昏睡強盗罪(準強盗)とは?弁護士がわかりやすく解説

昏睡強盗(こんすいごうとう)とは、人を昏睡させて人の財物を奪った場合に成立する罪で、刑法第239条に規定されています。

第二百三十九条 人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

刑法 | e-Gov法令検索

人を昏睡させ、人の反抗を抑圧して財物を奪う行為は、刑法236条に規定される強盗罪に匹敵するほどの悪質性を有することから、強盗罪とは別の罪として規定されたものです。

「強盗として論ずる。」とは、刑法236条に規定される強盗罪と同じ取扱いにするという意味ですから、昏睡強盗罪の罰則も強盗罪と同じく5年以上の有期懲役です

昏睡強盗罪は強盗罪と同じレベルの罪という意味で、事後強盗罪(刑法238条)と同じく準強盗罪とも言われます

以下では、刑事事件に強い弁護士が、

  • 昏睡強盗の構成要件(成立要件)
  • 昏睡強盗の事例

についてわかりやすく解説していきます。

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昏睡強盗の構成要件

昏睡強盗罪が成立するための要件は次のとおりです。

人を昏睡させること

まず、人を昏睡させることが必要です。

「昏睡させる」とは、睡眠薬や麻薬剤などの薬物を使用したり、アルコールを飲ませるなどして人の意識作用に一時的又は継続的な障害を引き起こさせることをいいます。被害者に暴行を加えて意識不明の状態にした上で財物を奪った場合は昏睡強盗罪ではなく強盗罪が成立します。

あくまで財物を奪う手段として人を昏睡させたといえることが必要です。したがって、犯人が被害者と性交する目的で被害者を昏睡させた後、被害者の財物を奪おうと思い、被害者の昏睡状態に乗じて財物を奪った場合は昏睡強盗罪ではなく窃盗罪が成立します。

財物を奪うこと

次に、人を昏睡させて財物を奪うことが必要です。

財物は、金銭や物(腕時計や指輪・ネックスレスといった装飾品など)のほか、クレジットカードも含みます。

財物を自己の占有下に置いた場合は既遂罪が成立しますが、昏睡強盗罪では未遂罪も規定されています。したがって、財物を奪う目的で被害者を昏睡させ、被害者のバック中から財布を抜き取ろうと財布に手をかけたものの、第三者に声をかけられ止められたために財布をとることができなかったなどという場合は昏睡強盗の未遂罪が成立します。

昏睡強盗の事例(判例)

ここで昏睡強盗の事例をご紹介します。

ウォッカ入りのカクテルを飲ませ昏睡強盗

バーテンダーが客に対しカクテルを飲ませようとした際、「ウォッカは入っていない」と嘘を言って客に飲ませ、意識不明に近い状態にまで酔わせた上で客の財布をとった事案で、裁判所は昏睡強盗の成立を認めています(横浜地裁昭和60年2月8日)。この裁判例によると、昏睡強盗の「昏睡」の程度は、被害者を完全に意識喪失させるまでは必要ではないとの考えによっています。

昏睡強盗ではなく窃盗罪の成立を認めた事例

被害者自らが酒に酔っている隙に被害者の財物をとった事案で、裁判所は昏睡強盗ではなく窃盗罪の成立を認めています(名古屋高裁昭和29年10月28日)。昏睡強盗が成立するためには、少なくとも犯人自らか、共犯者が昏睡させる行為を行うことが必要です

よくある質問

最後に、昏睡強盗でよくある質問にお答えします。

昏睡強盗で執行猶予がつくことはある?

昏睡強盗の法定刑は5年以上の懲役であるため、判決で「3年以下の懲役」を受けなければならないとする執行猶予の要件を満たさず、基本的には執行猶予がつくことはありません。もっとも、心神耗弱、自首などの法律上の減軽事由が認められ、上の法定刑が減軽された場合には執行猶予となる可能性はります

昏睡強盗の着手時期は?

犯罪の実行の着手は、犯罪実現の危険性が高まった段階で認められると考えられています。したがって、薬物注射を昏睡強盗の手段とする場合は、被害者の腕に手をかけた時点で昏睡強盗の実行の着手が認められるでしょう。一方、被害者の飲食物に睡眠導入剤を入れて被害者に飲ませることを手段とする場合は状況によります。すなわち、被害者が飲食物をすぐにでも飲む状況であれば、睡眠導入剤を入れた段階で昏睡強盗の実行の着手が認められやすくなります。他方、そうした状況にない場合は、ただちに昏睡強盗の実行の着手があるとは言い難い可能性も出てくると考えられます。

昏睡強盗の罪を犯したら弁護士に相談

万が一、昏睡強盗にあたることをしてしまったかも?と思ったらはやめに弁護士に相談しましょう。

昏睡強盗は刑が重たい罪であるため、仮に被害者に被害届を出され、警察に事件のことが発覚すると逮捕される可能性が高いですが、被害者に被害届を提出される前に被害者と示談交渉し、被害者に被害届の提出を取りやめてもらえれば事件のことが警察に発覚せず、逮捕も免れることができます。

もっとも、昏睡強盗の加害者との示談交渉に直接応じる被害者はまずいないといってよいでしょう。そのため、被害者との示談交渉を希望する場合は弁護士に相談し、弁護士に示談交渉を依頼するしかありません。

当事務所では、昏睡強盗を含む強盗事件の被害者との示談交渉、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、罪を犯してしまった方、既に逮捕された方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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