現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いは?それぞれの要件を解説

「現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いがよく分からない」「逮捕状なしの逮捕は、どんな場合に許されるのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

両者の違いは、犯行の最中や直後か、少し時間がたっているかにあります。準現行犯逮捕は、犯行を終えてから間がないことが明らかで、法律が定める4つの事情(犯人として追われている、盗んだ物を持っているなど)のどれかにあてはまれば認められる、現行犯逮捕の一種です。

この記事では、逮捕直後の刑事弁護に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 現行犯と準現行犯は何が違うのか
  • 準現行犯が認められる4つの事情と時間の目安
  • 逮捕状なしで一般人でも逮捕できるのか
  • 通常逮捕・緊急逮捕の要件と逮捕後の流れ

解説を通して、目の前の逮捕がどの種類にあたるかを見分ける手がかりが得られます。

なお、ご自身やご家族の逮捕についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。

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逮捕の種類は通常・現行犯・緊急の3つ

逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3種類があり、それぞれ刑事訴訟法に要件が定められています。逮捕状を示してから連行するのが通常逮捕で、これが原則的な逮捕の方法です。準現行犯逮捕は4つ目の種類ではなく、現行犯逮捕の一種として扱われます。

逮捕状の要否や逮捕できる人を一覧にすると、次のとおりです。

逮捕の種類 逮捕状 逮捕できる人 使われる主な場面
通常逮捕
(199条)
事前に必要 警察官・検察官など 捜査を経て、裁判官の逮捕状を得てから逮捕するとき
現行犯逮捕
(212条1項・213条)
不要 警察官・検察官など・一般人 犯行の最中、または犯行を終えた直後
準現行犯逮捕
(212条2項・213条)
不要 警察官・検察官など・一般人 犯行から間がないことが明らかで、4つの事情のどれかにあたるとき
緊急逮捕
(210条)
逮捕後、直ちに請求 警察官・検察官など 一定の重い罪で、逮捕状を待つ余裕がないとき

現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いと共通点

現行犯逮捕と準現行犯逮捕は、どちらも刑事訴訟法212条に定められていますが、1項と2項で書き方が異なります。この書き分けに、両者の違いが表れています。

刑事訴訟法212条(2項各号は後の表で紹介します)

1項 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

2項 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

1項は「現行犯人とする」、2項は「現行犯人とみなす」という書き方です。1項の現行犯人を逮捕するのが現行犯逮捕、2項によって現行犯人とみなされる人を逮捕するのが準現行犯逮捕で、どちらも同じ現行犯逮捕の枠組みで扱われます。

準現行犯では犯行から少し時間がたっている分、4つの事情によって「この人が犯人だ」という明らかさを補っている、と考えると分かりやすいでしょう。準現行犯は、逮捕する人が犯行を見ていなくても成立し得ます。

現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いの判断の流れ(犯行の最中か直後で犯罪と犯人が明らか→現行犯逮捕/直後ではないが犯行から間がないと明らかで4つの事情のどれかにあたる→準現行犯逮捕/どちらでもない→通常逮捕など)

現行犯逮捕の要件

現行犯逮捕は、主に次の2つがそろう場合にできます。

  • 犯罪が行われたことと、その人が犯人であることが、逮捕する人にとって明らかであること(犯罪と犯人の明白性)
  • 犯行の最中か、犯行を終えた直後であること(時間的・場所的な接着性)

上の2つに逮捕の必要性を加えて、3つの要件とする解説もあります。

例えば、ナイフで人を刺しているまさにその瞬間や、刺し終わった直後を目撃すれば、傷害罪や殺人未遂罪などの現行犯逮捕が可能です。

また、軽微な罪には例外があります。30万円以下の罰金(刑法など3つの法律の罪以外は当分の間2万円以下)、拘留または科料(いずれもごく軽い刑罰)にあたる罪では、犯人の住居や氏名が明らかでない場合か、逃亡するおそれがある場合に限って現行犯逮捕ができます(刑事訴訟法217条)。この制限は、現行犯人とみなされる準現行犯人にも同じく及びます。

