯人とを結びつける物をいいます。盗みで使ったバールやドライバー、懐中電灯などがこれにあたります。
3号の「身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき」とは、たとえば、身体に負傷していたり、被服に血痕が付着していたりして殺人罪が推認される場合や、放火犯人の手に石油が染みついているような場合を指します。なお、「被服」には、被服に準じる帽子及び履物を含みます。
4号の「誰何(すいか)」とは、必ずしも「誰か」と問われる必要はなく、制服姿の警察官を見て逃げ出したような場合も含まれます。私人による誰何も含まれます。
現行犯逮捕は一般人でもできる
刑事訴訟法第213条では「現行犯人は、何人でも(誰でもという意味)、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と規定されており、現行犯(準現行犯も含む)であれば、一般人による逮捕(これを「私人逮捕」といいます)が法律上認められていることがわかります。
ただし、上記で説明した現行犯逮捕の要件を満たしていない場合には逮捕罪(刑法第220条)に問われる可能性があります。無抵抗の現行犯人に殴る蹴るの暴力をくわえるなど、社会通念上、逮捕のために必要かつ相当を認められる限度を超えて実力行使をすると、暴行罪や傷害罪に問われることもあります。
また、以下で説明しますが、一般人が現行犯逮捕した場合には直ちに警察官等に現行犯人を引き渡さなくてはならないため、取り押さえた後に直ぐに警察官を呼ばず、必要以上に長時間現行犯人を拘束すれば、逮捕監禁罪(刑法第220条)に問われる可能性もあります。
なお、一般人による現行犯逮捕は、刑事責任のほかにも民事責任(不法行為にもとづく損害賠償責任)を負うこともあります。
現行犯逮捕されるとその後はどうなる?
一般人が現行犯逮捕した場合には、直ちに現行犯人を警察官等に引き渡す必要があります(刑事訴訟法第214条)。
第214条
検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
警察官に身柄を引き渡された後は、被疑者は警察署で事情聴取を受けることになります。警察が犯罪事実がないと判断した場合や、微罪の場合にはその場で釈放されることもあります。釈放されなかった場合には、逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察官に送致されます。
送致を受けた検察官は被疑者を受け取った時から24時間以内かつ被疑者が逮捕されてから72時間以内に裁判官に勾留請求をするか、あるいは、被疑者を釈放するかを判断します。逃亡・証拠隠滅のおそれがない場合には釈放されることもあります。しかし釈放されずに勾留請求が認められると、最高で20日間身柄を拘束されその間に検察官が起訴するか不起訴にするかの判断を下します。なお、釈放された場合にはこれまで通りの生活に戻ることができますが、被疑者が在宅のまま捜査が進められ(在宅捜査)、その後、起訴または不起訴が決定されます。勾留の要件や早期釈放のための方法については「勾留とは?拘束期間や要件、勾留回避・早期釈放のための方法」で詳しく解説しています。
現行犯逮捕と他の逮捕との違い
逮捕には現行犯逮捕のほかに通常逮捕と緊急逮捕があります。ここでは、現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕との違いについて解説します。
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通常逮捕との違い
通常逮捕とは、あらかじめ裁判官から発布された逮捕状に基づく逮捕のことです。
現行犯逮捕では、裁判官が発する逮捕状を必要としませんが、通常逮捕では逮捕状を必要とする点が異なります。逮捕にあたって裁判官の逮捕状を必要とするのは、逮捕が人の人権を大きく制限する行為であって、捜査機関による濫用の危険もあることから、裁判官の事前審査を必要とすることでその危険を抑制する狙いがあります(令状主義)。もっとも、現行犯逮捕するケースでは、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であって、誤認逮捕(人権侵害)のおそれが限りなく低く、かつ、裁判官に事前審査を求める暇がないことから、令状主義の例外として逮捕状を不要としているのです。
また、現行犯逮捕では誰でも逮捕することができますが、通常逮捕では警察官や検察官など一定の人にしか、裁判官に逮捕状の発布を請求する権限や実際に犯人を逮捕する権限が認められていません。
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緊急逮捕との違い
緊急逮捕とは、裁判官に逮捕状の発布を求める暇がないような逮捕の緊急性がある場合に、一定の重大な犯罪に限って逮捕状なしに逮捕し、逮捕した後に、事後的に裁判官の逮捕状の発布を必要とする逮捕のことです。逮捕の時点で逮捕状を必要としない点は現行犯逮捕と共通しています。
現行犯逮捕では、30万円以下の罰金、拘留又は科料にあたる罪を除いては、逮捕できる罪に制限はありません。一方、緊急逮捕では、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪」と、逮捕できる罪が限定されています。なお、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪とは、たとえば、殺人罪、現住建造物等放火罪などの重大犯罪をあげることができます。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
また、緊急逮捕では、逮捕時点では逮捕状は必要ありませんが、事後的に必要となります。仮に、裁判官により逮捕状が発布されない場合、犯人は釈放されます。現行犯逮捕と異なり、緊急逮捕では誰でも逮捕できるわけではなく、警察官、検察官など一定の人にしか逮捕権限が認められていません。
現行犯逮捕ができない罪
