逮捕の種類は3つ|通常・現行犯・緊急逮捕の要件と違いを解説

「逮捕にはどんな種類があるのか」「家族が逮捕されたけれど、どの逮捕にあたるのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3種類があります。3つの違いは、逮捕状がいつ必要になるか(事前・不要・事後)と、誰が逮捕できるかにあります。犯行から少し時間がたっていても認められる準現行犯逮捕は、現行犯逮捕の一種です。

この記事では、逮捕直後の刑事弁護に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕それぞれの要件
  • 準現行犯逮捕や一般人による逮捕が認められる場面
  • 逮捕状の要否と逮捕できる人の違い
  • 逮捕後72時間の流れと面会できる人

解説を通して、目の前の逮捕がどの種類にあたるかを見分ける手がかりが得られます。

なお、ご自身やご家族の逮捕についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。

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逮捕の種類は通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3つ

逮捕とは、罪を犯したと疑われている人(被疑者)の身体を拘束し、短い時間その拘束を続ける手続きです。

刑事訴訟法が定める逮捕は、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3つです。裁判官が事前に出す逮捕状に基づく通常逮捕が原則で、現行犯逮捕と緊急逮捕は、逮捕状なしで身柄を確保できる例外として認められています。準現行犯逮捕は4つ目の種類ではなく、現行犯逮捕に含まれます。

通常逮捕の要件

通常逮捕は、裁判官があらかじめ発付した逮捕状を示して行う逮捕で、要件は逮捕の理由と逮捕の必要性の2つです。

逮捕の理由とは、罪を犯したことを疑うに足りる「相当な理由」があることです(刑事訴訟法199条1項)。捜査機関の思い込みでは足りず、証拠に裏づけられた客観的・合理的な嫌疑が必要とされています(大阪高判昭和50年12月2日)。

逮捕の必要性とは、本人が逃げたり証拠を隠したりするおそれがあることです。逮捕の必要が明らかにないと判断されれば、裁判官は逮捕状を発付しません(同条2項ただし書)。逮捕状の有効期間や、発付を事前に知る方法の有無については、逮捕状とは?出ているか分かる?請求や取り下げ・有効期限を解説で解説しています。

警察官が逮捕状を持っていない場合でも、急いで逮捕する必要があるときは、容疑の要旨と逮捕状が出ていることを告げて逮捕し、後でできる限り速やかに逮捕状を示せば足ります(逮捕状の緊急執行・刑事訴訟法201条2項)。

また、30万円以下の罰金(刑法など3つの法律の罪以外は当分の間2万円以下)・拘留・科料にあたる軽い罪では、通常逮捕は住居不定か正当な理由なく出頭に応じない場合、現行犯逮捕は住居・氏名が不明か逃亡のおそれがある場合に限られます(刑事訴訟法199条1項ただし書・217条)。

実際の通常逮捕は、早朝に被疑者の自宅を訪れ、逮捕状を示して警察署へ連行する形が多く、「おはよう逮捕」とも呼ばれます。警察が来る時間帯や前兆については、おはよう逮捕とは?何時に警察が来るのか、前兆と流れも解説で紹介しています。

逮捕の必要がないと判断されれば、逮捕されないまま在宅で捜査が進み、書類だけが検察庁に送られることもあります(書類送検)。詳しくは書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説をご確認ください。

現行犯逮捕の要件

犯行の最中や、犯行を終えた直後の人であれば、逮捕状がなくてもその場で逮捕できます。これが現行犯逮捕で(刑事訴訟法212条1項・213条)、主に次の2つがそろう場合に認められます。

  • 犯罪が行われたことと、その人が犯人であることが、逮捕する人にとって明らかであること(犯罪と犯人の明白性)
  • 犯行の最中か、犯行を終えた直後であること(時間的・場所的な接着性)

例えば、人を殴っている最中や殴り終えた直後を目撃すれば、暴行罪や傷害罪で現行犯逮捕できます。犯人を取り違えるおそれが低く、逮捕状を待っていては逃げられてしまうため、例外的に逮捕状が不要とされています。外出先で行われることも多いため、家族がしばらく逮捕を知らないままになることもあります。

犯行の直後ではなくても、犯行を終えてから間がないことが明らかで、法律が定める4つの事情のどれかにあたれば、準現行犯逮捕として、逮捕状がなくても逮捕できます(刑事訴訟法212条2項)。4つの事情とは、①犯人として追いかけられ、声をかけられている②盗んだ物や、明らかに犯罪に使ったと思われる凶器などを持っている③身体や服に犯罪の顕著な跡がある④呼び止められて逃げ出そうとする、の4つです。どこまでの時間・距離なら「間がない」といえるかに法律上の数値の基準はなく、追跡が続いているか、犯人だと分かる事情がどれだけはっきりしているかなどから、事案ごとに判断されます。