現行犯逮捕されたときにどう動くべきかは、現行犯逮捕とは?要件と逮捕された時の対応方法に詳しく書いています。

準現行犯逮捕の要件と4つの類型

現行犯逮捕と違い、準現行犯逮捕をするには、犯行が終わってから間がないことが明らかで、さらに次の4つの事情のいずれかにあたる必要があります(刑事訴訟法212条2項1号〜4号)。

4つの事情 具体例
①犯人として追われ、呼びかけられている(追呼) 犯行後から継続して追われていて、「泥棒」などと呼びかけられている場合
②盗んだ物や、明らかに犯罪に使ったと思われる凶器などを持っている 盗んだ物(贓物(ぞうぶつ))を持っていたり、血のついたナイフなどを持っていたりする場合
③身体や服に犯罪の顕著な跡がある 衣服に返り血がべっとり付いている場合
④呼び止められて逃げ出そうとする 警察官や私人に誰何(すいか:声をかけて誰かを問いただすこと)され、逃げ出したような場合

準現行犯逮捕の時間と距離の目安

犯行からどのくらいの時間・距離までが「間がない」と認められるかについて、法律に明確な数値の基準はなく、追跡が続いているか、犯人だと分かる事情がどれだけはっきりしているかなどから、ケースごとに判断されます。

最高裁が準現行犯逮捕を適法と認めた和光大学事件(最高裁決定 平成8年1月29日)が参考になります。犯行現場から約4km離れた地点で、犯行のおよそ1時間40分後に行われた逮捕でも、間がないことが明らかだと認められました。泥で汚れた服装や顔の新しい傷(4つの事情の③)、職務質問からの逃走(同④)といった事情があわさってのことです。

逮捕状なしで一般人でも逮捕できる点は共通

現行犯逮捕と準現行犯逮捕に共通するのは、逮捕状がいらず、警察官や検察官だけでなく一般人でも逮捕できることです(私人逮捕)。

刑事訴訟法213条

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

こうした扱いが認められているのは、犯行の最中や直後、または犯行から間がなく4つの事情で犯人が明らかな状況では、時間の違いはあっても犯人を取り違える誤認逮捕のおそれが類型的に低い一方、逃亡や証拠隠滅の前に身柄を確保する必要性が高いと考えられているためです。

一般人が現行犯人を逮捕したときは、直ちに検察官または司法警察職員(警察官など)に引き渡さなければなりません(刑事訴訟法214条)。私人逮捕が許される要件や取り押さえの限度は、私人逮捕とは?逮捕できる要件と事例、取り押さえはどこまで許されるか解説をご参照ください。

一般人でも逮捕できる分、痴漢冤罪のように身に覚えのない場面で取り押さえられることもあります。逃げたり嘘で取り繕ったりすると、罪を認めたと受け取られかねないため、氏名や住所を伝え、早めに弁護士を呼ぶことが基本です。身に覚えのない場合の対応は痴漢冤罪の4つの対処法と5つのNG行動|逃げるのが厳禁な理由にまとめています。

通常逮捕・緊急逮捕の要件と逮捕後の流れ

現行犯逮捕や準現行犯逮捕とは違い、捜査機関は原則として、裁判官の逮捕状を得てから逮捕します(通常逮捕)。重い罪で逮捕状を待つ余裕がないときに限り、先に逮捕して後から逮捕状を求める緊急逮捕も認められています。

通常逮捕の要件

通常逮捕の要件は、逮捕の理由と逮捕の必要性の2つです。

逮捕の理由として求められるのは、罪を犯したことを疑うに足りる「相当な理由」です(刑事訴訟法199条1項)。判例(大阪高判昭和50年12月2日)では、「相当な理由とは捜査機関の単なる主観的嫌疑では足りず、証拠資料に裏づけられた客観的・合理的な嫌疑でなければならない」とされています。