30万円以下の罰金、拘留又は科料にあたる罪(「軽微犯罪」といいます)については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、又は犯人が逃亡するおそれがある場合でなければ現行犯逮捕することができません(刑事訴訟法第217条)。
拘留とは、1日以上30日未満の範囲の期間、刑事施設に収容される刑罰、科料は1000円以上10000円未満の範囲で金銭の納付を命じられる刑罰です。
30万円以下の罰金、拘留又は科料にあたる罪としては、過失傷害罪(30万円以下の罰金又は科料)、軽犯罪法違反(拘留又は科料)などがあります。
現行犯逮捕できる罪と現行犯逮捕されることが多い罪
現行犯逮捕では、上記の軽微犯罪(30万円以下の罰金、拘留又は科料にあたる罪)を除いては、逮捕できる罪に制限はありません。実務上、現行犯逮捕されることが多い罪としては以下のものが挙げられます。
- ①痴漢
- ②盗撮
- ③万引き
- ④薬物の所持
- ⑤交通違反、交通事故
①痴漢
痴漢は、被害者はもちろん、犯行を目撃した目撃者、被害者から被害申告を受けた目撃者や駅の鉄道警察隊の警察官に現行犯逮捕されるケースが多いです。
また、痴漢は各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反で処罰されます。非常習の場合の罰則は「6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」と定めている自治体が多いです。
②盗撮
盗撮も、痴漢と同様、被害者や目撃者、駅の鉄道警察隊の警察官に現行犯逮捕されることがあります。現場に張り込んでいた警察官に犯行を現認され、その場で逮捕に至るケースも少なくありません。
盗撮も各都道府県が定める迷惑防止条例違反で処罰されます。非常習の場合の罰則は「6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」と定めている自治体が多いです。
③万引き
万引きは、テレビなどでよく見るように、万引きGメンに現行犯逮捕されるケースが多いです。また、特定の店で万引きを繰り返している場合は店の店員や店長に警戒されている場合も多く、店員や店長に万引きを現認されたときに現行犯逮捕されるケースも多いです。
万引きは窃盗罪にあたる立派な犯罪です。罰則は「10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。窃盗罪の構成要件や示談の流れについては「窃盗罪とは?構成要件や刑罰は?窃盗の示談・逮捕に強い弁護士が解説」をご参照ください。
④薬物の所持
薬物関連で現行犯逮捕されるケースとして多いのが、大麻や覚せい剤などの所持です。薬物を持っているときに警察官から職務質問を受け、所持品検査の結果、薬物を所持していることが発覚すると、そのまま現行犯逮捕に至ることがほとんどです。薬物の所持では、捜査機関が、犯人が薬物を持っていることをおさえないと所持の立証が難しいことから、捜査機関は何とかして犯人を現行犯逮捕することに努めています。
⑤交通違反、交通事故
交通違反の中でも多いのが酒酔い、酒気帯び、無免許運転です。警察官の検問にひっかかって発覚して現行犯逮捕される場合や、人身事故、物損事故を起こした際に発覚して現行犯逮捕されるケースが多いです。
交通事故では、比較的軽微な事故で逮捕されることは稀ですが、被害者の怪我の程度が大きいなど事故の規模が大きいケースや飲酒や無免許が絡む事故では、現行犯逮捕されるケースもあります。
現行犯逮捕された場合の対応方法
万が一現行犯逮捕された場合には、以下の対応が重要です。
- ①態度を明確にする
- ②弁護士との接見を要請する
①態度を明確にする
まずは、自分自身で態度を明確にする必要があります。
罪を犯した認識がある場合は、警察官に正直に事実を話した方が、場合によっては、早期に釈放される可能性があります。反対に、罪を犯したことが明らかであるのに、不合理な理由で黙秘や否認を続けていると、いたずらに身柄拘束期間を長引かせてしまうことにつながりかねません。
一方、自分は冤罪だと思っているという場合は、弁護士と接見してアドバイスを受けるまでは黙秘した方が賢明です。逮捕初期の段階で冤罪を証明しようと積極的に話しても、残念ながら相手は聞く耳をもってくれないことが多いです。また、揚げ足を取られ、厳しい追及を許してしまうおそれもあります。
②弁護士との接見を要請する
次に、弁護士との接見を要請することです。
逮捕直後に面会できるのは弁護士のみです。家族や友人などの身近な人は逮捕直後は面会できないことがほとんどです。
弁護士と接見すれば、今後の事件の見通しや取調べに対する対処法などのアドバイスを受けることができ、精神的に落ち着くことができます。
知り合いの弁護士がいる場合は弁護士を指定し、いない場合は当番弁護士との接見を要請しましょう。いずれも要請したからといってすぐに面会に来てくれるわけではありませんので、逮捕された直後に警察官に要請することが大切です。接見した弁護士に刑事弁護活動を依頼したいと思う場合は、弁護士にその旨申し出てみましょう。
現行犯逮捕されてお困りの方へ
現行犯逮捕は逮捕状なしで行われるため、突然の身柄拘束に本人もご家族も動揺されることと思います。逮捕後は最長72時間の取調べを経て、勾留が認められると最大20日間の身柄拘束が続く可能性があります。
しかし、弁護士が早期に介入することで、勾留を阻止して早期釈放を実現したり、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。逮捕直後から弁護士が接見し、取調べへの対応をアドバイスすることで、不利な供述を避けることもできます。
「家族が突然逮捕されてどうすればいいかわからない」「このまま長期間拘束されるのではないか」とご不安を抱えている方も多いでしょう。当事務所では、現行犯逮捕された方の早期釈放・不起訴処分の獲得に力を入れており、豊富な実績があります。
全国どこからでもご相談いただける無料相談を実施しておりますので、現行犯逮捕されてお困りの方、ご家族が逮捕されてしまった方は、お早めに当事務所までご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