現行犯逮捕と準現行犯逮捕の違いの判断の流れ(犯行の最中か直後で犯罪と犯人が明らか→現行犯逮捕/直後ではないが犯行から間がないと明らかで4つの事情のどれかにあたる→準現行犯逮捕/どちらでもない→通常逮捕など)

現行犯逮捕は、準現行犯逮捕の場合も含めて、警察官などの捜査機関だけでなく一般人でもできます(私人逮捕・刑事訴訟法213条)。一般人が逮捕したときは、直ちに検察官や警察官へ身柄を引き渡す義務があります(同法214条)。私人逮捕が許される要件や取り押さえの限度は、私人逮捕とは?逮捕できる要件と事例、取り押さえはどこまで許されるか解説をご参照ください。

一般人でも逮捕できる分、痴漢冤罪のように身に覚えのない場面で取り押さえられることもあり、その場から逃げずに氏名や連絡先を伝え、早めに弁護士を呼ぶことが基本です。身に覚えのない場合の対応は痴漢冤罪の4つの対処法と5つのNG行動|逃げるのが厳禁な理由にまとめています。

現行犯逮捕されたときにどう動くべきかは、現行犯逮捕とは?要件と逮捕された時の対応方法に詳しく書いています。

緊急逮捕の要件

一定の重い罪で逮捕状を求める時間がないとき、先に身柄を確保して後から逮捕状を請求するのが緊急逮捕です。捜査機関しか行えず、一般人はできません。

刑事訴訟法210条1項

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

要件を整理すると、①死刑・無期・長期3年以上の拘禁刑にあたる重い罪について、犯人だと疑う十分な理由がある、②急速を要し逮捕状を求める時間がない、③逮捕の理由を告げ、逮捕後直ちに逮捕状を請求する、の3つをすべて満たす必要があります。逮捕状が出なければ、直ちに釈放されます。

通常逮捕では「相当な理由」が要件でしたが、緊急逮捕ではそれよりも強い「十分な理由」が必要です。対象となる罪の一覧は、緊急逮捕の要件とは?できる罪・できない罪の一覧を解説で詳しく解説しています。

通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の違い

3つの逮捕の違いを、逮捕状の要否と逮捕できる人で整理すると、次のとおりです。

逮捕の種類 逮捕状 逮捕できる人 使われる主な場面
通常逮捕
(199条)
事前に必要 警察官・検察官など 捜査を経て、裁判官の逮捕状を得てから逮捕するとき
現行犯逮捕
(212条・213条)
不要 警察官・検察官など・一般人 犯行の最中や直後、または犯行から間がなく4つの事情のどれかにあたるとき(準現行犯)
緊急逮捕
(210条)
逮捕後、直ちに請求 警察官・検察官など 一定の重い罪で、逮捕状を待つ余裕がないとき

逮捕状が事前に要るのは通常逮捕だけで、一般人ができるのは現行犯逮捕だけです。

一方で、逮捕された後の手続きの流れと時間の制限は、3つとも基本的に同じです。警察は逮捕した被疑者を48時間以内に検察官へ送致し(事件を引き継ぐこと)、検察官は送致を受けて24時間以内に、裁判官に勾留(こうりゅう:逮捕に続いて身柄の拘束を続けること)を請求するかどうかを判断します。逮捕から勾留請求までの身柄拘束は、最長72時間で(刑事訴訟法205条2項)、期限内に勾留請求などがされなければ釈放されます。勾留が認められると原則10日間、延長されると最長で20日間の身柄拘束が続きます。

逮捕から勾留が決まるまでの間は、家族であっても面会が認められるとは限りません。これに対し、弁護士(弁護人)は立会人なしで接見(面会)できるため(刑事訴訟法39条1項)、本人に取調べへの対応を助言したり、家族の伝言を届けたりできます。勾留が決まった後は、警察官の立会いや時間の制限はあるものの家族も面会できるのが原則ですが、接見禁止の決定がつくと、弁護士以外とは会えなくなることがあります。勾留から起訴、裁判へと続く刑事手続きの流れは、刑事事件・刑事裁判の流れ|逮捕から判決まで図解で図を交えて確認できます。

逮捕の種類を問わず、逮捕されたら早めに弁護士へ相談を

通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕のどれであっても、逮捕から勾留請求までの最長72時間で、その後の身柄拘束が続くかどうかの大きな分かれ目を迎えます。

この間に、早い段階での接見や取調べへの助言、示談交渉(被害者との話し合いによる解決)など、早期釈放や不起訴に向けて弁護士が打てる手は少なくありません。まだ逮捕されていない段階でも、自首や被害者との示談によって、逮捕を避けられる場合があります。

逮捕直後は、本人もご家族も冷静な判断が難しく、精神的な負担も大きい時期です。すでに警察から連絡が入っている方や、身に覚えのない逮捕に戸惑っている方も、早い段階で弁護士に状況を伝えることで、選べる手段が広がっていきます。

当事務所はこれまで多数の刑事事件を取り扱い、依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動いてきました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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