逮捕の必要性とは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることです。このおそれがなく「明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は、裁判官は逮捕状を発付しません(刑事訴訟法199条2項ただし書)。逮捕状の有効期間や、発付を事前に知る方法の有無については、逮捕状とは?出ているか分かる?請求や取り下げ・有効期限を解説で解説しています。

さらに、現行犯逮捕と同じく軽微な罪には制限があり、法定刑が30万円以下の罰金(刑法など3つの法律の罪以外は当分の間2万円以下)、拘留または科料にとどまる罪では、被疑者(罪を犯した疑いを受けている人)に定まった住居がない場合か、正当な理由なく出頭の求めに応じない場合に限って逮捕が認められます(刑事訴訟法199条1項ただし書)。

逮捕の必要がないなどの理由で逮捕されず、在宅のまま捜査が進む場合は、書類だけを検察庁に送る書類送検で処理されます。

詳しくは書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説をご確認ください。

緊急逮捕の要件

緊急逮捕は、現行犯逮捕や準現行犯逮捕と違い、捜査機関しか行えず、一般人はできません。

刑事訴訟法210条1項

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

要件を整理すると、①一定の重い罪を犯したと疑うに足りる十分な理由がある、②急速を要し逮捕状を求める時間がない、③逮捕の理由を告げ、逮捕後直ちに逮捕状を請求する、の3つをすべて満たす必要があります。対象となる罪の一覧は、緊急逮捕の要件とは?できる罪・できない罪の一覧を解説で詳しく解説しています。

通常逮捕では「相当な理由」が要件でしたが、緊急逮捕ではそれよりも強い「十分な理由」が必要です。

憲法33条は現行犯逮捕や準現行犯逮捕を除き令状を求めるため、緊急逮捕がこの規定に反しないかが争われましたが、最高裁判所大法廷(昭和30年12月14日判決)は、「厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない」と判断しています。

逮捕後の流れと72時間の時間制限

逮捕の場面では、通常逮捕は被疑者の自宅で早朝に行われる傾向があり、「おはよう逮捕」とも呼ばれます。警察官が逮捕状を示して内容を読み上げ、警察署へ連行する流れが一般的です。警察が来る時間帯や前兆については、おはよう逮捕とは?何時に警察が来るのか、前兆と流れも解説で紹介しています。

警察は、逮捕した被疑者を48時間以内に検察官へ送致し(事件を引き継ぐこと)、検察官は受け取ってから24時間以内に、裁判官に勾留(こうりゅう:逮捕に続いて身柄の拘束を続けること)を請求するかどうかを判断します。

つまり、逮捕から勾留請求までの身柄拘束は、最長72時間です(刑事訴訟法205条2項)。逮捕後の時間制限は、現行犯逮捕・準現行犯逮捕や緊急逮捕でも基本的に同じです。期限内に勾留請求などがされなければ、被疑者は釈放されます。勾留が認められると原則10日間、延長されると最長で20日間の身柄拘束が続き、その間に起訴するかどうかが決まります。

勾留から起訴、裁判へと続く刑事手続きの流れは、刑事事件・刑事裁判の流れ|逮捕から判決まで図解で図を交えて確認できます。

現行犯・準現行犯で逮捕されたら早めに弁護士へ相談を

現行犯逮捕も準現行犯逮捕も、逮捕状なしにその場で行われるため、準備のないまま手続きが始まります。

逮捕から勾留請求までの最長72時間に、自由に面会できるのは弁護士だけであり、早い段階での接見(面会)や取調べへの助言、示談交渉(被害者との話し合いによる解決)など、早期釈放や不起訴に向けて打てる手は少なくありません。

逮捕直後は、本人もご家族も冷静な判断が難しく、精神的な負担も大きい時期です。すでに警察から連絡が入っている方や、身に覚えのない現行犯逮捕に戸惑っている方も、早い段階で弁護士に状況を伝えることで、選べる手段が広がっていきます。

当事務所はこれまで多数の刑事事件を取り扱い、依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動いてきました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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